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電気自動車(EV)の回生ブレーキってなに?

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリット車(HV)に採用される、エネルギーの変換を利用して減速する仕組みの「回生ブレーキ」。電車をはじめとしたモーターを搭載する車両特有のブレーキとして知られています。

そもそも「回生」とは、生き返ることを意味する言葉。その名の通り回生ブレーキでは、減速時に変換したエネルギーはバッテリーに再利用されます。そのためガソリン車のブレーキとは異なり、減速時のエネルギーロスが少ないのが特徴です。

今回は、回生ブレーキの仕組みからメリット・デメリット、効率的な利用方法についてお伝えします。

目次

  1. EVの回生ブレーキとは?
  2. 回生ブレーキのメリット・デメリット
  3. 効率的に回生ブレーキを利用するには
カースモーラちゃんポイント
  • 回生ブレーキはEVやHVならではのブレーキなんだ。
  • 燃費・電費が向上することで航続距離が伸ばせるみたい。
  • 効率良く使うには作動のタイミングを把握するのが大切だよ。

EVの回生ブレーキとは?

EVの回生ブレーキとは?

回生ブレーキの仕組み

EVには走行中だけではなく、減速にもモーターを利用する「回生ブレーキ」が搭載されています。回生ブレーキとは、モーターを用いて走行中に発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで減速する仕組みのこと。EVやPHV、HVをはじめとした車だけでなく、電車・新幹線やエレベーター、電動アシスト付きの自転車まで、モーターを動力とするさまざまなものに利用されています。


例えるなら旧式の自転車に多くみられるダイナモ式ライトのような仕組みです。


自転車のダイナモ式ライトは、スイッチを入れると発電機が作動し、運動エネルギーを電気エネルギーへと変換することでライトを点灯させます。その際、エネルギー保存の法則によって、電気エネルギーに変換された分の運動エネルギーは減少するのがポイント。そのため、ライトのスイッチがオンの時は、通常時と比べてペダルが少し重く、減速しやすくなります。


このようなエネルギーの変換によって発生する抵抗を減速に利用するのが回生ブレーキの仕組みです。そして、モーターによって変換されたエネルギーはバッテリーで回収されます。そのため、ガソリン車では減速時に無駄になっていたエネルギーを効率的に再利用できます。回生ブレーキは、モーターを搭載した車両ならではの効率的な仕組みなのです。

さまざまな回生ブレーキ

回生ブレーキと一口に言っても、その技術・種類は自動車メーカーによって異なるのが特徴です。


その先駆けとも言える「回生協調ブレーキ」は、トヨタのプリウスに最初に搭載されたことで知られています。回生協調ブレーキとは、ブレーキペダルを踏んだ際、必要な減速力を判断し、油圧ブレーキと回生ブレーキを自動制御で使い分けるシステムです。


近年では、ブレーキの回生力をB0〜B5の6段階で調整できる三菱の「回生レベルセレクター」や、日産の「e-Pedal」が注目を集めています。


e-Pedalは減速・停車までは回生ブレーキ、停車後は油圧ブレーキと、発車から停車までをアクセルペダルのみの操作で実現した技術のこと。ブレーキペダルとの踏み替えが少ないため運転時の疲労を軽減できることや、アクセルとブレーキの踏み間違え防止にも期待できます。


そんな回生ブレーキは、最初にプリウスに搭載されたことからもわかる通り、燃費の向上に大きく貢献する技術です。今後、自動車のEV化が進み、よりエネルギーの利用効率が求められる時代の到来を見据えた技術と言えるでしょう。

回生ブレーキのメリット・デメリット

回生ブレーキのメリット・デメリット

一般的なガソリン車は、ディスクブレーキやドラムブレーキなど、摩擦を利用して減速する摩擦ブレーキが搭載されています。摩擦ブレーキは、減速時のエネルギーを摩擦によって熱エネルギーへと変換し、放出することで減速しています。つまりはエネルギーを無駄にしているということ。


一方でEVやPHV、HVに搭載されているのは、運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで減速する回生ブレーキです。回生ブレーキは、モーターで変換された電気エネルギーをバッテリーへと再利用することができます。そのため、ガソリン車と比べると減速時に無駄にするエネルギーが少なく、燃費・電費が良いのがメリットです。モーターの種類によってエネルギーの回収効率は異なるものの、山からの下り道などでは燃費・電費への貢献をより強く実感できるでしょう。


そして、回生ブレーキを利用する車はブレーキパッドをはじめとした、ブレーキ周りの負担が少なく、ガソリン車と比べてメンテナンス費用の負担も抑えられるのもメリットです。


回生ブレーキにはメリットが多い反面、駆動輪にのみ作動することや、作動までにタイムラグがあるなどのデメリットもあります。そのため、回生ブレーキを搭載した車は、併せて油圧ブレーキも搭載しているのが一般的です。

効率的に回生ブレーキを利用するには

効率的に回生ブレーキを利用するには

効率的に回生ブレーキを利用することで燃費・電費を向上し、航続距離を伸ばせるのはもちろんのこと、ブレーキの消耗を抑えられるなどのメリットがあります。そんなメリットを活かすためには、エコドライブを心がけるのはもちろんのこと、アクセル・ブレーキの操作も非常に重要です。


回生ブレーキは、アクセルの踏み具合や、ブレーキの踏み方に応じて作動します。ただし、動作するタイミングは車種によって異なります。効率的に利用するためにも、まずは自身の愛車が回生ブレーキを使うタイミングを把握しましょう。


例えばアクセルペダルから足を離すことで回生ブレーキが作動するモデルの場合は、マニュアル車のエンジンブレーキのようなイメージです。回生ブレーキのみで停車までできるモデルの場合は、アクセルから足を離すごとに徐々に強くなっていくのが特徴です。そのため、アクセルの調整で如何に減速できるかが燃費・電費向上の鍵となります。


その一方で、ブレーキ操作に応じて回生ブレーキを作動させるモデルの場合は、ブレーキを軽く踏み、停車までの時間を長く取るのが効果的です。ただし回生力を調整できるモデルの場合は、強くしすぎると運転に違和感を覚えることもあります。回生ブレーキの効率だけではなく、運転のしやすさも忘れてはなりません。


愛車の回生ブレーキが作動するタイミングを把握し、それに合わせてアクセル・ブレーキの操作を調整することで、よりエネルギーロスの少ない運転ができるのではないでしょうか。

カースモーラちゃんまとめ

今回はEVをはじめとしたモーターを搭載した車両に使われている「回生ブレーキ」についてお伝えしたよ。

回生ブレーキは、運動エネルギーを変換することで発生する抵抗を利用して減速するブレーキなの。変換したエネルギーはバッテリーに再利用されるから、燃費・電費の向上にも繋がってとっても効率的なんだ。

EVの普及が推進されている近年では、多くのメーカーが独自の回生ブレーキに力を入れているみたい。

愛車の回生ブレーキが作動するタイミングを把握して、効率良く回生ブレーキを利用してみよう。

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