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電気自動車のEV充電用コンセントとは?自宅に設置する工事費用の相場
公開日:2024/04/04更新日:2024/04/04
目次
EV充電用コンセントとは?
EV充電用コンセントとは、いくつかの方式がある電気自動車の充電器のうち、充電器本体側にはケーブルなど付属しておらず、車載してある充電ケーブルで電気自動車と接続するだけ、というもっとも簡単かつ本体価格も安い手頃な方式の普通充電器です。
Mode3タイプのようにケーブル付属ではなく、V2H機器のように複雑で高価なものでもないことから、最高出力3kW程度と低出力ではあるものの、日本ではもっとも一般的な充電器となっています。
EV充電用コンセントは家庭用EV充電設備で最も一般的
壁面取り付けタイプとスタンドタイプの2種類が存在する電気自動車用充電器の中でも、いちばん簡単なものでは一般的な住宅に多い屋外用コンセントを電気自動車向けに交換しただけに見えるようなものすらある、「充電用コンセント」と呼ばれる充電器。
Mode3タイプやV2H機器と異なり、電気自動車に接続した車載ケーブルのもう一端を、家電製品のようにコンセントへ接続するだけ、本体には充電ケーブルが付属しておらず安価ですから、電気自動車の充電器としては入門編のような扱いでもっとも一般的です。
電気自動車に付属してくる車載ケーブルを有効活用できるのも、ポイントでしょう。
EV充電用コンセントは本体価格が安く、工事も簡単
電気自動車の充電設備としてもっとも簡単なものだけあって、充電用コンセントは安いものなら本体価格が5,000円もせず、定価でおおむね4,000円台、通販サイトだと3,000円台すらあります(さらに格安もありますが、大抵は200Vではなく今やほぼ非実用的な100V用)。
さすがに一番安いものは「ケーブルを刺すだけの、本当にただのコンセント」ですが、カバー付きでも1万円少々、より本格的な充電ボックスや、ケーブル収納スペースもある大型充電ボックス、壁面取り付けではなくスタンドタイプでも格安。
壁面取り付けで「本当にただのコンセント」なら、施工費用込みでも最安3万円程度からアリとなれば、なるべく安く電気自動車を導入したいユーザーにはとても魅力的です。
EV充電用コンセントの充電時間・充電料金の目安
各メーカーで発表してるうち、国産車主要モデルの充電時間と、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年7月22日に改定した、家庭での一般的な電気料金(1kWhあたり31円)基づきバッテリーが空の状態から満充電までの充電料金を算出しました。
充電用コンセントの出力は3kWで、Mode3タイプやV2H機器にある6kW高出力普通充電の倍ほど充電時間がかかりますが、配電盤のブレーカーは20AのままでOKなため、充電料金は変わらなくとも基本料金は多少安く済みます。
車種(バッテリー容量) | 3kW(16A) | 充電料金 |
日産 リーフ(40kWh) | 約16時間 | 1,240円 |
日産 リーフe+(60kWh) | 約23.5時間 | 1,860円 |
日産 サクラ(20kWh) | 約8時間 | 620円 |
日産 アリア B6系(66kWh) | 約25.5時間 | 2,046円 |
日産 アリア B9系(91kWh) | 約35時間 | 2,821円 |
トヨタ bZ4X(71.4kWh) | 約21時間 | 2,214円 |
EV充電用コンセントの使い方・充電方法
充電用コンセントの使い方は簡単で、車載またはケーブル収納型ボックスの場合は充電ボックスから充電ケーブルを取り出し、電気自動車の普通充電口と、充電用コンセントそれぞれに接続するだけです。
3kWと低出力で、充電時間は最近増えてきている6kWの高出力普通充電の倍かかりますが、毎日よほど長距離を走り回る用途でもなければ、帰宅後にその日の消費分程度なら一晩で十分回復できるため、自宅や拠点での充電には充電用コンセントで問題ないと思われます。
EV充電用コンセントの設置工事の内容・流れ
充電用コンセントの設置工事ですが、電気自動車の購入を検討する時点で、戸建ての場合はその建物を建てた業者へ、電気自動車の充電設備を設置するのに慣れた電気工事業者を紹介してもらい、車の商談と並行して現地調査や見積もりを進めるのが第一です。
さらにNeV(一般社団法人 次世代自動車振興センター)のサイトで「地方自治体の支援制度」から、住んでいる自治体から補助金が出るかも確認し、もし出るようなら補助金の申請と設置工事の契約、購入した車の納車に間に合うよう工期の打ち合わせもしましょう。
工事の内容は配電盤や充電器の壁面取り付けで済むか、建物から少し離れた駐車場まで地中に配線を埋める工事があるかなど、状況によって変わってきます。
なお、マンションなど集合住宅に設置する場合は、管理組合や理事会で承認を得なければいけません。
EV充電用コンセントの本体費用・工事費用の目安
他の方式に比べ安価で済む充電用コンセントの本体費用や工事費用ですが、それぞれどのくらいが目安になるか、本体の種類や工事内容の違いでどのくらい差が出るか、以下にまとめます。
EV充電用コンセントの本体費用の目安
充電用コンセントの本体費用ですが、大手メーカーのパナソニックで販売している「ELSEEV:エルシーヴ」シリーズを例に、電気自動車の充電用では現在一般的な200Vタイプを例に、本体価格を表にまとめました。
壁面取付タイプ | 屋外コンセント | 4,290円 |
カバー付 屋外コンセント | 1万2,210円 | |
コンセント内蔵充電ボックス (標準タイプ) | 7万8,210円 | |
コンセント内蔵充電ボックス (ケーブル収納タイプ) | 11万7,260円 | |
スタンドタイプ | 14万3,000円 |
Panasonic|電気自動車(EV・PHEV)充電設備「ELSEEV:エルシーヴ」
EV充電用コンセントの工事費用の目安
工事費用は設置工事を行う建物の環境や施工会社、施工時期によっても千差万別ですが、影響を与える要素をまず書き出してみます。
- 最初から分電盤(ブレーカー)が200V電源を引くのに対応したものか
- 分電盤からコンセントまでの距離が15mを超えるか否か
- 駐車場が建物壁面の設置場所から近く壁掛けタイプになるか、遠くて長い配線を引くスタンドタイプになるか
最良の条件でもっとも安価に済む場合、工事費用は最安で3万円程度からと格安ですが、分電盤から遠い駐車場へスタンドタイプを設置する悪条件が重なり、さらに将来的に6kW普通充電にも対応した準備工事までするようだと、30~40万を超える費用がかかります。
EV充電用コンセントを自宅に設置する前に知っておきたいこと
ここでは、自宅へ充電用コンセントを設置する前、電気自動車の購入を検討する段階から、ユーザーが知っておくと役立つことをいくつか紹介します。
それで把握した内容によっては電気自動車へ乗り換える際の初期費用が大きく変動しますし、場合によってはグレードの高い方式を考えるかもしれません。
設置工事が行えるのは「第二種電気工事士」以上の資格者のみ
充電コンセント自体は比較的安価に購入できるため、自らDIYで設置してしまおうと考えるユーザーもいるかもしれませんが、一般住宅や店舗など600V以下の受電設備工事には「第二種電気工事士」以上の資格が必要です。
さらに経験不足でいい加減な作業をすると、漏電による火災で自宅が焼失するだけではなく、周囲に延焼して大惨事になりかねませんから、慣れた業者に依頼してください。
自宅の状況によって工事の内容や作業工数が変わる
建物の分電盤など電気設備が200V対応か、分電盤から充電器の設置場所まで15m以内か否か、さらに壁掛けタイプでは充電ケーブルが届かないほど駐車場が離れており、配線を地中に埋設して駐車場にスタンドタイプを設置するようになるか。
さらには建物に配線を通す穴がなければ新たに開けねばならず、場合によっては普通の電気工事業者では手に負えない構造な建物の場合もありますし、工事の内容や作業工数は実際に現地調査で見積もりを出してみないとわかりません。
EV充電用コンセント以外の家庭用EV充電設備もある
電気自動車を自宅や拠点で充電するための設備には、充電用コンセント以外にも充電ケーブルが充電器に最初から取り付けられており、6kWの高出力普通充電にも対応した「Mode3タイプ」や、「充電」以外に「給電」にも対応したV2H(Vehicle to Home)もあります。
大抵のユーザーは3kWの低出力普通充電で日常的な使用に何ら問題はないとはいえ、中には本当に毎日長距離をはしるユーザーもいるかもしれず、その場合でも公共充電スポットの併用で解決できるかもしれませんが、6kWのMode3やV2Hも積極的に検討すべきです。
EV充電用コンセント以外の家庭用EV充電設備
EV充電用コンセント以外に、Mode3タイプやV2H機器が存在する家庭用EV充電設備ですが、それぞれどのような充電器か、充電用コンセントとの違いや特徴、どのようなユーザー向きかを説明します。
Mode3タイプ
車載ケーブルを使い、充電器そのものは簡素な充電用コンセントと異なり、Mode3タイプと呼ばれる充電器には備え付けの充電ケーブルを使用します。
それだけ高価にはなりますが機能や拡張性は充実しており、充電用コンセントの3kWの倍、6kWの高出力充電で充電時間も半分で済む製品があり、連日長距離を運転して在宅時に3kWでは満充電にしきれない用途のユーザー向きです。
充電コンセント同様に壁掛けタイプとスタンドタイプがあるものの、公共の充電スポット並に本格的な設備で、本体価格も工事費用も高額となります。
V2H機器
Mode3タイプと同様に6kW高出力普通充電に対応しているだけではなく、「充電」ならぬ建物への「給電」も可能な双方向受給電設備が、V2H(Vehicle to Home)機器です。
あまり日常的に使わない車なら、昼には太陽光発電で建物側から充電し、夜には車から給電する「走る蓄電池」として、外部電源が失われた停電時でさえ、建物で電気を使うのに困らないため、長期間の停電が予想される災害時の備えなどで注目されています。
機器も工事費用もかなり高額となるため、電気自動車の購入と同様、国からのCEV補助金や自治体からの補助金を活用するのが設置の前提となりそうです。
EV充電用コンセントの自宅への設置工事で使える補助金はある?
自宅レベルでの充電設備設置費用は、場合によってそれなりにかかるといっても高価な電気自動車を購入するほどではないためか、残念ながら国からの補助金はV2H機器以外になく、V2Hの補助金も年度が始まってすぐ予算が尽きる状態です。
ただ、国とは別に地方自治体レベルで充電設備への補助金を出している場合があり、NeV(一般社団法人 次世代自動車振興センター)の「地方自治体の支援制度」を検索すれば、住んでいる地域によっては充電用コンセントの設置に補助金が出るかもしれません。
もちろん一般住宅向け充電設備の補助金など出ない自治体も多いので、電気自動車の普及ハードルを下げるためにも、国や自治体からの補助金が増えてほしいものです。
電気自動車のEV充電用コンセントについておさらい
充電器本体が安価で工事費用も比較的安上がりなEV充電用コンセントは、一見すると3kWという低出力がネックのようにも思われますが、日常的に3kW普通充電ではまかないきれないほど電気自動車で走り回るユーザーは、そうそういません。
いざという時に備えて6kW普通充電が可能なMode3タイプやV2H機器を選ぶユーザーもいそうですが、頻度が高くなければ公共の充電スポットで急速充電を使う手もありますし、「まずは充電用コンセントで始めてみよう」でも、ほとんどのユーザーは十分です。
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