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電気自動車を中古で購入するメリット・デメリット|補助金対象になる?

ここ数年で飛躍的に取り扱いメーカー、車種数の増えた電気自動車ですが、中古車市場にも多数のタマ数が揃うようになってきており、そのメリットやデメリットが語られるようになってきています。今回は電気自動車を中古で購入する意味、補助金対象になるかなど、ユーザーにとって興味深い点を中心に、紹介していきましょう。

目次

  1. 電気自動車を中古で購入するメリット
  2. 電気自動車を中古で購入するデメリット
  3. 電気自動車は中古でも補助金の対象になる?
  4. 電気自動車を中古で購入する際の注意点
  5. 電気自動車の中古車がおすすめの人
  6. 【Q&A】電気自動車の中古車について多い質問
  7. 電気自動車を中古で購入する前にメリット・デメリットを比較しよう

電気自動車を中古で購入するメリット

電気自動車を中古で購入するメリット

新車ではまだまだ高価ですが、大手中古車情報サイトなどで「電気自動車」を検索すれば、数百台どころか数千台がヒットするようになってきました。まだまだ新しいジャンルである電気自動車を中古で購入するメリットには、どんなものがあるでしょうか?

高価な電気自動車を安く購入できる

まず第一に思いつくメリットは、「まだまだ高価な電気自動車を安く買える」ということです。


スポーツカーからお買い物用、お仕事用の軽自動車などまでお金のない時期には安い中古車を買い、高い新車の購入資金を貯めるのが当たり前であって、それは電気自動車の時代になっても変わりません。


また、自宅に充電設備のあるユーザーなら家族用に2台目、3台目の車を買うにも電気自動車を購入する方が、メリットはより大きくなると思いますが、そこでも高価な新車を買う資金があるとは限りません。


自治体などからの補助金も1世帯、または1人に1台というケースもありますから、中古の安い電気自動車を購入してメリットのあるユーザーは、今後も増えてくるでしょう。

自分の環境でも使えるか「試す」には最適

電気自動車を新車で購入しようと検討しているユーザーにとって、もっとも気になるのは「自分の環境で購入してみて、ライフスタイルに合うのか、今までの車と同じように使えるのか不安」ということではないでしょうか?


そのためにディーラーで試乗したり、レンタカーで借りて使ってみるユーザーも多いでしょうし、メーカーもそんなユーザーのため数日借りられるような長い試乗プランを用意しているケースもありますが、それだけではわからないこともあると思います。


そんな時に中古の安い電気自動車ならば、「数ヶ月乗ってみて、実際に使い物になるのか試す」ということもできますし、仮にそこで何らかの不便を感じたとしても、現在販売されている新車なら改善されていたり、自分に必要な性能のイメージもしやすいはずです。

V2H住宅の「動く蓄電池」が安く買える

電気自動車では、特に国産車を中心に自宅など建物と接続し、充電するだけでなく建物へバッテリーの電力を供給する「V2H(Vhhicle to Home)」という機能が充実しており、非対応車種でも給電口から電力を取り出す機材を繋げば、対応可能な場合もあります。


そのような車種とV2H対応住宅を接続すれば、「昼には太陽光発電で電気自動車へ充電し、夜間は電気自動車からの電力で家の電力をまかない、電力会社からあまり電気を買わなくてよくなる」という恩恵を期待することも可能です。


もちろん普通の蓄電池でもいいのですが、そこで中古の電気自動車を「非常時には自走も可能な、安い”動く蓄電池”」として購入すれば、いざという時には定置式の蓄電池より便利に使えます。

電気自動車を中古で購入するデメリット

電気自動車を中古で購入するデメリット

中古車はエンジン車やハイブリッド車でも「安い代わりにギャンブルとも言うべき不確実性」があり、それは電気自動車でも変わりません。


電気自動車ならではのデメリットを具体的に説明します。

もっとも心配されるのはバッテリー劣化

2024年現在、電気自動車はまだまだ発展途上な乗り物なのは確かで、特にリチウムイオンバッテリーなど電池技術についてはこれから、という段階です。


あと数年もすれば、「全固体電池」と呼ばれる新世代バッテリーによってだいぶ改善されるとは言われているものの、それまでは「使うほどバッテリーが劣化して有効容量が減り、満充電からの航続距離が減っていく」という、エンジン車ではありえないデメリットが。


しかもこのバッテリー劣化、急速充電を多用したか、極端な低温や高温など過酷な気候環境だったかによっても程度が大きくなるものの、それは見ただけではわかりませんし、購入してから劣化が急激に進む可能性だってあります。

初期の電気自動車は今だと性能不足かも?

電気自動車は2010年前後から国産の日産 リーフや三菱 i-MiEVが市販されるようになり、BMWやテスラなど輸入車が続いたものの、特に国産車やBMW i3などは現在の感覚だと航続距離が短く、通勤や「動く蓄電池」などに用途が限られるだけの性能しかありません。


元々のカタログスペックでその程度ですから、使い込まれて劣化したバッテリーではより限られた性能しか発揮できないことは、考慮しておくべきでしょう。


また、ここ数年での性能向上が著しい反面、ちょっと古いモデルでさえ「急速充電はせいぜい50kW級に対応するのみで、90kW、150kW級といった最新の大出力充電器に対応しておらず、出先での急速充電に時間がかかる。」という問題があります。

補助金で新車を買うより高くつくかも?

800万円以上するような「高額車」なら誤差レベルかもしれませんが、国や電気自動車の普及を促進するために設定した補助金は最大で85万円(軽自動車なら55万円)と、安い電気自動車ほどバカにできないほど高額で、さらに自治体から補助金が出る場合もあります。


こうした補助金は国からだと新車のみ、自治体でも一部は中古車に対応したケースがあるものの新車限定な場合も多く、環境や選択するオプションによっては、「中古車を買ったら、補助金を受けて新車を買うより高くついてしまう」という場合があるでしょう。


高年式のわりに安い中古の電気自動車があると思っても、装備品の内容などをよく確認し、新車より高くつかないがをよく考えるべきです。

電気自動車は中古でも補助金の対象になる?

電気自動車は中古でも補助金の対象になる?

電気自動車は、地球温暖化対策のため普及を推進する立場から国や自治体の補助金が設定され、さらに税制面でも優遇されていますが、それらは中古車だとどのくらい適用されるのか、紹介します。

中古の電気自動車は国から出る補助金の対象外

電気自動車を購入する際の補助金として日本で代表的なのは、国からの「CEV補助金」ですが、これはあくまで「新車を購入する際に、その購入を補助する」ものであり、中古車は対象外となっています。


普及させるなら中古車も有効活用すれば温暖化対策にも有利ではありますが、これまでは中古の電気自動車がまだ少なかったこと、性能不足の中古車ばかり売れるようになっても自動車メーカーが困って、長い目では普及の阻害要因になるからかもしれません。


ただし、自治体レベルの補助金では新車に限定していないケースもあるため、あきらめずに一般社団法人 次世代自動車振興センターの「地方自治体の支援制度」から、自分がお住まいの自治体でどんな制度があるか、確かめてみるのをオススメします。

「エコカー減税」「環境性能割の非課税」は対象

購入時については、国からの(地域によっては自治体からも)補助金が対象外となる中古の電気自動車ですが、税制優遇についてはしっかり対象となっています。


まず2024年5月現在では、2026年(令和8年)まで購入時の環境性能割(旧・自動車取得税)が非課税です。


さらに「エコカー減税」では最初の車検まで自動車重量税が免税になりますから、初回登録から3年以内でまだ初回の継続車検を受けていない中古車なら、最初の車検が安くなります。


他にも新車に近い超高年式中古車なら、自動車税が「グリーン化特例」で新車登録の翌年度がおおむね75%減税ですし、東京都や愛知県など、新車登録から5年間は全額免税というケースも、高年式中古車ならその恩恵を受けられるのです。

電気自動車を中古で購入する際の注意点

電気自動車を中古で購入する際の注意点

中古車として販売されている電気自動車は、エンジン車と同じく内外装の傷や欠落、不具合、サビなどを確認するのはもちろん、「電気自動車ならではの注意点」がいくつかあり、ここでは購入前に確認するポイントを解説します。

バッテリーの劣化状態を確認する

電気自動車でもっとも気になるのはバッテリーの劣化具合ですが、バッテリーの有効残量を確認できる車種ではコントロールパネルから「セグ」と呼ばれるメモリなどで確認できるものの、中にはディーラーなどへ持ち込まないと確認できない車種もあります。


ある程度バッテリー残量が減っている車種では、新車登録からの年数や走行距離が決められた範囲内で、保証内容に応じた修理や部品交換を受けられる場合もありますが、そのチェックはもちろん、それによってどの程度性能が回復する保証なのかも要チェックです!


あえてバッテリーがヘタった安い電気自動車を選び、バッテリー交換費用によってはまだまだキレイな電気自動車を比較的安く乗れるかも…という選択肢もありますね。

充電ケーブルやオプション装備品の確認

電気自動車ならではの装備品も中古車購入では要チェックポイントで、特に充電用の車載ケーブルがちゃんと車内にあるか、信頼性が高く確実に使える純正ケーブルであるか、充電環境に対応できるケーブル長であるかなどは、真っ先に確認しましょう。


また、現行型の日産 リーフ(バッテリー40kWh車)など、車種によっては3kW普通充電器が標準で、6kWはメーカーオプションという場合もあり、自宅やマンション駐車場にせっかく6kW充電器があるのに、3kW充電しかできないのはもったいない話です。


最近だとアウディ Q8 スポーツバック e-tronのように、航続距離の長さを重視したレンジプラスパッケージ装着の有無など、オプションで性能が大きく左右されるだけに、装備品やオプションは購入前にジックリ確認しましょう。

タイヤやブレーキの減り具合

電気自動車特有の中古車チェックポイントには、他にも車重がこれまでのエンジン車より格段に重いため摩耗しやすいタイヤ、ヘタりやすいショックアブソーバーなども、購入してすぐに交換が必要では余計な出費となりますから、試乗を含め、よく確認しましょう。


逆に、回生ブレーキを多用するため使用機会が少ないブレーキは、意外と点検から漏れていて、気がつけば案外減っている…ということもありえますから、ブレーキパーツの摩耗が進んだりコンディションの悪い中古車は、安くとも交換費用を計算に入れるべきです。


タイヤの溝やヒビ割れ、ショックアブソーバーからのオイル漏れ、ブレーキパッドの摩耗やブレーキローターの傷などは、ジックリ見てください。

電気自動車の中古車がおすすめの人

電気自動車の中古車がおすすめの人

これまでは「新ジャンルの乗り物」として、自ら情報を集めて考え尽くしたうえで電気自動車を購入しようという「新しもの好きなユーザー」が多かったと思いますが、これからはそれ以外の「普通のユーザー」が増えてくるはずです。


  • 乗り換え時期で電気自動車を視野に入れているが、まずお試しで安い中古を。
  • 既に電気自動車は持っていて充電環境もあるので、家族用に2台目3台目のゲタ車的な電気自動車を安くほしい。
  • 自分が持っている、あるいはサブスクなどで使っている電気自動車と方向性の違う車種を乗り比べたい。
  • 太陽光発電パネルとV2H設備を備えた住宅を建てたので、電気自動車としての性能は二の次で「いざとなれば走る蓄電池」が欲しい。

こんなユーザーなら、中古の電気自動車はオススメです。

【Q&A】電気自動車の中古車について多い質問

【Q&A】電気自動車の中古車について多い質問

中古で電気自動車を購入しようと検討はしてみるものの、いくつか疑問がある…というユーザーは多いと思いますが、ここではそんなユーザーが真っ先に思いつくであろう、よくある質問へ答えます。

Q. 中古の電気自動車は流通台数が少ないって本当?

一例として、ある大手中古車情報サイトで電気自動車の流通台数はどんなものかと検索してみたら、総掲載台数49万1,866台のうち、電気自動車は4,219台でした(2024年5月9日現在)。


数年前はせいぜい数百台だったのがずいぶん増えたものの、割合でいえばまだ約0.9%に過ぎず、2010年代に多く販売していた日産や三菱、テスラ、BMW以外は高年式車がボチボチ出回っているくらいで目当ての車種を中古で探す時代にはまだ早いかもしれません。

Q. 電気自動車の中古車の価格相場はいくらくらい?

電気自動車でも価格は程度や年式によってピンキリですが、大手中古車情報サイトで流通している価格帯を調べると、もっともボリュームがある(タマ数豊富)のは150~250万円あたりで、日産リーフなどの程度良好車や、高年式でもサクラなど軽自動車が多いです。


他には500〜600万円あたりでタマ数豊富なのはテスラ車、それにメルセデス・ベンツ EQAやEQB、BMW iX1など高級輸入電気自動車でも比較的コンパクトでもともと安いモデルでしょうか。

Q. 中古の電気自動車は新車と同様にメンテナンスを受けられる?

メンテナンスなどアフターサービス面では、従来の車を中古車で買ったのと同じく、ディーラーなどで新車同様のメンテナンスを受けられますし、新車時の保証なども継続されます。


ただし、電気自動車を取り扱っておらずメンテナンス経験がない別メーカー系列のディーラーや、同じく取り扱い経験のない街の整備工場、ショップなどでは受け入れをためらう場合があるかもしれないため、緊急で飛び込む以外は事前に問い合わせる方がよいでしょう。

電気自動車を中古で購入する前にメリット・デメリットを比較しよう

今回は電気自動車でも増えてきた中古車を購入するうえで、購入前に気をつけておきたい、そして購入後も忘れずにいた方がよいメリットとデメリットを説明しました。


まだまだ発展途上で最新モデルを購入するに越したことはない電気自動車ですが、ユーザーによってさまざまな事情で中古車を検討する機会は今後増えてくるでしょうから、この記事に書かれてあるような内容は、ぜひ覚えておいてください。

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