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電気自動車(EV)の燃費「電費」とは?見方や計算方法、車種別比較

電気自動車(EV)は、ガソリン車と違って電気の力で走行するため、燃費のことを「電費」と称します。
車の燃費は車種によって異なります。そのため、車を購入する際は、車両価格はもちろん、燃費を気にする方も多いと思います。電気自動車においても、1kWhの電力で何km走行できるか、知っておくことは大切です。

そこで今回は、電気自動車(EV)の電費の説明から、電費表示の見方や計算方法、車種別の比較まで徹底解説します。

目次

  1. 電気自動車(EV)の燃費「電費」とは
  2. 電気自動車(EV)の電費の計算方法
  3. 電気自動車(EV)の電費とエンジン車の燃費はどっちが安い?
  4. 電気自動車(EV)の電費を車種別に比較
  5. 電気自動車(EV)の電費は季節や運転方法で変化する
  6. 電気自動車(EV)の電費を良くする運転のポイント
  7. 【Q&A】電気自動車(EV)の電費について多い質問
  8. 電気自動車(EV)のの燃費「電費」についておさらい

電気自動車(EV)の燃費「電費」とは

電気自動車(EV)の燃費「電費」とは

ここでは、電気自動車(EV)の燃費(電費)について詳しく解説します。

ポイント
  • エンジン車の燃費とは
  • 電気自動車の電費とは
  • 電気自動車の電費表示(単位)の見方

エンジン車の燃費とは

エンジン車の燃費とは、車に補充されている1L(リットル)の燃料で、何km走ることが可能かを表したものです。エンジン車のカタログに記載されている「15km/L」などは、ガソリン1Lで15km走行できることを示しています。エンジン車の燃費は、1Lで走行できる距離が長い車が「燃費が良い車」となっています。

しかし、エンジン車のカタログに記載されている数値は、公道を走行して出した数値ではないので、実際とは少し異なります。

電気自動車の電費とは

電気自動車の電費とは、エンジン車の燃費を電力「1kWh(キロワットアワー)」に置き換えて表したものです。電気自動車は、電力で走行するため、車メーカーのカタログには、燃費ではなく電費と記載されています。電気自動車の電費は、エンジン車の燃費と同様に1km走行するために必要な電力を示しています。

最近では、国際基準になりつつある電費を、自動車メーカーのカタログには、交流電力消費率または、電費として記載されています。

電気自動車の電費表示(単位)の見方

電気自動車の電費表示(単位)の見方は、ガソリンや軽油などの燃費「L(リットル)」を電力の単位に置き換えなければなりません。電気の単位は「W(ワット)」で表します。そのため、電力量は電気の大きさと時間で表すため、「Wh(ワットアワー)」となります。

電気自動車の電費を、エンジン車の燃費と比較する際は、以下のようになります。車に補充されている1kWh(キロワットアワー)で、何km走れることができるか。実際の数値とは少し異なりますが、一般的にはkWh(キロワットアワー)のように表します。

電気自動車(EV)の電費の計算方法

電気自動車(EV)の電費の計算方法

ここでは、エンジン車の燃費の計算方法と電気自動車(EV)の電費の計算方法について紹介します。

ポイント
  • エンジン車の燃費の計算方法
  • 電気自動車の電費の計算方法

エンジン車の燃費の計算方法

エンジン車の燃費の計算方法でおすすめのやり方が比較的簡単に行え、正確性も非常に高い「満タン法」です。満タン法のやり方は以下の通りになっています。

  • 満タン給油を行ってトリップメーターをリセットする
  • 次の給油時も満タンにする
  • トリップメーターの走行距離(km)÷給油量(L)
  • 割って出た数値が実際の燃費になる

たとえば、トリップメーターの走行距離を500kmとして給油量を50Lとします。その場合は、500÷50なので実際の燃費は10km/Lとなります。

電気自動車の電費の計算方法

自動車のカタログなどに記載されている電費は目安なので、実際の電費とは少し異なります。実際の電費の計算方法は以下のようになります。

走行距離(km)÷充電した電力量(kWh)=電費(km/kWh)

たとえば、100kmの距離を走行した電気自動車が満充電までに要した電力量が20kWhの場合は、100÷20なので5km/kWhという計算になります。電気自動車を購入する際は、実際の電費を確かめることが大切です。

電気自動車(EV)の電費とエンジン車の燃費はどっちが安い?

電気自動車(EV)の電費とエンジン車の燃費はどっちが安い?

「全国家庭電気製品公式取引協議会」において、自宅で電気自動車を充電する際の電気料金の目安は、1kWhあたり31円(税込)と発表されており、電気自動車(EV)の電費の方がエンジン車の燃費より安いと言えます。

電気代

電費を15km/kWhとして、走行距離が年間1万kmとします。その場合、電気自動車の1年間の電気代は以下のようになります。 1万km÷15km/kWh=約666kWh 666kWh×31円/kWh=2万646円となります。

ガソリン代

一方、上記と同じ条件で、ガソリン価格は地域によって異なりますが150円とした場合、以下のようになります。 1万km÷15km/kWh=約666kWh 666kWh×150円/L=約10万円となります。

電気自動車(EV)の電費を車種別に比較

電気自動車(EV)の電費を車種別に比較

ここでは、電気自動車(EV)の電費を車種別に比較したものを紹介します。

ポイント
  • 電気自動車の電費を車種別に比較
  • 国産電気自動車の電費の平均は?
  • 外車の電気自動車は電費が悪い?

電気自動車の電費を車種別に比較

電気自動車の電費を車種別に比較すると、以下の表の通りです。

【国産車の電費比較表】


ランキングメーカーモデル年式電費

(km/kWh)
総電力

(kwh)
最高出力

(kw)
継続距離

(㎞)
1トヨタC+pod202016.69.069.2150
2日産サクラ20229.02047180
3ホンダHonda e20218.035.5100283
4スバルソルテラ FWD20227.471.4150530
5ホンダHonda e Advance20217.335.5113259

【外国産の電費比較表】


ランキングメーカー/輸入国モデル年式電費

(km/kWh)
総電力

(kwh)
最高出力

(kw)
継続距離

(㎞)
1ルノー/フランストゥイージー45201214.374100
2ルノー/フランストゥイージー80201214.3713100
3シトロエン/フランスAmi(アミ)202013.65.5675
4フィアット/イタリアトッポリーノ202313.65.5675
5BYD/中国BYDドルフィン20238.944.970400

車種によって、電費、総電力、最高出力、航続距離などは異なるので、電気自動車を購入する際は、確認しましょう。

国産電気自動車の電費の平均は?

国産電気自動車の電費の平均は、6~7km/kwhです。代表的な電気自動車の電費は、以下の表のとおりです。

電気自動車種電費
日産リーフ(バッテリー容量62kWh)約6~7km/kwh
ホンダ Honda e約7km/kwh
マツダ MX-30約6.4km/kwm

上記のデータを見ても分かるように、電気自動車の電費は、車種によって大きく異なります。電気自動車は、車体の重量が重く、力がある車体ほど電費が悪くなる傾向があります。

外車の電気自動車は電費が悪い?

電気自動車の電費は、「Wh/kmh」の数値が高いほど良いとされています。下記の表は代表的な外車の電気自動車の電費です。

外車の電気自動車電費
ルノー トゥイージー4514,3km/kwh
ルノー トゥイージー8014,3km/kw
シトロエン Ami(アミ)13.6km/kwh
フィアット トッポリーノ13.6km/kwh

上記のデータを見ても分かるように、外車の電気自動車の電費は、日本の電気自動車より良いと言えます。

電気自動車(EV)の電費は季節や運転方法で変化する

電気自動車(EV)の電費は季節や運転方法で変化する

電気自動車(EV)の電費は季節や運転方法によって変化します。ここでは、変化する影響を2つ紹介します。

ポイント
  • エアコンや暖房は電費に大きく影響する
  • 急加速や急ブレーキなども電費を悪くする

エアコンや暖房は電費に大きく影響する

電気自動車の電費は、利用環境や利用状況によって大きく変化します。特に大きな影響を与えるものが「エアコン」の使用状況です。電気自動車でエアコンを使用するためには、当然、電気を使います。

そのため、エアコンを使用すれば使用するほど、電気自動車が走行するための電気が減ることになるので、電費が悪くなってしまいます。エアコンの中でも「暖房」は電気の消費量が大きくなるので、電費が悪くなってしまいます。電気自動車は、ガソリン車と異なり、電気を使用して温めるしか方法がないので、電気の消費量が多くなります。シートヒーターを使用する場合も同様です。

急加速や急ブレーキなども電費を悪くする

電気自動車の電費は、急加速や急ブレーキなども影響します。上り坂を走行する、急加速や急ブレーキがかかる、車体の重量が増加するなど、車自体に負担がかかる場合、電気自動車のモーターに電気を多く供給しなければなりません。

モーターに電気を急激に送ることで、多くの電気を消費するので、電費が悪くなってしまいます。そのため、電気自動車を運転する際は、急加速や急ブレーキを避け、また、なるべく重量の大きい荷物を詰め込まないようにしましょう。また、上り坂を走行する際は、急にスピードを上げるのではなく、徐々にスピードを上げて、車体にかかる負担を減らすことが大切です。

電気自動車(EV)の電費を良くする運転のポイント

電気自動車(EV)の電費を良くする運転のポイント

電気自動車(EV)の電費を良くする運転のポイントは以下の6つです。

ポイント
  • 急加速や急ブレーキを避ける
  • 重量が大きい荷物を詰め込まない
  • 暖房やシートヒーターの使用を減らす
  • 上り坂が急な場所の運転を避ける
  • 電気自動車に搭載されている回生ブレーキを最大限に活用する
  • 加速性能に強弱がつけられるるコントロール機能を活用する

電気自動車で急加速や急ブレーキを乱用すると、車自体に負担がかかるので、モーターに電気を多く供給しなければなりません。また、エアコンの中でも「暖房」は電気の消費量が大きくなります。

そのため、電気自動車を運転する際は、急加速や急ブレーキを避け、なるべく暖房を使用しないようにしましょう。しかし、電気自動車には、回生ブレーキや加速性能に強弱を付けられるコントロール機能が搭載されているので、上記の2つが避けられない場所は、使用しましょう。

【Q&A】電気自動車(EV)の電費について多い質問

【Q&A】電気自動車(EV)の電費について多い質問

ここでは、電気自動車(EV)の電費について多い3つの質問について回答していきます。

ポイント
  • 電気代とガソリン代はどっちが安い?
  • 電気自動車で1km走るための電気代はいくら?
  • 電気自動車を満充電した場合の航続距離はどれくらい?

Q. 電気代とガソリン代はどっちが安い?

一般的には、電気自動車の電気代より、エンジン車のガソリン代の方が高くなっています。以下の表は、電気自動車の電気代とエンジン車のガソリン代を比較したものです。

車種走行距離1年に必要な燃料1年あたりの燃料
ガソリン車15km/L833L13万3,280円
電気自動車15km/L2,000kWh5万4,000円

上記のデータを見ても分かるように、電気自動車の電気代よりエンジン車のガソリン代の方が高いことが分かります。

Q. 電気自動車で1km走るための電気代はいくら?

「全国家庭電気製品公式取引協議会」において、自宅で電気自動車を充電する際の電気料金の目安は、1kWhあたり31円(税込)と発表されています。

車種によって異なりますが、一般的な電気自動車は、1kwhあたり約5km走行することが可能です。そのため、5km÷31円なので、1km走るための電気代は6.2円になります。大変リーズナブルな値段で走行ができるようになっています。

Q. 電気自動車を満充電した場合の航続距離はどれくらい?

航続距離とは、車に1回燃料の補給をすることで、走行できる距離のことを言います。電気自動車(EV)の場合においては、車を1回充電することで走行できる距離のことを指します。

電気自動車を満充電した場合の航続距離は、車種によって異なりますが、短いものでは「250km」程度で、長いものでは「600km」程度、走行することができます。電気自動車に搭載されているバッテリーサイズが大きいほど、航続距離は伸びます。

電気自動車(EV)のの燃費「電費」についておさらい

本記事では、電気自動車(EV)の電費の説明から、電費表示の見方や計算方法、車種別の比較まで徹底解説しました。電気自動車の電費は、エンジン車の燃費を電力「1kWh(キロワットアワー)」に置き換えて表したものです。最近では、国際基準になりつつある電費は、自動車メーカーのカタログでは、交流電力消費率または、電費として記載されています。

電気自動車の電費の計算方法は、走行距離(km)÷充電した電力量(kWh)=電費(km/kWh)となっています。電気自動車を購入する際は、電費を確認し計算してみましょう。

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