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アメリカにおける電気自動車(EV)市場とバッテリーリサイクルの重要性
公開日:2024/03/12更新日:2024/03/12
その目標に向けて、インフラ投資法(IIJA)やインフレ制限法(IRA)を通じてさまざまな施策が打ち出されており、2023年におけるアメリカのクリーンビークルの販売台数は、2022年と比べて上昇しています。
しかしEVの普及と同時に考えなくてはならないのが、課題とされているバッテリー問題。EVのバッテリーの材料となるコバルトやリチウムの埋蔵量には限りがあるため、その代替策としてリサイクル&リユースに注目が集まっています。
さまざまな施策を打ち出しEV普及を加速させるアメリカは、EV用バッテリーのリサイクル事業にどのように向き合っているのでしょうか。そこで今回は、アメリカのEVにおけるバッテリーリサイクル事業における政策や、バッテリーリサイクルを行う企業の例を見ていきましょう。
目次

カースモーラちゃんのPICK UP
- アメリカはバッテリーの材料を海外からの輸入に頼っているけど、その状況からの脱却を目指しているよ。
- バッテリーのリサイクルに積極的な投資も行っているんだ。
- リサイクル技術を活用した企業も登場してきているよ。
アメリカにおけるEVバッテリーの課題

EVの普及とGHG(温室効果ガス)排出量の削減を目指す中、サプライチェーンの強化と国内産業の保護はバイデン政権が直面する重要な課題となっています。
アメリカ連邦政府は、2030年までにGHGの排出量を2005年比で50~52%削減するという目標を掲げています。この目標を達成するため、EV普及を積極的に推進し、2050年までに経済全体のGHG排出量を実質ゼロにすることを計画しています。
しかし、急速なEVシフトによる自動車産業の空洞化も懸念されており、政府は雇用の安定を図るため、車両のライフサイクル全体を通して国内や同盟国のサプライチェーンを強化することを目指しています。特に、EVの核心であり車両価格の約3分の1を占めるバッテリーは大きな課題の一つ。
現在、バッテリーの材料や部品の大部分が中国を含む海外からの調達に依存していることは、特に解決すべき問題でしょう。EV用バッテリーに使用される重要鉱物にはリチウム、コバルト、ニッケル、マグネシウム、黒鉛などが含まれます。
しかし、リチウムやコバルト、ニッケルはアメリカ内で一部生産されているものの、マグネシウムと黒鉛については現時点で国内生産が認められていない状況です。
中国からの依存脱却をどのように目指すの?

バイデン政権はクリーンエネルギーを戦略的な優先項目として位置づけており、特にアメリカ国内でのバッテリー材料や鉱物の供給を増やすことで中国への依存からの脱却を目指しています。そのために、どのような施策を推進しているのでしょうか。
アメリカで製造されたEVには税額控除が
インフレ抑制法の一環として、消費者がEVを購入する際には税額控除を受けることができます。対象となるEVは、2024年1月時点でアメリカ自動車メーカーの19モデル。
これは、2022年8月17日に発効した「北米での最終組み立て要件」と2023年1月1日に発効した「車両の希望小売価格の上限」「購入者の所得上限」の要件を満たしている必要があります。それに加え「バッテリー関連の調達価格要件」の全て、またはいずれかをクリアすると税額控除額が増額される仕組みです。
また、2024年1月1日をもって新ルールが発効されました。この新しい規則では中国メーカー製のバッテリー部品を使用した車両は、税額控除から除外されることに。
さらに最大7,500ドル(約106万円)の控除対象となる車種が大幅に減少しました。
バッテリーメーカーへの積極的な融資
アメリカエネルギー省の融資プログラム局は、2021年以降、米国のEVバッテリーメーカーに100億ドルを超える融資を提供してきました。
また、バッテリー材料の生産施設、リチウム採掘・加工プロジェクト、およびバッテリーリサイクル業者への支援も行っています。これにより、バッテリーの国内生産基盤の拡大と技術革新が促進されています。
バッテリーのリサイクルに向けた資金提供
リチウムイオンバッテリー市場は、EV需要の増加により、2030年までに最大10倍に増加すると予測されています。そこでアメリカエネルギー省は2022年6月に、バッテリーのリサイクルに向けて1億9,200万ドルを超える新たな資金提供を発表しました。
2019年にスタートした、革新的なリサイクルソリューションを開発した企業や団体に対して贈られるリチウムイオン電池リサイクル賞の継続など、さまざまな取り組みに活用されます。
リサイクル技術を活用した企業への投資も加速

アメリカでは新規の鉱山開発が難しくなっており、それはEVバッテリーに必要な鉱物の入手が困難であることを意味します。鉱山開発がスムーズに進まない理由としては、環境破壊への懸念から地元の強い反対運動が起きていることにも原因があるようです。
この問題も、バッテリーリサイクルへの資金集中の背景の一つとなっています。そこで注目されるのが、リチウムイオンバッテリーのリサイクル企業。
2015年に設立されたアセンド・エレメンツ社もその一つです。同社がリサイクルしたバッテリー材料は新品と同等の性能を持ちながら、炭素排出量を最大93%削減するとされています。
同社の技術はさまざまな種類の部品の供給に対応できる点も特徴。現在ケンタッキー州に大規模な製造工場を建設中で、その投資額はなんと最大10億ドルに上ります。
また、レッドウッド・マテリアルズ社は、使用済みのEVバッテリーを回収、分解し、ニッケル、銅、コバルト、リチウムなどの金属からEVバッテリーに使用できる新しい部品を製造しており、アメリカエネルギー省は20億ドルの融資を行う計画もあるとのこと。
同社はその資金を利用して、ネバダ州カーソンシティの拠点を軸としてアメリカでの事業拡大を計画しているようです。

カースモーラちゃんのまとめ
国内産業をより盛り上げるためにアメリカ国内や友好国で製造された車を優遇したり、バッテリーリサイクルを推し進める企業へ積極的
資金提供したり、さまざまな施策を行っているんだね。これからのアメリカの動きにも注目したいね。
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