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フォーミュラEだけじゃない!それぞれに魅力が違うEVレースの面白さをご紹介

2024年3月最終日の週末に行われたEVレース『東京E-Prix』は、大盛況で幕を閉じました。バッテリーマネジメントが勝敗を分けるカギになることや、激しい追い抜きのバトルが大きな見どころのひとつだったのは、間違いありません。そんなEVレースは『フォーミュラE』のほかにも数多く開催されているのをご存知でしょうか。今回はそれぞれのEVレースの魅力に迫りたいと思います。

目次

  1. EV-GP
  2. LEAF-e Trophy
  3. まとめ

EV-GP

EV-GP

全日本EV-GP(JEVRA)は2010年に誕生し、主に関東近郊で開催しているEVレースです。主催しているのは『日本電気自動車レース協会(JAPAN ELECTRIC VEHICLE RACE ASSOCIATION)で、主要メンバーはモータースポーツのレジェンドと呼ばれる面々が顔を揃えています。


このレースの見どころは、市販されている電気自動車から、完全自主製作の改造車まで、すべての車両が同時に競い合う混合レースにあります。出力の小さな車両が出力の大きな車両とサイドバイサイドを繰り広げるスリリングなレースが観客を沸かせ、大きな醍醐味といえるでしょう。

参加概要

参加の条件はモータで駆動する電気自動車ならOK。そのため、エンジン駆動を持つハイブリッドやPHEVなどは参加できません。エントリー車両は、モータの大きさや車種によってクラス分けがされます。内容は以下の通りです。


・EV-1クラス:市販車クラス モータ最大出力250㎾以上

・EV-2クラス:市販車クラス モータ最大出力150㎾以上250㎾未満
・EV-3クラス:市販車クラス モータ最大出力150㎾未満
・EV-Sクラス:市販車クラス SUV・モータ出力自由
・EV-Cクラス:コンバートEV(エンジンをモータとバッテリーに変換した車両)
・EV-Fクラス:市販車クラス 燃料電池のFCV

・EV-Rクラス:市販車クラス、レンジエクステンダー(発電をエンジンで行う車両)

・EV-Pクラス:プロトタイプクラス 開発車両、レース専用車両

参加チーム

参加しているチームは、プロのレーシングチームから自動車メーカーの社員チームなどさまざまです。もちろん一般の参加も可能で、EVの所有やJEVRAの規則に則ったサーキット走行の技量があれば、誰でも認められています。

2024年のレース予定

第1戦 3月10日(日)全日本もてぎEV55㎞レース大会

第2戦 4月27日(土)全日本筑波EV55㎞レース大会
第3選 6月29日(土)全日本袖ヶ浦EV55㎞レース大会
第4戦 8月10日(土)全日本もてぎEV60㎞レース大会
第5戦 9月28日(土)全日本富士EV55㎞レース大会
第6戦 10月20日(日)全日本筑波EV60㎞レース大会

3月に行われた第1戦では『Guif Racing Japan』と『Team TAISAN』がそれぞれTesla Mode l S Plaid を仕上げてきたこと。Model Sはポルシェ タイカンを抑えてニュルブルクリンク最速のEVとして話題になりました。トリプルモーター搭載で最高出力1,100hpをたたき出しています。


ここ数年はTesla Model 3が圧倒的な強さを誇るEV-GPでしたが、今期は大波乱となるかもしれません。『Guif Racing Japan』のKIMIこと八代公博選手はこの第1戦でポールポジションを獲得し、初優勝を果たしました。続く2位には『Team TAISAN』の密山祥吾選手が入り、Model 3一強に波乱を起こしています。


今シーズンの今後は目が離せない展開になるのではないかと期待が高まりそうです。EV所有者でレースに参加してみたいと考えているなら、ちょっと気になるレースではないでしょうか。

LEAF-e Trophy

LEAF-e Trophy

2017年にリーフだけを使用したワンメイクのスプリントレース(100㎞以内の短距離レース)として、当初は年間で4戦のシリーズとして開催されていました。現在はEV車だけで行われる走行会の「EV Day」に組み込まれる形で年間2回行われています。


ちなみに2023年は「SCCN(日産スポーツカークラブ)」主催の「MAY RACE MEETING in TSUKUBA」内の走行会で開催されました。

・参加概要

「EVアタック」では、初心者向けのビギナークラスと中上級者向けのアタッククラスを設定。各20分間のフリー走行内でのタイムアタックを行います。レース形式の「eトロフィーレース」では、3つに分けたクラス設定です。


クラス名車種最高出力(㎾)
E1リーフZE0、AZE0、アイミーブ、ドルフィン、サクラなど~100未満
E2リーフZE1、ドルフィンLR、HONDA e、UX300eなど100~160以下
E3改造車、コンバートEV、トミーカイラZZなど不問

2023年に開催された『EV Day』ではリーフだけではなく、「E1クラス」ではリーフのほかに三菱 アイミーブやFIAT 500eなども参加しています。「E2クラス」ではHONDA e のほかにもBMW i3やプジョーe208といった輸入車の姿も見られました。


「EVアタック」ではTesla Model 3、スバル ソルテラ、トヨタ MIRAIがエントリーしています。2022年には新たに「MV2」クラスが設置され、PHVやPHEVも参加可能です。昨年は三菱 エクリプスも参戦しています。


『LEAF e-Trophy』は、リーフのワンメイクレースではなく、さまざまなEV車が参加できるレースです。2024年も春と秋に開催される予定です。自動車の未来がEVになっていっても、モータースポーツの面白さは変わりません。車との楽しい時間を作れることを、たくさんの人に知ってもらいたいレースのひとつです。

まとめ

まとめ

今後はEVに大手の自動車メーカーのチームが参戦してくることが予測されています。上位争いが拮抗してくることによってより高度なレース展開が実現できる可能性は高くなるでしょう。観戦をする我々の期待も高まることにつながります。サーキットで先ずはEVを観戦することから始めてみませんか。

著者プロフィール

【KAKO MIRAI】車好きから始まった自動車サイトでの執筆は、パーツからチューニングまで多岐に渡る。トルクフルなV8サウンドに魅せられて、ユーロライクなCAMARO Z28から乗り換えたDODGE CHARGER HEMIと、CADILLAC XT5でアメ車を満喫中。最近まで足車はCHEVROLET SONICという筋金入りのアメ車好き。 いつかガソリン車のDODGE CHARGER Hellcat Redeyeを手に入れる夢が断たれ、現在の目標はCHEVROLET Corvette C8。内燃機関好きから見たEVを徹底分析していきます。

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