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電気自動車(EV)を蓄電池として使用するには?
公開日:2024/06/03更新日:2024/06/03
本記事では、EVを蓄電池として使用する主なメリットと注意点をまとめています。
目次
カースモーラちゃんポイント
- EVに搭載されているバッテリーは家庭用蓄電池として利用できるんだ。
- ただし、V2Hの導入が必要な点には注意してね。
- EVのバッテリーは家庭用蓄電池よりも容量が大きくて、長時間給電などのメリットがあるよ。
- 初期費用がかかることや充電スポットの少なさには注意が必要だよ。
EVを蓄電池として使用するのに必要な「V2H」
Vehicle to Home(V2H)は、EVのバッテリーに溜まった電力を活用するためのシステムで、EVに蓄えられた電力を家庭で有効活用できるため注目されています。
一般的な200Vの普通充電が3kWの充電力であるのに対して、最大6kWと充電力が2倍になるのがV2Hのメリットです。V2Hを活用することで、EVの充電時間を短縮でき、かつ蓄電池として利用できるようになります。
EVを蓄電池として使用するメリット
EVを蓄電池として使用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。主な四つのメリットを見てみましょう。
家庭用の蓄電池よりも容量が大きい
EVのバッテリー容量は家庭用蓄電池よりも大きく、家庭への長時間給電が可能です。消防法により、家庭用蓄電池の最大容量は約16kWhに制限されています。
しかしEVは、長距離走行のためにバッテリーの容量が大きくなっているのが特徴です。例えば、日産のアリアのバッテリー容量は66kWhで、家庭用蓄電池の容量の数倍。このことから、家庭用蓄電池の制限におけるネックを解消できるでしょう。
停電時でも長時間給電できる
EVはV2Hを通じて、停電時でも自宅に電力を供給できます。バッテリー容量が家庭用蓄電池よりも大きく、長時間の電力供給が可能なことが理由です。
例えば、ニチコンの「ESS-U4X1」モデルは蓄電容量が16.6kWhで、停電時に約1日半の電力供給が可能。一方、日産のアリアのバッテリー容量は66kWhで、単純計算で約6日間もの間連続で使用できます。
使用状況や充電状況により異なりますが、EVは停電時でも長時間自宅へ給電できるため安心です。
太陽光発電と併用することで電気料金を削減しやすい
EVは太陽光発電と組み合わせることで、電気料金の削減が可能です。太陽光発電は自然エネルギーを使用し、発電した電気は無料で利用できます。結果、電気自動車への充電コストが0円になり、電気料金を抑えることが可能。
太陽光発電設備は高価ですが、補助金の利用やリース契約を結ぶことで初期費用を0円に抑えることも可能です。さらに、発電した電気を売電することで収入を得ることもできます。
環境に対する配慮となる
EVのバッテリーは太陽光発電を組み合わせることで、再生可能エネルギー源としての効果が向上します。太陽光発電は化石燃料を使用しないため、温室効果ガス排出の軽減を通じた環境への配慮が可能です。
ただし太陽光発電は、天候への依存や発電した電力をその場で使い切らなければならないという課題があります。
EVを蓄電池として使用する際の注意点
EVを蓄電池として使用することを検討している場合は、以下に挙げる注意点も理解しておくことが大切です。
初期費用がかかる
EVを蓄電池として使う際には、EVの購入費用に加えてV2Hシステムの設置に費用が必要となります。V2Hシステムは専用の充電設備や変換器、制御システムなどが必要で、これらの初期投資がコストを増加させます。
また、太陽光発電システムがなければ新たに設置する必要があり、その費用を考慮する必要も。長期的に見るとエネルギーコストの削減につながる可能性はありますが、初期投資は大きな出費となるため、導入を考える際の重要なポイントとなります。
充電スポットが少ない
充電スポットの少なさが原因でEVを十分に充電できないと、その分蓄電池としての利用にも制限がかかります。
特に地方や郊外では、EVの充電スポットの設置が都市部と比べて遅れていることが多い傾向にあります。さらに、充電スポットが存在しても、完全充電に時間がかかったり、充電器の種類が車種によって違うため、利用者にとっては不便さを感じることもあるでしょう。
バッテリーが劣化しやすい
EVを蓄電池として使う場合、バッテリーの使用回数が増えて寿命が早まる可能性があります。EVのバッテリーにはサイクル数が存在し、放充電を繰り返すとその数が減り、寿命が近付きます。
したがって、蓄電池として頻繁かつ長時間EVを使用したい場合、バッテリーの劣化が早まりやすい点は大きなデメリットとなるでしょう。
蓄電池そのものの注意点を把握する必要もある
EVに限らず「蓄電池」というものには、発火事故や感電事故の危険性があることを理解しておかなければなりません。
EVにも搭載されているリチウムイオン電池は燃えやすい「電解液」を使用しているため、発火事故のリスクがあります。発火の原因は、蓄電池の充放電反応により発生する熱です。とはいえ、蓄電池が発火事故に至るほど加熱するのは、蓄電池が熱暴走状態になった場合のみなので、頻繁に起こる事故というわけではありません。
また蓄電池は電力を多量に蓄える傾向にあるため、感電のリスクが存在します。ただし、絶縁対策が適切に施されている場合、蓄電池本体に触れても感電することはありません。しかし、何らかの原因で蓄電池内部の電解液が漏れたり、内部が露出した場合は感電の可能性があります。
カースモーラちゃんまとめ
太陽光電池と併用すれば電気代も削減できて、環境にも配慮できるけど、初期費用がかかる点には注意しようね。そもそもEVの充電スポットの数が十分じゃないこととか、蓄電池として使用することでバッテリーが劣化しやすくなる点にも注意が必要だよ。
色々注意点はあるけど、蓄電池としての使用もできるEVは、今後家庭の電力をカバーするうえでの強い味方になるから、今回紹介した内容を参考にしながら購入を検討してみてね。
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