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日産 180SXがリーフに負けた日を忘れない

2015年に日産が180SX(ワンエイティ エスエックス)とリーフを走行勝負させるというショッキングなTVのCMを公開したことを覚えているでしょうか。当時はちょっとした話題になりました。軽量なFRにパワフルなターボを搭載した愉しさにあふれた車だったからにほかなりません。加えてリーフはそれほどスゴイのか、と疑問に感じた車好きも多かったでしょう。ライターもその一人です。今回はそんな180SXとリーフそれぞれについてご紹介していきましょう。

目次

  1. EVの先駆者日産リーフはそんなにスゴイのか?
  2. 180SXの魅力に迫る
  3. 日産が作ったCM
  4. みんな違ってみんないい

EVの先駆者日産リーフはそんなにスゴイのか?

EVの先駆者日産リーフはそんなにスゴイのか?

2010年に世界初の量産EVとして誕生したリーフは、日本のみならずアメリカ、欧州、中国で販売されてきました。2017年に現行モデルとなり、EVでは初となる累計販売台数40万台を達成するという輝かしい実績を残しています。


最近「BEV」という言葉を耳にするようになりました。これは海外と日本ではEVの認識にズレがあります。海外では電気のモーターを使用しているHEVやPHEVもEVです。日本では電気で動くものをEVと呼びますが、海外ではBEV(Battery Electric Vehicle)と呼ばれています。


さて、現行リーフのすごいところはどんなところなのかというと、EVだから静かで当然ではなく、静かさにもたくさんのテクノロジーを追求しています。EVはバッテリーに電気を充電し、電気でモーターを動かし駆動力を得て走る仕組みです。


・モーター…電気を駆動力に変換


・バッテリー…電気を蓄えておく


・コントローラー…電気の出力を調整する


駆動用バッテリーに貯められた直流の電気を交流に変換するインバータや電圧をコントロールするコンバータなどがあります。エンジンは燃料を制御して駆動力を得ていますが、EVはモーターに流す電流を制御して駆動力を得ているのです。


中でもインバータは、効率よく駆動することと共に静粛性を保つことができるのですが、周波数が変わるためノイズが取りにくく、高周波(2〜10kHz)が発生してしまいます。この高周波が可聴域になってしまうため、日産では2kHzの低音域でインバータの剛性を向上させました。また5〜6kHzでは遮音材や樹脂製カバーを使用して低減させることに成功しています。


EV特有の加速性能についてもインバータのハード、ソフトの両方を変更。その結果最大出力が30kW引き上げられ、110kWとなっています。また電流制御や交流電圧を直接オンオフして電圧を変化することができる電圧制御テクノロジーを投入。その結果トルク段差のないシームレスな加速を実現させています。


現行モデルは初代モデルと比較するとトルクが25%アップし、254Nmから320Nmまで高めることに成功。インバータの性能向上が力強い加速の実現に大きく貢献していることが分かります。

180SXの魅力に迫る

180SXの魅力に迫る

1989年に誕生した180SXは、S13型シルビアの姉妹車として誕生しました。時代はまさにFRスポーツカー黄金時代。走り屋と呼ばれた若者を中心に人気を集め、現在でも『D1GP』でドリフト車として支持を集めている一台です。


販売期間の約10年間でモデルチェンジは行われていませんが、1989年の前期型、1991年の中期型、1996年の後期型に分けることができます。基本構造は2ドアクーペのS13型シルビアの流用ですが、エクステリアデザインにはファストバックの3ドアとリトラクタブルヘッドライトが採用されています。また、足回りのセッティングは専用調整されました。


ボディ表面の凹凸や隙間をなくして平らにするフラッシュサーフェス化が図られ、空気抵抗係数はクラストップレベルのCd値0.30というのも特徴的でした。FRスポーツの魅力といえば、操ることの楽しさや加速性の良さ、構造のシンプルさによって自分で手を加えることができることにあります。


FRならではの楽しさは他の駆動方式では難しいドリフト走行や、サーキット走行に向いていること。つまり180SXはチューニングに適している車でした。当時からホイールのインチアップや車高調の交換、エアロ装着された180SXは当たり前だったことを思い出します。


ドリフトの帝王と呼ばれる古口美範選手や川畑正人選手は、180SXに並々ならぬ思い入れを持つ人物として知られてきました。両選手ともに、現在も180SXへのマシンメイクを進化させ続けています。

日産が作ったCM

 日産が作ったCM

冒頭でも紹介した180SXがリーフとの勝負に負けるというショッキングなCMは、多くの車好きたちに衝撃を与えました。日産の意図としては、ユーザーがEVに対して持っているイメージの払拭にあったようです。


革新的や先進的なイメージのほか、静かで環境に良いという魅力は伝わっていたものの、加速感や走行性能に対しては理解が低いことを挙げています。2023年にはリーフがジェット機と競争する第二弾的なCMが放映されて、良くも悪くも180SXを思い出した人も多いかもしれません。

みんな違ってみんないい

みんな違ってみんないい

CMが放映された当時は、180がリーフに負けるというショックがありました。皆がサーキット、ドリフト、峠などさまざまなチューニングを行っていた時代、180SXは、S14シルビアよりも硬派なイメージだったと記憶しています。シグナルスタートなら、スカイラインGT-R R32で十分だったのではないかとも思いました。


この当時のリーフは航続距離も短く価格帯は高額だったため、なかなかライター自身も、世の中的にも受け入れられていなかったと記憶しています。日産の思惑通りに、リーフは遅いのではないかと考えていました。


このCMの放映によって確かにリーフの速さは伝わり、思った以上の加速性能があることを実証しています。バーンナウトなどのドライビングテクニックがなくても、リーフのアクセルオンだけの速さはけた違いです。また、新たなモビリティの誕生を意識づけたともいえるでしょう。しかしなぜか手放しでスゴイと思えなかったのがライターの本当のところです。


時間は流れ、PHEV・FCV・BEV・HEVとさまざまな動力が用いられるようになった今、内燃機関が生き残る時間は限りがあるといえるでしょう。今後どのような動力が主流になってくるのかもよく分からない時代ではありますが、今まで車を動かしてきた内燃機関という車好きがワクワクした動力に対して敬意を持っていたいものです。

著者プロフィール

【KAKO MIRAI】車好きから始まった自動車サイトでの執筆は、パーツからチューニングまで多岐に渡る。トルクフルなV8サウンドに魅せられて、ユーロライクなCAMARO Z28から乗り換えたDODGE CHARGER HEMIと、CADILLAC XT5でアメ車を満喫中。最近まで足車はCHEVROLET SONICという筋金入りのアメ車好き。 いつかガソリン車のDODGE CHARGER Hellcat Redeyeを手に入れる夢が断たれ、現在の目標はCHEVROLET Corvette C8。内燃機関好きから見たEVを徹底分析していきます。

このブランドについて

  • NISSAN

    日産

    かつては日本第2位の自動車メーカーであり、自他ともに求める「技術の日産」として、真剣なクルマ選びに値する玄人好みのクルマがユーザーに支持される日産自動車。フェアレディZやスカイライン、GT-Rといった歴史と伝統を誇るV6DOHCターボエンジンのハイパワースポーツをイメージリーダーとして大事にする一方、2010年に発売したリーフ以降、SUVのアリア、軽自動車のサクラなど先進的なBEVをラインナップ。さらにエンジンを発電機として充電いらず、従来どおり燃料の給油で乗れる「e-POWER」搭載車を増やしており、モーターのみで走行するクルマの販売実績では、日本No.1の実績を誇るメーカーでもあります。
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