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キャデラック初のEVリリックはどんな車?ガソリン車のXT5と比較して分かったこと

アメリカに押し寄せるEVの波は、各自動車メーカーにも押し寄せています。テスラを初め、ステランティスのダッジはチャージャーデイトナSRTになりEV化されました。またフォードのマスタングもマッハEとなるなど、スポーツモデルも次々と新たなカタチとして誕生しています。キャデラック初のEVモデル「リリック」が、2025年に国内でも販売されることが決定しました。リリックについて、現行車のXT5と比較しながらご紹介していきましょう。

目次

  1. キャデラックのイメージ
  2. キャデラック初のEV リリックとは?
  3. ライターが所有するXT5はどんな車?
  4. リリック VS XT5を徹底比較
  5. EV車リリックの魅力

キャデラックのイメージ

キャデラックのイメージ

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キャデラックのイメージといえば、どのようなものが思い浮かぶでしょうか。1950年代のアメリカンドリームを象徴する、ド派手なスタイルと大きすぎる車体とエンジン。極めつけは燃費性能の悪さかもしれません。


確かに昔のイメージはそのものです。広大な荒れた大地を長距離で走行するための性能としては、大きなエンジンと柔らかな足回りが不可欠でした。長い歴史の中では、オイルショックによるガソリンの高騰や、欧州車に対抗する技術力が求められるようになっていきます。

大統領専用車両

大統領専用車が初めて採用されたのは1923年のこと、当時はリンカーンが採用されました。1938年には特殊装備が整えられ、キャデラックが担当しています。以降はリンカーンとキャデラックのどちらかが採用されてきました。


ビルクリントン氏の就任以来の歴代大統領専用車として使用されているのはキャデラックです。ドナルド・トランプ氏の来日で日本でも有名になった「ビースト」ことキャデラック・ワンは、動く要塞やシェルターともいわれる重装備が施されています。

近年ではSUVを中心に販売している

キャデラックといえば、ゴージャスなセダンのイメージが強いですが、現行車で見るとセダンはCT5の1車種のみです。それと比較すると、SUVは「XT4」「XT5」「XT6」「エスカレード」の4車種を展開しています。


21世紀に入ったころから、キャデラックはイメージを一新。『ル・マン24時間耐久レース』への参戦や、ドイツ『ニュルブルクリンク』での開発を行ってきました。また新しいコンセプト「Art&Science」の採用で従来の退屈で高級なだけのブランドを脱却。モダンでラグジュアリースポーツへと進化を遂げているのです。

キャデラック初のEV リリックとは?

キャデラック初のEV リリックとは?

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本国で誕生したのは2022年のことでした。前年の2021年には「デビューエディション」が予約販売されましたが、予約開始後の約10分で完売しており、注目度の高さがうかがえます。


新開発されたUltium(アルティウム)バッテリーは、狭い空間に効率よく積み重ねることができるパウチ型のセルを使用しました。モジュールの数を制御することで電池の容量を簡単に変えることができる技術です。ちなみにテスラは円筒形の電池を使用しています。


どちらもメリット・デメリットがありますが、従来からの円筒形に対して、現在はパウチ型電池セルが主流となりつつあるようです。


リリックは12モジュールの100kWhのバッテリーを搭載し、フル充電で約480㎞の航続距離を実現。最高出力は340ps、最大トルクは440Nmを発揮します。リリックの全長は4,996mm、全幅1,977mm、全高1,623mmのボディサイズ。ちょうどXT6とXT5の中間に位置するサイズ感になります。


エクステリアは流線形が美しいクーペSUVです。フロントの大型グリルには、サイドにデイタイムライトを配置して、エッジの効いた印象を与えています。本国のグレード構成は「テック」「ラグジュアリー」、そしてフラッグシップのスポーツとなっていますが、国内販売ではどのようなグレード構成になるのか、詳しいことは分かっていません。


アルティウムの採用によって右ハンドル化が容易になり、日本をはじめとする世界戦略車の位置づけとなっています。日本より一足早く今年オーストラリアとニュージーランドで発売が開始される予定です。

ライターが所有するXT5はどんな車?

ライターが所有するXT5はどんな車?

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以前販売されていたSRXクロスオーバーの後継モデルで、2017年にフルモデルチェンジが行われたミドルサイズラグジュアリーSUVです。ボディは構造用接着剤を採用し、先代モデルよりも90kgの軽量化を実現し、ボディ剛性を高めました。


エンジンは自然吸気の3.6LのV6を横置きに搭載しています。上級グレードの「プラチナム」には、路面状況に応じて自動で減衰力を調節するダンパーを装備。プレミアムカーにふさわしい先進装備の充実も感じられます。


エクステリアは押し出しの強い大胆なフロントグリルやエッジの効いたフロントサイドのデザインが特徴的です。インテリアにはプレミアムレザーやマイクロスエードなどをふんだんに使用しているアメリカンラグジュアリーのしつらえに仕上げています。


ライターがXT5を購入するに至った理由は、エクステリア、インテリア共に圧倒的な高級感があったことが大きな理由になっています。またアメ車らしい広さと3.6Lのパワーを十分に感じられることも大きな決め手の一つになりました。また、アメ車にはオプションの設定がなく、グレードのみの選択ということも価格設定が分かりやすくなっていると思いました。

リリック VS XT5を徹底比較

リリック VS XT5を徹底比較
リリックXT5
全長(mm)4,9964,825
全幅(mm)1,9771,915
全高(mm)1,6231,700
車両重量(kg)2,5451,990
ホイールベース(mm)3,0932,860

ラゲッジスペース


(リットル)

通常793


最大 1,723

通常850


最大1,784
タイヤサイズ265/50R20235/55R20
最高出力(ps)340314
最大トルク(Nm)440368
パワーユニット

モータ(リア)1基


モータ(フロント)1基

3,649㏄


V型6気筒ガソリンエンジン
駆動方式RWD/AWDAWD
乗車定員(名)55

EV車リリックの魅力

EV車リリックの魅力

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リリックの魅力を3つに絞ってご紹介しましょう。


1.キャデラックはラグジュアリー


キャデラックブランドは、アメリカンラグジュアリーにスポーティがプラスされた存在感があるとライターは考えています。XT5ではインテリアには本物の素材をふんだんに使用していましたが、リリックではメタリックな素材と間接照明でモダンなイメージを作り上げました。


2.乗員快適性


バッテリーが床に敷き詰められていたとしても、床面が上がってしまうということもリリックにはありません。ホイールベースが長いので、乗員すべてが快適に過ごすことができます。


3.希少性が高い


喜ばしいことではないとディーラーマンには言われたことがありますが、今までにXT5とすれ違ったことは数回しかありません。「売れていない」という言葉が聞こえてきそうですが、本当に街でXT5にすれ違うこともなかなか経験していないほどです。


リリックも国内で走り出すまでには時間があると思います。誰とも被らない車を探しているならリリックはおすすめです。欧州車と比較しても、アメ車の価格設定は低くなっています。もう少しアメ車の魅力に気付いてもらえると、アメ車好きとしては嬉しいのが正直なところです。

著者プロフィール

【KAKO MIRAI】車好きから始まった自動車サイトでの執筆は、パーツからチューニングまで多岐に渡る。トルクフルなV8サウンドに魅せられて、ユーロライクなCAMARO Z28から乗り換えたDODGE CHARGER HEMIと、CADILLAC XT5でアメ車を満喫中。最近まで足車はCHEVROLET SONICという筋金入りのアメ車好き。 いつかガソリン車のDODGE CHARGER Hellcat Redeyeを手に入れる夢が断たれ、現在の目標はCHEVROLET Corvette C8。内燃機関好きから見たEVを徹底分析していきます。

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