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電気自動車の充電を自宅で行うための設備|設置の工事費用も解説

走行コストが経済的で環境にやさしい電気自動車(EV)は、ガソリンの大幅な値上げや購入補助制度が増額されたこともあり、広く普及が進んでいます。その一方、地域によって外出先での充電場所が未だ少なく、充電にも多くの時間を要することから、自宅に電気自動車の充電設備の用意を検討する方もいるでしょう。

本記事では、自宅に電気自動車の充電設備を設置する場合に知りたい情報について詳しく紹介します。

目次

  1. 電気自動車に乗るなら自宅に充電設備が必要?
  2. 電気自動車の充電を自宅で行うメリット
  3. 電気自動車の充電を自宅で行うための設備は3種類
  4. 電気自動車の自宅充電にかかる時間・電気料金の目安
  5. 【例】日産リーフの自宅充電にかかる時間・電気料金の目安
  6. 電気自動車の自宅充電設備の設置工事にかかる費用
  7. 自宅環境によっては自宅充電設備の設置のために工事費用がかかる
  8. 電気自動車の自宅充電設備を設置する工事の流れ
  9. 【Q&A】電気自動車の自宅充電設備について多い質問
  10. 電気自動車の自宅充電設備についておさらい

電気自動車に乗るなら自宅に充電設備が必要?

電気自動車に乗るなら自宅に充電設備が必要?

電気自動車に乗る場合、自宅に充電設備を取り付ける必要があるのでしょうか。電気自動車では、ガソリン車がガソリンスタンドで給油するように充電スポットにて充電を行うことが一般的です。

充電スポットでの充電は施設により異なりますが、20~50kwの急速充電に対応しています。一方、自宅で充電をする場合は、200Vコンセントから行うこととなるため、その出力は3kw(200V × 15A)です。

そのため、充電速度のみで考えるならば、わざわざ自宅に充電設備を取り付ける必要はありません。

電気自動車の充電を自宅で行うメリット

電気自動車の充電を自宅で行うメリット

充電速度の観点では、電気自動車の充電設備を自宅に取り付ける必要性は低いといえるでしょう。それでは、電気自動車の充電を自宅で行うことのメリットとはなんでしょうか。主なメリットを3つ紹介します。

ポイント
  • 自分のタイミングで充電することができる
  • 充電費用を節約することができる
  • 充電スポットを利用するために順番待ちをしなくて良い

自分のタイミングで充電することができる

自宅に電気自動車の充電設備があることのメリットとして一番大きなものは、充電を自分のタイミングでこまめに行うことができるという点です。

自宅に充電設備があれば、電気自動車を使用していないタイミングで充電することができます。仮に1日使用して充電の残量が少なくなっていたとしても、夜寝ている間などに充電をしておけば、翌朝には満充電に近い状態まで残量を増やすことができるのです。

充電費用を節約することができる

夜間など特定のタイミングで電気料金が安くなる料金設定をしている場合は、そのタイミングで自宅で充電することにより、比較的電気料金を抑えることができます。また、太陽光発電などを利用した自家発電設備を有している場合は、充電にかかる電気料金をより抑えることができるでしょう。

自宅の電気料金プランや自家発電施設の有無で充電料金を節約できる点は、自宅に充電設備があることのメリットと言えます。

充電スポットを利用するために順番待ちをしなくて良い

充電スポットを充電の際に利用する場合、充電スポットの混雑状況によって充電までの順番待ちに時間を取られることがあります。しかし、自宅に充電設備を持っていれば、その場所は自分専用であるため順番待ちに時間を使うことがありません。

また、充電中の待ち時間も自宅で好きな事をして過ごすうちに完了するため、充電にまつわるストレスを大きく軽減することができます。

電気自動車の充電を自宅で行うための設備は3種類

電気自動車の充電を自宅で行うための設備は3種類

電気自動車の充電を自宅で行う場合に、自宅に取り付けることのできる充電設備について紹介します。自宅に取り付けることのできる充電設備は、「コンセントタイプ」「スタンドタイプ」「V2H機器」の3つの種類です。それぞれの特徴について説明します。

充電設備
  • 自宅に設置する充電設備の主流「コンセントタイプ」
  • 駐車場が遠い場合に便利「スタンドタイプ」
  • 災害時の非常電源として活用できる「V2H機器」

自宅に設置する充電設備の主流「コンセントタイプ」

電気自動車の充電設備を自宅に設置する場合、主流と言えるのが家の外壁等に取り付けてそこから充電を行うコンセントタイプです。コンセントタイプは、他と比較すると取り付けを簡単に行うことができる設備のため、本体費用や設置にかかる工事費用を安く抑えられる傾向にあります。

充電出力は100Vまたは200Vの普通充電となるので、急速充電と比べて充電速度は遅くなります。しかし、利用しない夜間などの時間に充電することにより、充電速度の遅さはそれほど気にならなくなります。

駐車場が遠い場合に便利「スタンドタイプ」

商業施設によくみられる電気自動車の充電設備がスタンドタイプです。自宅に充電設備を設置する場合、自宅と駐車場とが離れた距離にある場合に取り付けることができます。

充電出力はコンセントタイプと同様に100Vまたは200Vの普通充電のため、充電完了まで時間を要します。コンセントタイプと比べて本体費用や設置にかかる工事費用は高くなりますが、比較的自由に設置場所を選ぶことができる点がスタンドタイプのメリットです。

災害時の非常電源として活用できる「V2H機器」

V2Hとは、「Vehicle to Home」の略語で、電気自動車に充電するだけでなく、電気自動車に充電されている電力を自宅の電化製品に利用することができるシステムのことです。このシステムにより電気自動車を災害時などの非常電源として活用することができるため、災害対策として有用です。

また、V2H機器はコンセントタイプやスタンドタイプと比べて出力が高いため、充電時間が早い点がメリットとして挙げられます。導入費用が高額となってしまうデメリットがありますが、災害対策として活用できる点から、導入に補助金を出している自治体も多いです。

電気自動車の自宅充電にかかる時間・電気料金の目安

電気自動車の自宅充電にかかる時間・電気料金の目安

電気自動車を自宅充電した際に必要とする時間や電気料金をみていきましょう。

電気自動車の充電時間は航続距離や電源の出力により異なります。現在の電気自動車の航続距離は、使い勝手に応じて200kmほどある車種と400~500kmほどある車種の2つに大別されているのが現在のトレンドです。

コンセント・スタンドタイプの基本の出力は3kWで、V2H機器の出力は最大で6kWの機種があります。電気自動車の電費は、6.0km/kWhが一般的なため、これを踏まえると、満充電にかかる時間は以下の通りです。

コンセント・スタンドタイプV2H機器
200kmの車種12時間程度6時間程度
400km~500kmの車種22~28時間程度11~14時間程度

では、実際に満充電をした際に電気料金はいくらになるでしょうか。2023年11月現在、電気料金の目安単価は31円/kWhです。これを踏まえると、満充電した際の電気料金は以下の通りです。

電気料金
200kmの車種1,116円
400km~500kmの車種2,046~2,604円

ただし、長距離を電気自動車で移動するのではなく、通勤や近場への移動手段として利用する場合は、毎回満充電されていなくても問題ないでしょう。

一般的な充電タイミングである夜間の充電(8時間程度)で考えてみた場合、24kWhの充電が可能です。ですので、6.0km/kWhの電費であれば、コンセント・スタンドタイプでも一晩の充電で144kmは走行できることとなります。その際の電気料金は744円です。

【例】日産リーフの自宅充電にかかる時間・電気料金の目安

【例】日産リーフの自宅充電にかかる時間・電気料金の目安

一例として、日産リーフの自宅充電にかかる時間やその際の電気料金の目安についてみていきましょう。日産リーフには、60kWhバッテリー搭載車と40kWhバッテリー搭載車の2種類あります。それぞれの充電走行距離は次の通りです。

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充電走行距離(WLTCモード)

充電走行距離
(JC08モード)

60kWhバッテリー搭載車450km550km
40kWhバッテリー搭載車322km400km

コンセント・スタンドタイプ(出力3kW)、V2H機器(出力6kW)で満充電した際の充電時間は次の通りです。

コンセント・スタンドタイプV2H機器
60kWhバッテリー搭載車約23.5h約12.5h
40kWhバッテリー搭載車約16.0h約8.00h

最後に、単価を31円/kWhとした場合のそれぞれの電気料金の目安は以下の通りです。

コンセント・スタンドタイプV2H機器
60kWhバッテリー搭載車約2,185円約2,325円
40kWhバッテリー搭載車約1,488円約1,488円

電気自動車の自宅充電設備の設置工事にかかる費用

電気自動車の自宅充電設備の設置工事にかかる費用

電気自動車の自宅充電設備の設置工事を行う際には、どのくらいの費用が発生するでしょうか。自宅に電気自動車の充電設備を用意する場合にかかってくる費用の内訳は、主に充電設備の本体費用と設置にかかる工事費用です。それぞれについて、詳しくみていきましょう。

自宅充電設備の本体価格の目安

充電設備の種類ごとの本体価格について紹介します。

①コンセントタイプ

コンセントタイプの中でシェアの高い、パナソニックが製造している代表的な製品を2種類紹介します。

種類/定格希望小売価格
EV・PHEV充電用 屋外コンセント200V用/20A 250V AC4,290円(税込)
EV・PHEV充電用 カバー付屋外コンセント200V用/20A 250V AC1万2,210円(税込)

②スタンドタイプ

スタンドタイプでは、主に車載充電ケーブルを使用して充電するコンセントタイプと、充電設備自体に充電ケーブルを備えているタイプがあります。価格の参考例として、パナソニック製の商品をそれぞれ紹介します。

種類希望小売価格
ELSEEV mineコンセントタイプ14万3,000円(税込)
ELSEEV mine Mode3充電ケーブル付属タイプ34万3,200円(税込)

③V2H機器

V2H機器は、本体価格は55〜100万円程度かかり、他の充電設備よりも本体費用が高額となる傾向にあります。V2H機器の価格参考例として、ニチコン製の商品を紹介します。

種類希望小売価格
EVパワー・ステーションスタンダードモデル54万7,800円(税込)

自宅充電設備の設置にかかる工事費用の目安

充電設備の種類ごとの設置にかかる工事費用について紹介します。電気自動車の自宅充電設備の設置工事にかかる費用は、10万~30万円前後が一般的です。この額は、設置する充電設備の種類によって異なり、コンセントタイプが最も安価で、V2H機器が最も高額です。また、取り付ける場所によって別途費用がかかる場合もあります。

具体的にどういった場合に、電気自動車の自宅充電設備の設置工事に追加の費用が発生するのか、次に紹介します。

自宅環境によっては自宅充電設備の設置のために工事費用がかかる

自宅環境によっては自宅充電設備の設置のために工事費用がかかる

設置したい自宅の環境によっては、自宅充電設備を設置するために工事費用が必要となる場合があります。施工業者がホームページ上に載せている参考価格程度だと考えていたら、思わぬ出費が発生してしまったなども考えられるため注意しましょう。

ブレーカーが100V対応の場合は200V対応への増設工事が必要

電気自動車の充電では200Vを用いて行うのが主流です。一般家庭で用いられる電圧は100Vが多いです。ここ10数年以内に新築された住宅では、100Vと200Vの両方を使用できる単相3線式を採用している住宅も増えていますが、100Vのみの住宅では200Vに対応するための工事費用がかかります。

自宅のブレーカーの対応電圧を確認する場合は、ブレーカーの蓋の中にある電気メーターをチェックします。そこに「単3」の記載があれば、対応していることがわかります。

契約しているアンペア数が不足していないか

電気自動車の充電では、200Vでの充電を行う場合、一般的に最大出力が3kWの充電器を用いることとなります。これは、電力プランにおいて3kVA(30A)に相当します。そのため、現状の電力量が不足しているとブレーカーが落ちてしまうこととなるため、契約アンペア数の見直しが必要となります。

契約アンペア数を変更する場合はブレーカーを交換する必要がありますが、その工事費は基本的に無料です。しかし、アンペア数を増やすと、月々の電気料金が増すため、ランニングコストが増加します。

設置場所とブレーカーの距離によっては配線工事の費用が別途かかる

電気自動車の充電を家庭で行うための充電器の設置工事は、大半の業者が基本料金に配線工事に含めています。しかし、これは設置場所とブレーカーの距離が15m以内の場合であることがほとんどです。

そのため、設置工事を依頼する業者を選ぶ際は、基本料金にどこまでの内容が含まれているかを確認しましょう。15m以上距離がある場合に発生する追加料金は、業者により異なるため、あらかじめチェックしておくことが大切です。

配線のために外壁や地面の工事が必要な場合は別途工事費がかかる

電気自動車の充電を家庭で行うための充電器の設置工事費用は、充電器の設置場所まで配線を行うに際して必要となる工事の種類により金額が異なります。

設置する充電器がコンセントタイプであれば、設置する外壁に穴を開けることで配線を外に通し、コンセントを設置する工事を行います。また、外壁から設置場所まで距離のあるスタンドタイプであれば、地面に配線を埋没させる大掛かりな工事を要する場合もあります。

電気自動車の自宅充電設備を設置する工事の流れ

電気自動車の自宅充電設備を設置する工事の流れ

電気自動車の自宅充電設備を設置する工事の一般的な流れについて、順を追って紹介します。自宅に電気自動車の充電設備を設置する場合は、この流れに沿って手続きを進めるとスムーズに設置工事の完了まで進めることができます。

ポイント
  • 設置工事を依頼する施工業者を選ぶ
  • 現地調査を依頼して、費用の見積もりを出してもらう
  • 契約が完了後、実際に自宅充電設備の設置工事へ

1. 設置工事を依頼する施工業者を選ぶ

まずは、設置工事を依頼する施工業者を選択しましょう。施工業者を選ぶ際のポイントは、電気自動車の自宅充電設備設置工事の経験を豊富に持っているか、工事の実績があるかどうかです。これまでに手がけた施工例や専門知識の有無、実際に設置する充電設備の信頼性や品質についてまず確認しましょう。

他にも、電気の料金プランや契約容量に対する知識を豊富に持っている業者や電気工事に関する資格があれば、安心して任せることができます。

2. 現地調査を依頼して、費用の見積もりを出してもらう

依頼する施工業者を選んだら、現地調査を頼みましょう。業者のホームページに掲載されている施工価格はあくまで参考価格です。設置する壁面の材質や設置場所からブレーカーまでの距離は各家ごとに異なるため、必要となる作業レベルや材料は実際に現地を見てみないことには判断できません。

そのため、確度の高い見積もりを出してもらうためには、現地調査を事前に行ってもらうことが必須です。現地調査の際は、施工業者の下見に立ち合い、希望通りの設置場所に設置することができるかなどの細かい点を相談すると良いでしょう。

3. 契約が完了後、実際に自宅充電設備の設置工事へ

施工業者による現地調査が完了し、提示された正式な工事費用に納得できたら、工事請負契約書を取り交わして施工の依頼を行いましょう。環境により異なりますが、実際の工事作業はだいたい半日ほどで終了します。

なお、事前の現地調査だけでなく、実際の工事にも必ず立ち会い、気になることなどは積極的に質問していきましょう。設置が完了し、テストも問題なく終了したら、設備の使用方法や注意事項についての説明を受け、作業終了です。

【Q&A】電気自動車の自宅充電設備について多い質問

【Q&A】電気自動車の自宅充電設備について多い質問

自宅充電設備を設置する際には、多くの不安や疑問があるかと思います。電気自動車の自宅充電設備を設置する際に、よくある質問についてここでは3つ紹介します。誰もが疑問に感じている質問に対して、回答していくので参考にしてください。

Q. 電気自動車の自宅充電設備の設置は自分でもできる?

DIYをよくされる方の中には、電気自動車の自宅充電設備を自分で設置してみようと考える方もいると思います。

法令により電気工事は定められた資格を有する人以外は原則行えないと決まっているため、法令に定められた資格を有していれば、電気自動車の自宅充電設備の設置は自分でも行えます。

具体的には、電気設備の設置工事は、第二種電気工事士以上の資格を有する必要があります。

Q. 電気自動車の自宅充電設備の設置工事で使える補助金はある?

自宅にV2H機器を設置する場合、一定の要件を満たすことにより国や自治体から補助金が交付されます。2023年度に国から交付されるV2H機器設置の補助金は、機器の購入費と設置工事費を合算して、上限115万円までです。地方自治体から交付される補助金の有無や上限額、交付条件は各自治体により異なります。

東京都は、V2H機器の設置に対して、50万円を上限として、機器費と工事費の半額の補助金を交付しています。なお、国が令和4年度補正予算および令和5年度当初予算で実施している「V2H 充放電設備・外部給電器の導入 補助事業」は、予算額を超えたため、交付申請受付が終了しています。

Q. マンションに電気自動車の充電設備を設置するには?

マンションに住まれている方が駐車場に充電設備を設置する場合は、分譲では「管理組合や管理会社の合意」、賃貸では「建物のオーナーの許可」を必要とします。その際には「電気代の支払いや課金方法をどうするか」「設置工事費用の負担先」などを調整する必要があります。

そのため、マンションに新しく充電設備を設置することは、なかなか難しいでしょう。

電気自動車の自宅充電設備についておさらい

この記事では、電気自動車の自宅充電設備について解説しました。今後、海外だけではなく日本でもガソリンを利用せずに電気を活用した自動車が普及してきます。それに伴い、充電の方法や充電設備の工事方法、補助金の申請方法について理解しておくのが重要です。

今後、電気自動車を購入する予定の人はぜひこの記事を参考にしてください。

このブランドについて

  • NISSAN

    日産

    かつては日本第2位の自動車メーカーであり、自他ともに求める「技術の日産」として、真剣なクルマ選びに値する玄人好みのクルマがユーザーに支持される日産自動車。フェアレディZやスカイライン、GT-Rといった歴史と伝統を誇るV6DOHCターボエンジンのハイパワースポーツをイメージリーダーとして大事にする一方、2010年に発売したリーフ以降、SUVのアリア、軽自動車のサクラなど先進的なBEVをラインナップ。さらにエンジンを発電機として充電いらず、従来どおり燃料の給油で乗れる「e-POWER」搭載車を増やしており、モーターのみで走行するクルマの販売実績では、日本No.1の実績を誇るメーカーでもあります。
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