NEW

ニッケル水素電池ってなに?実はハイブリッド車(HV)との深い関係も

ニッケル水素電池は、燃料消費率の低減と環境負荷軽減を目指して開発された電池技術です。この電池はトヨタ自動車のプリウスをはじめとする、ハイブリッド車(HV)のエネルギー源として活躍しています。

しかし、ニッケル水素電池の利用範囲はHVにとどまりません。携帯電話やデジタルカメラ、非常灯や医療機器など、私たちの日常生活においても広く使用されています。

このように、私たちの日常にも関わるニッケル水素電池とはどのような電池なのでしょうか?その歴史や長所、構造などを解説していきます。

目次

  1. 主にHVで活躍するニッケル水素電池
  2. 1990年に大きく普及したニッケル水素電池とその歴史
  3. 最近登場した「バイポーラ型ニッケル水素電池」はさらに高出力に

主にHVで活躍するニッケル水素電池

主にHVで活躍するニッケル水素電池

ニッケル水素電池は、HVのエネルギー源として非常に重要な役割を担っています。HVは、ガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせにより燃費の効率化を図っている自動車のこと。


特に、トヨタ自動車が1997年に世界で初めて量産を開始したハイブリッド乗用車「プリウス」では、その販売開始当初から現在に至るまで、25年以上にわたりニッケル水素電池が使用され続けています。


また、再生ブレーキシステムで生じる電気エネルギーの蓄積にも活用され、エンジン停止時のアイドリングストップ機能にも深く関わっています。加えて、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の補助電源としても使用されることも。


このように、ニッケル水素電池は燃費の向上と環境負荷の低減に貢献しているのです。

1990年に大きく普及したニッケル水素電池とその歴史

1990年に大きく普及したニッケル水素電池とその歴史

ニッケル水素電池の歴史は1960年代に始まります。


この時代に、エアロジェット・ジェネラル社の技術者E. Reidが、既存のニッケルカドミウム電池に水素を吸蔵する金属を組み合わせ、新たなタイプの電池を開発しました。このアイデアがニッケル水素電池の誕生のきっかけとなりました。


1970年代にはニッケル水素電池はそのエネルギー密度の高さと長寿命性から、宇宙関連のプロジェクトで使用され始めます。1980年代には、NASAが宇宙シャトルでニッケル水素電池を使用し、その信頼性が認められました。


1990年代になると、この技術は一般消費者向けの製品にも応用され、携帯電話やデジタルカメラなどにも使用されるようになりました。日本の松下電池工業と三洋電気(現パナソニック)が世界で初めて量産化に成功したことは重要なトピックでしょう。


2000年代以降はさらに技術革新が進み、腕時計や家庭用電化製品などさまざまな分野で使用されるようになりました。最近では、再生可能エネルギーとの組み合わせやEVなど、新たな用途でニッケル水素電池が検討されており、その将来性に期待が寄せられています。

最近登場した「バイポーラ型ニッケル水素電池」はさらに高出力に

最近登場した「バイポーラ型ニッケル水素電池」はさらに高出力に

バイポーラ型ニッケル水素電池は、トヨタ自動車と豊田自動織機が共同開発し、2021年7月発売のトヨタ「アクア」の駆動用バッテリーとして世界で初めて採用された電池です。


バイポーラ(双極)と名付けられているように、従来のニッケル水素電池のようにセル間をコネクタなどで接続するのではなく、セル同士を直接接続していくという仕組みになっています(セルとは、バッテリーを構成する個々の電池のこと)。


そのため、コネクタによる電流・電圧の絞り込みなどをする必要がなく、大電力を一気に流せるという特性を持っています。従来型のニッケル水素電池と比較すると、セルあたりの出力が約1.5倍、同スペース内に搭載されるセルの量が1.4倍となっており、非常に高いバッテリー出力を実現しています。


高出力であることに加え、部品点数が少なく、コンパクト化が可能というメリットもあります。その後の2022年6月に発表されたレクサス「RX」、7月に発表されたトヨタ自動車「クラウン」などにも搭載されました。

カースモーラちゃんのまとめ

ニッケル水素電池の歴史は、技術の進歩と社会のニーズが絡み合い、エコフレンドリーなエネルギー源の需要が高まる中でその地位を確立してきたんだね。今ではニッケル水素電池はハイブリッド車をはじめ、いろいろな用途で重宝されているんだよ。

近年ではバイポーラニッケル水素電池という技術も登場してきているみたい。これからの持続可能な未来に向けて、ニッケル水素電池がどのように進化し、特に自動車産業とどのように関わっていくのか注目したいね。

こちらもオススメ

  • 高コストな水素ステーション、普及のための課題って?

    環境に優しい「燃料電池自動車(FCEV)」。 これまで自動車の燃料として使用されてきたガソリンではなく、FCEVは水素と酸素の化学反応でモーターを動かします。そのため、燃料の供給に必要となるのは、ガソリンスタンドではなく水素ステーション。 ...

    2024/07/24

こちらもオススメ

  • イワタニ水素ステーションで6月1日より水素が約36%の値上げ

    日本に48カ所ある岩谷瓦斯株式会社のイワタニ水素ステーションにて、2024年6月1日(土)より現在の1,210円/kg(税込)→1,650円/kg(税込)に値上がりに。燃料電池車(FCV)ユーザーからは、長らく1,210円/kg(税込)という価格で比較的安価に利用できてい...

    2024/05/30

新着記事