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フォード マスタング マッハEの対抗馬?シボレーブレイザーEVを徹底比較!

フォードから満を持して登場したマスタングのEV、マッハE。マッハEに対抗するためにシボレーが作ったのは、日本ではあまり聞きなれないブレイザーEVです。マスタングのマッハEの速さはEVでも想像できますが、ブレイザーって速いのか不思議に思いませんか。この2台を徹底比較してみれば、その疑問を解くことができるかもしれません。早速ご紹介していきましょう。

目次

  1. マスタングの歴史
  2. ブレイザーってどんな車?
  3. マッハEとブレイザーのスペック比較

マスタングの歴史

マスタングの歴史

Mike Mareen - stock.adobe.com

初代から今まで一貫して2ドアクーペに4人乗りのレイアウトを採用したアメリカを代表するスポーツカーでした。マッハEでは5人乗りになっています。大きな特徴の一つになっているのは、「フルチョイスシステム」を採用した販売方法でした。


安価なベース車両に、膨大ともいえるオプションを組み合わせるというスタイルは、日本でも採用された歴史があります。トヨタ セリカの販売方法は、マスタングを踏襲したものだったようです。

ポニーカーとは

マスタングが発表されたのは1964年のことでした。当時の若者に向けたスポーツカーで、魅力にあふれていて、手の出しやすい価格帯だったことも支持を得た理由でしょう。そこでシボレー・カマロ、ダッジ・チャレンジャー、ポンティアック・ファイアーバード、プリムス・バラクーダなど次々に誕生していきます。


手ごろな価格でスタイリッシュなスタイルを持つ当時の車をポニーカーと呼ぶようになりました。ポニーカーはマスタングのロゴに代表される、馬に由来しています。

記憶に残る歴代車

① 初代前期


初代はアメリカ自動車史に残る大ベストセラーになりました。ファルコンをベース車両にしたコンパーチブルとハードトップがラインナップされています。翌年にはファストバックも追加され、人気の高さから度々映画やドラマにも登場しました。


1968年に公開された映画『ブリット』では、サンフランシスコを舞台にダッジチャージャーとカーチェイスを繰り広げています。マスタングの金字塔となる映画といえるでしょう。


② 初代後期


1969年モデルは、初代前期よりも大きく、さらにパワフルになりました。またハイパフォーマンスモデル「Mach1(マッハワン)」も登場しています。更にレーシングモデルのGT350もラインナップされていますが、高額だったこともあり、一般的に購入できる価格ではありません。そこで新たにBOSSも投入されています。


③5代目(コードネームS197)


プラットフォームを一新した「リビングレジェンド戦略」によって、大型化されたデザインは1969年モデルを踏襲しました。改良されたエンジンは5Lを復活させています。シャークノーズのフロントや3連式テールランプ、航空機からインスパイアされた左右対称のインテリアなど、スポーツカーファンを熱狂させるモデルでした。


④ 6代目


2015年モデルではマスタング50周年を記念したフルモデルチェンジが行われました。フロントグリルやリアバンパーが大型化され、ヘッドライトが細目になり、アグレッシブな印象のスタイルに変更されています。

マスタング マッハE

2019年に登場した際には、EVクーペでSUVのパッケージングで登場し、世の中を驚かせました。EV化に伴ってマスタングのクーペやコンパーチブルが無くなってしまうわけではなく、マスタングの一員として新たに加わったモデルです。

マッハ1を連想させるネーミング

マッハ1は1969年に設定されていたハイパフォーマンスモデルです。2020年には17年ぶりに復活を果たしていますが、マッハEも同様にフォードのEVを象徴する高性能モデルの代表となる存在です。


高性能グレードの「GT」の最高出力は480psで最大トルクは813Nm~860Nmのトルクとなっており、この数値は現行ポルシェ911GTSに匹敵します。フロントマスクはすっきりとしたエレガントなデザインで、EV特有のグリルレスが際立っているようです。


反対にリアのデザインは、初代を思わせる3連のテールランプでマスタングらしいデザインです。つまりマスタングらしさと、マスタングらしくないデザインの融合といえるでしょう。取り回しのしやすいサイズ感は三菱 アウトランダーと同じサイズ感なので、日本でも十分にファミリーカーとして使えるのではないでしょうか。


2016年にフォードが日本から撤退してしまいましたが、魅力的なEV車を国内で販売していないのは、本当に残念です。拠点を残していてくれたなら、日本でのEV車への見方ももう少し広がっていたのかもしれません。

ブレイザーってどんな車?

ブレイザーってどんな車?

jetcityimage - stock.adobe.com

実はブレイザーはSUVの始まりとなった歴史のある車です。「K5ブレイザー」「S-10ブレイザー」の2種類が製造されていました。K5はフォードの「ブロンコ」に対抗するために1969年に誕生しています。ブロンコよりも広い室内と、ピックアップトラックに似たスタイリングは次第に人気となっていきました。


続いてダッジ・ラムチャージャーも同様のスタイルを採用し、モデルチェンジでピックアップをベースにしたスタイルを選択します。これを境に「ビッグスリー」がSUVという新たなスタイルを確立することになりました。1994年にブレイザーの販売が終了し、翌年には「タホ」に改称され、現在まで販売が続いています。


1983年に誕生したS-10ブレイザーは、K5を小型化していることが特徴です。アメリカではフルサイズが当たり前ですが、取り回しのしやすいサイズ感は、アメリカでもSUV初心者から人気を集めることになります。その後2005年にエクイノックスが登場するまで販売は継続されました。

ブレイザーEV

2023年に誕生したブレイザーEVは、エンジン車とは別のドライブトレインを採用した完全なEV車です。シボレーが開発したEV専用のプラットフォーム「アルティウムバッテリー」を採用しています。


キャデラック・リリックやGMCハマーでも使用しているバッテリーで、大容量に対応できるため、高性能マシンから作業用のトラックまで使用可能になり、今後の発展に期待が高まります。


シボレーのスポーツカーらしいダイナミックなスタイルに仕上がりました。インテリアもエクステリアと同様にシボレーのスポーツスピリットあふれるスポーティに造り込まれています。


ブレイザーEVには、コルベットやカマロなどのハイパフォーマンスモデルを手掛てきた技術が、惜しみなく使用されたモデルです。最上位グレードには真のスポーツモデルを表す「SS」が用意されています。

ポリスカーとしても活躍

最上位グレードのSSをベースにしたポリスカー「ポリス・パースーツ・ビークル」という警察車仕様も提供されることになりました。市販のSSを明らかに超える装備とパフォーマンスを発揮。また過酷な仕様に耐える車両性能の向上によって、メンテナンスの回数も低減できると期待されています、何はともあれ、市民の安全を守っていただきたいものです。

マッハEとブレイザーのスペック比較

マッハEとブレイザーのスペック比較
マスタング マッハEブレイザーEV(SS)
全長(mm)4,7434,860
全幅(mm)20151,946
全高(mm)1,6131,702
車両重量(kg)2,1982,421(LT)
ホイールベース(mm)2,984

ラゲッジスペース


(リットル)

通常 402


最大 1,420


タイヤサイズ245/45R2022インチ
最高出力(ps)480557
最大トルク(Nm)860878
駆動方式AWD/RWDAWD
乗車定員(名)55

スペックを見ると、さすがはポリスカーに採用されているだけあり、ブレイザー優勢のような気がします。よりスポーティなモデルならブレイザーEVですが、マスタング好きにはたまらないリアのスタイルは、捨てがたいものとなりそうです。


続々とアメリカで投入されるEVモデルが、日本で乗ることができず本当に残念でなりません。アメ車が進化していることを多くの人に知ってもらえることを祈るばかりです。

著者プロフィール

【KAKO MIRAI】車好きから始まった自動車サイトでの執筆は、パーツからチューニングまで多岐に渡る。トルクフルなV8サウンドに魅せられて、ユーロライクなCAMARO Z28から乗り換えたDODGE CHARGER HEMIと、CADILLAC XT5でアメ車を満喫中。最近まで足車はCHEVROLET SONICという筋金入りのアメ車好き。 いつかガソリン車のDODGE CHARGER Hellcat Redeyeを手に入れる夢が断たれ、現在の目標はCHEVROLET Corvette C8。内燃機関好きから見たEVを徹底分析していきます。

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