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歴史は繰り返す?!今のBEVと同じように否定されていたHEVが受け入れられるまで(終章)
公開日:2024/09/25更新日:2024/09/25
目次
改めて25年前の自分にも言いたい「HEVがこんな普通になるなんて」
このテーマでは何度も書いていますが、1997年にトヨタから初代プリウスが発売されてから、2024年で27年が経ち、HEV(ハイブリッドカー)はすっかり「ただの車」になりました。
自分自身を振り返ると、発売当初はもちろん10年くらい経った2007年頃でもまだ、以下のような意見だったと思います。
- ちょっとガソリンが安いくらいで、HEVなんて高い車に乗ってられるか!
- ほら、ツインハイブリッドだってハイゼットカーゴハイブリッドだって失敗したじゃないか!誰もそんな高い車にわざわざ乗らないよ!
- トヨタのエスティマハイブリッドやハリアーハイブリッドのE-Fourはちょっといいなと思うけど…考えてみたら俺はミニバンにもSUVにも縁がないし、そもそもそんな車でE-Fourが必要なほど振り回したら危ないだろう!
- マジメにやってるのはトヨタとホンダだけじゃないか!(※筆者はダイハツ派)
- やっぱりエンジンをギュンギュン回して、ブースト上がればキューンと高まるトルクが最高だよね!(※筆者はターボ派)
- ホンダはMT車あるけど、ほとんどオートマじゃないか…そんなのツマンナイ。
- 金持ちの家で、これ見よがしに置いてあるのが気に食わん!(※10年ほど前は世田谷区在住だったので、高級住宅街を歩くとセカンドカーにプリウスが多かった)
…「金に縁がなくモテない独身のクルマ好き」丸出しですが、今やHEVを見てこんなこと言う人は、そうそういません。
よほどの旧車マニアであっても、ゲタ代わりのセカンドカーがアクアやノート(e-POWER)だったり、逆に普段乗りのファーストカーがプリウスやカローラクロスで快適に乗っているのではないでしょうか?
筆者の場合、競技車のチューニングやメンテでお世話になっている社長が、「プリウス最高だじぇ~燃費いいし」とか言い出した時点で時代の変化を感じ、自分で運転してこりゃイイと思った時に、年を取ったような気がしたものです。
まだBEVどころかHEVを知らない人も世の中にはいる
2024年になって電気自動車メディアでお世話になるようになり、BEV試乗記事を書いたり、補助金の取材で自治体の考え方を聞く中で、いつかは断言できないものの、確実に「昔ながらの自動車を買える時代は、もうそんなに長くない」という想いは強まっています。
ただしそういう想いは今の立場だからこそで、身近な人にBEVについて話したところで、ほとんどの人は「はあ、そうなんだ?」「いつかはそうなるのかもねー」「アナタこないだまでダイハツのターボが最高って言ってたよね?」という反応です。
それも無理のない話で、行きつけのバーのオーナーなど、去年事故でオデッセイを壊し、親戚からプリウス(3代目30系)を譲ってもらったのが初めてのHEV体験だったそうで、「ガソリン全然減らないんだけど、もしかして壊れてる?」なんて相談されました。
私も15年前に実家へ同じプリウスが来た時、同じような事を思ったな〜あれから電気自動車への考え方も少しずつ変わっていったんだ…と考えれば、世の中BEVどころかHEVすらまだ知らない人がたくさんいます。
そういう純エンジン車しか知らない人へいきなりBEVを勧めても、こう言われるのは当然なのでしょう。
さらにこう続くわけです。
まだまだHEVですら未来の車という感覚の人が少なくないとはいえ、そんな人でも「ハイブリッドカーでいいじゃない」となっているあたりは、昔と違うところですが。
これからMHEVやPHEVを経て、BEVでいいやとなるのだろう
最近だと、取材先でこんな話がありました。
「PHEVの輸入車に乗ってたお客さんなんだけど、EV走行してる時はいい車なのに、バッテリー減ってエンジンかかり、ただのHEVになった途端にガッカリするし、そもそも自分の使い方なら問題ないからと、同じメーカーのBEVに乗り換えたそうです。」
乗り換えの際、やはりPHEVよりBEVの方が高価なので車格は1ランク落としたようですが、むしろ小型軽量ハイパワーとなり、BEV前提の設計で車内の広さはあまり変わらないし、何よりずっと静かで快適だから、車格の違いは感じないのでしょう。
これから、公言されている目標が撤回されない限り、2030年には東京都で、2035年には日本全国で「純エンジン車の新車販売が禁止」となります。
あくまで目標とはいえ今から11年後、東京都に至ってはわずか6年後の話ですから、メーカーや販売店の対応も考えれば、「やっぱりなし!もしくは延期!」と撤回できるラインは近づいており、あるいはもう「今から変更されても困る」状況かもしれません。
もっとも、既に軽自動車を除く乗用車の純エンジン車は、新車販売の3~4割程度に過ぎないとされており、軽自動車もスズキはMHEV(マイルドハイブリッド)、日産と三菱はMHEVとBEVがほとんどで、ダイハツとホンダもBEVの販売予定があります。
あとはダイハツとホンダがMHEVを発売し、他メーカーも含め純エンジン車をMHEVに置き換えれば軽自動車の純エンジン車は廃止確定。
普通乗用車もスポーツカーでさえオルタネーター(発電機)をISG(エンジンスターターおよびモーターアシスト機能つきの発電機)に置き換え、ISGの回生エネルギーを充電する何か(バッテリー以外にキャパシタなど別な蓄電装置でも構わない)でMHEV化すればOK!
つまり、「2030年に東京都で、2035年に全国で純エンジン車の新車販売禁止」は、もはや夢物語でもなく、普通に実現可能になっています。
趣味車はの類はエンジン主体のMHEVである必要性があるものの、大抵のユーザーはHEVやMHEVへ乗っているうちに、ガソリン代の高騰で音を上げるか、モーターで走る方がスムーズでいいやとなって、自分の身の丈に合ったBEVへ乗り換えていくのでしょう。
もちろん、「外部からの充電」と、「短距離ながらBEVとしての走り」へ真っ先に慣れてしまうPHEVユーザーはその最右翼で、自分がBEVでは心配になるほど遠出することもなく、気がつけばガソリンスタンドへ寄るのも億劫に感じればすぐにでも、かもしれません。
HEVの普及を通して考える、「BEVも当たり前となる条件」
ただし、いくら「BEVがいいな」「BEVでいいや」と思ったところで、2024年現在では気軽に手を出せるBEVは限られます。
気軽に手を出せるBEVの条件
- 最低でも国のCEV補助金だけで軽でも200万円台前半まで、それ以外は400万円台前半が車両本体価格の上限になること。
- 冬には7割程度となることも考慮し、航続距離が軽でも150km程度、それ以外は400km程度が最低限。
- 太陽光発電やV2H設備とセットになった自治体からの補助も考慮すると、非常時だけの限定も含め最低限のV2H/V2L外部給電対応。
該当車種(2024年7月現在)
500万円台までOKになると、モデル3SやモデルYといったテスラ車など輸入車も含めもう少し視野に入ってきますが、V2H/V2L機能まである車種では、トヨタ bZ4Xやスバル ソルテラ、ミニクーバーSE、ヒョンデ アイオニック5や日産 リーフe+の上級グレードくらい。
現状でBEVを否定してしまう方の意見で、「とにかく現実的な選択肢がなさすぎる」というのは、このへんの事情が関わってきるようで、単に目新しいだけではなく、普通に「広く一般に認められる自動車としての魅力」がなければ、安いだけでもダメです。
日産のサクラが大ヒットしたのはまさに性能、価格、魅力の3要素が揃ったからですが、それでもHEVの爆発的普及に大貢献した3代目(30系)トヨタ プリウスに及ばないのは、「軽自動車という用途が限定された車だから」という条件つきのため。
2024年6月に発売されたBYDの新型セダン「シール」など、CEV補助金の額によってはかなりイイ線いくのではと思いますが、他のBYD車やヒョンデ車と同様に、中国車や韓国車に対する信頼性が上がり、全国での販売体制が整うのにまだ時間がかかります。
ここは一発、トヨタか日産から「3代目プリウスの再来、BEV版」となる車種が登場すると話が早く、それを大々的に採用するタクシー会社でも登場すれば完璧です。
もちろん、集合住宅なり月極駐車場での普通充電環境も欠かせませんから、HEVほど「一夜にして変わる」わけにはいきませんが、国や自治体からの補助金もさらに充実していきそうですし、今後5~10年以内には世間の雰囲気も大幅に変わるかもしれません。
「乗ってみれば案外いいもの」ですが、そのためには「乗りたいと思わせる環境」、あるいは「機が熟す」のが大事とはHEVの前例で明らかですから、もう少し「BEVの夜明け」を待ってみましょう。
今日明日とはいかないまでも、思っているよりはすぐかもしれませんよ?!
このブランドについて
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NISSAN
日産
かつては日本第2位の自動車メーカーであり、自他ともに求める「技術の日産」として、真剣なクルマ選びに値する玄人好みのクルマがユーザーに支持される日産自動車。フェアレディZやスカイライン、GT-Rといった歴史と伝統を誇るV6DOHCターボエンジンのハイパワースポーツをイメージリーダーとして大事にする一方、2010年に発売したリーフ以降、SUVのアリア、軽自動車のサクラなど先進的なBEVをラインナップ。さらにエンジンを発電機として充電いらず、従来どおり燃料の給油で乗れる「e-POWER」搭載車を増やしており、モーターのみで走行するクルマの販売実績では、日本No.1の実績を誇るメーカーでもあります。
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このブランドについて
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MITSUBISHI
三菱
近年の三菱自動車は、ミニバン型のデリカD:5、軽スーパーハイトワゴンのデリカミニ、ピックアップトラックのトライトンに正統派のアウトランダーと、ラインナップのほとんどをSUVが占め、長年培った電子制御技術によって、AWDでも2WDでも優れた走行性能を発揮するのが特徴。軽BEVのeKクロスEVやミニキャブMiEV、アウトランダーやエクリプスクロスではPHEVタイプのSUVも好評で、規模は小さいながらもSUVや商用車の電動化では最先端を走るメーカーです。日本でのイメージリーダーは「デリカ一族」のデリカD:5とデリカミニですが、日本でも人気が再燃したピックアップトラック市場へトライトンを投入します。
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HYUNDAI
ヒョンデ
韓国ではもっとも成功している自動車メーカーで、キアを傘下に収めるほか高級車ブランドのジェネシス、スポーツカーブランドのNを立ち上げ、世界的に勢いのある急成長メーカーのひとつです。三菱自動車の支援を受けた時代の印象もあり、2000年代の日本進出はブランドイメージの伸び悩みで早期撤退しますが、2020年代には効率的なオンライン販売に特化して再進出し、BEVのアイオニック5やコナ、FVEVのネクソといった精悍なデザインのSUVを展開、先進的な電動化モデルというだけでなく、EVの持ち味を活かしつつ走りの楽しさにもこだわったクルマづくりによって、日本でも以前とは異なり高い評価を受けつつあります。
このブランドについて
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BYD
BYD
ついに日本へ上陸した中国メーカーでもひときわ活発なのが、2023年にSUVのATTO3とコンパクトカーのドルフィン、2024年にはセダンのシールを発売するBYDです。もともとバッテリーメーカーで2008年には世界初の量産PHEVを発売、多くの自動車メーカーがエンジンメーカーから始まったのと同じ経緯で参入した実績からも、クルマの電動化に関心のあるユーザーからの知名度が高く、成功する可能性が高いと見られていました。2015年には電動バス、翌年には電動フォークリフトで日本へ参入し、着実な実績を経て乗用車でも参入を果たした手堅い手法や、模倣ではない世界水準のデザインからも今後の成長が期待されます。
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HONDA
ホンダ
現存する日本の主要自動車メーカーでは1960年代に最後発で四輪へ進出、大手の傘下に入ることもなく独立独歩で成長したホンダ。初期のスポーツカー「S」シリーズやF1参戦でスポーツイメージが強い一方、初代シビックの成功や、可変バルブ機構を採用した高性能なVTECエンジンで実用的かつスポーティな大衆車メーカーとして発展、1990年代にはミニバンのオデッセイやステップワゴン、SUVのCR-Vをヒットさせ、2010年代には軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」の大成功で軽自動車ブームの中心になっています。先進技術の開発にも熱心で、ハイブリッドカーやBEVなど電動化、運転支援システムの実用化にも積極的。
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