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電気自動車(EV)の維持費はいくら?ガソリン車とコスト比較

まだまだ高額でインフラも未発達なので扱いにくい、というイメージの強い電気自動車(EV)ですが、急激に進んだガソリン価格の高騰を背景に、充電費用の安さや、各種の減税・免税による維持費の安さが注目されるようになってきました。今回は具体的に同クラスのガソリン車と維持費を比較して優位性を確かめつつ、コスト面で残された課題についても検証します。

目次

  1. 電気自動車(EV)の維持費は何がかかる?
  2. 電気自動車(EV)の維持費をシミュレーション
  3. 電気自動車(EV)の年間維持費は平均9万〜12万円が目安
  4. 電気自動車(EV)とガソリン車の維持費を比較
  5. 【結論】電気自動車(EV)の方がガソリン車より維持費が安い
  6. 電気自動車(EV)の維持費を抑えるポイント
  7. 電気自動車(EV)の維持費以外のコストについて
  8. 電気自動車(EV)の維持費についておさらい

電気自動車(EV)の維持費は何がかかる?

電気自動車(EV)の維持費は何がかかる?

車両本体価格がガソリン車やハイブリッド車より高価でも、それを補って余りあるほど維持費の面でメリットがあれば所有する意義も出てくるため、電気自動車(EV)ならではの維持費をチェックしてみましょう。

維持費1:充電にかかるコスト

電気自動車の充電と一口に言っても、以下の方法があります。




充電方法

普通充電

急速充電

場所


自宅




宿泊施設や公共施設など、滞在時間を長く取れる施設



電気自動車を取り扱っているディーラー




高速道路のサービスエリアなど、基本的に休憩や買い物などで短時間滞在する施設


充電時間

長い

短い(最大30分が多い)




自宅に充電器がある場合は家庭の電気料金に左右され、家電公取協(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会)が2022年7月22日に改定して以降の目安単価(税込)は、1kWhあたり31円です。


それで普通充電で満充電にしたらどのくらいの充電料金になるかというと、近年の国産電気自動車では最大のヒット作である日産 サクラ(電池容量20kWh)で620円。


国産車でもっとも電池容量が大きいレクサスRZ/トヨタ bZ4X/スバル ソルテラ(同71.4kWh)では2,213円となります。


急速充電も、提供元がその時期の電気料金に応じて設定するプランによりますが、一例としてトヨタと日産のプランで急速充電にかかる料金を紹介しましょう。




メーカー

トヨタ

日産

サービス名

EV・PHV充電サポート

ZESP3


(ゼロ・エミッションサポートプログラム3)

基本料金(月額)

1,650~4,950円

1,100~11,000円

急速充電の従量料金

55~66円/分

プランにより充電分数が月額基本料金に含まれている場合があり、それ以外は以下。


33~99円/分

維持費2:自動車重量税や自動車税

自動車の税金は、かつては自動車取得税と呼ばれて購入時に納める「環境性能割」、新車登録や継続検査(車検)時に納める「自動車重量税」、毎年納める「自動車税」または「軽自動車税」の3種類。


電気自動車の場合は2026年3月31日まで「環境性能割」が非課税、エコカー減税により購入時と初回車検時の自動車重量税も免税となっており、同4月30日までグリーン化特例により「自動車税/軽自動車税」もおおむね75%減税とされています。


このうち自動車税について、電気自動車はエンジンを積まないため排気量別の区分では「1L以下」が適用され、25,000円から減税で6,500円、軽自動車税は軽乗用車が10,800円から減税で2,700円、軽商用車(自家用)が5,000から減税で1,300円です。




税金の種類

税制優遇策

優遇内容

環境性能割


(旧・自動車取得税)

電気自動車は非課税対象

2026年3月31日まで非課税

自動車重量税

エコカー減税

2026年3月31日まで免税

自動車税

グリーン化特例

2026年4月30日までおおむね75%減税

軽自動車税


※優遇期間は今後、延長など変更される可能性があります

維持費3:自動車保険や自賠責保険

保険に関しては電気自動車などエコカーへの乗り換えを推進したい思惑がある政府や自治体とは少々スタンスが異なり、「事故率」や「修理費用」に応じて変わってくる点では、電気自動車であろうと普通の車と変わりません。


「電気自動車は走行用バッテリーやシステム全体の価格がエンジン車より高額なため、特に車両保険は割高」という説があり、実際に海外ではそういったケースも見受けられはするものの、日本においては「あくまで車格や事故率で両立が決まるだけ」のようです。


保険会社も一定の社会責任を負う立場とあって、エコカー割として多少は保険料の割引をしているほか、事故で全損扱いとなった車を電気自動車へ買替時に保険支払い額へ上乗せする法人向け特約など、割安感を感じさせるサービスを提供しています。

その他の維持費:車検などのメンテナンス代や消耗品代

その他の維持費については、主に消耗品の点で以下の2点が、電気自動車ならではのポイントとなります。


第一に「エンジンがないのでエンジンオイルはもちろん、大抵は変速機もないためミッションオイルやAT/CVTフルードの交換も不要で、油脂類の定期交換はブレーキフルードくらい」。


第二に「エンジン車より大抵は重いのでタイヤへの負担が大きく寿命も短くなる傾向ではあるが、一方で回生ブレーキの多用やワンペダル運転でブレーキをあまり使わないなど、ブレーキの寿命では有利。」


最近は「電気自動車はタイヤがすぐ減るからエコじゃない!」という論調もありますが、一方で明らかにエンジン車やハイブリッド車より消耗品の交換頻度が少なく、交換すべき消耗品が存在しない場合もあり、EV向けの耐摩耗性が高いタイヤも出てきています。

電気自動車(EV)の維持費をシミュレーション

電気自動車(EV)の維持費をシミュレーション

次に各車種の維持費ですが、電気自動車(EV)とエンジン車やハイブリッド車と大きく異なる3点のみにしぼり、自宅で普通充電のみ利用、月間平均走行距離1,000km、走行用バッテリー交換なしと仮定したシミュレーションを記載します。

三菱 eKクロス EVの維持費をシミュレーション

eKクロスEV

(参考)eKクロス ターボ車

負担内容

年別合計

負担内容

年別合計

1年目

軽自動車税:2,700円


充電費用(※):4万4,640円


※1,000km÷1充電走行距離180km=約6回


620円(20kWh)✕6✕12=4万4,640

4万7,340円

軽自動車税:1万800円


ガソリン代:7万7,420円

8万8,220円

2年目

軽自動車税:1万800円


充電費用:4万4,640円

5万5,440円

軽自動車税:1万800円


ガソリン代:7万7,420円

8万8,220円

3年目

軽自動車税:1万800円


充電費用:4万4,640円


ある販売会社による車検費用の一例


法定24ヶ月点検料:2万3,800円


完成検査料:1万1,000円


電子制御装置(OBD)点検料:3,300円


自賠責保険料(24ヶ月):1万7,540円


検査印紙代:1,600円


車検代行手数料:1万1,000円


整備プラン(スタンダードプラン):2万5,300円


合計:93,120円


(※エコカー減税で自動車重量税は免税)

14万8,560円

軽自動車税:1万800円


ガソリン代:7万7,420円


車検費用:9万9,720円

18万7,940円

4年目

軽自動車税:1万800円


充電費用:4万4,640円

5万5,440円

軽自動車税:1万800円


ガソリン代:7万7,420円

8万8,220円

5年目

軽自動車税:1万800円


充電費用:4万4,640円


ある販売会社による車検費用の一例


法定24ヶ月点検料:2万3,800円


完成検査料:1万1,000円


電子制御装置(OBD)点検料:3,300円


自動車重量税:6,600円


自賠責保険料(24ヶ月):1万7,540円


検査印紙代:1,600円


車検代行手数料:1万1,000円


整備プラン(スタンダードプラン):2万5,300円


合計:9万9,720円

15万5,160円

軽自動車税:1万800円


ガソリン代:7万7,420円


車検費用:9万9,720円

18万7,940円

5年合計

46万1,940円

5年合計

64万0,540円




ここでのポイントは、1年目の軽自動車税がおおむね75%減税、初回車検の自動車重量税も免税されており、ベースのekクロスからは、それだけで1万4,700円の減税・免税です。


さらに最高出力が同じ47kW(64馬力)のターボ車 (WLTCモード燃費24.8km/L)はレギュラーガソリン代が約160円/Lと仮定すれば、年間のガソリン代は約7万7,420円。


燃料or電気代では電気自動車版eKクロスEVの方が年間で約3万2,780円、5年間では減税・免税含め合計17万8,600円オトクです!


走行用バッテリーが劣化すれば交換費用が高そうという心配も、初度登録後8年以内かつ走行16万km以内で、バッテリー容量66%を下回るか故障した場合は無償での修理・交換対象ですから安心です。

日産 リーフの維持費をシミュレーション

リーフ 40kWh

ノート

負担内容

年別合計

負担内容

年別合計

1年目

自動車税:6,500円


充電費用(※):4万4,640円


※1,000km÷1充電走行距離400km=約3回


1,240円(40kWh)✕3✕12=4万4,640

5万1,140円

自動車税:3万500円


ガソリン代:6万7,600円

8万8,100円

2年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:4万4,640円

6万9,640円

自動車税:3万500円


ガソリン代:6万7,600円

8万8,100円

3年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:4万4,640円


ある販売会社による車検費用の一例


基本整備料金:2万5,740円


保安確認検査料:9,680円


距離点検項目:2,750円


シビアコンディション:1,650円


自賠責保険料:1万7,650円


検査印紙代:1,600円


車検代行手数料:9,900円


合計:6万8,970円


(※エコカー減税で自動車重量税は免税)

13万8,610円

自動車税:3万500円


ガソリン代:6万7,600円


車検費用6万8,970円


(※エコカー減税で自動車重量税は免税)

16万7,070円

4年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:4万4,640円

6万9,640円

自動車税:3万500円


ガソリン代:6万7,600円

8万8,100円

5年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:4万4,640円


ある販売会社による車検費用の一例


基本整備料金:2万5,740円


保安確認検査料:9,680円


距離点検項目:2,750円


シビアコンディション:1,650円


自賠責保険料:1万7,650円


自動車重量税:2万4,600円


検査印紙代:1,600円


車検代行手数料:9,900円


合計:9万3570円

16万3,210円

自動車税:3万500円


ガソリン代:6万7,600円


車検費用9万3,570円

19万1,670円

5年合計

49万2,240円

5年合計

62万3,040円




eKクロスEVとはメーカーも販売店も異なり、車検費用はあくまで参考価格です。


エコカー減税による自動車重量税の免税額や、グリーン化特例による自動車税の減税額が大きく、参考にした日産販売会社の車検費用が思いのほか安いのもあって、場合によってはeKクロスEVよりリーフの方が安い!


もちろんこの販売会社の車検費用なら、サクラが一番安いことになります。


ちなみに同クラスのノート(2WD車)と比較した場合、e-POWER車なので自動車重量税の免税は同じで、年間のレギュラーガソリン代は約6万7,600円ですから、リーフの充電費用が年間2万2,960円、自動車税の差額と合わせてノートより5年で16万0,800円オトクとなります。

レクサス RZの維持費をシミュレーション

RZ450e

RX450h+ “version L” 4WD

負担内容

年別合計

負担内容

年別合計

1年目

自動車税:6,500円


充電費用(※):5万3,112円


※1,000km÷1充電走行距離494km=約2回


4,426円(71.4kWh)✕2✕12=5万3,122

5万9,612円

自動車税:1万1,000円


ガソリン代:10万9,149円

12万149円

2年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:5万3,122円

7万8,122円

自動車税:4万3,500円


ガソリン代:10万9,149円

15万2,649円

3年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:5万3,112円


ディーラー相場


基本料金(相場の最低):8万円


自賠責保険料:1万7,650円


検査印紙代(電子申請):1,600円


合計:9万9,250円


(※エコカー減税で自動車重量税は免税)

17万7,362円

自動車税:4万3,500円


ガソリン代:10万9,149円


車検費用9万9,250円


(※エコカー減税で自動車重量税は免税)

25万1,899円

4年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:5万3,122円

7万8,122円

自動車税:4万3,500円


ガソリン代:10万9,149円

15万2,649円

5年目

自動車税:2万5,000円


充電費用:5万3,112円


ディーラー相場


基本料金(相場の最低):8万円


自賠責保険料:1万7,650円


自動車重量税:3万7,500円


検査印紙代(電子申請):1,600円


合計:13万6,750円

21万4,862円

自動車税:4万3,500円


ガソリン代:10万9,149円


車検費用13万6,750円

28万9,399円

5年合計

60万8,080円

5年合計

96万6,745円




最後にレクサスのRZ450eですが、ハイパワー電動AWDのSUVといっても「さすがはレクサス、車検が高いな!」と、自動車重量税が高い面はあるものの、何しろエンジン車で言えば1L以下相当でしかない自動車税が安いです。


同クラス車で比較対象となるプラグインハイブリッド車のRX450h+もエコカー減税、グリーン化特例対象なので減税・免税ではRZ450eと同等ですが、それでもハイオク車ですからガソリン代は高いですし、2.5L車なので自動車税も高くなります。


結果的にRX450h+よりRZ450eの方が5年間では約36万円もの差がつく結果となり、同程度の車格なら大型・高性能になるほど、プラグインハイブリッド車を買うより電気自動車の方がオトク感が強いという結果になりました。



電気自動車(EV)の年間維持費は平均9万〜12万円が目安

電気自動車(EV)の年間維持費は平均9万〜12万円が目安

車名

年間維持費

平均年間維持費

三菱 eKクロスEV

4万7,340~15万5,160円

9万2,388円

日産 リーフ(40kWh車)

5万1,140~16万3,210円

9万8,448円

レクサス RZ450e

5万9,612~21万4,862円

12万1,616円




車両サイズが大きいほど電池容量も重量も増えますから、免税明けの重量税が重くのしかかり電費/一充電走行距離も落ちて充電費用も上がる傾向にはありますが、昨今のガソリン価格高騰に対し依然として割安な電気料金を背景に、電気自動車の維持費はかなり安めです。


確かに車格による維持費の差、減税や免税で維持費の安い期間とその後の差、車検時の負担といった年ごとの違いはあるものの、電気自動車の平均維持費は新車から5年間で安くて9万~12万、それなりに大きくパワフルな高級SUVでも案外差はないようです。


実際には消耗品の交換や細々とした不具合の整備補修・部品交換などで多少の違いは出るものの、エンジンオイルなど交換する油脂類が少ない電気自動車が割安な事には変わりありません。

電気自動車(EV)とガソリン車の維持費を比較

電気自動車(EV)とガソリン車の維持費を比較

ジャンル

車名

平均年間維持費

電気自動車

三菱 eKクロスEV

9万2,388円

ガソリン車

三菱 eKクロス(ターボ)

12万8,108円

電気自動車

日産 リーフ(40kWh)

9万8,448円

ガソリン車


(ハイブリッド車)

日産 ノート

12万4,608円

電気自動車

レクサス RZ450e

12万1,616円

ガソリン車


(プラグインハイブリッド車)

レクサス RX450h+

19万3,349円




電気自動車とガソリン車の比較…と言っても、最近では純粋なガソリン車が減り、リーフに対するノートのように「極めて電気自動車に近いハイブリッド車」との比較を含みます。


電気自動車のリーフに対し、もっとも維持費の差が少ないシリーズ式ハイブリッド車のノートでも、グリーン化特例による減税対象外であったり、ガソリン価格の差で、単純なターボエンジン車のeKクロスターボと同程度の差に収まりました。


レクサスRZ450eに対するRX450h+は微妙なところで、プラグインハイブリッド車ゆえに近所の買い物でEV走行だけしていれば、さほど差はつかないかもしれませんが、車の性格的にそのような用途に限定するのは現実的ではなく、実際この程度の差がつきそうです。

【結論】電気自動車(EV)の方がガソリン車より維持費が安い

【結論】電気自動車(EV)の方がガソリン車より維持費が安い

ガソリン車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車まで含めても、電気自動車の維持費は安上がりという結論ですが、現状で後押ししているのはガソリン価格の高騰で、充電費用はレギュラーガソリン比なら6~7割、ハイオクガソリン比なら半額で済みます。


ではガソリンが安くなればどうかというと、その時は電気代も下がりますし、油脂類など消耗品の少なさ、税制面での優遇もありますから、「電気自動車の維持費は安い」という結論に変わりはなさそうです。

電気自動車(EV)の維持費を抑えるポイント

7電気自動車(EV)の維持費を抑えるポイント

それではガソリン車に対する電気自動車(EV)のメリットを広げていくため、維持費をさらに抑えるにはどんな手段があるでしょうか?ポイントをいくつか抑えてみましょう。

無料のEV充電スポットを利用して電気代を抑える

EV充電スタンド情報の有名サイトを見ると、全国各地で2万を超える充電スポットのうち、充電無料のスポットが3,061箇所あり、数の上では200箇所を超える東京、愛知、大阪の「東名阪」が群を抜いていますが、それ以外は全国に散財していてちょっとした宝探し?


CHAdeMO規格の急速充電は、東京都江東区豊洲の「豊洲シビックセンター」など全国に410、90kWの超高速充電器すら13箇所あって、期間限定キャンペーンのスポットも多いものの、うまく情報収集して利用できれば、電気代を安く抑えるチャンスです!

軽EVを選んで自動車税を抑える

そもそも登録車でも大型SUVであろうと排気量1L以下の扱いで、グリーン化特例が終わって以降も2万5,000円と自動車税が格安の電気自動車ですが、2022年6月に発売された軽乗用車の日産 サクラと三菱 eKクロスEVなら軽自動車税は1万800円とさらに安い!


電気自動車の普及という面では先行しそうな商用車の分野でも、三菱 ミニキャブMiEVや日産 クリッパー、ホンダ N-VAN eと軽商用車が続々登場しており、四輪軽貨物(自家用)の軽自動車税は5,000円と格安です!

自動車保険を見積もり比較して保険料を抑える

自動車保険(任意保険)は、事故率や修理に要する費用など、つまり「リスク」を加味した車種ごとの「保険料率」に従い定められ、電気自動車だから特別に安いということは、基本的にはないのです。


しかし保険料率は保険会社が加入している団体が算出したものを使用する以外に、保険会社が独自に算出していたり、電気自動車を含むエコカー割引を実施している場合もあるので、複数の保険会社へ見積もりして比較すれば、保険料が安くなるかもしれません。

電気自動車(EV)の維持費以外のコストについて

電気自動車(EV)の維持費以外のコストについて

今回は維持費をテーマにしていますが、エンジン車やハイブリッド車ではありえない、電気自動車(EV)ならではのコストは他にも存在し、それぞれ電気自動車への乗り換えを促すための施策があります。

高額な導入コストを補う、各種の補助金制度

現実的な価格のモデルも登場してきたとはいえ、そもそもメーカーでの製造コストが高額で利益率が低く、様々な事情で材料の価格も安定しない電気自動車は、まだまだ誰もが買えるほど安い乗り物になっていません。


しかし国としては、地球温暖化対策のため普及を推進せねばならない立場もあって、電気自動車をはじめとする「高額でも先進的な電動車」への買い替えを促す補助金を設定しており、その代表格がCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)です。


各車種の評価に応じた購入補助金を、電気自動車の登録車なら85万円、軽自動車なら55万円を上限に補助するもので、毎年のように年度末には財源が尽きかけますが、令和5年度も補正予算で追加が通りました。


他にも東京都などのように、独自に補助金を設定している自治体もあります。

保証外での交換費用が高額なバッテリーへの不安

2010年頃から本格的な市販車が登場した電気自動車ですが、実際に使うとバッテリーがすぐ劣化し、交換にもとんでもない費用が発生する、という大問題が起きました。


いわば「見切り発車でユーザーからの信頼を一度失った」形ですが、さまざまな事情で何としても普及させねばならなくなると、メーカーとしても耐久性や信頼性の向上に務めるとともに、保証内容を充実させてきました。


ただ、メーカー保証期間を過ぎても給油すれば多少燃費が落ちる程度で走るエンジン車と異なり、充電インフラが未発達で整備途上の電気自動車では保証期間終了後のバッテリー劣化は致命的な問題で、リサイクルの観点からも今後の大きな課題となっています。


電気自動車を日本で販売している代表的なメーカーのバッテリー保証は、以下の通りです。


メーカー名

保証内容

日産

新車登録から8年間か16万kmまでのどちらか早い方で、「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」のリチウムイオンバッテリー容量計が9セグメントを割り込んだら、修理や部品交換で9セグメント以上へ復帰させる。

三菱

初度登録から8年以内および16万km以内で駆動用バッテリー容量が66%を下回った場合、あるいは故障が発生した場合に無償で修理・交換。


(※eKクロスEV、ミニキャブMIEV現行モデルの場合。過去のモデルは保証内容が異なる)

トヨタ

10年20万kmまで不具合が生じたバッテリーの無償修理を行い、新車時と比べ充電量が70%以下になれば無償で交換する。


(※8年16万kmのメーカー保証に加え、2年4万kmの「BEVバッテリーサポートプラス」へ加入している場合)

メルセデス・ベンツ

新車登録から8年16万kmいずれか先に達するまで(EQA、EQB、EQC)、または10年25万kmいずれか先に達するまで(EQS、EQE)

充電設備を自宅に設置したい!ようやく出てきた助成金

電気自動車といえば「自宅に充電設備を設置できる人の乗り物」というイメージが根強いですが、現実にはそこまで単純ではなく、月極駐車場を利用しているユーザーもいれば、自己所有の一軒家でも充電設備の設置に二の足を踏み、公共設備を利用するユーザーもいます。


設備が高額ならばと、BEVから充電設備まで揃えてリースというプランを発表した三菱の例もありますが、そもそも根本的に「既存の家を改修して充電設備を設ける手間と費用」の方が問題で、家を作った業者に見積もりを取ったら、「もう少し待とう!」となるわけです。


実際、CEV補助金のように電気自動車本体の補助はあっても充電設備の設置補助は遅れていましたが、東京都をはじめ各自治体でもようやく設置を助成する制度が始まり、今後は普及が後押しされます。

電気自動車(EV)の維持費についておさらい

早急な普及が求められている電気自動車(EV)ですが、ガソリン価格の高騰を背景にガソリン代より電気代(充電料金)が、エンジンがないので自動車税も安く、維持費の面ではメリットが大きいものの、その他のコストはまだまだ課題が残ります。


しかし、「その他のコスト」に難があっても維持費だけで十分魅力!というユーザーが増えているのも事実ですから、電気自動車を本気で普及させたいなら、今の良い流れに冷水を浴びせることなく、積極的な普及促進策を続けていってほしいものです。

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