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2024年6月7日、宮城・山形県境の笹谷峠駐車場にて

エンジン車歴30年の中年ドラがBEVに乗る!日本で一番人気の軽BEV・日産 サクラで、峠越えと高速道路での都市間移動に挑戦!

運転歴30年以上、ほとんどエンジン車ばかり乗っていた50歳ドライバーが電気自動車でドライブに出てみたらどうなるのか?今回は日産から「軽EV1Dayお試しノリ」を利用してサクラを借り出しました!向かうは宮城・山形県境の笹谷峠、クネクネした険しい峠道を意外に難なくクリアして、さらにその先で見たものは?!

目次

  1. 人気の軽BEV、サクラで往復90km超の峠ドライブへ出発!
  2. 狭く険しい峠道、だからこそ軽BEVのサクラが最強!
  3. 軽トラやオフローダー以外は尻込みする超急勾配もラクラク!
  4. せっかくなので急速充電を初体験し、山形へ!
  5. 初体験のプロパイロット2.0で帰りの高速もラクラク
  6. 1日試乗を終えて…サクラなら今すぐでも「買い」!!

人気の軽BEV、サクラで往復90km超の峠ドライブへ出発!

(左上)「軽EV1Dayお試しノリ」で借りたサクラ・(右上)充電率98%、残走行距離98%で出発・(左下)ベース車では3気筒エンジンが収まるモータールーム・(右下)後席も広々で実用性の高いサクラ

(左上)「軽EV1Dayお試しノリ」で借りたサクラ・(右上)充電率98%、残走行距離98%で出発・(左下)ベース車では3気筒エンジンが収まるモータールーム・(右下)後席も広々で実用性の高いサクラ

今回「軽EV1Dayお試しノリ」でサクラをお借りしたのは、以前も試乗で利用させていただいた宮城日産・西多賀店様。


あの時はまだ路面に雪が残る冬にスタッドレスタイヤで近所を試乗したのみですが、今日は陽光厳しく気温もグンと上がった6月7日、もちろん夏タイヤで暖房もつけず、ディスプレイに表示された航続距離は満充電で150kmほどとタップリです。


目的地の宮城・山形県境、旧国道286号線にある笹谷峠までは片道45.2kmですから、登りでアクセルペダルを踏みまくっても十分往復できるはず…というわけで、早速出発しました。


ここで「日産 サクラ」について、おさらいしておきましょう。


2010年頃からコンパクトカーの「リーフ」を販売していた日産、軽自動車の「i-MiEV」を販売していた三菱、BEV(バッテリー式電気自動車)では豊富な経験を積んだ両社がタッグを組んで開発、2022年6月に発売した軽BEVが日産 サクラです(三菱版はeKクロスEV)。


ほぼ同時期、国がBEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)の購入を補助する「CEV補助金」が大幅に増額されて軽EVでは55万円も補助が受けられるようになったことで、航続距離180kmと十分な性能を持つ電気自動車が手軽に買えると、大人気になりました。


航続距離はWLTCモード180kmと控えめですが通勤や買物には十分ですし、急速充電の上限が30kW止まりでもバッテリー容量が20kWと小さいため30分で40%程度は回復するとされ、自宅の3kW普通充電でも約8時間で満充電になりますから、実用上は問題なし!


ベースのデイズ(三菱版はeKクロス)譲りのパッケージで車内は広く、後席のスペースも荷室容量も大きく確保されていますから、まさに「日本のために生まれた電気自動車」と言えます。


そんなサクラの長距離ドライブですが、充電量には余裕があるのでエアコン全開、しかし「BEVの実航続距離は、カタログスペックの半分程度に考えておかないと心配」という先入観のある筆者(CARSMORA契約ライター・兵藤 忠彦)は、ECOモードで安全運転。


以前、同じ試乗車を借りた時は短距離だったこともあり、動力性能を試したいと急加速なども試しましたが、今回は実用上の使い勝手を試すため、特別なことはしない予定です。

狭く険しい峠道、だからこそ軽BEVのサクラが最強!

このように狭く、折り返しで一気に駆け上がるヘアピンカーブもあるような旧道を登り続ける旧道でもサクラはラクラクと静かに登っていった

このように狭く、折り返しで一気に駆け上がるヘアピンカーブもあるような旧道を登り続ける旧道でもサクラはラクラクと静かに登っていった

航続性能への不信感はまだあるので高速道路は使わず、ディーラーから一路、一般道の国道286号だけを使って山形道笹谷ICへ。


山形に行くなら、笹谷ICから山形側の関沢ICまで、山形道の一部になっている有料の「笹谷トンネル」を使うところですが、今回はあえて笹谷峠を目指すため旧道へ入りました。


舗装こそされているものの、場所によっては車1台分しかないほど道幅は狭く、折り返しの急カーブが続くため大型車は通行不可(たまに横着しようとしたトラックが進退きわまり立ち往生する)、小排気量車はシフトダウンしてエンジンをうならせる急勾配が続きます。


しかし、そんな道でもサクラは軽自動車なので何の問題もなく、急な登りから減速&シフトダウンして、低いギアで通過せねばならないヘアピンカーブの連続も、2リッターエンジン級の大トルクなモーターと、アクセル操作だけで減速できるワンペダル走行でスイスイ!


しかも軽自動車など小排気量車なら、パワー不足のエンジンに負担がかからぬよう、しばしば切らねばいけないエアコンもつけっぱなしでイケるのが、大変ありがたいですね。


幸いにして道の譲り合いが必要な対向車も全くいなかったので、拍子抜けするほどアッサリと、目的地の笹谷峠駐車場へ到達しました。


到達時点での充電率はちょうど50%、航続距離は残り66kmという表示で、さすがに急な登坂路で加減速を繰り返しただけあって、それなりに電力を消費しています。

軽トラやオフローダー以外は尻込みする超急勾配もラクラク!

笹谷峠からさらに上の電波塔を目指す細い道を、ソナーに警報を鳴らされながら途中まで。超急勾配でもスイスイ登ったが、充電率は45%まで減ってしまった。

笹谷峠からさらに上の電波塔を目指す細い道を、ソナーに警報を鳴らされながら途中まで。超急勾配でもスイスイ登ったが、充電率は45%まで減ってしまった。

電力消費が激しいとはいえ、降りる時は逆に下り坂の連続ですから回生ブレーキを使えば充電量は回復するのが目に見えていますし、残り66kmプラス回生ブレーキ充電ならディーラーへ帰るのも容易でしょう。


これだけでは楽すぎるな…と思っていると、駐車場の向かいに急坂を発見。


峠のさらに上にNTTドコモの電波塔が建っており、そのための保守道路があるのは知っていましたが、道幅は軽自動車でギリギリ程度、さりとて徒歩で登るのもキツイほどの超急勾配が延々と続きますから、筆者も自分の軽自動車で登ろうと思ったことはありません。


たぶんローギアードで急坂に強いジムニーや軽トラ向きなのでしょうが、関係者以外は通行禁止というわけでもありませんし、ここはひとつ、サクラのモーターがどれだけ大トルクか試してみるのも一興です。


坂を登り始めると、たちまちサクラのソナーなど各種センサーが左右の草むらを検知してピーピーと警報を鳴らしますが、アクセルをチョイ踏みするだけで猛烈な急勾配を難なく登っていきます…おお、これは新感覚!


中腹まで登ったところで、「やはり軽トラやジムニーでないとバンパーか車体底面に当たるかもしれない段差」があり、途中からは徒歩で電波塔に登りましたが、「エンジンをうならせてようやく登るような道を多用するユーザー」なら、BEVはホントにオススメです。

せっかくなので急速充電を初体験し、山形へ!

笹谷峠から山形県側へ8.5km降りると宗教施設に無料の急速充電器が!出力は低いがバッテリー容量が小さいサクラには十分で、90%近くまで充電した。

笹谷峠から山形県側へ8.5km降りると宗教施設に無料の急速充電器が!出力は低いがバッテリー容量が小さいサクラには十分で、90%近くまで充電した。

急勾配に挑んでいたら充電率45%、航続距離は残り58kmと急減したもののまだまだ余裕、何なら近くに充電スポットがあれば、予定外の山形市へ降りてもいいかもとナビを操作していたら、思わぬ近場へなんと「無料の急速充電スポット」発見!


山形市側のわずか8.5km先ですから、ここに行かない手はないでしょう。


回生ブレーキで57%程度までバッテリーを回復させつつたどりついた充電スポットは、とある宗教法人の施設で、確かにかなりくたびれた古い機械に見えるものの急速充電器があり、休館日を除く10〜16時に使えるようです。


事務室に声をかけたところ、あいにく責任者不在とのことで取材まではできませんでしたが、充電器そのものは「どうぞどうぞ!今日は午前中に福井から来て充電した人もいましたね」と、快く利用許可はいただけました。


今まで何度かBEVの試乗はしていましたが、充電は初めての筆者、CHAdeMO規格のプラグをサクラの急速充電口に差し込み、充電開始ボタンを押すと…当たり前ですが、ガソリンスタンドの給油機のような音はせず静かなまま。


それでも、経年劣化で読み取りにくい液晶ディスプレイに「充電中」と出たので車内に戻ると、メーターディスプレイが充電モードになり、充電器の出力と残り充電時間が表示され、出力は13.4kW。


EV情報サイト「GoGoEV」の充電マップによれば25KW充電器となっているものの、充電器の実出力はバッテリーの状態や残量に応じて変わると言いますから、ここでバッテリー残量60%程度のサクラを充電すると、このくらいの出力になる、ということでしょう。


どのみちサクラの急速充電は出力30kWが上限ですし、何より無料ですから文句はなく、エアコンをつけたままの涼しい車内でスマホをいじっていたら、30分たたずに充電率80%を超えていたらしく、出力9.1kWの低速充電になっていました。


これが「充電率80%を超えるとジワジワとしか充電されない」というやつか…と思いつつ、充電率88%・走行距離が残り118kmなら仙台のディーラーに帰るのは十分!むしろちょっと寄り道していこうと、施設の事務室にお礼を言って充電を終了します。

初体験のプロパイロット2.0で帰りの高速もラクラク

考えていたより電費がよく、途中で充電もできたため予定外の大きな寄り道で山形県のショップを訪問、都市間交通もバッチリだ!

考えていたより電費がよく、途中で充電もできたため予定外の大きな寄り道で山形県のショップを訪問、都市間交通もバッチリだ!

山形市でも北の方にある知人のショップに寄って、電気自動車談義を交わしていると、ディーラーへ試乗車を返す時間が迫ってきたので、これもせっかくだからと高速道路で山形から仙台へ帰ろうと決めます。


試乗車には日産自慢の運転支援システム、「プロパイロット2.0」が装備されていますから、山形道の山形北ICから制限速度+αにセットしてターゲットとなる先行車の後ろにつけると、あとはアクセルペダルを踏むこともなく淡々とシステム任せです。


シフトチェンジがない1段ミッションに、エンジンがうなるでもないモーターを組み合わせたサクラとプロパイロット2.0の組み合わせは最高で、トルク変動もなく先行車の加減速に合わせていくから快適そのもの。


車線の真ん中を保持してくれるレーンキープもしっかり作動していますし、試しにステアリングから手を離せばちゃんと握るよう警報も出してくれますから、あとは軽くステアリングを握りながら、先行車と距離を取ってちゃんと走っているか、監視するだけです。


筆者はこの時まで、運転支援システムはおろか、単純に速度を保つだけのクルーズコントロールすら自分では未経験で、これほど楽なのかと感心はしたものの、初めての機械任せに不安は隠せず、初体験で少々気疲れもありましたが、慣れれば本当に楽でしょう。

1日試乗を終えて…サクラなら今すぐでも「買い」!!

山形市からは山形道山形北ICから東北道仙台南ICへと「プロパイロット2.0」を使って移動、非常に楽で快適な旅だった

山形市からは山形道山形北ICから東北道仙台南ICへと「プロパイロット2.0」を使って移動、非常に楽で快適な旅だった

心配された電力消費も、途中の充電で88%まで回復後、高速道路を含め79.6km走って電力消費は50%足らず、高速巡航でも100~130km程度走るのは何の問題もなさそうだと安心したところで、ディーラーへ到着しました。


仮にディーラーからまっすぐ山形市へ高速道路で往復しても、120〜130kmくらいの距離ですから、そう遠くなければ都市間交通でも問題なし!


寄り道をしたい、余裕を持ちたいなら途中で急速充電を挟んでも、エアコンの効いた車内でゆったり過ごす術としてスマホや読書をしていればいいですし、「自宅でちょっとくつろぐ時間の一部を、車内で過ごせばいい」だけです。


今回は「航続距離が短く、通勤や買い物メインの軽BEVですらこれだけ使える!」と再認識させられる、よい試乗でした。


筆者の使い方ですと、サクラの航続距離で足りない用途はほとんどありませんし、車内は4人乗って広々なうえに荷物も十分乗りますから、2024年6月の一部改良で若干値上がりしたとはいえ、プロパイロット2.0標準装備の「G」でも諸費用補助金込み約270万円から。


実際の買い替えは今乗っているダイハツ ソニカの次回車検である2026年3月以降となりますが、今から買い替えても後悔はしない程度のコストパフォーマンスですね。


BEVや充電インフラの技術的・規模的なターニングポイントは2028~2030年あたりと、筆者などは予想しており、そこまで安い軽BEVでつないでみようと購入に走ったユーザー層が、サクラの人気を牽引しているのかもしれません。

このブランドについて

  • NISSAN

    日産

    かつては日本第2位の自動車メーカーであり、自他ともに求める「技術の日産」として、真剣なクルマ選びに値する玄人好みのクルマがユーザーに支持される日産自動車。フェアレディZやスカイライン、GT-Rといった歴史と伝統を誇るV6DOHCターボエンジンのハイパワースポーツをイメージリーダーとして大事にする一方、2010年に発売したリーフ以降、SUVのアリア、軽自動車のサクラなど先進的なBEVをラインナップ。さらにエンジンを発電機として充電いらず、従来どおり燃料の給油で乗れる「e-POWER」搭載車を増やしており、モーターのみで走行するクルマの販売実績では、日本No.1の実績を誇るメーカーでもあります。
    yu_photo - stock.adobe.com

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著者プロフィール

【兵藤 忠彦】 宮城県仙台市在住のフリーランスライター。モータースポーツに参戦していた経歴は全てダイハツ車という、自動車ファンには珍しいダイハツ派で、現在もダイハツ ソニカを愛車として次の愛車を模索中。もう50代なので青春時代を過ごした1980〜1990年代のクルマに関する記事依頼が多いものの、自動運転やEVといった次世代モビリティでも楽しめるはず!と勉強中です。

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