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EVで3日間、1000km走破してみた!

今回の検証ポイントは「EVって長距離走れるんですか?」という点。

EVに対して世間からは、「EVは長距離走らない」や「長距離やロングドライブは厳しい」と言った意見がちらほらあるようです。

ガソリン車との大きな違いはやはり充電が必要になる点。そしてその充電施設はガソリンスタンドほどまだ整備されておらず、数も少ないのが現状です。充電を念頭に置いた上での移動というのが、従来のガソリン車と大きく異なってくる点かと思います。

なので今回は週末を使って、高速道路から下道までガッツリ1000kmを走り倒して、EVに対する「長距離移動ってできるの?」「丸一日運転して使えるものなの?」という疑問をチェックしてみたいと思います!

それではスタートです!

目次

  1. 1日目【東京-大阪編】
  2. 2日目【大阪+奈良周遊編】
  3. ついに!ついに1000kmを走破!!

1日目【東京-大阪編】

カーナビ
カーナビ

東京から大阪までの500kmを高速を使って移動します。


スタート時点は92%の充電量。トリップメーターの代わりとなる、個別設定の値を0kmに設定し、大阪に向かいます。約6時間半の長旅です。

駿河湾沼津

途中スタート地点から140kmほど走った新東名の駿河湾沼津で一度充電を挟みます。ここまでは快適です。

カーナビ

充電は68%まで減っていました。

カーナビ

利用したのは90kWの急速充電。30分の充電で68%→88%まで回復しました。これなら安心して大阪を目指せそうです。今回の充電時間内で食事やトイレ、買い物などを済ませたので時間の使い方としてはバッチリでした。

カーナビ
カーナビ

大阪に到着しました。500km到達時の残充電は25%。360km走って63%を消費した計算になります。


高速道路をフルに活用し、途中1回の充電のみで大阪までたどり着くことができました。今回のような高速を使った長距離移動は、PAでの食事やトイレを済ませている時間で充電ができるので、ガソリン車よりも効率よく移動できる気がします。また高速道路のガソリンスタンドはかなり割高なので、値段の差がないEVの方がお得感がありました。多くのSA PAで急速充電施設が設置されているので、充電スポット探しの不安が少ないのもグッドポイントでした。


個人的にはこういった長距離移動はガソリン車よりもむしろEVのほうが良いのでは?と今回の検証で考え方が変わりました。充電施設も多いですし、充電の時間を休憩に当てられる点が何よりも良いですね。


友人と現地で待ち合わせしていたので集合地点まで向かいます。その前に一度充電を挟みました。スタート地点から2回目の充電です。

カーナビ
カーナビ

23%→39%まで充電することができました。今回利用したのが90kWの急速充電施設だったのですが、時間帯で切り替わるらしく、途中で45kWに出力がダウンしていました。こういったケースは初めてです。


食事や温泉に入りに行ったりと、高速だけでなく下道でも活用しました。今回使用したiX M60ですが、大阪の狭い路地でもインクレイデットアクティブステアリング(※前輪だけでなく、後輪も左右に向きを変える機構)のおかげもありスイスイと曲がっていきます。大柄なボディのため最初は少し不安でしたが、小回りがかなり効くので非常に運転がしやすかったです。


【1日目終了時】


走行距離

約520km
充電回数2回

高速がメインだったので特に充電に対する煩わしさは感じませんでしたし、航続距離に関する不安も一切ありませんでした。今回は使用できなかったのですが、関西にはコンビニや銭湯などにも充電施設があったりするので、上手く利用できればさらに気にせず走れたかなと思います。

2日目【大阪+奈良周遊編】

2日目【大阪+奈良周遊編】

さて2日目スタートです。初日が一人で長距離移動だったので寂しかったですが、2日目は友人にも協力してもらい、大阪から奈良県を目指します!


EVで訪れると記念品がもらえたり、通行料金がお得になるという優遇措置があると聞き、関西にある観光道路を巡りました。大阪から奈良までは高速での移動、奈良に入ってからはアップダウンの激しい山道や渋滞気味な観光地周辺などあらゆるシーンに飛び込んでいきます。

詳細はコチラ!

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    2024/07/31

看板

大阪を朝出発し、高速で1時間ほどで奈良県へ。


これから奈良市街を横断し、山道も走るので事前に1度充電を挟みました。スタートから3回目の充電です。


利用したのは日産自動車さんのディーラー。快く迎えてくださり、駐車の際に誘導までしていただきました。また店内で休んでいても良いとお声がけいただき、親切なご対応に驚きました。こういった経験はガソリンスタンドではできないのでEVならではと感じます。時間に余裕を持っているのであれば、ディーラーさんでゆったり休みつつ充電するなんて過ごし方も良いのかもしれません。


(※全てのディーラーさんで店内休憩可能とは限りません)

カーナビ
カーナビ

500km到達時から58km走行しました。充電前のバッテリー残量は32%。こちらは50kWの充電施設でした。

カーナビ

充電後は51%に。航続可能距離も239kmと半日は余裕で持ちそうです。


充電の間は近くのコンビニで朝ごはんを食べつつ、時間が過ぎるのを待ちました。この充電の間に少し手持ち無沙汰感を感じる節はありましたが、時間も押していなかったので焦らず待つことにしました。

奈良奥山ドライブウェイ

奈良の東西にある信貴生駒スカイラインと奈良奥山ドライブウェイを走り、そのまま東大寺がある奈良市外へ。距離的にはそこまで長くないので、充電の心配をする必要もなかったです。アップダウンの激しい山道を走ったので、もう少しバッテリーに対して精神衛生的に乱されるかな、とも思ったのですが問題なく走ることができました。

鹿

お前に会いたかったんやで!

ちゃんと鹿さんにもご挨拶。


奈良をぐるっと堪能し、大阪市内に戻り本日2回目の充電です。スタート時から4回目の充電となります。

2日目は夕方までで約150km近く走りました。ここまでの総走行距離は644km。

カーナビ
カーナビ

32%→51%まで充電完了。こちらも出力50kWの充電施設でした。


今回奈良を走って思ったのが、下道メインの移動であれば、充電に対して神経質に考える必要もなさそうです。


どうしても航続距離や残充電をパーセンテージで表示されると、100%にしておかなきゃ!と意識してしまうのもあるのですが、実際走ってみると半日以上走ってもまだ充電には余力がありますし、30分の充電で1日分の走る距離くらいは充電できるので気持ちが楽でした。


日が暮れてからは昨日同様、食事やお風呂への移動に使用。そしてこの日の夜友人と別れ、宿泊先へと向かいます。途中に大型ショッピング施設内に充電スポットがあったので、明日の帰路に備え充電をします。


逆にこれから長距離を乗るぞ!となった時は充電が多少面倒に感じてしまいました。なるべく出発前に多めに充電しておきたいと考えると、1回の充電では足りないケースも出てきます。そうなると移動範囲の中で2箇所充電の予定を入れたりと、時間や労力をどうしても取られてしまうことがあります。別の予定や時間の制限なども多い中で、充電のためにどれだけストレスフリーに時間を取れるかが、上手くEVを使うポイントになってくるのではないでしょうか。


個人的に長距離移動自体はEVとかなり相性が良く、快適だなと感じているからこそ、長距離移動前の充電をどうするかが考えさせられる部分でもありました。


スタート時から5回目の充電です。2日目の間で3回目の充電になります。朝から夜までフルで運転していたので回数は増えますね。

充電画面
充電画面

41%→63%充電できました。ここも出力は50kWの施設です。

カーナビ

この充電の後も移動したので、2日目の走行距離はちょうど250kmほどでしょうか。ようやく1000kmが現実味をおびてきました。あとは明日の帰路で念願の1000kmぴったりを目指すのみです。


ここでディスプレイの下にある「個別設定リセット」を押したら全てが水の泡になるので、ドキドキしながら操作していました。誤って触ってしまいそうで気が気じゃなかったです。


【2日目終了時】


走行距離

約250km
充電回数3回

1日目とは打って変わり、ほとんど下道を使って移動しました。高速ですとSAもあるので充電の計画が立てやすいですが、下道となるとどこに充電スポットがあるのか、この後のスケジュール的にいつ充電すれば安心か、などを考える必要がありました。予定をパンパンにしてしまうと、EVだと結構きつい側面も出てくるなと感じます。もちろん航続距離を超えなければ良い話ではありますが、バッテリー残量ギリギリで走るのは気持ちの面でもあまり良いものではありません。


「充電スポット探しには困るのか?」という点ですが、奈良大阪の一般道に関しては全く困ることはありませんでした。もう少し探すのに苦労するかなと思っていたのですが、どの場所にいてもすぐ近くに充電スポットがあったので快適に使うことができました。商業施設やコンビニなどにもあったのでかなり便利だと思います。ですが地域や県によっても異なると思うので、この辺りはまだまだ一概には言えない部分でもあるかもしれません。


3日目の朝を迎えました。今日は大阪から東京に帰る日です。さて気になる総走行距離数は...

カーナビ

774km!2日目の関西周遊で思ったよりも走っていますね。これから高速に乗って帰るので、乗る前に1度充電をしておきます。今回使用するのはラッキーなことに90kWの充電施設です。スタート地点から6回目の充電です。

カーナビ
カーナビ
カーナビ

48%→77%まで充電されました。やはり50kWに比べて幾分早いですね!バッテリー残量が7割以上あると気持ち的にもかなり安心できます。


さて、帰路につきますがここからが超難問。


なんとしてもメーター1000kmぴったりで止めたいのです。しかし高速に乗ってしまっては目的地まで着くまでに余裕で1000kmを越してしまう。


そこで今回は、途中のICで降りて、下道を走って調整することで1000kmぴったりに合わせたいと思います。下道でも駐車ができない大通りや、狭い道などにハマってしまっては意味がないので、余裕のある道を慎重に選びたいと思います。また新東名に乗ってからはICの間隔がかなり広くなっています。かといって手前で降りすぎても下道をひたすら走ることになるので、どこで降りるかはかなり悩むポイントです。


ここが達成されるかでこの3日間の全てが決まるといっても過言ではありません。逆にいうと1kmでも過ぎれば、僕にとって大失敗に終わってしまう本企画。さて、一緒に結末をご覧いただきましょう。

街道

「えっと...ここはどこですか...?」とりあえず意味のわからない場所でおりました。


メーターが970kmくらいで降りようかと思っていたのですが、新東名にすでに入ってしまい、次のICの看板が全く現れない絶望的な状況に陥ってしまいプチパニックになってしまいました。マップを見ると山の中にどんどんと入っていきます。

マップ

赤線が新東名。ほぼ山でした。

「あはは、終わったわ」と心の中でどうしようもない焦りが噴出している中、次の瞬間看板には「岡崎東IC」の文字が!!


先ほどの写真は、私が生涯その名を忘れることのないであろう、救世主「岡崎東IC」を降りた先にあるコンビニの駐車場です。とりあえず鼓動が早まった心臓を落ち着かせるためにアイスを食べました。夏間近の気温ということもありとても美味しく感じました。


さてここからは下道を慎重に進み、1000kmぴったりで止まれる場所を探します。「運要素がかなり強くないか?」と我に帰る瞬間もありましたが、ここまで来たんです。男として引き下がれません。


広そうな道をマップで調べ山の中への突入していきます。


そしてついに....

カーナビ

違うのよ!もうちょい!あとほんのちょっと!

カーナビ

ついに!ついに1000kmを走破!!

BMW

やっっっっったーーーー!!!1000km達成!ここまで死ぬほど神経すり減らし、いい感じの道を見つけなんとか迷惑にならないポイントで停車することができました。


嬉しそうな写真を撮ろうとしたのですが、プレッシャーから解放された感が滲み出ています。疲れましたね。

バック

ふと上を見上げたらそこには夏の空と、生い茂る緑たち。心が洗われました。


さて、3日間1000kmを走破しましたが、充電に費やした時間は・・・


充電回数

6回(50kW 4回 90kW 1回 90kW-45kW 1回)
充電時間3時間

という結果になりました!


この3時間という結果を見てどう思いますか。今回は就寝中に充電は一切しておらず、すべて出先での充電でした。ラッキーなことにほとんどが近くに充電設備があったおかげで、「充電にスケジュールを引っかき回された...」というネガティブな印象はありませんでした。ただしこの3時間はあくまで充電に「費やした時間」なのであって、そこまでの「充電のための移動時間」は含まれておりません。


実際に1000kmガッツリ走ってみてですが、「すんなり行けてしまったし、不便はそこまで感じなかった」というのが正直な感想です。というのも、もっと神経質に充電のことを気にかけたり、バッテリーの減りに対して振り回されてしまうかなと思ったのですが、思いの外快適に不自由なく過ごすことができました。途中友人と移動し、充電を一緒に待ってもらう時間なども発生しましたが、その時間もお互いにそんなに苦ではなかったです。


ですが、常に移動していたい方や、時間ある限り色々な場所を回りたい方にとっては、充電スポットまでの移動や、充電の時間が煩わしく感じてしまうかもしれません。この時間があればあそこ行けたのに...! と思ってしまう人もいれば、場所によってはEVの充電施設がすごく遠いなんてこともあるでしょう。


長距離の移動という観点でみてみると、個人的にはガソリン車よりもEVの方が良いと感じました。特に高速道路での長距離移動はEVだと休憩中に充電ができたりと、時間の使い方に対するお得感を感じられて非常に良かったです。充電施設のインフラが整っているからこそ、バッテリーに対する心配も少ないのも影響しているかもしれません。もちろん用途や乗る方の求めるものによって異なってきますが。イメージとして持たれがちな「EVは長距離は走らない」という懸念は今回の1000km走破で大分払拭されたのではないでしょうか。

著者プロフィール

【あんどりゅー】幼少期から親の影響で車に興味を持ち、自転車やバイクを含む乗り物全般が好きな人間に。地元の友人たちと夜な夜な車やバイクを乗り回し、山の中を駆け回る10代後半-20代前半を過ごす。初めて買った内燃機関は原付のホンダトゥデイ。近頃はゆるゆるとバイクに乗って林道を巡ったり、車中泊をしながら日本のあちこちを探検したりしています。将来の夢はカプリスワゴンに柴犬を乗っけて海辺をドライブすること。

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