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水素を使って走る燃料電池自動車(FCV)のメリットや今後の課題
公開日:2024/03/12更新日:2024/02/01
二酸化炭素(CO2)を排出しないFCVは、環境に優しい未来の自動車として大きな可能性を秘めており、その発展には多くの期待が寄せられている一方、解決すべき課題も存在しています。この記事では、FCVの基本的な知識やそのメリット、そして今後直面するであろう課題について詳しく見ていきます。
目次
カースモーラちゃんのPICK UP
- FCVはガソリンの代わりに水素を燃料にして走行する自動車のことだよ。
- 走行中にCO2を排出しないから環境に優しいって言われているんだ。
- 水素ステーションがまだまだ少ないことがFCV普及の課題みたい
水素で走行する「FCV(燃料電池自動車)」って何?
FCVは、水素と空気中の酸素の化学反応を利用して電気を生成し、その電気でモーターを回して走行する自動車です。
具体的には、車両の水素タンクに充填された水素ガスが、燃料電池スタック内で酸素と反応を起こします。この反応によって電気が発生し、その電気エネルギーでモーターが動くことで走行が可能になります。
反応の副産物として水のみが出るため、走行時にはCO2などの排気ガスを全く出さず、非常にクリーンな自動車です。水素の充填だけで長距離走行が可能で、電気自動車のように充電に時間がかかることもありません。
また、ブレーキ時には運動エネルギーを電気エネルギーに変換する回生ブレーキシステムを利用することもできます。燃料電池の反応熱を車内の暖房などに活用することも可能なため、全体的に高いエネルギー効率を持っている車なのです。
水素自動車とFCVに違いはあるの?
水素自動車は、FCVとほぼ同義の言葉として使われることもありますが、厳密には異なる車です。
その名の通り水素を燃料としてエンジンを動かす「水素自動車」と、水素と酸素を使って発電した電気でモーターを動かす「FCV(燃料電池自動車)」の2種類が存在しています。
簡単にまとめると、
- 水素自動車:既存のガソリンエンジンやディーゼルエンジンを改良した水素燃料エンジンを用い、水素を直接燃焼させる内燃機関車
- FCV:水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する燃料電池を用い、モーターで走行する自動車
のように大別できます。
水素自動車は水素の燃焼によって発生した熱を動力源としますが、FCVは水素と酸素の化学反応で発生した電気を動力源とする点が異なります。
現在、自動車メーカー各社が開発・販売しているのはFCVがほとんどであり、水素の燃焼を利用した水素自動車はまだ実用化されていないのが現実です。
水素を使って走るFCVにはたくさんのメリットが
FCVは、その環境性能や効率、利便性において数多くのメリットを持っています。以下のような点からFCVは、環境に優しく利便性の高い自動車の選択肢として注目されています。
有害な排出ガスが少ない、またはゼロ
基本的にFCVは走行時に水蒸気のみを排出します。FCVは、水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作り出すことで走行します。
この反応では水のみが排出され、ガソリン車のようなCO2や窒素酸化物、粒子状物質などの有害な排出ガスは排出されません。そのため、排気ガスによる大気汚染を引き起こすことがありません。
高いエネルギー効率
現在のガソリン車のエネルギー効率(15~20%)と比較して、FCVは約2倍程度(30%以上)の高いエネルギー効率を実現しています。
FCVは水素と空気中の酸素を直接化学反応させて電気を生成するため、ガソリン等の化石燃料を燃焼させエネルギーを熱に変換する通常の自動車と比べて大幅にエネルギー効率が高くなっています。
多様な燃料やエネルギーの利用が可能
水素は、電気を使って水から取り出すことができることはもちろん、石油や天然ガスなどの化石燃料、メタノールやエタノール、下水汚泥、廃プラスチックなど、さまざまな資源から生成できます。
日本は90%以上の一次エネルギーを海外から輸入する化石燃料に依存しています。今後たくさんの資源から水素を生成し、代替エネルギーとしてより広く利用することができればエネルギーコストを抑制することも可能です。
騒音が少ない
走行時の優れた静寂性もFCVの持つ大きな特徴の一つ。電気モーターを使って走行することで騒音や振動が発生しづらくなる上に、トルクが0の状態からもスムーズに加速できる点も大きなメリットと言えるでしょう。
ちなみにトヨタ自動車の「MIRAI」では、走行中にあえて人工走行音を発生させる技術が導入されており、ドライバーに自然な走行感覚を提供しています。
充電が不要
長時間の充電が必要なEVとは異なり、FCVではガソリン車のように短時間で燃料を補給することが可能です。また、一回の充填で走行できる距離もEVより長く、将来的にはガソリン車と同等の走行距離が期待されています。
FCVの普及には水素ステーションの整備が不可欠に
たくさんのメリットがあるFCVですが、今後の普及に向けて特に重要なのが、エネルギー源となる水素の補給方法に関する問題です。
日本政府は、2030年までに1,000基の水素ステーションを設置するという目標を掲げています。FCVはガソリンスタンドに似た「水素ステーション」で水素を補給しますが、その数はまだ不十分です。
水素ステーションの整備は、水素エネルギーの需要が特に高いと予想される日本の四大都市圏や、都市間を結ぶ地域を中心に積極的に進められています。こうした地域では多くの人々が移動するため、水素ステーションの需要が高いと考えられているためです。
一方で、まだ水素ステーションの整備が進んでいない地域では、異なるアプローチが検討されています。例えば、移動式水素ステーションの設置がその一つです。
必要に応じて異なる場所へ移動させることができるため、従来のガソリンスタンドのようなオンサイト方式よりも柔軟に対応することが可能です。
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