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トヨタの燃料電池自動車MIRAI(ミライ)に高速道路でタイヤチェーンを巻くハメになった!

高速道路では、「冬用タイヤ規制」や「チェーン規制」といったタイヤの規制があり、準備がないと規制によって走行できなくなってしまう場合があります。タイヤにチェーンを装着するとどちらの規制でも走行可能です。

積雪地域以外に住んでいる人が、積雪地域に向かう際には特に、「天気予報を見て大丈夫そう」と思っていても、車にチェーンを積んでおくと良いでしょう。

今回は、カースモーラの編集部員Sが、愛車のトヨタの燃料電池自動車のMIRAI(ミライ)に高速道路でチェーンを巻くハメになった体験談をお伝えします。燃料電池自動車の水素ステーションの数が不足しているので、迂回で当初の予定外の走行が増え、燃料が持つかどうか冷や冷やしたといいます。

目次

  1. タイヤチェーンとは?
  2. タイヤチェーンは3種類ある
  3. タイヤチェーンの寿命は異なる
  4. タイヤチェーン・スタッドレスタイヤの特徴を比較
  5. タイヤチェーンを装備すると高速道路の規制を走行できる
  6. タイヤチェーンを装着することに
  7. タイヤチェーンの選び方
  8. タイヤチェーンで雪のない道路を走行しない
  9. タイヤにチェーンを巻く感じはガソリン車と変わらない
  10. メンテナンスを行わないと錆びてしまう恐れがある
  11. まとめ

タイヤチェーンとは?

タイヤチェーンとは?

実際の体験談をお話しする前に、タイヤチェーンについて説明します。


タイヤチェーンは、雪道や凍結路面を走行しやすくするために補助する緊急用の装備です。


とくに坂道やカーブなどの運転時に、タイヤチェーンは有効です。滑りやすい不安定な路面に対して高いグリップ力を発揮し、車の安定性が上がります。

タイヤチェーンは3種類ある

ここではタイヤチェーンの種類を3つ紹介します。
チェーンの種類
  • 金属製タイヤチェーン
  • ゴム製・樹脂製タイヤチェーン
  • 布製タイヤチェーン

金属製タイヤチェーン

タイヤチェーンといえば、金属製のタイプをイメージする方も多いでしょう。金属タイプは、はしご型(ラダー型)と亀甲型(リング型)の2種類に分けられます。


はしご型より亀甲型の方が乗り心地が良いうえ、旋回時にバランスの良いグリップ力を発揮するのが特徴。一方ではしご型は、横方向の傾斜や力に弱く横滑りしやすいといわれています。


金属製タイヤチェーンは長距離走行し続けると破損しやすく耐久性に優れていませんが、比較的安く購入できるので価格を抑えたい方におすすめです。

ゴム製・樹脂製タイヤチェーン

非金属タイプのタイヤチェーンの中でも雪上・氷上での性能が高く、金属タイプに比べて騒音が少なく乗り心地も快適です。


メーカーからさまざまなタイプが販売されており、タイヤと地面の接する部分が多い製品ほど積雪路面や凍結路面に高い効果を期待できます。


金属製タイヤチェーンに比べると価格が高いですが、乗り心地や耐久性も高いのがポイントです。

布製タイヤチェーン

布製タイプは自動車の純正採用がされるケースもあり、他のタイプに比べて取り付けやすいのが特徴です。


金属タイプの場合はある程度の力が必要になったり、車を動かさなければならなかったりと商品によって取り付けが難しい傾向です。一方で布製タイヤチェーンなら、高齢者や女性の方などで力に自信がない方でも装着しやすいでしょう。


ゴム製・樹脂製タイヤチェーンに比べて耐久性が低く長距離走行に不向きですが、タイヤ全体をカバーできるため安定して走れるのがメリットです。

タイヤチェーンの寿命は異なる

タイヤチェーンの寿命は、以下の通り材質によって異なります。


種類

寿命

金属製タイヤチェーン

5年〜10年

ゴム製・樹脂製タイヤチェーン

5年

布製タイヤチェーン

100km(乾燥路面)

使用方法や保管方法によっては、寿命が早まるケースもあります。


一般的に金属製やゴム製のタイヤチェーンはすり減ることによって劣化が進みますが、布製チェーンはほつれが劣化の原因です。布が傷んだり穴が空いたりした際は、新しいタイヤチェーンに交換するのが良いでしょう。

タイヤチェーン・スタッドレスタイヤの特徴を比較

タイヤチェーン・スタッドレスタイヤの特徴を比較

体験談に入る前にもう少し。ここでは、タイヤチェーンとスタッドレスタイヤの性能を比較していきます。

タイヤチェーンは高いグリップ力を発揮する

タイヤチェーンはタイヤに装着することで凹凸が生まれ、積雪路面や凍結路面でスタッドレスタイヤよりも高いグリップ力を発揮します。


タイヤチェーンの種類にもよりますが、凍結路面での制動距離(※)が比較的短いのが特徴です。


JAFが行ったテスト実験によると氷盤路で時速40kmから急ブレーキを踏んだとき、スタッドレスタイヤの制動距離が78.5mだったのに対して、タイヤチェーンは59.0mでした。


タイヤチェーンの利用シーンは限られていますが、知識を得ることによって装着するかどうかの判断ができます。降雪地域に住んでいない方も、タイヤチェーンの特徴を理解すると良いでしょう。


(※)制動距離とは、ブレーキが効いてから車が停止するまでに進んでしまう距離のこと。

スタッドレスタイヤは雪がない路面でも乗り心地が良い

スタッドレスタイヤはタイヤチェーンに比べて、雪がない路面でも乗り心地が良いのが特徴です。またスタッドレスタイヤは、ゴムの素材に工夫を加えることで雪上性能と氷上性能を高めています。


例えば、雪道でグリップ力を確保するために沢山の溝が切られています。また接地面のブロック一つひとつに小さなサイプと呼ばれる切り込みもあり、凍結路面でも摩擦力を得られる構造です。


スタッドレスタイヤなら乗り心地が良いうえに毎回取り外す手間もかからないため、降雪地帯の方は冬に履き替えることをおすすめします。

タイヤチェーンを装備すると高速道路の規制を走行できる

高速道路のタイヤ規制には「冬用タイヤ規制」や「チェーン規制」の2つがあります。
2つの規制の特徴をそれぞれ見ていきましょう。

冬用タイヤ規制

冬用タイヤ規制とは、高速道路を走行する際にスタッドレスタイヤなどの冬用タイヤまたはチェーンの装着を義務付ける規制のことです。

チェーン規制の場合は冬用タイヤを装着していても高速道路を走行不可となりますので、注意が必要です。

チェーン規制はチェーンの装着が必須となります。

タイヤチェーンを装着すると、高速で冬用タイヤ規制が実施されても走行できます。ノーマルタイヤの車は、チェーンを用意しておくと良いでしょう。

チェーン規制

チェーン規制の場合は冬用タイヤを装着していても高速道路を走行不可となりますので、注意が必要です。チェーン規制はチェーンの装着が必須となります。


またチェーン規制は豪雪などで気象庁から警報や緊急発表があった場合に、立ち往生や通行止めが起こったことのある区間で実施される傾向があります。とくに急な勾配がある山道や、高速道路などが代表的です。

タイヤチェーンを装着することに

2023年11月後半、編集部員Sは、早朝に東京を出発して石川県に向かう高速道路の途中で、冬用タイヤ規制が実施されてノーマルタイヤで走行できなくなりました。

関東を出発した際は晴れていましたが、豪雪地帯である妙高高原の手前の信州長野から冬用タイヤ規制をされました。

冬用タイヤ規制が出ると、高速道路の入り口や規制区間に入る前の高速道路上でチェーンの装着または冬用タイヤをしているかどうかを係員によってチェックされ、要件を満たしていない車は高速道路に入れないか、降ろされてしまいます。

今回編集部員Sは、規制区間に入る信州中野で高速道路を降りることになり、近くのオートバックスに寄りました。(信州長野を降りたのは朝の6時ごろでしたが、近くのオートバックスの開店時間が10時だったため、近くのマクドナルドで4時間ほど待ったそうです笑)

オートバックスが開店しタイヤチェーンを購入

オートバックスが開店してからタイヤチェーンを購入しました。編集部員Sは、本当はスタッドレスタイヤを購入するつもりでしたが、MIRAI(ミライ)の19インチのホイールに合うタイヤがありませんでした。19インチはもともと少ないらしく、11月月後半だと長野県でも売れてしまってないところが多いそうです。


燃料電池自動車は水素の残量が大切なため、編集部員Sは「ほかの店舗を探す」こともできず、「下道でのんびり行く」という計画変更もできず、気が気ではありませんでした。実際にオートバックスの店舗に着いた時点で、残量55%となっていました。


このように冬用タイヤ規制は、いつどこで出されるか分かりません。ノーマルタイヤを履いている方は、事前に雪や道路状況の情報を確認しておくことをおすすめします。

タイヤチェーンの選び方

タイヤチェーンを購入することに決めた編集部員Sは、以下のタイヤチェーンおすすめ記事を見て選びました。

布製タイヤチェーンを選びましたが、1シーズンに1度使う程度なら便利です。取り付けのしやすさと乗り心地のよさが特徴のため、緊急で使用する方におすすめします。

タイヤチェーンをつけるためには、車のタイヤサイズに合うのかが重要です。タイヤと車体の間の隙間(クリアランス)を、十分に確保しなければなりません。

非金属タイプと金属タイプは最低でも2.5cm〜3cmの隙間が必要です。ほとんどの車は問題ありませんが、スポーツタイプなどで車高を落としている場合は装着できない可能性もあります。(もしクリアランスが2.5cm未満の場合は、選択肢が布タイプのみです。)


タイヤチェーンを選ぶ際は使用頻度とクリアランスを確認して、自分の車にどのチェーンが良いのかを判断しましょう。

タイヤチェーンで雪のない道路を走行しない

タイヤチェーンで雪のない道路を走行すると、車体が破損してしまう可能性があるとオートバックスの店員さんが説明してくれました。また、タイヤチェーンにも大きなダメージが発生してしまうとのことです。

編集部員Sがオートバックスを出た際は、雪は降っておらず、チェーンをその場で巻かずに車に乗せた状態で高速の入り口に向かいました。

その後は高速道路の入り口で係員にチェックされたものの、「タイヤチェーンを積んでいます」と話して通過することができました。

タイヤにチェーンを巻く感じはガソリン車と変わらない

タイヤにチェーンを巻く感じはガソリン車と変わらない

その後、編集部員Sは、高速道路のパーキングエリアで、電気自動車のMIRAI(ミライ)に布製チェーンを巻いてみましたが、ガソリン車と違いはありませんでした。


布製チェーンであったとしても巻くのは思った以上に大変で、DVDとパンフレットを見ながら男2人がかりでチェーンを巻き、30分くらいかかりました。


取り付けしやすい布チェーンでも大変だったので、もし金属チェーンを装着するとなると女性の方や高齢者の方には厳しいでしょう。

タイヤチェーン装着後は速度を落とす

タイヤチェーン装着時の走行速度は安全性や耐久性の面から、ゴム製・樹脂製チェーンは50km以下、一般的な金属製で30km以下に抑えなければなりません。


編集部員Sが購入した布製チェーンの耐久速度は40kmです。高速道路なので速度を出したいという気持ちは抑えつつ、チェーンが約6万円と高いので、切れてしまったらもったいないとスピードを抑えて走らせました。

雪道で急のつく運転をしない

タイヤチェーンの寿命を伸ばすためには、雪道で「急」のつく運転をしないことが大切とのことです。

  • 急発進
  • 急ハンドル
  • 急ブレーキ

布製タイヤチェーンはとくに耐久性が低く、運転の仕方によって寿命を迎えるケースもあります。長く使用するためにも、編集部員Sは、急発進や急ブレーキを避けた運転を心がけたそうです。

布製タイヤチェーンは長距離走行に向いていない

今回編集部員Sが使用した布製タイヤチェーンは、本来雪道で脱輪した際などの脱出用として開発されているため、長距離走行に向いていません。


また水分を吸収する性質もあるため、長時間装着したままで駐車した場合は凍結する可能性もあります。


その際は路面と一体化して走り出した際に破損してしまうので、長時間の駐車には注意が必要です。

目的地に無事到着

思わぬ規制で途中で高速道路を降り、マクドナルドで4時間待機の末、タイヤチェーンを購入、高速道路で装着した編集部員Sでしたが、途中、サービスエリアでランチ休憩を挟んで、15時頃には富山市の水素ステーションに到着し、目的地に無事に到着。心配していた燃料切れも回避できました。

メンテナンスを行わないと錆びてしまう恐れがある

メンテナンスを行わないと錆びてしまう恐れがある

タイヤチェーンはメンテナンスを行わなければ、錆びて使えなくなってしまう恐れがあります。使用後は水滴や汚れが付着しているので、汚れを綺麗に落としてから新聞紙を敷いて乾燥させます。


乾燥させた後にはオイルを注す必要があり、注油しなければ、チェーンが曲がる上に摩擦が増えて音がなってしまう場合もあります。また、タイヤチェーンは紫外線に弱いため、日の当たらない屋内に保管しましょう。

編集者Sがメンテナンスして思ったことは、布製チェーンが結構重くて大変だということです。2人以上で協力して行うことをおすすめするとのことです。

まとめ

タイヤチェーンは、雪道や凍結路面を走行しやすくするために支援する装備です。チェーン規制・冬用タイヤ規制に備えて、雪がよく降る地域に向かう際にはチェーンを車に積んでいった方が良いでしょう。


今回、編集部員Sが、トヨタの燃料電池自動車のMIRAI(ミライ)に布製チェーンを巻いた結果、巻く手順はガソリン車と違いはありませんでした。取り付け簡単といわれる布製タイプでも装着が大変だったということなので、力のある男性の方と協力して行うことをおすすめします。


燃料電気自動車のMIRAI(ミライ)は水素充電で動いているため、編集部員Sは、今回のような規制など何か不測の事態があった際に燃料切れを起こすのが怖いと感じたそうです。電気自動車でも、長距離を運転する際はガソリンスタンドほど充電スポットが豊富にないため、目的地の途中のどこにあるのか、別ルートで行く際には充電は確保できるのかなど、必ず確認してみてください。

著者プロフィール

【堀川 嵩矢】静岡県浜松市在住のフリーランスライター。車と新しいものが好きなことから始まった電気自動車サイトでの執筆は、体験系やインタビュー系などと多岐に渡る。車に関する記事は、4社の企業さまから継続案件をいただき活動しています。中では車のライト専門記事が多いものの、さまざまな面から電気自動車を勉強中。今後の目標は、EVの不安を解消していきたい!と新たな課題や悩みに寄り添っていきます。

このブランドについて

  • TOYOTA

    トヨタ

    常に世界の最多生産台数を争い、日本のみならず世界を代表する自動車メーカー、トヨタ。多くの日本車メーカーと深い関わりを持ち、グループ全体で超小型車からバス・トラック、産業車両まで網羅したフルラインナップ・メーカーであり、近年は実用性やコストパフォーマンスのみならず、スポーツ性など走る楽しみにも力を入れています。世界初の量販ハイブリッドカー「プリウス」から電動化技術では最高の蓄積を持ち、自動運転技術の実用化、新世代モビリティと都市生活の在り方を模索する「ウーブン・シティ」へ多大な投資を行う一方、電動化だけがエコカー唯一の選択肢ではないというスタンスも崩さず、死角のない全方位戦略が現在の特徴です。

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