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せっかく環境にやさしいので、EVで思い切り渋滞にハマってみよう!

これから夏本番。連休なども控え、車でのレジャーや帰省などを考えている方も多いのではないでしょうか。そしてこのシーズン、絶対に話題に上がるのが「渋滞」です。特に帰省シーズンの渋滞は毎年ニュースで取り上げられる風物詩と言って良いでしょう。

さて、渋滞がもたらす環境への影響はどういったものなのでしょうか。

目次

  1. 渋滞によるCO2排出量とその環境影響ってどんなの?
  2. 今回の検証内容はこちら。
  3. ルートはこちら。
  4. バッテリー消費はいかに!?

渋滞によるCO2排出量とその環境影響ってどんなの?

渋滞によるCO2排出量とその環境影響ってどんなの?

平成18年にNEXCO西日本管内の高速道路本線 で発生した渋滞による損失時間は、382.8万台・時間 でした。これは、温室効果ガスの量にして、約1.3万 t-CO2※5(約3.5千haの面積の森林が年間に吸収する 二酸化炭素の量)の環境負荷増加に相当します。

引用:NEXCO西日本グループ

すこし古いデータにはなりますが、NEXCO西日本管轄の高速で発生した渋滞で発生位したCO2の量は1.3万トン。これは3,500ヘクタールの森林が年間に吸収できるCO2の量らしいです。


3,500ヘクタールってどれくらいなのでしょうか。なんとなく広そうなのはわかります。どれくらいなのか調べてみると、東京ドーム748個分らしいです。東京ドームで例えられても、ちっともよくわからないのでChatGPTに聞いてみました。


  • 東京都千代田区: 面積は約11.66 km²なので、千代田区の約3倍の広さです。
  • 東京都文京区: 面積は約11.31 km²なので、文京区の約3倍の広さです。
  • 東京都台東区: 面積は約10.08 km²なので、台東区の約3.5倍の広さです。
  • 京都府京都市下京区: 面積は約6.97 km²なので、下京区の約5倍の広さです。
  • 福岡県福岡市博多区: 面積は約31.47 km²なので、博多区とほぼ同じ広さです。


広すぎる...。こんな広さの森がやっと吸収できるCo2量。渋滞で排出されるCO2は思ったよりも多いんですね。

走行時、EVは排気ガスを出さないのでそういった渋滞時の環境に配慮することができます。「ってことはEVならたくさん渋滞にハマっても環境に優しいですね!」と意味のわからないことを思いつき、編集部に伝えてみたところ


「えー面白そう。いいんじゃない?」と予想外の答えが返ってきました。えーと、あれ?結構キツそうな検証がこれから始まります!

今回の検証内容はこちら。

EQE 350 SUV

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「EVで渋滞にハマってみたらバッテリーはどれくらい減るのか!」


メーターが表示してくれる航続可能距離はあくまで予想の数値。上振れることもあれば下振れることもあります。


計画的な充電プランを立てなければ、意外とバッテリーの減りに直面してしまうのもEVの特徴。しかし遠出の予期せぬ出来事として渋滞はよくある話。実際にEVで渋滞にハマってしまったら、どれくらいバッテリーを消費してしまうのか、この身で確かめてみよう!というわけです。


ガソリン車同様、高速道路で電欠になってしまえば、立派な道路交通法違反ですから、最低限の注意を払い検証していきたいと思います。


今回使用する車両はメルセデスベンツ EQE 350 SUV。メルセデスベンツのナンバリングにおいてEV車には「EQ」から始まり、Eは通常のEクラスと同じ分け方がされております。この上にEQSという一回り大きなシリーズもあるようです。


筆者は別に渋滞が好きではありません。むしろ渋滞は嫌いなのです。普段出かける際はなるべく渋滞にハマらないように早起きし朝早く出発したり、時には現地に前乗りして思いっきり旅先を楽しもう!という人間です。そんなスタイルの人間が自ら渋滞に突っ込むことになるとは。厳しい戦いになりそうだ。


関東には下道、高速含めて無数に渋滞スポットがあります。NEXCOが提供しているETCの利用割合を見ても、埼玉千葉東京神奈川の南関東がトップを占めています。

今回の検証のために、渋滞してそうな場所を調べ、それに合わせて出発するという不思議な経験をしました。できればもう一生やりたくないですね!!


まず関東の高速道路で最も混むのはどこなのでしょうか?国土交通省による平成27年のデータだと、上りメインにはなりますが東名や中央道といった、GWや年末年始にTVのニュースでよく耳にする高速道路が不動のトップを飾っていました。

1位 134時間 東京・神奈川 東名高速道路 上り 海老名JCT~横浜町田
2位 126時間 神奈川・東京 東名高速道路 上り 東名川崎~東京
3位 107時間 神奈川・東京 東名高速道路 下り 横浜町田~海老名JCT
4位 101時間 東京 中央自動車道 上り 調布~高井戸
※渋滞損失時間(:混雑により余計にかかる時間(単位:万人・時間/年))

引用: 高速道路の交通状況ランキング(平成27年)

であれば男として、中央自動車道 or 東名高速道路の双璧に挑むしかない...。腹は決めた。来たる土曜日、8:30に出発し9時過ぎに中央自動車道に入るプランで遠出をしよう!


連休でもない普通の土日だった6/8。「言ってもそこまで混まないでしょう~あはは〜。」と楽観視していたのだが、想像を超える渋滞に遭遇するハメに...。


今回の目的地は談合坂SA。別記事での企画もかねて渋滞にあえて巻きこまれるようなスケジュールを組みました。

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    2024/08/03

ルートはこちら。

ルートはこちら。

首都高速S1から山手トンネルを抜け、中央自動車道をひた走る関東民にはお馴染みのルート。

バッテリー残量

スタート時の状態はこちら!気合い入れていきましょう。


バッテリー残量

94%
航続可能距離551km
運転席

6月ということで雨の心配もありましたが、驚くほどの快晴!絶好の行楽日和。久しぶりの遠出ということもあってウキウキで車を走らせます。


「さぁ待ってろ中央道。いまお前を制覇してやる...! 」思いきやすでに山手トンネルから激混みでした。山手トンネルから中央道への分岐、そして大橋ジャンクションの東名への分岐はいつも激混みです。初めてこの道を通った時、左車線にいたせいで何回も通り過ぎたことを思い出しました。首都高速、慣れないと本当に試練です。

トンネル
もう心が折れそうです

もう心が折れそうです

やっと山手トンネルを抜け、青空の下にでました。まだ空が見える分気持ち的に開放感があって楽です。と束の間、早速混み始めました。現在、調布府中出口付近。電光掲示板では八王子まで45分。相模湖まで90分。大月まで 110分とありました。あれ、今日は連休だったっけ?

高速道路
全然動かねえや!!

全然動かねえや!!

やっと八王子料金所まで来ました。ここから中央道の始まりです。時刻は11:00。すでに出発から3時間以上が経過しています。きつい!

八王子料金所

八王子料金所から上野原まで20km渋滞!? 距離で言うと25.3Kmなので上野原までのルートのほとんどが渋滞ということになります。順調に流れていれば20分程度で着く道のりなのですが、中央道は想像以上でした。


正念場はこれからのようです。渋滞の先にある今回の目的地、「談合坂SA」まであと少しの辛抱です。ここまで渋滞だけで午前が終わろうとしています。


首都高速から中央道へいく際のSA/PAですが、八王子IC手前の石川PAか、相模湖を過ぎたところにある藤野PAの2つしかありません。特に渋滞が激しい区間なので、お手洗いなどは事前に済ませておくことを強くお勧めします!筆者は死ぬほどトイレを我慢していました。

バッテリー消費はいかに!?

EQE 350 SUV

時刻は12:00手前。なんとかお昼を回る前に談合坂SAにつきました!


トイレに無事行けた安堵の笑顔です。渋滞はとてもとてもキツかったです。


あとあと調べてみると、今日の中央道下りの渋滞は40km以上とのこと。見事検証の日にピッタリに連休並みの大当たりを引いたみたいです。不安定な天気からこの週末は一気に晴れたので、出かける人が多かったようです。確かにこの季節の談合坂は都心とは違い、空気が軽やかで気持ちが良かったです。


さて、ここで渋滞によってどれくらいバッテリーを消費したのかチェックしたいと思います!

まずは出発時のメーター表示から。

メーター

バッテリー残量

94%
航続可能距離551km
メーター距離4790km

1%あたりの走行距離は約5.86kmということになります

そして談合坂SA到着時のメーター。

メーター

バッテリー残量

73%
航続可能距離425km
メーター距離4881km

出発からゴールの談合坂まで91km走ったことになります。


そして91km走って消費したバッテリーが21%。


つまり渋滞時の電費は1%あたり約4.33kmということになります。


渋滞がなければ家から談合坂まで、約15.53%のバッテリー消費で行けたはずなので、その差は「約5%マイナス」という結果になりました。


この結果が許容範囲なのかは、どういったシーンでEVを使うかによって異なってくると思います。筆者の個人的な感想は、エアコンも普通に活用し、スマホや機材の充電などもしていたのでもう少し減るかなと思っていたのですが、思いの外そこまで減らなかった印象です。このヘビー級の渋滞で、この程度の誤差なら全く問題ないのではないでしょうか?


EVにとってアイドリングはそこまで負荷ではなく、やはり車を動かすことに最もエネルギーを使うのだと実感しました。これなら遠出などで渋滞にハマってしまっても、そこまで充電の心配するこはなさそうです。もちろんガソリン車、EV車問わず、事前に燃料や充電に余裕を持って移動するのは心がけましょう。


(文:あんどりゅー 写真:八木輝)

著者プロフィール

【あんどりゅー】幼少期から親の影響で車に興味を持ち、自転車やバイクを含む乗り物全般が好きな人間に。地元の友人たちと夜な夜な車やバイクを乗り回し、山の中を駆け回る10代後半-20代前半を過ごす。初めて買った内燃機関は原付のホンダトゥデイ。近頃はゆるゆるとバイクに乗って林道を巡ったり、車中泊をしながら日本のあちこちを探検したりしています。将来の夢はカプリスワゴンに柴犬を乗っけて海辺をドライブすること。

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