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電気自動車(EV)の充電用コンセントとは|自宅に設置する工事費用
公開日:2024/03/27更新日:2024/03/10
目次
電気自動車(EV)の充電用コンセントとは
電気自動車(EV)の充電用コンセントとは、外部から走行用バッテリーへの充電が可能な電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHEV)へ充電を行う充電設備のうち、車載の充電ケーブルを用いる普通充電のことです。
Mode3タイプ(出力が大きく充電ケーブルと充電器が一体型)や、電気自動車から自宅への給電も可能なV2Hと違って安価なため、自宅に充電設備を設置する場合に多用されます。
電気自動車の充電方法は自宅のEV充電用コンセントが主流
EV充電スタンド情報サイトの「GoGoEV」が2023年4月に行ったアンケートによれば、電気自動車ユーザーの87%が何らかの形で普通充電を利用しており、77%が「自宅に充電設備がある」と回答しています。
また、81%が戸建ての自宅住まいと回答していて、「電気自動車ユーザーの充電方法は、戸建ての自宅に設置したEV充電用コンセントで普通充電をするのが主流」と言えそうです。
戸建ての自宅住まいでも充電設備が未設置なケースもあると考えれば、今や集合住宅の駐車場でも充電用コンセントが設置され、普通充電を行うユーザーも多いかもしれません。
GoGoEV|普通充電の利用頻度は?自宅に充電設備はある? -【普通充電アンケート】結果発表 第1弾 -
EV充電用コンセントのメリットは本体の安さや工事の手軽さ
充電設備を自宅に設置する場合、充電器本体だけではなく現実的な速度で充電できる200V電源への対応、大電流が流れるための専用ブレーカーといった設備工事が必要になり、新築ならともかく、既存の住宅へ設置するにはそれなりの費用がかかります。
車載ケーブルを使う充電用コンセントの場合、ケーブルが一体化したMode3タイプに比べ充電器本体が安く、サイズもコンパクトなため工事も比較的手軽に行えるのがメリット。
新築や改築など大きな費用がかかるついでというならMode3タイプもアリですが、既存の住宅に充電器のみ設置という場合なら充電用コンセントがオススメです。
EV充電用コンセントは100V・200Vの2種類
充電用コンセントの電圧は、一般的な家電製品と同じ100Vと、家庭用でもエアコンなど大電力を使う製品に使われる200Vの2種類で、主流は充電速度が速い200Vです。
100Vでも充電はできますが、短距離用途でバッテリー容量が少ないトヨタ C+podでも200Vなら約5時間で済む満充電が、100Vなら約16時間と3倍以上。
しかし100V充電には、一般的な屋外コンセントを軽負荷電動車両充電用コンセントに変える程度で工事が不要という手軽さがあり、簡便な鉛バッテリーを使ったミニカー、トヨタ コムスのように100V充電のみ(充電時間は約6時間)という例もあります。
トヨタ自動車WEBサイト| トヨタ C+pod
超小型BEV「コムス」:トヨタ車体|環境性能・メカニズム
200VのEV充電用コンセントの出力は3.0kWが目安
一般的に充電用コンセントの出力は3.0kWで、6.0kWはMode3タイプで可能になった高出力版です。
出力の差はそのまま充電時間の差で、6.0kW充電器なら3.0kWの約半分の時間で満充電になるため、普通充電でも充電時間が短く限られたり、毎日200km以上を走るので3.0kW普通充電では翌日まで間に合わないヘビーユーザーなら6.0kW充電器を選ぶべきでしょう。
しかし、3.0kWの充電器だとブレーカ定格が30Aで済むところ、6kWでは40Aブレーカが必要なほか電気代も基本料金が高く、電気自動車も6.0kW対応でなければ意味がありません。
EV充電用コンセントでの充電にかかる電気代の目安
電気代の目安単価(税込)は、家電公取協(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会)が2022年7月22日に改定して以降1kWhあたり31円とされており、3.0kWのコンセント型充電器で普通充電を行うなら、以下の計算式を使います。
3.0kW ✕ 31円/kWh ✕ (充電時間) = 電気代
つまり月に5回、8時間ずつ充電すると仮定するなら、3.0 ✕ 31 ✕ 8 ✕ 5 =3,720円です。
これはあくまで自宅で普通充電を行った場合の電気代ですから、出先で有料の充電スポットを利用すればその分もかかりますし、自宅限定でも毎月の合計充電時間が長ければ電気代がそれだけ増えます。
電気自動車(EV)の充電用コンセントの使い方
充電用コンセントにせよ、Mode3タイプやV2Hにせよ、自宅で普通充電をするのは帰宅後の就寝時や車を使う用事のない休日など、自宅に置いた電気自動車の未使用時間です。
それ以外は出先の充電スポットを利用することになりますが、自宅でも帰宅後に出かける用事があるなら車載ケーブルの出し入れが面倒なら充電器に繋がない事もあるでしょうし、そうなるとまず電気自動車を使わないであろう就寝時間がメインになるかと思います。
翌日想定される走行距離が長いのに充電時間があまり取れないなど、そのような日が何度も続くようなケースでは、3.0kWのコンセント型充電器ではなく、6.0kWで充電可能なMode3タイプやV2Hがオススメです。
EV充電用コンセントを自宅に設置する前に知っておきたいこと
自宅で電気自動車(EV)を充電する方法として充電用コンセントを選択した場合、設置するため事前に知っておいた方がいいことや、考えておくべきことは何かあるでしょうか?
設置には資格が必要なほどで、DIYはオススメしない
クルマのカスタムや自宅のメンテナンスなど、普段からDIY作業をしていて自信がある人もいるとは思いますが、充電用コンセントの設置には一般住宅や店舗などへ600V以下の受電設備を設置工事するのに必要な、「第二種電気工事士」の資格が必要です。
資格を持っている方なら承知の通り、作業時のミスによる感電事故や、漏電火災の原因へと容易につながる重大な作業ですから、単に資格があって知識があるだけではなく、豊富な経験、安全のための工具や装備も充実した専門の業者へ施工を依頼しましょう。
業者へ頼むと費用がかかるからと安易にDIY作業を行った場合、無資格工事となるのはもちろん、感電で命を落としたり、火災で自宅を失うだけでなく延焼で周囲に損害まで及ぼす最悪のケースまで考えられます。
そもそも設置できる環境でなければ整える
充電用コンセントを自宅へ設置するにしても、新築や改築のついでか、コンセント設置のみか、また設置場所などさまざまな理由でも工事費用は変わってきますし、そもそも設置できる環境なのかどうか、という問題もあります。
自宅が自己所有の戸建てな場合など、とにかくお金をかければ設置できる環境だとしても予算オーバーの可能性がありますし、そうでなくとも自治体などから補助金が出るなら安上がりです。
賃貸なら所有者や管理会社の許可が必要ですし、集合住宅なら自己所有物件であろうと共同スペースである駐車場への設置ですから、管理組合で合意を得たり、場合によっては費用負担について話し合う必要も出てきますから、そうした環境整備は不可欠です。
自宅に設置するなら他の選択肢もあるが、最適はどれ?
充電器の価格も設置費用も安上がりだからと充電用コンセントを選択してもよいのですが、他にも出力3.0kWの充電用コンセントより充電時間が半分で済む、出力6.0kWの普通充電がMode3タイプやV2Hには存在します。
また、電気自動車には国産車の多くや輸入車でも一部には外部への給電が可能なV2H対応車があり、それを利用しようとするなら電気自動車への普通充電だけではなく、電気自動車を自宅の電源として給電も可能なV2H機器を選択するわけです。
電気自動車によって6.0kW普通充電やV2H対応は異なりますが、車種によってはその能力をフルに活かす選択として、Mode3タイプやV2Hで可能なことや、予算との兼ね合いも考え、最適解を選んでください。
EV充電用コンセントの設置工事にかかる費用
電気自動車(EV)の普通充電用に充電用コンセントの設置を決めたとして、自宅への設置工事にかかる費用の相場は10万円程度からですが、本体価格と設置工事それぞれの目安を見てみます。
EV充電用コンセントの本体価格の目安
一例として、充電用コンセントの大手メーカー、パナソニックのサイトから、戸建て住宅向け製品のメーカー希望小売価格(税込)を以下にまとめました。
壁面取付タイプ | 屋外コンセント | 200V用 | 4,290円 |
100V用 | 3,795円 | ||
カバー付 屋外コンセント | 200V用 | 1万2,210円 | |
100V用 | 1万1,660円 | ||
コンセント内蔵充電ボックス (標準タイプ) | 200V用 | 7万8,210円 | |
100V用 | 7万7,660円 | ||
コンセント内蔵充電ボックス (ケーブル収納タイプ) | 200V用 | 11万7,260円 | |
100V用 | 11万6,600円 | ||
スタンドタイプ | 200V用 | 14万3,000円 | |
100V用 | 14万1,900円 |
一般的な家庭用屋外コンセントを電気自動車充電用に置き換えただけに見えるもっとも簡易な製品から、耐久性を気にして樹脂製の保護カバーつき、セキュリティ面も考えた充電ボックスにはケーブル収納タイプもあり。
さらに建物と駐車場が離れている場合に向いたスタンドタイプまで、ユーザーがどの程度を求めるかにより、価格にはかなり幅があります。
Panasonic|電気自動車(EV・PHEV)充電設備「ELSEEV:エルシーヴ」
EV充電用コンセントの設置工事にかかる費用の目安
充電用コンセントの種類がマチマチなら、設置する費用もそれに応じて変わっていきますし、100Vだけでなく200Vに対応しているか、分電盤(ブレーカ)からコンセントまでの距離が15m以内か、駐車場が建物から遠いなら壁掛けではなくスタンドタイプになるか。
既存設備に手を加える程度で格安だと3万円程度から、外壁に開けた穴から地中を通して配線を引く大掛かりな工事になって、さらに将来的な6kW充電タイプまで考慮すると30万~40万円に達するなど、費用の目安と言ってもかなり幅があります。
EV充電用コンセント以外の充電設備の種類
電気自動車(EV)を自宅で普通充電にするのに最も安価で手軽な手段は充電用コンセントの設置ですが、電気自動車の性能や機能、用途によっては選択可能な、他の充電設備についても解説しましょう。
Mode3タイプ(ケーブル一体式)
充電用コンセントでは車載充電ケーブルに組み込まれていることが多い充電コントロールユニットを充電器に内蔵し、ケーブルも充電器に固定しているのがMode3タイプの普通充電器です。
車や充電ボックスからケーブルを出し入れする手間がなく、充電器のケーブルを車に指すだけという手軽な使用感のほか、充電器の高出力化が容易で6.0kW普通充電の設定もありますが、これは車の方で対応している必要があるほか、設置工事費も高額です。
そのため、毎日のように長距離を走行するので、一晩程度の時間で満充電にしたい用途へ向いています。
V2H機器
充電用コンセントにせよ、Mode3タイプにせよ、さらに公共充電スポットの普通/急速充電スポットでも「充電器から電気自動車へ充電するだけ」ですが、これを「電気自動車から自宅への給電も可能」にするのがV2H(Vehicle to Home)です。
大規模な停電時でも、電気自動車の大容量バッテリーの電気を使えば、停電復旧までの非常電源としてかなり長時間の対応が可能なため、電気自動車を「走ることも可能な巨大蓄電池」として導入している集合住宅や施設もあります。
6.0kW充電にも対応する高性能なV2Hですが、機器も設置費用も単なる充電器より高額になるほか、輸入車にはV2H非対応車も多く、電気自動車なら何でもいいわけではありません。
EV充電用コンセントを自宅に設置する工事に補助金は使える?
Mode3やV2Hに比べて手頃に設置できるとはいえ、それなりの費用はかかる充電用コンセントですが、初期には電気自動車の購入費用だけだった補助金に、充電設備向けも登場しました。
東京都は戸建住宅の充電コンセント/充電コンセントスタンドの設備購入費、設置工事費として2万5,000円を助成するほか、集合住宅の居住者用設備の助成金もあります。
また、茨城県の常陸太田市では充電設備の税抜本体購入価格の1/5以内、1台あたり上限5万円まで助成する制度があるなど自治体によって取り組みはさまざまで、お住まいの自治体に制度がない場合も今後に期待していいかもしれません。
電気自動車(EV)はEV充電スポットでも充電できる
電気自動車では自宅での普通充電設備があれば、それを基本としたカーライフになると思いますし、エンジン搭載車と異なりガソリンスタンドへ給油しに行く必要もありませんが、もちろん公共の充電スポットを利用した充電も可能です。
自宅での普通充電で満充電になっていない場合や、満充電でも足りない長距離ドライブの出先で利用するのはもちろん、さまざまな事情で自宅での充電設備設置を見送っている場合などは、充電スポットの急速充電だけで使っているユーザーも皆無ではありません。
ただ、満充電にしておきたい場合や、急速充電ではバッテリーに負担がかかって劣化が早まるという考え方も根強く、普段は自宅での普通充電というユーザーが多いわけです。
電気自動車(EV)の充電用コンセントについておさらい
今回は電気自動車(EV)に充電する方法として、主に自宅で普通充電をする目的で多く使われる充電用コンセントについて紹介しました。
長距離走行の機会が多いヘビーユーザーや、V2Hで自宅との充放電による電源の多様化、非常電源化を考えるユーザーにはまた別の選択肢もありますが、手頃な価格で気軽に設置しやすい充電設備として、電気自動車の入門アイテムと言えるのが充電用コンセントでしょう。
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