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フォルクスワーゲンの電気自動車(EV)「ID.4」の性能・スペック・価格
公開日:2024/04/10更新日:2024/04/10
目次
フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.4」の概要
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フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.4」は、ドイツのフォルクスワーゲンがコンパクトなハッチバック電気自動車「ID.3」に次いで発売した、同ブランドで2番目の、日本でも販売したものとしては初の、電気自動車専用プラットフォームを採用した電動SUV。
自動車の開発を大幅に効率化し、期間も短縮化して急激に変革する時代に対応する統一プラットフォーム、あるいは設計アーキテクチャと呼ばれるものを世界でも早期に実現しているフォルクスワーゲンが開発した、MEBプラットフォームを使っています。
グレードは2つで、性能はソコソコながら比較的安価なエントリーグレード「ライト」と、価格は100万円以上高くなるものの、動力性能も航続距離も充実した本格派グレード、「プロ」をラインナップしました。
フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.4」の外観・内装デザイン
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日本で販売されるフォルクスワーゲン車では初の、電気自動車専用プラットフォームMEBを使った電動SUVであるID.4ですが、外観や内装には先進の電気自動車らしさがあるのか、それぞれ確認してみます。
外観:空力とVWらしさの両立
フロントマスク中央に貼られた大きな「VW」エンブレムもあって、他のフォルクスワーゲンSUVと大きな違いがないようにも思える外観ですが、サイズの近いエンジンSUVの「ティグアン」と比較すれば、全体的な印象は全く異なります。
空力性能を追求したルーフが低いワイド&ロースタイルに、大型ルーフスポイラーやリヤディフューザーといった効果的な空力パーツ、ほぼフラットなボディ底面などによって、Cd値(空気抵抗値)は0.28と、SUVとしては極めて優秀。
サイド下部で床下バッテリーの位置を示すブラックのアクセントや、フラットで空気抵抗の少ない電子式アウターハンドル、開口部や継ぎ目の少ないシームレスなフロントマスクが、VWのデザインアイデンティティと電気自動車らしさを両立させています。
内装:流行の定番にひと工夫あり
内装の中でも前席周辺インパネ周りは最新の電気自動車で流行の、「ドライバー用のインフォメーションディスプレイと、大画面の多用途センターディスプレイを、視線移動の少ない水平配置」と、視界良好な水平基調のダッシュボードというスタイルです。
ちょっと特殊なのは、ステアリングコラム(ハンドル軸)上へ取り付けられたドライバーインフォメーションディスプレイで、ドライビングポジションに合わせてハンドルを上下させても、ドライバーから見やすい位置を保つよう配慮されています。
シフトノブに代わってハンドルを握る右手の奥、少し手を伸ばした位置にあるドライブセレクターなどは扱いやすいですが、タッチパネルを多用しすぎてちょっとした停車中に直感的な操作が難しいセンターディスプレイは、今後の改善待ちでしょう。
最新の電気自動車では欠かせないパノラマガラスなど、全体的に流行をよく押さえた中、フォルクスワーゲン独自の工夫が細部に施された内装です。
フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.4」のサイズ・室内スペース
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日本で使うSUVとしては大きすぎることもなく、むしろ実用性と手頃な大きさを両立した大きさのID.4ですが、そのサイズ感や室内スペース、収納スペースについてここで紹介しましょう。
ボディサイズ:日本では重さ以外及第点
ID.4の寸法は全長4,585mm、全幅1,850mm、全高1,640mmと、わかりやすく人気の国産SUVに例えれば、トヨタのカローラクロス(4,490×1,825×1,620mm)より一回り大きく、マツダ CX-5(4,575×1,845×1,690mm)と同程度で、ハリアーやRAV4よりは小さいです。
売れ筋の国産アッパーミドル級SUVにいくらでも大きなモデルがあるのは、日本の道でも大抵は走れて、取り回しに困ることもそうそうない、ということを意味しますが、大容量バッテリーを積む電気自動車ゆえに見た目以上に重いのは少し難があるかもしれません。
性能追求型グレードの「プロ」では車重2,140kgと2t超えのため、都市部の重量制限が厳しい駐車場、地方でも同じく小さな橋など頻繁に通る場合は、1,950kgと少し軽い「ライト」グレードの選択が無難でしょう。
室内スペース:広々な居住空間
エンジンや燃料タンクを考慮しなくてよい、電気自動車専用プラットフォームを採用したID.4ですが、その恩恵をもっとも強く受けているのが、広々とした室内スペースかもしれません。
フォルクスワーゲンではID.4の室内寸法を公表していませんが、ホイールベースは同ブランドで外寸がほぼ同等な同クラスエンジンSUV「ティグアン」(2,675mm)より95mm長い2,770mm。
さらに水平基調でシンプルな内装も相まって、特に前後方向の居住性、後席の足元などは相当に余裕があり、細かい調整が可能なメモリーつきパワーシートでスペック以上に広くゆったりした感覚が得られて、シートマッサージ機能など快適装備も充実しています。
収納スペース:後席を倒すと広大
3列シート車を設定するほどではないものの、コンパクトSUVのT-CROSSなどよりは立派な体格のID.4には、収納スペースにもステーションワゴン的な積載能力が期待されます。
実際、ラゲッジスペースは後席を倒さずとも543L(VDA法)と十分なスペースがあり、標準的なゴルフバッグなら横置きで2つ、やや長めでも斜めにすれば入り、他の小物を入れる余裕くらいは残りそうです。
もちろん後席を倒せば1,575Lもの広大な空間が生まれますが、後席座面の格納などで背もたれを水平まで倒し、荷室を完全にフラットにするまではいかないため、荷室をフルに使って物を積みたい場合は、水平にしておく必要があるものは後ろ側など注意が必要でしょう。
フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.4」の性能・電費・装備
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性能ソコソコで安価に抑えたエントリーグレードの「ライト」、価格は上がっても性能や装備を充実させた「プロ」の2グレードがあるフォルクスワーゲンの電気自動車ID.4ですが、それぞれの性能・電費・装備を紹介します。
走行性能:ライトとプロで異なる
搭載しているモーターの型式や定格出力は同じ、最大トルクもほぼ同等で同じリア1モーター式のRWD車ですが、スペック上の動力性能はだいぶ異なります。
ID.4 ライト | ID.4 プロ | |
車重(kg) | 1,950 | 2,140 |
最高出力:kW(ps) | 125(170) | 150(204) |
パワーウェイトレシオ:kg/kW(ps) | 15.6(11.4) | 14.2(10.4) |
最大トルク:N・m(kgf・m) | 310(31.6)/0-3,851rpm | 310(31.6)/0-4,621rpm |
トルクウェイトレシオ:kg/N・m(kgf・m) | 6.29(61.7) | 6.9(67.7) |
重量あたり出力を表す、パワーウェイトレシオやトルクウェイトレシオは小さい方が、つまり同じ出力でも受け持つ重量が軽い方が、動力性能が良好かつ高効率です。
高速域まで含むトータルの動力性能ではパワーウェイトレシオで勝る「プロ」が有利なものの、バッテリー容量を少なく軽くしたことで、結果的にトルクウェイトレシオで勝る「ライト」が日常域では高効率だと言えます。
高速長距離巡航が多いヘビーユーザーなら「プロ」、通勤など街乗り主体なら「ライト」という選択になるでしょう。
安全性能:どちらを選んでも充実
フォルクスワーゲンはもともと、モデルやグレードによって差を設けない高い安全性能、「オールイン・セーフティ」を売りにしているメーカーで、最先端の高価な予防安全技術はさすがに全車標準装備といかないものの、両グレードともかなり充実しています。
まず衝突安全性能は前席にフロント、センター、サイド、カーテン、後席にカーテンエアバッグの7エアバッグ、むち打ち軽減ヘッドレストなどを全車標準装備。
予防安全技術は衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシスト(車線逸脱抑止)など基本装備が充実し、「プロ」ではさらに同一車線内・全車速でレベル2運転支援を行う「トラベルアシスト」や、緊急時停車支援システム「エマージェンシーアシスト」が標準装備です。
電費性能:安価で高効率なライト
1kmごとの交流電力消費率、つまり「同じ距離を走ってもどれだけバッテリーの電力を消費するかを意味する「電費」は、軽くて最高出力が控えめのライトが132kWh/kmと優秀ですが、プロも139kWh/kmと、案外差がありません。
プロの方がモーターの高回転域まで最大トルクを維持するため、流れのよい郊外や高速道路では有利な面もあり、バッテリー容量がライトの52.0kWhに対し、プロkWhは77.0と大容量のため、WLTCモード一充電走行距離はライトが436km、プロが618kmです。
両グレードを対比すると、「良好な電費でバッテリー容量の少なさを補い、意外と走る経済的なライト、多少電費が落ちても大容量バッテリーで、パワフルな走りと航続距離を両立したプロ」となります。
装備・機能:定番の「アレ」もプロは標準
さすがに100万円以上の価格差があるだけあって、「プロ」は非常に装備が充実しており、走行性能や予防安全性能に関わる部分以外でも、電気自動車といえばこれでしょう!というくらい最近は定番の、パノラマガラスルーフもプロだけが装備しています。
運転席と助手席の快適性に大きく関わるパワーシートや、座面長の調整(ライトは高さ調整のみ)、シートで乗員のサポート性を左右するパワーランバーサポートも、さらに荷室の使い勝手を向上させるラゲッジネットやラゲッジネットパーティションもプロだけの装備。
タイヤ&ホイールもライトは18インチ、プロは20インチで、内外装を見比べると「エントリーモデルと上級モデルの差」は一目瞭然です。
フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.4」の価格・スペック
メーカー | フォルクスワーゲン(Volkswagen) |
車種 | ID.4 |
モデル・グレード | ■ライト ■プロ |
全長×全幅×全高 | 4,585×1,850×1,640mm |
車両重量 | ■ライト:1,950kg ■プロ:2,140kg |
乗車定員 | 5人 |
最小半径 | 5.4m |
電力消費率 | ■ライト:132Wh/km(WLTCモード) ■プロ:139Wh/km(WLTCモード) |
一充電走行距離 | ■ライト:435km(WLTCモード) ■プロ:618km(WLTCモード) |
総電力量 | ■ライト:52.0kWh ■プロ:77.0kWh |
最高出力 | ■ライト:125kW(170PS) ■プロ:150kW(204PS) |
最大トルク | ■ライト:310N・m(31.6kgf・m) ■プロ:310N・m(31.6kgf・m) |
価格(税込) | ■ライト:514万2,000円 ■プロ:648万8,000円 |
公式サイト | フォルクスワーゲン(Volkswagen)公式サイト |
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このブランドについて
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VOLKSWAGEN
フォルクスワーゲン
不朽の名車、タイプ1「ビートル」や現在の「ゴルフ」を代表作とする、ドイツを代表する大衆車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)。安価なコンパクトカーであろうと走行性能や経済性、安全性に優れたクルマづくりで急成長し、現在は多くのメーカー、ブランドを傘下に持つ巨大なVWグループの中核となり、ドイツのみならず世界の自動車メーカーの時流をリードする旗振り役でもあり、「ID」シリーズのBEVをリリースするなど新時代のモビリティを次々と生み出している最中です。ただし、従来どおり大衆車メーカーのまま先進技術の塊を実用化する事に限界を感じたらしく、大衆車メーカーからプレミアムメーカーへの転換を宣言しています。