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電気自動車(EV)の充電スポットは本当に増えているの?
公開日:2024/04/30更新日:2024/04/30
そもそも日本政府が現在の目標として掲げているのが「2030年までに公共用の急速充電器3万口を含む30万口の充電インフラ整備」。そんな目標に向けて、補助金をはじめとしたさまざまな支援を行っています。
日本政府の取り組みの甲斐もあって2014年以降、EVの充電スポットは年々増え続けてきました。しかしながら、2020年にEVの充電スポット数が初めて減少しています。
そこで今回はEV充電スポットの変遷から、増やす上での課題や本当に増加しているかなどの疑問にお答えします。
目次
カースモーラちゃんポイント
- 日本政府はEV充電インフラの整備に力を入れているよ。
- 2020年にはEVの充電スポット数が減少してしまったみたい。
- EV充電スポットは、実際のところ増えているのかな?
EVの充電スポット数について
2024年2月末時点でのEV充電スポット数は、およそ2万1,561拠点です。そのうち、充電器の設置口数は3万7,459口。2023年度末のEV充電スポット数が2万589拠点ということを考慮すると、設置台数の点で増えてはいるものの増設ペースは早いとは言えず、まだまだ充分ではありません。
現時点で、日本政府が2030年までの目標として掲げている30万口には、遠く及ばない設置数と言えるでしょう。
しかしながら、政府は充電インフラ整備の2024年度の予算として、2023年度予算175億円のおよそ倍の360億円を配分しています。そのため、2024年度では前年度と比較して、EV充電器の新規設置台数が増えるのは間違いありません。
ただし、2030年までに30万口を目指すためには、よりスピード感を持ってEV充電スポットの設置に取り組む必要があります。
2020年には充電スポットの数が初めて減少した
2010年代から推進され、着実に設置台数を伸ばし続けてきたEVの充電器。しかしながら、2020年には2万9,233基と、2019年の3万394基から3.6%減と、初めて減少傾向に転じました。
EVの充電スポットの設置数が減少した原因の一つに、充電器の耐用年数があります。EV充電器の設計耐用年数は、一般的に7〜8年程度です。そのため、早い段階で設置されたEV充電器は老朽化により寿命を迎え、徐々に撤去されていきます。
そして、自動車メーカーによるEV充電器に対する補助制度の契約期間も8年程度であることがほとんど。契約更新またはEV充電器を交換するタイミングで、設置時と比べて補助金制度の条件が不利になってしまった場合や、充電スポットを経営するオーナーの負担が大きくなってしまった場合には、運営を辞めてしまう方も出てきます。
そんな理由から、今後もEV充電器の設置台が増えるのと同じく、減っていくことも視野に入れる必要があるのではないでしょうか。
EVの充電スポット数を増やすうえでの課題
今後、EV充電器の設置を進めていくうえで、欠かすことのできない課題は以下の四つ。
- 設置スペースの課題
- 充電インフラの整備の課題
- 運用期間の課題
- EV充電機器の高額化の課題
四つの中でも運用期間や、EV充電機器の高額化に関する課題は、今後EV充電器の設置数をさらに増やすためには重要となります。
設置スペースの課題
そもそもEVの充電器を設置するためには駐車場程度のスペースが必要です。
地方部ではスペースの確保は容易ですが、人が多く住み建物の密集する都内近郊では、充電スポットの設置スペースの確保は簡単ではありません。
そして、充電スポットは人が少ない場所と比べて、利用者が多い場所に必要とされています。そのため、充電スポットをさらに増やすためには、設置する空間の工夫はもちろんのこと、設置場所の需要に見合った口数を設置する必要があるのです。
今後のEV充電インフラの整備において、場所の確保は大きな課題となってくるのではないでしょうか。
充電インフラの整備の課題
EVはガソリン車と比べて、満充電からの航続距離が短いとされています。そんなEVを世の中に普及させるとなると出てくるのが、長距離運転に対する課題です。
今後EVがスタンダードになることを考慮すると、高速道路をはじめとした幹線道路へのEV充電器の設置は欠かせません。長距離の運転経路を考慮した、EV充電器の設置が求められているのです。
しかしながら、高速道路近辺にEV充電器を設置するには大規模な工事が必要なこともあるため、予算の関係から設置が難しいこともあります。
そのため、充電インフラ整備に対する政府の取り組みが、今後はさらに重要となるでしょう。
運用期間の課題
前述の通り2020年、EV充電器の設置台数は前年と比較して減少しました。その原因の一つとして挙げられるのが、老朽化による撤去です。
そのため、今後はEV充電器の運用に対する保証年数の長期化や、耐用年数を迎えたEV充電器の交換費用の優遇など、長期的な運用を促すための取り組みも必要となるのではないでしょうか。
EV充電機器の高額化の課題
近年では、急速充電器の需要が高まってきています。
一般的なEV充電器と比べて短時間で充電ができる長所を持つ反面、急速充電器の設置費用は高額です。
現在、急速充電器の設置に対して、普通充電器よりも多く補助金が出ます。しかしながら、急速充電器を長期的に運用するとなると、普通充電器と比べてランニングコストも高く、事業者の費用負担は大きくなってしまうのがポイント。高稼働が見込める場所であっても、事業者としては採算が取れない限り設置を躊躇してしまいます。
EV充電器本体だけではなく、高額化するランニングコストに対する取り組みも必要なのではないでしょうか。
カースモーラちゃんまとめ
現在EV充電スポットの数は増えているみたい。だけど日本政府が目標として掲げる「2030年までに公共用の急速充電器3万口を含む30万口の充電インフラ整備」を基準にすると、まだまだ増設ペースとは言えないんだね。
将来的に目標を達成できるかどうかは、政府のEVの充電に関する取り組みが大切なんだ。
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