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PHEV(プラグインハイブリッド車)とは?EVとの違いやメリット・デメリット解説
公開日:2024/04/26更新日:2024/04/26
目次
PHEV(プラグインハイブリッド車)とは
Jan Kliment - stock.adobe.com
PHEV(プラグインハイブリッド車)とは、HEV(ハイブリッド車)の走行用バッテリーを大容量化し、BEV(バッテリー式電気自動車)のように外部からの充電機構を設けた、電気自動車の一種です。
バッテリーに電気が残っていればBEVとして走れて、HEVのように燃料を給油してエンジンでの発電や走行、バッテリーへの充電も可能ですが、そのぶん構造が複雑で重量も増すという、さまざまな電気自動車のメリットとデメリットを併せ持つ電気自動車と言えます。
PHEVの特徴・仕組み
PHEVの特徴は、BEV(バッテリー式電気自動車)のように外部から充電した電気で走る能力と、HEV(ハイブリッド車)のように給油した燃料で駆動するエンジンと、バッテリーの電気で駆動するモーターの能力を1台に詰め込んだ事にあります。
HEVをベースに走行用バッテリーを大容量化、外部からの充電機構を追加したと思えば一番わかりやすく、BEVほど長くバッテリーの電力だけでは走れないものの、短距離ならエンジンをかけるまでもないため、用途によってはほぼ電気自動車として使うものです。
しかし長距離ドライブで充電スタンドがなくとも、給油さえすればエンジンで発電した電気、またはエンジンそのものでも走れる場合も多いので、充電インフラが未発達な国・地域ではもっとも使い勝手に優れた電気自動車とも考えられます。
PHEVの燃費はどれくらい?
充電しても給油しても使える電気自動車として使い勝手に優れるPHEVですが、両車の仕組みを1台に詰め込んだだけあって、大容量バッテリーを目一杯詰め込んだBEV並に重たい場合も多く、カタログスペック上の燃費に限っていえば、実はさほど優れてはいません。
むしろ通常のHEVの方がカタログ燃費は優れているほどですが(※)、実際に利用する際は走行用バッテリーの電力で往復できる範囲内なら全く燃料を使わないので、短距離走行がメインなら実燃費はすこぶる良好。
(※現行の60系プリウスの場合、WLTCモード燃費は1.8リッターHEVで32.6km/L、2.0リッターHEVでも28.6km/Lに対し、2.0リッターPHEVは26.0km/Lでしかない)
全く使わない燃料の劣化を防ぐため、システムの判断でエンジンをかけて燃料を消費(同時に発電または走行に使う)するため、全く給油しなくていいわけではありませんが、PHEVユーザーだとほとんど給油しないという例も多いでしょう。
PHEVの外部充電にかかる料金はどれくらい?
一口にPHEVと言っても、車体の大きさやコンセプトによってはバッテリー容量はさまざまですが、国産PHEVでもっともポピュラーなプリウスPHEVだと51Ah(18.1kWh)です。
全国家庭電気製品 公正取引協議会による全国の電気料金目安、1kWhあたり税込31円に従えば、自宅で普通充電するなら税込で約561円。
公共の充電スポットを利用する場合だと加入しているサービスによりけりですが、トヨタの「EV・PHV充電サポート」を例にとれば、2024年4月現在は以下のようになります。
料金プラン | 急速・普通充電プランA | 急速・普通充電プランB | 普通充電プラン |
基本料金 | 1,650円/月 | 4,950円/月 | 770円/月 |
急速充電 | 66円/分 | 55円/分 (毎月急速充電90分は無料) | 利用できない |
普通充電 | 4.95円/分 | ||
カード発行料 | 1,650円 |
PHEVとBEV、FCEV、HEVの違い
PHEV、BEV、FCEV、HEVの違いを、以下の表にまとめてみました。
方式 | PHEV | BEV | FCEV | HEV |
一般的な別名 | プラグインハイブリッド車 | 電気自動車 | 燃料電池車 | ハイブリッド車 |
エネルギー源 | 電気または燃料 | 電気 | 主に水素、電気も使う場合あり | 燃料 |
エネルギー源供給場所 | 自宅か公共の充電設備、ガソリンスタンドの給油機 | 自宅か公共の充電設備 | 水素ステーションの充填装置 | ガソリンスタンドの給油機 |
エネルギー源供給方式 | 外部充電または給油 | 外部充電 | 充填または外部充電の場合もあり | 給油 |
主な発電能力 | エンジンと回生ブレーキ | 回生ブレーキ | 燃料電池と回生ブレーキ | エンジンと回生ブレーキ |
タイヤの駆動方式 | モーターおよび、エンジンを使う場合もあり | モーター | モーター | エンジンとモーター併用、またはモーター |
走行用バッテリーの容量 | 中 | 大 | 小 | 小 |
走行用バッテリーだけでの走行距離 | 短距離からある程度の長距離までさまざま | 長距離 | ごく短距離 | ごく短距離 |
走行用バッテリーの電力だけでの高速走行 | 可能 | 可能 | 不可 | 不可 |
一番右のHEVが昔ながらのエンジン車にもっとも近く、バッテリーの電力でモーターアシストおよび、ごく短距離ならモーターのみで可能な程度。
FCEVはHEVの一種でモーターのみで走行するシリーズ式HEVの燃料を水素に、エンジンを燃料電池に置き換えたものと考えるのがわかりやすく、大容量バッテリーと外部充電機構を備えたPHEV的なモデルもあります。
BEVはシンプルに外部充電したバッテリーの電力だけでモーター走行。
一番左のPHEVはHEVとBEVの中間的なモデルで、どちらの特徴も併せ持つのがわかります。
PHEVの主なメリット
HEVの発展型、あるいはHEVとBEVの合いの子と言えるPHEVですが、わざわざ複数のシステムを1台に詰め込み、重く高価になるだけのメリットはどこにあるのか、ここで解説しましょう。
短距離ならBEVとして使えて燃料代が不要
HEVの発展型とも言えるPHEVの最大のメリットは、バッテリーに十分な電力さえ充電されていれば、モーターだけで走り切る能力が非常に高いため、短距離用途に限定すれば普段はBEVとして使えることです。
つまり自宅に充電設備さえあれば、燃料の劣化を防ぐためシステムがエンジンを始動して一定期間内に燃料を消費する分を除き、わざわざ給油に出かける必要がありません。
つまりガソリン代よりはるかに安い電気代だけで、車を使えます。
充電設備がなくとも普通にHEVとして使用可能
BEVのように使えて、しかしBEVと最大の違いはエンジンがあることで、仮に自宅に充電設備がなくとも普通にHEVとして使えるうえに、エンジンで発電した電気が走行用バッテリーに十分充電されていれば、充電設備なしでBEVとして機能します。
この場合は、自宅に充電設備がある時よりも給油回数は増えるものの、短距離でBEVとして使うことが多い用途なら、かなりガソリン代を節約できて、長距離では普通にHEVとして充電設備の有無を気にせず、ガソリンスタンドで給油すればよく、使い勝手は抜群です。
燃料が続く限り外部給電が可能
プリウスPHEVでも、軽乗用BEVのサクラなどに近いある程度の大容量バッテリーを搭載しているため、BEV同様に外部給電能力のV2H/V2L機能に対応した車種では、「走る蓄電池」機能を発揮できます。
しかも、走行用バッテリーの電力を使い切る前にエンジンを始動して発電、燃料が続く限りバッテリーへ充電しながら外部電源供給できることや、給油所さえ復旧すれば、停電が長く続いても給油を繰り返して給電を継続できる点は、BEVには真似できない芸当です。
ほとんどはいざとなればエンジンだけでも走れる
PHEVのほとんどは、通常のHEVと同じ能力を持っているため、仮に走行用バッテリーが劣化した、故障したという場合でも、メンテナンスモードなど強制的にエンジンを常時始動する機能を使い、エンジンでタイヤを直接駆動できるPHEVなら自走可能です。
BEVでは走行用バッテリーが致命的に劣化や故障するとほとんど走るのは不可能、プラグインハイブリッド機構を持たないFCEVで燃料電池が故障した場合も同様ですが、PHEVはHEV同様にエンジンだけでもある程度は走れる車種が多くなっています。
BEVとしてもある程度の長距離・高速走行可能
「HEVの強化版」としての性格が強いPHEVですが、一方で「航続距離を延長するためエンジンを積んだBEV(※)という性格もあり、バッテリーとモーターだけでの走行でも高速道路を十分に巡航できるだけの動力性能があって、BEVとしても十分に優秀です。
(※「REx」、レンジエクステンダーEVと呼ぶ場合もあります)
もちろん、BEVほどの大容量バッテリーを積まないため航続距離は限られますが、そこはエンジンによる発電で補完しますし、マツダのロータリーEVなど静粛性の高い発電機を積んだものではBEVに近い感覚で乗れます。
ある意味では、「インフラが充実するまでは最強の電気自動車が、PHEV」とも言えるでしょう。
PHEVの主なデメリット
「HEVのように給油し、BEVのように充電する」と、両者のいいとこ取りをしたようなPHEVですが、メリットばかりではなくデメリットもあり、ここで紹介しましょう。
2024年現在では安価なHEVで満足できてしまう
HEVとしてのエンジンと燃料タンク、インバーターにモーター、それらを統合するハイブリッドシステムに加え、BEVとしてバッテリーは重くてかさばる大容量、外部給電機構も搭載して高電圧ケーブルもさらに重くなりますし、とにかく複雑で高価なのがPHEVです。
例としてプリウスPHEVは460万円ですが、これがHEV版のプリウスだと299万~392万円と、数十万円から150万円以上の差がつくので、「ガソリン代より電気代は安い」と言われても価格差により、大抵のユーザーは完成度の高いHEVで満足してしまいます。
BEVとしては中途半端な過渡期の存在
HEVとしても成立させるため、大きくかさばるエンジンや燃料タンク、ハイブリッドシステムを組み込むため、バッテリー容量もモーターの出力も中途半端であり、軽自動車や5ナンバーサイズのコンパクトカーにはそもそも詰め込むことが困難です。
BEVとしては中途半端な性能で新鮮味も薄く、「次世代を求めるならBEV、従来型の追求ならHEV」となりがちで、PHEVはあくまでバッテリー技術や充電技術、充電インフラが整うまでの過渡期の存在であって、今は多少売れても将来性には疑問符がつきます。
【国産車】PHEVの人気車種ラインナップ
VanderWolf Images - stock.adobe.com
ここでは2024年4月現在市販されているPHEVのうち、国産車での人気車種を紹介します。
BEVよりも柔軟な運用が可能で需要が多いためか、それなりの車種数があるものの、ほとんどはSUVです。
トヨタ ハリアーPHEV
ラグジュアリー系SUVが世界的大ヒットとなり、現在に至る始祖となったハリアーの第4世代ですが、元々レクサス RXの日本名でしたが3代目からRAV4をベースに再出発、現行モデルには2022年10月にベース車同様、PHEVが追加されました。
PHEVとしての機能は限定的で、ガソリンを給油すれば利用できるため、必要性の薄い急速充電には対応せず、家屋などへ給電できるV2Hにも非対応。
モーターのみで最大93kmの走行が可能で、家電製品などが使えるAC100V/1500Wの車内コンセントや、普通充電インレットに差し込むヴィークルパワーコネクターにより、限定的ながら外部への給電が可能なV2L対応なのがHEV版ハリアーとの違いです。
メーカー | トヨタ(TOYOTA) |
車種 | ハリアー |
モデル・グレード | Z・プラグインハイブリッド車(E-Four) |
全長×全幅×全高 | 4,740×1,855×1,660mm |
車両重量 | 1,950kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.7m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 2,487cc |
エンジン最高出力 | 130kW(177ps)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 219N・m(22.3kgf・m)/3,600rpm |
燃費 | 20.5km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 174kW(236PS) |
モーター最大トルク | 391N・m(39.8kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 18.1kWh |
電力消費率 | 160Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 93km |
価格(税込) | 620万円 |
公式サイト |
レクサス NX450h+
3代目ハリアーのレクサス版として登場したNXには、2021年11月のフルモデルチェンジで2代目になった時、4代目ハリアーに先行する形でPHEV版の「NX450+」を最初から設定していました。
急速充電とV2Hはなし、大容量バッテリーへ普通充電が可能で、EV走行やV2L対応として、AWD(E-Four)のみというのがHEV版「NX350h」との違いなのはハリアーと同じで、エンジンスペックが少々上回り、内外装がレクサス仕様となっています。
メーカー | レクサス(LEXUS) |
車種 | NX450h+ |
モデル・グレード | ■version L ■F SPORT ■OVERTRAIL |
全長×全幅×全高 | ■version L/■F SPORT:4,660×1,855×1,660mm ■OVERTRAIL:4,660×1,855×1,875mm |
車両重量 | ■version L/■F SPORT:2,030kg ■OVERTRAIL:2,010kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.8m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 2,487cc |
エンジン最高出力 | 136kW(185ps)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 228N・m(23.2kgf・m)/3,600~3,700rpm |
燃費 | 19.6km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 174kW(236PS) |
モーター最大トルク | 391N・m(39.8kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 18.1kWh |
電力消費率 | 172Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 87km |
価格(税込) | ■version L:749万5,000円 ■F SPORT:758万5,000円 ■OVERTRAIL:772万5,000円 |
公式サイト |
トヨタ プリウスPHEV
国産HEVの草分け的存在であると同時に、三菱のアウトランダーPHEV同様に国産PHEVの元祖的存在で、先々代の30系(3代目)から2009年にPHEV版の官公庁や一部法人向けリース販売を開始、2012年から一般販売を開始しています。
災害時の非常電源として評価される事も多いのですが、2015年にモデルチェンジ、2017年からPHEV版も登場した50系(4代目)では、通常は回生ブレーキに使う発電用モーターも駆動に使うパワフルなツインモーターが話題になりました。
現在の60系(5代目)ではV2Hや急速充電はできませんが、車内コンセントや普通充電インレットに差し込むヴィークルパワーコネクターで、AC100V/1500Wまでの家電製品などが使えるV2Lに対応し、EV走行距離は最大87km。
オプションで太陽光発電による充電(走行中は補機バッテリー系へ給電)が可能なソーラー充電システムや、ドアに挟んで電源ケーブルを通し、車内コンセントからの外部給電を容易にする外部給電アタッチメントなど、使い勝手を向上させる装備も充実しています。
メーカー | トヨタ(TOYOTA) |
車種 | プリウス |
モデル・グレード | Z・2.0プラグインハイブリッド車 |
全長×全幅×全高 | 4,600×1,780×1,430mm |
車両重量 | 1,570kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.4m |
駆動方式 | FWD |
エンジン排気量 | 1,986cc |
エンジン最高出力 | 111kW(151ps)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 188N・m(19.2kgf・m)/4,400~5,200rpm |
燃費 | 26.0km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 120kW(163PS) |
モーター最大トルク | 208N・m(21.2kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 51.0Ah(18.1kWh) |
電力消費率 | 134Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 87km |
価格(税込) | 460万円 |
公式サイト |
トヨタ クラウンスポーツPHEV
SUV路線がメインとなった現行の16代目クラウンでは、クラウンセダンPHEV(2023年11月発売)のほか、2023年12月には5ドアハッチバックSUV版「クラウンスポーツ」へPHEV版のRSを追加しました。
「RS」のグレード名が示すように、HEVグレードのZよりパワフルなスポーツグレードという位置づけですが、プリウスPHEVやハリアーPHEVと異なり、高出力の6kW普通充電や急速充電、V2Hにも対応しているのが特徴。
走行用バッテリー容量が他のトヨタPHEVと変わらないためEV走行距離こそ最大90kmに留まりますが、3kw普通充電なら約5時間半のところ、6kW普通充電なら約3時間半、50kW以上の急速充電なら約38分と充電時間が格段に短く、非常電源としてもBEV並の能力です。
メーカー | トヨタ(TOYOTA) |
車種 | クラウンスポーツ |
モデル・グレード | SPORT RS |
全長×全幅×全高 | 4,720×1,880×1,570mm |
車両重量 | 2,030kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.4m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 2,487cc |
エンジン最高出力 | 130kW(177ps)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 219N・m(22.3kgf・m)/3,600rpm |
燃費 | 20.3km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 174kW(236PS) |
モーター最大トルク | 391N・m(39.8kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 51.0Ah(18.1kWh) |
電力消費率 | 165Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 90km |
価格(税込) | 765万円 |
公式サイト |
マツダ CX-60
マツダがSUVで久々に復活させた、エンジン縦置きFRレイアウトのRWDベースAWD車、CX-60のPHEV版で、直噴ガソリンエンジンにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせた「e-SKYACTIV PHEV」を組み合わせて2022年12月に発売。
8速ATと通常のプロペラシャフトを持つ機械式フルタイムAWDへ、外部からの充電を可能とした大容量バッテリーとモーターという過渡期のメカニズムのため、HEVとしての燃費性能はさほど優れていないものの、市街地などで最大74kmのEVが可能です。
ただし、急速充電(40kW以上で80%までの充電時間は約40分)や6KWの高出力普通充電、外部給電もV2LだけでなくV2Hに対応するなど本格的な装備を持ち、短距離ではBEV的に、それ以外ではFRスポーツ的な走りを楽しみたいユーザー向けとなっています。
メーカー | マツダ(MAZDA) |
車種 | CX-60 PHEV |
モデル・グレード | ■Exclusive Sports ■Exclusive Modern ■Premium Sports ■Premium Modern |
全長×全幅×全高 | 4,740×1,890×1,685mm |
車両重量 | ■Exclusive Sports/■Exclusive Modern:2,060kg ■Premium Sports/■Premium Modern:2,090kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.4m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 2,488cc |
エンジン最高出力 | 138kW(188ps)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 250N・m(25.5kgf・m)/4,000rpm |
燃費 | 14.6km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 129kW(175PS) |
モーター最大トルク | 270N・m(27.5kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 17.8kWh |
電力消費率 | 237Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 74km |
価格(税込) | ■Exclusive Sports:609万9,500円 ■Exclusive Modern:609万9,500円 ■Premium Sports:646万2,500円 ■Premium Modern:646万2,500円 |
公式サイト |
【輸入車】PHEVの人気車種ラインナップ
Dmitry Rukhlenko - stock.adobe.com
海外では日本ほどハイブリッド車が盛んではないイメージがあるものの、日本のHEVと違ってエンジンとの高度な統合制御を必要とせず、市街地を短距離だけBEVとして走れればよく、大容量バッテリーが不要で比較的安価なPHEVに限れば、むしろ盛んです。
日本にもいくらか輸入されており、人気車種をいくつか紹介しましょう。
ジープ ラングラー 4xe
民生/軍用問わずクロカン四駆の元祖、「ジープ」の直系子孫であるジープ ラングラーの最新モデルをPHEV化したモデルで、2024年4月現在、日本で市販されている独立ラダーフレーム式の本格クロカンでは、PHEVというだけにとどまらない、唯一のHEVです。
あくまで本筋はクロカンのため、頑丈な構造やジープらしいスタイルが第一で、軽量化や空気抵抗低減にさほど努力が傾けられていないため、燃費性能はハイブリッド車とは思えないレベルで、充電も普通充電のみでV2H/V2Lにも非対応。
しかし、市街地だけでもEV走行(最大47km)が可能なので、この種の車も環境に配慮しながら維持する大義名分は立ちますし、悪路で必要とされる低回転大トルクのモーターアシストも魅力です。
メーカー | ジープ(Jeep) |
車種 | ラングラー 4xe |
モデル・グレード | アンリミテッド ルビコン |
全長×全幅×全高 | 4,870×1,930×1,855mm |
車両重量 | 2,350kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 6.2m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 1,995cc |
エンジン最高出力 | 200kW(272ps)/5,250rpm |
エンジン最大トルク | 400N・m(40.8kgf・m)/3,000rpm |
燃費 | 8.6km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 153kW(208PS) |
モーター最大トルク | 309N・m(31.5kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 15.46kWh |
電力消費率 | 368Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 42km |
価格(税込) | 1,030万円 |
公式サイト |
メルセデス・ベンツ GLC350e
メルセデス・ベンツのミドルクラス・クロスオーバーSUV、GLCにはワゴンボディの「GLC」とクーペボディの「GLCクーペ」があり、2023年11月に前者へ追加されたPHEV版がGLC350e 4MATIC Sportsで、2024年4月現在は「Edition Star」のみ販売中。
PHEVとしては大容量(31.2kWh)のバッテリーで100km以上のEV走行が可能なため、ちょっとした買い物以上の距離をBEVとして使用する事が可能で、最高速140km/hですから高速道路でもモーターだけで余裕の走りです。
AC100V/1500Wコンセントなど外部出力系がないためV2H/V2L対応のないのは惜しいものの、3kWのみならず6kW普通充電や、急速充電にも対応しているため、EV走行距離の長さも合わせてBEV的に使いたいユーザー向きと言えます。
メーカー | メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz) |
車種 | GLC350e |
モデル・グレード | 350e 4MATIC Sports Edition Star |
全長×全幅×全高 | 4,725×1,920×1,635mm |
車両重量 | 2,310kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.1m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 1,997cc |
エンジン最高出力 | 150kW(204ps)/6,100rpm |
エンジン最大トルク | 320N・m(32.6kgf・m)/2,000~4,000rpm |
燃費 | 11.9km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 100kW(136PS) |
モーター最大トルク | 440N・m(44.9kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 31.2kWh |
電力消費率 | 296Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 105km |
価格(税込) | 998万円 |
公式サイト |
ボルボ V60リチャージ
2020年に全車電動化、2030年には全車BEV化を宣言しているボルボらしく、2018年にモデルチェンジしたステーションワゴンのV60(2代目)にも最初からPHEVが設定されており、2024年モデルでは「Ultimate T6 AWD」のみラインナップ。
かつては600万円台のモデルもあったのが、現在は900万円台とだいぶ高価にはなったものの、バッテリー容量の拡大や効率化で燃費やEV走行距離は格段に向上。
モーターだけで最大91kmも走れれば、普段はパワフルな2リッターターボ4WDを味わうこともなく平穏というユーザーも多そうです。
欧米のPHEVに多い「環境と性能の両立型」で、急速充電やV2H非対応、AC100V/1500WコンセントもないためV2Lも非対応ですが、高性能スポーツワゴンを環境に優しく乗りたいというユーザーにはよい乗り物ですし、数年後にはもう新車で買えなくなります。
メーカー | ボルボ(VOLVO) |
車種 | V60リチャージ |
モデル・グレード | Ultimate T6 AWD |
全長×全幅×全高 | 4,780×1,850×1,430mm |
車両重量 | 2,050kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.7m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 1,968cc |
エンジン最高出力 | 186kW(253ps)/5,500rpm |
エンジン最大トルク | 350N・m(35.7kgf・m)/2,500~5,000rpm |
燃費 | 15.6km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 159kW(216PS) |
モーター最大トルク | 374N・m(38.1kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 18.8kWh |
電力消費率 | 202Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 91km |
価格(税込) | 909万円 |
公式サイト |
プジョー 3008GT HYBRID4
プジョーのスタイリッシュなミドルクラスSUV、3008のPHEV版で、2代目3008(2017年)のマイナーチェンジで追加されました。
日本で販売される通常の3008はFWD車ですが、PHEV版は「HYBRID4」の名が示すように前後にモーターを搭載したAWD車で、V2H/V2Lや急速充電には非対応なものの、普通充電が6kW対応なので、Mode3タイプのケーブルつき普通充電器なら充電時間は短め。
バッテリー容量は小さくEV走行距離も64kmと短めですが、日本ならこれでも普段はBEVとして十分可能であり、BEVを購入するまで自宅に設置した充電設備を活かし、長距離のお出かけはHEVとして使うというPHEVらしい使い方にはマッチしているはずです。
メーカー | プジョー(PEUGEOT) |
車種 | 3008 |
モデル・グレード | GT HYBRID4 |
全長×全幅×全高 | 4,450×1,840×1,630mm |
車両重量 | 1,880kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.6m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 1,598cc |
エンジン最高出力 | 147kW(200ps)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 300N・m(30.6kgf・m)/3,000rpm |
燃費 | 15.3km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 164kW(222PS) |
モーター最大トルク | 486N・m(50.0kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 13.2kWh |
電力消費率 | 183Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | 64km |
価格(税込) | 710万5,000円 |
公式サイト |
ジープ レネゲード 4xe
日本でも売れている数少ないアメ車ブランド、「ジープ」の最小SUVで、同じステランティスグループのフィアット 500Xの姉妹車、レネゲードのPHEV版がレネゲード4xe(フォーバイ イー)です。
1.3リッターターボのフィアット マルチエアエンジンに、プラグインハイブリッドシステムを追加、バッテリー容量が11.4kWhと最小限レベルですが、最上級のトレイルホークでも1.9tに満たないPHEVとしては小型軽量ボディのため、50km程度のEV走行はこなします。
普通充電のみで急速充電やV2H/V2Lは非対応ですが、「強力なアメリカンSUVであるジープを日本で扱いやすいサイズで、環境に優しく乗りたい」というユーザー向けです。
メーカー | ジープ(Jeep) |
車種 | レネゲード 4xe |
モデル・グレード | ■リミテッド ■トレイルホーク |
全長×全幅×全高 | ■リミテッド:4,255×1,805×1,695mm ■トレイルホーク:4,255×1,805×1,725mm |
車両重量 | ■リミテッド:1,790kg ■トレイルホーク:1,860kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.5m |
駆動方式 | AWD |
エンジン排気量 | 1,331cc |
エンジン最高出力 | ■リミテッド:96kW(131ps)/5,500rpm ■トレイルホーク:132kW(179ps)/5,750rpm |
エンジン最大トルク | 270N・m(27.5kgf・m)/1,850rpm |
燃費 | ■リミテッド:16.0km/L(WLTCモード) ■トレイルホーク:14.8km/L(WLTCモード) |
モーター最高出力 | 126kW(173PS) |
モーター最大トルク | 303N・m(30.9kgf・m) |
バッテリー総電力量 | 11.4kWh |
電力消費率 | ■リミテッド:221Wh/km(WLTCモード) ■トレイルホーク:216Wh/km(WLTCモード) |
充電電力使用時走行距離 | ■リミテッド:50km ■トレイルホーク:67km |
価格(税込) | ■リミテッド:615万円 ■トレイルホーク:620万円 |
公式サイト |
PHEVの購入時に使える補助金は?
PHEVは、BEVより限定的ながらHEVより長いEV走行が可能で、短距離ならBEVとして使えるという特性から次世代自動車の一種とされており、国から「CEV補助金」の対象となっています。
安価でEV走行距離の長いモデルほど補助金の額は大きくて上限額は55万円、高価でPHEVとしての機能が限定されたモデルでも12万円から20万円程度の補助金は出るほか、BEV同様に自治体から補助金が出ている場合もあるため、有効に使って購入しましょう。
CEV補助金対象 車両(PHEV)_CEV、EV・PHEV用充電設備、V2H充放電設備、外部給電器、水素ステーションの補助金交付を行う一般社団法人次世代自動車振興センター
全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置 | 一般社団法人次世代自動車振興センター
PHEV(プラグインハイブリッド車)についておさらい
この記事ではPHEV(プラグインハイブリッド車)について紹介しましたが、HEVとBEVの中間的存在とされつつ、バッテリーや充電関連の技術、充電インフラが進むまでの過渡期には有効で、2024年4月現在ではもっとも現実的な電気自動車でもあります。
急速な普及を推進したものの、インフラ整備が追いつかないヨーロッパなど、むしろBEV一辺倒からPHEVも推進して時間を稼ぐ方向へと一時的に転換しつつある現状もあり、今後もエンジンの役割を次第に小さくしつつ、長く続いていきそうなジャンルかもしれません。
このブランドについて
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TOYOTA
トヨタ
常に世界の最多生産台数を争い、日本のみならず世界を代表する自動車メーカー、トヨタ。多くの日本車メーカーと深い関わりを持ち、グループ全体で超小型車からバス・トラック、産業車両まで網羅したフルラインナップ・メーカーであり、近年は実用性やコストパフォーマンスのみならず、スポーツ性など走る楽しみにも力を入れています。世界初の量販ハイブリッドカー「プリウス」から電動化技術では最高の蓄積を持ち、自動運転技術の実用化、新世代モビリティと都市生活の在り方を模索する「ウーブン・シティ」へ多大な投資を行う一方、電動化だけがエコカー唯一の選択肢ではないというスタンスも崩さず、死角のない全方位戦略が現在の特徴です。
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MAZDA
マツダ
戦前・戦後とオート三輪がヒットした頃から優れた工業デザインが人気を博し、1960年代には世界で初めてヴァンケル式2ローターロータリーエンジンを実用化、1980年代には「赤いファミリア」の大ヒットで社会現象化するなど、実用性や走りへのこだわり、ファッショナブルなデザインといった個性では日本でも群を抜くマツダ。近年でも新型車の設計技術に取り入れた「SKYACTIVテクノロジー」や、効率的な生産技術、エモーショナルなデザインで他社に真似できないクルマづくりを得意としており、新型ロータリーエンジン8Cを発電機に使ったMX-30ロータリーEVのように、電動化でも「マツダらしさ」を存分に発揮しえいます。
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PEUGEOT
プジョー
同じステランティス傘下のフランス系メーカーでもシトロエンとは対象的に、通常のコンパクトカーやセダンをラインナップするプジョー。かつてのやや前衛的すぎたデザインは影を潜め、特に508セダンや同ステーションワゴンのリアビューなどを代表として、振り返るとハッとさせるほどのシックで落ち着いた大人の雰囲気を感じさせるデザインが特徴で、深い印象を与えるフロントマスクもさることながら、「後ろ姿で語る数少ないデザインアイデンティティ」が魅力的です。一見保守的とも感じさせる古くて新しい立体的なデザインに最新のテクノロジーを詰め込み、2023年には全車電動化、さらにBEVのラインアップを拡充していきます。
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VOLVO
ボルボ
スウェーデンのボルボは、1980年代後半から日本でも走行性能や安全性能に秀でたスタイリッシュな北欧系メーカーとして高い評価を受けるようになり、レースでの活躍やステーションワゴンブームの火付け役、衝突安全性能といった面で日本の自動車メーカーにも大きな影響を与えました。21世紀に入ると環境問題に敏感な国情も反映してHEVやPHEVなど電動化技術でも他の欧米系メーカーとは一線を画すほど熱心に取り組み、2020年代はじめに全車種の電動化を終えると、続けて2030年代には全車種のBEV化を宣言しました。派手なパフォーマンスよりも「シンプルにより良く安全に」という姿勢に好感を持つユーザーも増えています。