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マツダの電気自動車ラインナップ全2車種|価格・スペック比較
公開日:2024/05/10更新日:2024/05/10
目次
マツダの電気自動車は2種類
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2024年4月現在、マツダが市販している電気自動車はいずれもSUVの「MX-30」をベースとしており、バッテリーに充電した電気のみで走るBEV版の「MX-30 EV」と、新型の発電用ロータリーエンジン8Cを積むPHEV板の「MX-30ロータリーEV」の2種類です。
ロータリーEV
2023年11月に追加されたMX-30のPHEV(プラグインハイブリッド)版で、マツダが長年手掛けて企業イメージにも重要な役割を果たす、「ロータリーエンジン」の新型機「8C」を搭載した「ロータリーEV」として登場時には大変話題になりました。
通常は外部充電した電力で走るBEVとして、バッテリー残量が設定値を下回るとロータリーエンジンが発電して充電量を確保しながら走る、という使い方がメインです。
航続距離延長用の補助発電機を積むREx(レンジエクステンダーEV)より積極的に発電するためPHEVにカテゴライズされ、タイヤの直接駆動には使わないものの、BEVの特徴を打ち消さない静粛性や振動の少なさというロータリーのメリットを最大限に活かしています。
EV
2021年1月にマツダ初の市販電気自動車として発売、後に登場するロータリーEVとは異なり、外部からバッテリーに充電した電力のみで走る純粋なBEV(バッテリー式電気自動車)です。
バッテリー容量(35.5kWh)や一充電走行距離(WLTCモード25km)はかなり控えめで、2022年11月の改良までは日本で歓迎されるV2H(Vehicle to Home)/V2L(Vehicle to Load)といった外部給電機構も備えていませんでした。
そのため、どちらかといえばヨーロッパ向けのCAFE(企業別平均燃費基準)対策車という側面が強く、同地でのシティコミューターとして最低限に等しい性能もあって、国産BEVの中でも販売は低調ですが、電気自動車で後発のマツダはこれで貴重な経験を積みました。
マツダの電気自動車ラインナップ一覧
ここでは、マツダがMX-30をベースに、BEVおよび、PHEV的なロータリーEVへと発展させた電気自動車2車種について、その概要や機能、スペック、価格などについて紹介していきます。
マツダ MX-30 e-SKYACTIV R-EVのスペック・価格
MX-30 EVのボンネット内で空所となっていた部分へ、マツダが最後のロータリースポーツ、RX-8以来の復活となるロータリーエンジンの新型、1ローター830ccの「8C」を搭載、バッテリーを減らし50Lの燃料タンクを積んだPHEV(プラグインハイブリッド車)。
ロータリーエンジンを採用したのは、以前から電気自動車用の発電機として注目されていた静粛性や振動の少なさという特性より、「コンパクトで高出力のロータリーなら、その発電能力だけでも高速巡航が可能」という能力を注目されてのことです。
8Cロータリーはタイヤの直接駆動には使いませんが、それゆえに最高出力/最大トルクをいずれも4,500回転で発揮するなど発電用に最適化されました。
その結果、外部充電のみのBEVとしては107kmと国産PHEVとしてはトップクラスの航続距離を誇ると同時に、それ以降はバッテリー残量に応じ8Cロータリーで残量ゼロとならないよう発電し、シリーズ式HEVとして合計700km以上の航続距離を実現しています。
「まだ当面はエンジンにも出番がある」と力を入れたマツダらしい、現実的な実用性を備えた電動SUVとして、今後のマツダ電気自動車に大きな影響を与えそうなモデルです。
メーカー | マツダ(MAZDA) |
車種 | MX-30 e-SKYACTIV R-EV |
モデル・グレード | ■ベースグレード ■Industrial Classic ■Modern Confidence ■Natural Monotone ■Edition R |
全長×全幅×全高 | 4,395×1,795×1,595mm |
車両重量 | 1,780kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.3m |
駆動方式 | FWD |
エンジン排気量 | 830cc×1 |
エンジン最高出力 | 53kW(72ps)/4,500rpm |
エンジン最大トルク | 112N・m(11.4kgf・m)/4,500rpm |
燃費 | 15.4km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 125kW(170PS) |
モーター最大トルク | 260N・m(26.5kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 17.8kWh |
電力消費率 | 176Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 107km |
価格(税込) | ■ベースグレード:423万5,000円 ■Industrial Classic:478万5,000円 ■Modern Confidence:478万5,000円 ■Natural Monotone:478万5,000円 ■Edition R:491万7,000円 |
公式サイト |
マツダ MX-30 e-SKYACTIV EVのスペック・価格
MX-30 EVは、観音開きの「ミラクルオープンドア」を技術継承のためあえて採用し、マツダ車で主流の「魂動(こどう)」デザインにもこだわらない、マツダでは実験車的な位置づけにある「MX-30」をベースにした、BEV(バッテリー式電気自動車)版です。
日本よりも充電インフラが充実した電気自動車先進国のヨーロッパで、シティコミューターとして使うには十分な性能に収めているため、WLTCモード航続距離は256kmとかなり短めですが、重いバッテリーをあまり積まないためBEVとしては車重はかなり軽くなりました。
そのため、空気抵抗では不利なSUVというカテゴリーで、バッテリー容量が35.5kWhとかなり少ないもののWLTCモード電費は145Wh/kmと良好な部類で、大トルクのモーターにより走りも軽快、価格も400万円台後半から500万円程度と、比較的安価なのが特徴です。
充電インフラの普及がまだこれからで、シティコミューターとしては少々大柄な日本では販売実績がかなり限られてしまっているものの、マツダにとってはあくまで今後のBEVにつなげる「習作」といった扱いなのでしょう。
メーカー | マツダ(MAZDA) |
車種 | MX-30 e-SKYACTIV EV |
モデル・グレード | ■EV ■EV Basic Set ■EV Highest Set |
全長×全幅×全高 | 4,395×1,795×1,565mm |
車両重量 | 1,650kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.3m |
駆動方式 | FWD |
電力消費率 | 145Wh/km(WLTCモード) |
一充電走行距離 | 256km(WLTCモード) |
総電力量 | 35.5kWh |
最高出力 | 107kW(145PS) |
最大トルク | 270N・m(27.5kgf・m) |
価格(税込) | ■EV:451万円 ■EV Basic Set:458万7,000円 ■EV Highest Set:501万6,000円 |
公式サイト |
マツダの電気自動車の価格比較
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マツダの電気自動車2車種について、以下の表にまとめてみました。
純BEVのMX-30 EVが450万円台後半から500万円なのに対し、ロータリーPHEVのMX-30 R-EVは約423万円から491万円までと少々安めな価格設定となっています。
車種 | 価格(税込) |
MX-30 e-SKYACTIV R-EV | ■ベースグレード:423万5,000円 ■Industrial Classic:478万5,000円 ■Modern Confidence:478万5,000円 ■Natural Monotone:478万5,000円 ■Edition R:491万7,000円 |
MX-30 e-SKYACTIV EV | ■EV:451万円 ■EV Basic Set:458万7,000円 ■EV Highest Set:501万6,000円 |
マツダの電気自動車の特徴・魅力
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2024年4月現在、今後のマツダ電気自動車の原型としてラインナップされている2車種ですが、他社のBEV、あるいはPHEVにないマツダらしい特徴もあり、ここではそれらを紹介しましょう。
電気自動車でも生きるSKYACTIVテクノロジー
2010年代以降のマツダ車を語るうえで欠かせない車両最適化コンセプト、「SKYACTIVテクノロジー」はMX-30ベースの2台にもフルに生かされており、純エンジン車のMX-30をベースに、キャビンや荷室の使い勝手を損なうことなくBEVとPHEV化を実現しました。
もともと実験車的な要素が強く、販売台数の少ないMX-30がベースのため大ヒットとなってはいませんが、「エンジン車をベースに、BEVでもPHEVでも何でも作れる」というのは他の日本メーカーでまだ実現しておらず、マツダだけの特徴です。
発電機とはいえ、ロータリーはマツダの誇り!
1960年代に「未来のエンジン」ともてはやされたものの、諸々の事情でほとんどが市販化を断念した中、モノにした数少ないメーカーのひとつであるマツダにとって、「ロータリーエンジン」とはただのエンジンではなく、アイデンティティでもあります。
単純に「ロータリーだから積んだ」というより、「ロータリーが最適だから」と説得力を持たせたうえで採用したのもマツダらしいところですが、発電機だけではなく、タイヤも駆動するロータリーがいずれ出現するのでは?とマツダファンならずとも興味津々です。
CX-30の派生型など今後の展開に期待
もともと純エンジン車として発売されたMX-30がBEV/ロータリーPHEV化されたことで、同格のSUVであるCX-30や格上のCX-5も同世代のプラットフォームを使っているなら容易に同様の電動化が可能である、という道筋をつけました。
さらにCX-60以降のFRベース車にもPHEVは登場していますから、バッテリー技術の発展に合わせてこれらのBEV版も段階的に登場してくることが予想され、「エンジン車もハイブリッド車も電気自動車も、全部やる!」というマツダには今後の展開が期待できます。
マツダの電気自動車の選び方・比較ポイン
今のところはまだ2車種しかないマツダの電気自動車(2024年4月現在)ですが、純電気自動車のBEVと、限りなく電気自動車に近く、実用性では比較にならないほど優れたロータリーEVの2種類で選び方や比較ポイントを解説します。
BEVとロータリーEVは性格が大きく異なる
BEVのMX-30 EV、ロータリーPHEVのMX-30 ロータリーEV、最大の違いは「後者が給油でも動けるシリーズ式ハイブリッド車」という点にあり、航続距離も最大256kmに抑えられたMX-30 EVに対し、MX-30 ロータリーEVは700km以上に達します。
単純に「エネルギー代」で比較すればBEV版の方が電気代は安いものの、充電だけで短距離、給油すれば長距離ドライブもこなすため使い勝手に大きな差があり、両車のキャラクターは全く異なると言ってよいでしょう。
BEVは大容量バッテリー搭載車待ち
日本で使う電気自動車としてはバッテリー容量がかなり少なく、航続距離も軽BEVよりはマシなシティコミューター+α程度のため、「短距離のシティコミュターでも、ロータリーRVより軽量なのを活かして軽快に走りたい」という用途以外にBEV版の価値は薄いです。
マツダのBEVはどうしても大容量バッテリーの搭載待ちとなり、MX-30のように比較的コンパクトな車種よりは、CX-5やCX-80といった比較的大きめの車種が本命になるでしょう。
現状で圧倒的に「買い」のロータリーEV
新型の8Cロータリーばかり注目されがちなMX-30 ロータリーEVですが、WLTCモード107kmとPHEVとしてはトップクラスの航続距離を誇るだけに、短距離の買い物用途では自慢のロータリーエンジンをほとんど使わずに済みそうです。
それでいて長距離ドライブには別な車を用意する必要もなく、給油だけで長距離を、それも振動や騒音が少ないロータリーエンジンによる発電の恩恵を受けつつ、大トルクのモーターで悠々走れますから、現状でどちらが「買い」かは言うまでもありません。
マツダの電気自動車に適用される補助金・減税
他のBEVやPHEV同様、マツダの電気自動車にも次世代自動車に対するさまざまな優遇措置によって、減税、免税、補助金制度が多数あり、ここではそれぞれの適用例を紹介しましょう。
グリーン化特例で自動車税は減税、地域により免税も
MX-30 EV/ロータリーEVは、いずれも「グリーン化特例」で自動車税が概ね75%軽減とされる電気自動車/プラグインハイブリッド車のため、新車登録の翌年度分が減税対象です。
さらに、東京都(新規登録が令和7年度分まで)と愛知県(同、令和7年3月31日まで)のように、電気自動車とプラグインハイブリッド車の自動車税を新車登録から5年度分を全額免除(非課税)とする制度もあり、住んでいる地域によっては大きな恩恵があります。
自動車税のグリーン化特例の概要(国土交通省)
最初の車検まで自動車重量税が免税されるエコカー減税
新規登録時と、最初の車検(継続車検)で支払うべき自動車重量税も「エコカー減税」による免税制度があり、電気自動車のMX-30 EV、プラグインハイブリッド車のMX-30 ロータリーEVはともにその対象です。
MX-30 ロータリーEVは1,780kg、MX-30 EVは1,650kgと、2台とも車重は1.5t超〜2t以下ですから、新車登録時の3万円(エコカー本則税率)と初回継続車検時の2万円、合計5万円が減税となります。
エコカー減税の概要(国土交通省)
当面は非課税になる環境性能割!
かつての「自動車取得税」に代わって導入された「環境性能割」ですが、自家用車では車両本体価格の3%が徴収されるところ、電気自動車のMX-30 EVも、プラグインハイブリッド車のMX-30 ロータリーEVも非課税です!
一応は期限付きでの非課税となっていますが、物価の上昇や半導体など部品不足による納期の長期化に対応して期限は延長されており、2024年4月現在では令和8年(2026年)3月31日までの非課税が決まっています。
環境性能割の概要(国土交通省)
その他:国や各自治体による電気自動車の購入補助金
減税や免税以外にも、環境に優しい次世代自動車への乗り換えを推進する補助金が国や自治体から設定されており、代表的なのが国からの「CEV補助金」です。
CEV補助金はMX-30 EVだとV2H/V2L機能が追加されたとはいえ、航続距離の短さやマツダによる充電器普及にもっと努力を要するということなのか、満額の85万円でこそないものの65万円、プラグインハイブリッド車のMX-30 ロータリーEVでも55万円出ます。
さらに東京都からはどちらもZEV車両購入補助金が45万円出るなど、住んでいる自治体によってはさらなる補助金を受けられますから、NeV(一般社団法人 次世代自動車振興センター)のHPはチェックしておきましょう。
NeV(一般社団法人 次世代自動車振興センター)
マツダの電気自動車を試乗予約してみよう
ここまでマツダの電気自動車2車種を紹介してきましたが、マツダ公式では全国各地の試乗車を検索できる「試乗車検索」のほか、電気自動車に関しては2024年4月現在、特別に「47時間モニター試乗体感」を実施しています。
これは通常の、「ディーラー担当者の同乗で決められたコースを走るだけの試乗ではわからない、電気自動車の体験を思う存分味わってほしい」という趣旨で、丸2日間に近い47時間も試乗車を貸し切れるサービスですから、これを活用しない手はないでしょう!
このブランドについて
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MAZDA
マツダ
戦前・戦後とオート三輪がヒットした頃から優れた工業デザインが人気を博し、1960年代には世界で初めてヴァンケル式2ローターロータリーエンジンを実用化、1980年代には「赤いファミリア」の大ヒットで社会現象化するなど、実用性や走りへのこだわり、ファッショナブルなデザインといった個性では日本でも群を抜くマツダ。近年でも新型車の設計技術に取り入れた「SKYACTIVテクノロジー」や、効率的な生産技術、エモーショナルなデザインで他社に真似できないクルマづくりを得意としており、新型ロータリーエンジン8Cを発電機に使ったMX-30ロータリーEVのように、電動化でも「マツダらしさ」を存分に発揮しえいます。