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富士山から回生ブレーキだけで下ったら何%充電されているのか!

回生ブレーキ、存知でしょうか?

通常、自動車が止まる時はホイール内にあるブレーキディスクに、ブレーキパッドを押し付けて車速を落とします。ではハイブリッド車やEVに搭載されている回生ブレーキとはどうのようなものなのか。実はこいつのおかげでハイブリッドやEVの燃費向上に一役買っているんです。

回生ブレーキは、車が止まろうとする時に、タイヤの回転をモーターに繋げその力で発電してしまおう!という機構なのです。

今まではエンジンの力でタイヤを回転させ、止まる時は摩擦や熱に変換されていた動力が、モーターが搭載されたことによって、またエネルギーになるという素晴らしい発明なんです。

目次

  1. 「下り坂をずっと回生ブレーキだけで下ったら、めちゃくちゃ充電されるのでは?」
  2. 富士山から下ればいいじゃん!
  3. 「そもそも富士山って車で下れるんか?」
  4. ってことでやってきました富士山。今日の天気も相変わらず灼熱です。

そんなロマン溢れる回生ブレーキの歴史は意外にも古く、昭和の初期の鉄道にはすでに導入されていたようでした。鉄道においては今はほとんどの車両に搭載されているそうです。

そんな素敵な発明である回生ブレーキ。ここで1つの疑問が浮かんでしまいました。

「下り坂をずっと回生ブレーキだけで下ったら、めちゃくちゃ充電されるのでは?」

富士山

ゆずの夏色みたいな、そんな都合良い下り坂は果たしてあるんでしょうか。きっと山道に行けばあるんでしょうけど、どの山が良いかさっぱり検討がつきません。


やま。山。ヤマ。Yama...。


「あ、富士山...!」


我々日本国民の心に刻まれた山といえば、間違いなく富士山ではないでしょうか。日本一高い山であり、標高3776.12 m。日本最高峰の独立峰として、古くから日本の美しき自然のシンボルとして馴染みのある山。

富士山から下ればいいじゃん!

あんどりゅーさん

「そもそも富士山って車で下れるんか?」

あんどりゅーさん

調べたところ富士登山が人気なだけあり、5号目まで車でいけるとのこと。その道の名も富士スバルラインといい、いかにもな道ではないか!5号目といったら富士山の半分なので1888mくらいかなと思っていたら、富士スバルラインの最高地点の標高はなんと2,305m!


岩手県のトレードマークである岩手山(2038m)や、日光の男体山(2486m)とほぼ同じ高さです。高すぎ!

富士スバルラインの歴史は意外にも古く、東京オリンピックと同じ年に開通し、60年以上の歴史を持つ由緒ある道とのこと。全長約20km以上、標高差は1400m以上にも及ぶ。つまりこの道はEVの回生ブレーキをテストするのにうってつけの道ではないでしょうか。

富士スバルラインの起点は857mから始まるので、1448mもの標高差を下ることができそうです。


ここに行けば、回生ブレーキで無限にエネルギーが作れてしまうのでは!


富士スバルラインの他にいくつか中腹までいける手段があるようで、


  • ふじあざみライン
  • 富士山スカイライン
  • 県道富士公園太郎坊線(御殿場ルート)


3つのルートで5合目付近までいけるとのこと。

しかし富士登山オフィシャルサイトで怪しげな文字列を見つけてしまった。


「マイカー規制」


どうやら7月から9月までの富士登山ハイシーズンは、極端な交通渋滞や、それに伴った排気ガスによる環境汚染が懸念されているらしく、よってマイクロバスやタクシー、自転車のみでしか、この期間は5合目まで行けないという。


(2024年の富士山スバルラインのマイカー規制は7月5日~9月10日)


「あぁ、いったい僕はどの山を下れば良いっていうんだ...!」

あんどりゅーさん

標高日本二位の北岳は連峰なので車で下ることができません。二位じゃダメなんですか?ダメでした。

富士スバルライン マイカー規制
富士スバルライン マイカー規制

マイカー規制の案内を注意深く読んでいると、「【対象にならない車両】電気自動車(EV)は富士山パーキングで確認証の交付をお受けください。」との文字が。


EVはいけるんですか!!!!!行きます!!!!


富士スバルラインではハイシーズンの規制期間中、バスやタクシーなどの交通機関しか入れないのですが、EV、FCVはマイカーで唯一走ることができるそうで、今回無事富士山を思いっきり下れそうです。

ってことでやってきました富士山。今日の天気も相変わらず灼熱です。

今回の車両はメルセデスベンツ EQS 450+を使用。EVシリーズのフラッグシップとも呼べるEQS。大きな車格にも関わらず重さを感じさせないパワーや、ハンドルを切ると後輪も反応する4WSシステムにより、小回りが効き乗りやすさを感じます。

EQS

富士山の5合目までいけるルートは先ほどご紹介した通り


  • 富士スバルライン
  • ふじあざみライン
  • 富士山スカイライン
  • 県道富士公園太郎坊線(御殿場ルート)


この4つがありますが、ふじあざみラインと富士山スカイラインはマイカー規制でEVの通行もNGでした。御殿場ルートはマイカー規制を実施していません。


今回はマイカー規制でありながらEVは通行可能な富士スバルラインにアタックしたいと思います。まずは富士山パーキング(県立富士北麗駐車場)にて確認証の交付が必要なので、ゲットにしに行きましょう。


道中はわかりやすくマイカー規制の案内や看板が設置されていました。マイカー規制の存在を知らなくても誘導の案内などもあるので親切ですね。

道

富士山パーキング(県立富士北麗駐車場)に到着です。通常はここで料金を支払いバスなどに乗り換えますが、EVは確認証を交付してもらい、それを見せることでスバルラインを通行することができます。

道

筆者「実はこの車EVでして....」係の方「車検証見せていただいても良いですか?」


ほう!確かに車検証を見ればこの車が電気なのかすぐにわかります。しっかりとチェックしていただけるようです。

あんどりゅーさん

無事確認証が交付されました。陸路で国境を越えるようなドキドキ感があって楽しかったです。

あんどりゅーさん

これが確認証。いわば通行手形です。さてスバルラインへ向かいましょう!

確認書

このようにスバルライン入り口の交差点では人の目での確認が入っています。一般の車両はここで富士山パーキングに誘導されるようです。

道

いざ通過!確認証を見せると警備の方が通してくださいました。暑い中ご苦労様です!行ってきます!

道

無事到着しました。先程の述べましたが現時点で標高は857m。ここから20km近い道のりをかけて2300m付近まで一気に登っていきます。

富士スバルライン

あっという間に5号目到着です。後ろに映る山が我らが富士山。でかい!


この季節は雪も溶けて、イメージする富士山とは違った景色を見せてくれます。森林限界も感じる雄大な姿。こんなところまで車で登れてしまうのが驚きです。暑さは全くと言っていいほどなく、真夏でも心地よい気温に澄んだ空気が過ごしやすいです。

あんどりゅーさん

さて、一旦ここまでの電費をチェックしましょう。


こちらが富士スバルラインスタート地点の残充電と後続可能距離です。

画面

【すばるラインスタート時】


残充電:72%


後続可能距離:497km



そして5号目まで登った際のデータがコチラ。

画面

【5号目到着時】


残充電:60%


後続可能距離369km



約30分かけて23kmを走りましたが12%を消費しました。改めて述べますが標高差は1400m以上です。


さてここからが本題。回生ブレーキを駆使し1400mの勾配を下っていきましょう。回生ブレーキのモードは標準、ドライブモードは標準のコンフォートでスタートです。


富士山5号目のパーキングで親切に案内してくれた警備の方に、「もう戻っちゃうの?」と笑いながら言われました。ここからが私たちの本番です。

EQS

一瞬で戻ってきました!気温も一気に上がり暑いです。


EQSはバドルシフトで回生ブレーキの効きを調整できるので、緩やかな下り坂では「回生なし」、キツい下りやコーナー手前では「強力」、それ以外では「通常」にし、極力アクセルを踏まずに降るのを心がけました。

EQS

改めて、こちらが5号目出発時のデータ。


残充電:60%


後続可能距離373km(5合目到着時との多少の誤差があるようです)

画面

標高差1400m、距離にして20km以上の下り坂を下った結果は.....

画面

【1400mを下った結果】


残充電:65% (+5%)


後続可能距離:391km (+18km)



となりました!20km以上も走ったのに、航続距離が増えているのが回生ブレーキのまさしくメリット。回生ブレキが付いていない車であれば、どんなに下っても燃料は減る一方です。


もっと充電されるのでは?と思った方、回生ブレーキって意外と蓄電されるんだ!と感じた方、それぞれいらっしゃるかと思います。個人的には回生ブレーキはあくまで補助的な位置付けだと考えているので、下っただけでバッテリーが充電されることに、ちょっとだけお得感を感じました。


もちろん車種によっても充電結果に違いは生まれるかと思いますが、回生ブレーキがどれだけ燃費や、電費の良さに貢献しているかが、今回の検証を通して数字でハッキリと確認することができました。


もっと長い下り坂をがあればぜひそちらでもチャレンジしてみたいです。

著者プロフィール

【あんどりゅー】幼少期から親の影響で車に興味を持ち、自転車やバイクを含む 乗り物全般が好きな人間に。地元の友人たちと夜な夜な車やバイクを乗り回し、山の中を駆け回る10代後半-20代前半を過ごす。初めて買った内燃機関は原付のホンダトゥデイ。近頃はゆるゆるとバイクに乗って林道を巡ったり、車中泊をしながら日本のあちこちを探検したりしています。将来の夢はカプリスワゴンに柴犬を乗っけて海辺をドライブすること。

このブランドについて

  • MERCEDES BENZ

    メルセデス・ベンツ

    19世紀に世界初のガソリンエンジンで走る自動車メーカーとして創業、第2次世界大戦前には高級車やレーシングカーで既に名を上げており、戦後も数々の名車を輩出したドイツの老舗メーカー。中途半端なものは作らない「最善か、無か!」をスローガンに高品質なクルマづくりを社是としており、日本ではかつてのインポーター、ヤナセによる巧みなイメージ戦略で高級輸入車の代表格となりましたが、バブル時代の190E(W201)以降は庶民向けの「ちょっとお高い輸入車」程度に身近な存在となっていき、現在は比較的小型で手頃なAクラスからラインナップ。PHEVやBEVなど電動化にも熱心で、日本を重要な市場と位置づけています。

    詳細

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