NEW
電気自動車のバッテリー寿命は何年?劣化を抑えるポイントや交換方法
公開日:2024/01/31更新日:2024/05/13
電気自動車に搭載されるバッテリーは消耗部品であり、定期的な交換やメンテナンスが必要不可欠です。この記事では、電気自動車のバッテリー寿命やバッテリーの劣化を抑えるポイント、交換方法について解説します。
目次
電気自動車のバッテリー寿命は「8年または走行距離16万km」が目安
電気自動車のバッテリー寿命は、一般的に「8年もしくは走行距離が16万kmに1回の交換」が目安時期です。電気自動車に搭載されるバッテリーには、リチウムイオン電池が搭載されています。
リチウムイオン電池は、大容量の電力を蓄えられるメリットがありますが、ある程度の使用年数の経過や走行距離ごとに交換が必要というデメリットもあります。
電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池は、蓄えられる電力が大きいため、駆動用バッテリーとして採用されるケースも多いです。
【参考】各自動車メーカーのバッテリー保証内容
自動車メーカー | 保証内容 |
---|---|
トヨタ | 新車登録日から5年間、もしくは走行距離が10万kmまで |
ホンダ | 新車登録日から5年間、もしくは走行距離が10万kmまで |
日産 | 新車登録日から5年間、もしくは走行距離が10万kmまで |
三菱 | 初度登録日から8年間かつ走行距離16万km以内 |
マツダ | 新車登録時から8年間かつ走行距離は16万㎞以内 |
スバル | 新車登録時から8年間、もしくは走行距離は16万㎞以内 |
電気自動車のバッテリーに関する基礎知識
電気自動車のバッテリーに関する基礎知識を詳しく解説します。電気自動車の購入を検討する方の多くは、車の基礎知識ではなく、金額面に意識が集中してしまう傾向があります。電気自動車のバッテリーに関する基礎知識を詳しく確認してみましょう。
電気自動車の駆動用バッテリーはリチウムイオン電池が主流
電気自動車の駆動用バッテリーには、リチウムイオン電池が採用されるのが主流です。リチウムイオン電池は、大容量の電力をバッテリー内部に蓄えられる特徴があり、電気自動車以外にも、携帯電話や産業ロボット、パソコンなどにも現在、使用されています。
さらにリチウムイオン電池は、同じ重量の電池の中に蓄えられる電力が多いため、駆動用バッテリーに採用されています。
他にも、リチウムイオン電池には、バッテリーの寿命が長いことや自然放電が少ない、100%満充電で劣化しにくいなどのメリットがあり、電気自動車になくてはならない重要部品の1つとも言えるでしょう。
ただし、低温時にバッテリー性能が低下しやすいというデメリットがあるため注意が必要です。
電気自動車のバッテリーに使われるリチウムイオン電池の種類
電気自動車に搭載されるバッテリーは、大きく分けて「三元系(NMC)」と「リン酸鉄系(LEP)」の2種類に分類されます。三元系(NMC)は、ニッケル、マンガン、コバルトなどの化学物質を正極に使用したリチウムイオン電池です。
一方、リン酸鉄系(LEP)は、リン酸鉄リチウムを正極素材に使用している電池のことを意味します。現在、注目されているリチウムイオン電池は、リン酸鉄系(LEP)であり、三元系(NMC)よりも高い価格で設定されていますが、バッテリーの寿命が長い、自然放電が少ない、満充電でも劣化しにくいなどの特徴が挙げられます。
三元系(NMC)とリン酸鉄系(LEP)のバッテリー寿命は、どちらも新車登録から8年、または走行距離が16万kmが目安時期です。
電気自動車のバッテリー容量の目安
電気自動車のバッテリー容量の目安は、20〜60kWhです。バッテリー容量は、電気自動車によって容量が異なります。具体的に、電気自動車の乗用EVである日産サクラや三菱eKクロスに搭載されるリチウムイオン電池の容量は、20kWhであり、満充電時にはWLTCモードで最大180kmの航続が可能です。
他にも、日産リーフには、40kWhの大容量バッテリーが搭載されているため、航続可能距離は600kmとバッテリー容量によって、航続可能距離が変動してきます。
電気自動車を購入検討している方の中で、航続可能距離を気にされる方は、比較的バッテリー容量の大きい電気自動車を選ぶことをおすすめします。
電気自動車のバッテリーが劣化する主な原因
電気自動車のバッテリーが劣化する主な原因を3つ解説します。
- 走行中に充電と放電を繰り返すため
- 高温環境下での車の使用によるバッテリーの急速な劣化
- 電気自動車に長時間充電しなかった
走行中に充電と放電を繰り返すため
電気自動車は、車を駆動させる際に充電と放電を交互に繰り返します。リチウムイオン電池は、他の電池と比較して劣化しにくい特徴がありますが、完全に劣化を防ぐことはできません。
充電と放電を繰り返すことで、炭素内に収まるリチウムイオンの量が減少してしまい、結果的にバッテリーの劣化原因になります。
動力源に電気を使用する電気自動車であるだけに、頻繁な充電による劣化リスクは避けては通れない問題点です。
バッテリーの劣化を防ぐためには、加減速の大きい運転を控える方法や暑い時期の保管場所に気を遣うなどの対策方法がおすすめです。バッテリーが劣化してきたと感じた場合には、バッテリー交換をおすすめします。
高温環境下での車の使用によるバッテリーの急速な劣化
電気自動車に搭載されるバッテリーは、熱に弱い特徴があります。特に真夏日に直射日光を浴びるような環境で駐車し続けていると、バッテリーに与えるダメージは計り知れないものです。
高温環境での電気自動車の使用を避けるためにも、日陰に駐車する方法や日焼けシートなどで高温を防止することをおすすめします。バッテリーが劣化してしまうと、バッテリー本来の性能が発揮できないため、航続可能距離が短くなる傾向があります。
バッテリーの劣化を感じる場合には、電気自動車本来の性能を最大限に発揮するため、交換をおすすめします。バッテリー交換の推奨時期は、初度登録から8年もしくは走行距離が16万kmに1回が目安です。
電気自動車に長時間充電しなかった
所有している電気自動車を長時間充電しないままでいると、バッテリーの劣化スピードを早める原因になります。リチウムイオン電池は、長時間使用状態が続くと「自己放電」と呼ばれる現象を起こしてしまいます。
自己放電とは、車を使用しない状態でもバッテリー内に充電された電気が放電されてしまう現象です。自己放電により、電気がなくなることで、バッテリーの劣化を促進してしまう原因になります。
長時間、電気自動車を使用しないまでも、最低でも、1週間に1回は充電することと車を使用することをおすすめします。バッテリーの劣化が進むと、最悪の場合、電気自動車に電気を充電できなくなる可能性もゼロではないと言えるでしょう。
電気自動車のバッテリー劣化によって起こる問題
電気自動車のバッテリー劣化による問題点をいくつか紹介します。
- 充電できる容量が減り、航続距離が短くなる
- 航続距離が短くなることで、充電時間や回数が増える
充電できる容量が減り、航続距離が短くなる
バッテリーの劣化が進むと、充電できる容量が減ることで、航続可能距離が短くなるデメリットがあります。日産サクラを例にすると、バッテリー容量20kWhで航続可能距離が180kmに対して、バッテリーが劣化すれば、最大160kmしか走行できない可能性もあります。
バッテリーの劣化は、長時間車を使用しなかった場合や加減速が大きい無理のある運転方法を行ったことで、促進されます。電気自動車にとって、バッテリーの劣化は走行性能自体に悪影響を与えてしまいます。
航続距離が短くなることで、充電時間や回数が増え
バッテリーが劣化することで、バッテリー容量が少なくなり、結果的には航続可能距離が短くなります。つまり、航続可能距離が、バッテリー本来で発揮できる性能を利用できないため、充電時間や回数が増えるデメリットも考えられるでしょう。
電気自動車の充電には、ガソリンの給油と同じく1回ごとに電気代が必要になります。充電回数が増えることで、余計な費用を負担しなくてはならないでしょう。バッテリーの劣化を少しでも抑えられる乗り方や所有方法を意識することが重要です。
電気自動車のバッテリー寿命を伸ばすためのポイント
電気自動車のバッテリー寿命を伸ばすためのポイントを4つ紹介します。
- 車のスピードを出しすぎないこと
- 急速充電を使用し過ぎないように意識する
- バッテリーが高温状態になり過ぎないよう対策する
- ディーラーなどで車の定期点検を実施する
車のスピードを出し過ぎないこと
電気自動車を運転する際、つい速度を出してしまうケースもあるでしょう。電気自動車を運転する際、加減速のある運転方法はエンジンやバッテリーに過度な負担をかけてしまいます。
電気自動車の場合、急激な電気の出し入れを行う際に発熱してしまい、バッテリーの性能を弱らせてしまうからです。高速道路や一般道では、法定速度を守り、安全運転を意識しましょう。
危険運転は、バッテリーの劣化を進めるだけでなく、大きな車両事故に発展する可能性も考えられます。
急速充電を使用し過ぎないように意識する
電気自動車を充電する際、不要な際に急速充電で充電する方法はおすすめできません。急速充電は、短時間で普通充電以上の電力を車に充電できるメリットがあります。
しかし、充電する際には、大きな電流を流すため、バッテリーの温度が上昇しやすくなるデメリットがあります。
電気自動車に搭載されたバッテリーは、熱に弱い傾向があり、劣化スピードを促進させる原因にもなりかねません。そのため、急速充電による不要な充電は避けるよう意識してください。
バッテリーが高温状態になり過ぎないよう対策する
電気自動車に搭載されたバッテリーが高温状態になり過ぎないよう対策することも重要です。各自動車メーカーでは、バッテリーが高温状態になり過ぎないよう、バッテリー温度を一定に保てる工夫を施しています。
しかし、長時間直射日光が当たる場所に電気自動車を駐車していれば、バッテリーが高温状態になる可能性が高くなります。
バッテリー温度の上昇を防止するために、サンシェードや断熱フィルム、遮光カーテンなどの対策がおすすめです。
ディーラーなどで車の定期点検を実施する
ディーラーなどで電気自動車の定期点検を実施する方法もおすすめです。電気自動車であっても、ガソリン車やハイブリッド車のように「車の定期メンテナンス」は必要不可欠です。
車の定期点検を実施することで、バッテリー性能の劣化確認やその他、関連部品の不具合確認をプロの整備士が行ってくれます。
ガソリン車などとは違い、オイルやフィルターの交換を実施する必要がないため、点検費用は高額ではありません。所有する電気自動車のバッテリー性能を最大限に発揮するためにも、定期的なメンテナンスは欠かせないポイントです。
電気自動車のバッテリーが寿命を迎えてしまったら
電気自動車のバッテリーが寿命を迎えてしまった際の対処方法を解説します。
- 電気自動車のバッテリーは交換できる
- バッテリーの交換時期は保証期間を参考にする
- 電気自動車のバッテリーの交換費用を把握する
- 新しい電気自動車に乗り換える方法もおすすめ
電気自動車のバッテリーは交換可能
電気自動車のバッテリーは交換可能です。電気自動車に搭載されるバッテリーは、車の関連部品と同じく消耗部品の1つであり、一定期間で交換を推奨しています。
バッテリーの交換推奨時期は、初度登録から8年もしくは16万kmに1回です。バッテリーを交換することで、現在所有している電気自動車の性能を最大限に発揮できます。
メーカー保証範囲内であれば、無料でバッテリーの交換が可能です。詳しい保証期間は、購入したディーラーや販売店に確認してみましょう。
バッテリーの交換時期は保証期間を参考にする
バッテリーの交換時期は保証期間を参考にすることをおすすめします。バッテリーの交換時期は初度登録から8年もしくは走行距離が16万kmに1回が目安です。
ただし、各自動車メーカーによって、バッテリー交換の保証期間や保証内容、保証部品などが異なります。
メーカーが推奨しているバッテリー交換の時期が分からない方は、まず各メーカーが発表しているバッテリー交換の推奨時期を確認してみることから始めてください。何より電気自動車を購入する前に確認しておくことがベストです。
電気自動車のバッテリーの交換費用(目安)
電気自動車のバッテリー交換費用は各メーカーや販売店、修理工場によって異なります。一般的にバッテリー容量が大きい商品ほど、作業工賃は同じですが、商品自体が高額になります。
最低でもバッテリー単体購入と取り付け工賃を含めて10万円以上の費用は覚悟しておきましょう。バッテリー交換費用を抑えるためにも、メーカー保証の適用範囲時期に交換することも賢い選択肢です。
まずは、電気自動車を購入する前にバッテリー交換に必要な費用を確認してみてください。
バッテリーが寿命を迎えたら電気自動車を買い替える選択肢も
バッテリーが寿命を迎えた場合、新しいバッテリーに交換する方法もありますが、新しい電気自動車に買い替える方法もおすすめです。
ディーラーで提供されている残価設定型クレジットなどのお得な乗り換えプランを利用すれば、バッテリー交換時期がくる前に新しい車に乗り換えられるメリットがあります。
電気自動車もガソリン車と同じく、使用経過年数が長くなるほど、バッテリー交換以外に様々な故障や不具合が発生してしまうでしょう。
数年ごとに新しい電気自動車に乗り換えることで、バッテリーの寿命を迎えることを心配する必要がありません。
電気自動車のバッテリー寿命についておさらい
電気自動車のバッテリー寿命は意外と理解しているようで把握していない方は大勢います。そのため、電気自動車の購入費用も大切ですが、バッテリー寿命やバッテリー交換費用を理解しておくことで、電気自動車を所有する際の維持費を把握することにも繋がるでしょう。
この記事の内容を参考にして、是非電気自動車に搭載されるバッテリーについての知識を深めてみてください。
こちらもオススメ
こちらもオススメ