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電気自動車(EV)における電費の仕組みや計算方法から、電費に優れたおすすめEV10選を紹介
公開日:2024/07/08更新日:2024/07/08
しかしながら、EVの電費は表記方法が複数あることや、燃費とは見方が異なる表記も使われているなど、ガソリン車に慣れ親しんできたユーザーからすると少し分かりにくさを感じてしまいます。
そこで本記事ではEVの電費の基本から、計算方法、電費を良くするために気をつけたいポイントをおさらいすると共に、電費が良いEVをランキング形式で紹介します。
目次
EVの電費とは?
EVを正しく理解するためにも、電費について理解することは非常に大切です。
本項では燃費と電費の違い、EVとガソリン車の燃料費比較、電費に影響を与える環境の3つに分けてEVと電費の基本からおさらいしていきます。
燃費と電費の違い
そもそもガソリン車の燃費を表す場合、日本国内ではガソリン1Lあたり何km走行できるかを示すkm/Lの表記が一般的です。この表記では値が大きくなるほど1Lで走行できる距離が長くなり、燃費が良い車とされています。
一方で電気を用いて走行するEVの場合、燃費にあたる数値は電力の消費効率を示す指標「交流電力量消費率」です。一般的に電費と呼ばれ、メーカーのカタログをはじめとした公式資料では、1km走行するのにどれだけの電力量が必要かを示すWh/km表記が用いられます。
ガソリン車の燃費を表すkm/L表記では数値が大きいほど燃費が良いとされていますが、電費で用いられるkWh/km表記の場合はその反対。数値が小さいほど電力の消費効率が良いとされているのがポイントです。
そしてEVの電費を表す表記はkWh/kmと共に、インストルメントパネルなどに用いられるもう一つの表記km/kWhがあります。この表記の場合はガソリン車の燃費と同じように、1kWhあたりの走行距離を示し、数値が大きくなるほど電費が良いとされています。
平均年間走行距離の1万kmでEVとガソリン車の燃料費を比較
EVを検討するにあたって、燃料の価格の違いやEVの平均電費についてはおさえておきたいところ。結論から言うと電気代はガソリン代と比べると安価です。
実際に自動車の平均年間走行距離1万kmを例に比較してみましょう。
ガソリン車の平均燃費は22km/L、EVの平均電費は6km/kWh程度とされています。
燃料費に関しては現時点のガソリンの全国平均価格は1Lあたりおよそ170円、電気代の全国平均価格は1kWhあたり31円が目安です。
ガソリン車の場合は平均燃費の22km/L、ガソリン価格170円/Lで計算すると年間のガソリン代はおよそ7万7,000円です。
一方でEVの場合は平均電費の6km/kWh、電気代31円/kWhで計算すると年間の電気代は5万2,000円。ガソリン代と比較して年間でおよそ2万5,000円も安くなる計算です。
電気代の価格には値上げなどによる変動はあるものの、大幅な料金改定が実施されない限り、ガソリン車よりも燃料代は安く済むと言えるでしょう。
電費は走行環境によって変化する
EVの電費は走行状況や走行時の気温からも影響を受けます。ガソリン車と同じく、乗車人数・積荷により重量が重くなった場合に低下するのはもちろんのこと、EVの場合は急ブレーキも電費に影響するのが特徴です。
EVではガソリン車に搭載されている油圧ブレーキに加えて、運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで減速する回生ブレーキが採用されています。減速時に変換した電気エネルギーは回収され、バッテリーに再利用されるのが特徴です。そのため、急ブレーキをすると回収効率が悪くなり本来再利用されるはずのエネルギーを回収できず、電費に悪影響を与えてしまいます。
さらにEVはエアコンの使用時、特に暖房を利用した際にはガソリン車と比べて消費電力が大きくなりがち。ガソリン車のカーエアコンは冷房利用時には電力の消費が激しいものの、暖房利用時はエンジンの熱を利用するため、少ない電力消費で効率的に車内を温められます。一方でエンジンを搭載しないEVの場合は冷房に加え、暖房利用時にも電気の消費量が大きくなってしまうのです。
また、EVに採用されているリチウムイオンバッテリーは低温環境に弱いのも特徴。外気温による差はありますが、寒冷地では電費が1割程度、航続距離に関してはなんとおよそ4割も減少するとされています。
燃料費に関してはEVに軍配が上がるものの、ガソリン車よりも運転方法や環境の影響を受けやすいと言えるでしょう。
EVの電費を計算する方法
前述の通り、EVの電費の表記は1km走行するのに必要な電力量を表すkWh/kmと、1kWhあたりの走行距離を表すkm/kWhの二つが一般的です。
kWh/kmとkm/kWh、それぞれの電費の計算方法は以下の通り。
電費(kWh/km)=バッテリー容量(kWh)÷走行距離(km)
電費(km/kWh)=走行距離(km)÷バッテリー容量(kWh)
メーカーのカタログなどに表記されることの多いkWh/kmから、馴染みのあるkm/kWhに変換する場合は以下の計算式に当てはめることで変換可能です。
電費(km/kWh)=1km÷電費(kWh/km)
電費に関する記載がない場合などに計算式を使ってみると良いでしょう。
電費が良いEVおすすめランキング
電費でEVを選ぶ際におさえておきたいポイントは、交流電力量消費率 (Wh/km)、バッテリーの電力量(kWh)、航続距離の三つ。
本項では交流電力量消費率(Wh/km)を基準に、電費の良いおすすめのEVをランキング形式で紹介します。
No | メーカー | 車種 | 交流電力量消費率 (Wh/km)(WLTCモード) | 駆動用バッテリー総電力量(kWh) | 一充電走行距離(WLTCモード) | 電費 |
1 | BMW | iX | 183 | 76.6 | 455 | 0.454 |
2 | ロータス | エレトレ | - | 112 | - | 0.438 |
3 | ロータス | エレトレ | - | 112 | - | 0.438 |
4 | ロータス | エレトレ | - | 112 | - | 0.438 |
5 | ロータス | エレトレ | - | 112 | - | 0.438 |
6 | ロータス | エレトレ | - | 112 | - | 0.438 |
7 | ロータス | エレトレ | - | 112 | - | 0.438 |
8 | ロータス | エレトレ | - | 112 | - | 0.438 |
9 | BMW | i4 | 143 | 70.3 | 532 | 0.425 |
10 | スバル | ソルテラ | 126 | 71.4 | 567 | 0.422 |
電費を良くするためには
EVの電費をよくするために気をつけたいポイントは以下の五つ。
- 速度を上げすぎずアクセルは一定に、急加速や急ブレーキを控える
- なるべく不要なものを車内に置かず、重量を意識する
- エアコンは外気と大幅にある温度設定を避け、適切な車内温度を意識する
- エコ運転モードを利用する
- 定期的にタイヤの空気圧点検を行う
EVの電費を良くするために気を付けるポイントは、基本的にはガソリン車と変わりません。速度の上げすぎや急加速、急ブレーキ、不要なものの積載を控える運転を心がけましょう。
EVでは回生ブレーキが採用されているため、丁寧なアクセル・ブレーキ操作を心がけることでエネルギーのロスを減らし、電費向上が期待できます。
そして、EVの場合特に気をつけたいのはカーエアコンの設定。前述の通り、EVはエンジンを搭載していないため、冷房だけでなく暖房利用時にも電力を消費します。そのため必要時以外はオフにする、暖冷房使用時には内気循環モードで効率よく利用する、外気と大幅に差がある温度設定にしないなど、カーエアコンを効率良く利用することが大切です。
電費を正しく理解し、有意義な愛車選びを
本記事ではEVの電費の基本や、電費が良いEVランキングについてお伝えしました。一般的なEVの電費表記は以下の二つ
- 1km走行するのにどれだけの電力量が必要かを示すWh/km
- 1kWhあたりの走行距離を示すkm/kWh
Wh/km表記の場合は数値が小さいほど電力の消費効率が良いとされています。一方、km/kWhは、数値が大きくなるほど電費が良いとされるガソリン車の燃費と似た表記。それぞれの違いを正しく理解することが大切です。
EVの年間の燃料費に関しては自動車の平均年間走行距離1万kmでガソリン車と比較すると、1年間でおよそ2万5,000円より安くなります。しかしながら、ガソリン車と比べて暖房利用時の消費電力が大きいことや、バッテリーが低温環境に弱く、寒冷地では電費や航続距離が減少するなどのデメリットも覚えておきましょう。
本記事が皆様のEVの電費や仕組みについての正しい理解・愛車選びの参考となると幸いです。