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マツダ 至宝の ロータリーエンジンがついに始動!水素ロータリーとは?

世界中の自動車メーカーの中でロータリーエンジンを量産車に搭載したメーカーは、マツダしかありません。レシプロエンジンとは異なるパワーと加速性能は、スポーツマインドあふれる高性能エンジンでしたが、排ガス規制により終了。その後復活の声を聞きながら時間だけが経過する中、ファン待望の電動化に適合するエンジンの開発が発表されました。ロータリーエンジンが水素ロータリーに生まれ変わる性能に迫ります。

目次

  1. ロータリーエンジンとは?歴史から生産終了まで
  2. 水素ロータリーエンジンとは?~13B型から8C型へ~
  3. これからの水素ロータリーをどう活かすのか
  4. まとめ:新エンジンの開発宣言と今後の動向

ロータリーエンジンとは?歴史から生産終了まで

ロータリーエンジンとは?歴史から生産終了まで

先ずはロータリーエンジンとはどのようなものかを簡単に説明しておきます。一般的なレシプロエンジンは、ピストンの往復運動でエネルギーを生み出すレシプロケーティング(往復運動)エンジンの略称です。ほとんどの車はレシプロエンジンを採用しています。


対するロータリーエンジンは、ピストンを使用せず熱エネルギーでローターと呼ばれる装置を回転させることで動力を得るエンジンです。1950年代にドイツの技術者ヴァンケルが開発しました。その後『シトロエン』や 『ダイムラー・ベンツ』、『日産』なども研究と試作を繰り返しましたが、量産車として世の中に市販にまで至ったのは世界で『マツダ』ただ1社のみです。


メリット

①構造がシンプルでレシプロエンジンと比較すると軽量でコンパクト


②排気量が小さくても高出力


③ローターの回転運動のみなので、騒音や振動が少ない


④トルク変動が少ないので、滑らかなエンジン特性を持つ


⑤燃焼温度が低く窒素化合物の排出量が少ない




デメリット

①吸気効率が低いので、燃費性能が劣る


②エンジンオイルも燃焼するため、酸化や劣化が早い


③低速域では燃焼効率が悪くトルクが細くなる


④不完全燃焼が起こりやすく排気ガスに炭化水素が含まれる

ロータリーを搭載したクルマたち

1967年に世界初の量産車として誕生したのは「コスモスポーツ」です。その後「ファミリアロータリークーペ」「ルーチェ」「カペラ」「サバンナ」「コスモ」「RX-7」へと搭載車種を拡大していきます。


1991年には『ル・マン24時間耐久レース』に出場し、4ローターのロータリーエンジンを搭載したマツダ車が総合優勝を成し遂げました。耐久性や高い技術力を証明しています。


その後は環境基準の厳格化やエコカーブームによって、2012年に最後のロータリーエンジン搭載車「RX-8」の生産終了に追い込まれました。しかしマツダは生産終了後もアフターケアとしての生産と技術開発を継続しています。


現在でも「旧い車も大切に乗って欲しい」「自動車文化に貢献したい」というマツダの企業理念によって、補修用のパーツを入手することが可能です。「CLASSIC MAZDA」という取り組みによって積極的なサポートを行っています。

ロータリーエンジンの魅力

レシプロエンジンとは異なる構造で吸排気バルブやカムシャフトなどの動力弁を持たないことからも高回転まで回しやすい特徴があり、ハイパワーを得やすいことが魅力です。また回転フィールが非常に滑らかで、モーターのようだといわれることもありました。


構造がシンプルでパーツが少ないロータリーエンジンは、軽量で小さなスペースに搭載することができます。パーツが少ないということはオーバーホールもしやすく比較的安価に済ませることも可能です。

水素ロータリーエンジンとは?~13B型から8C型へ~

水素ロータリーエンジンとは?~13B型から8C型へ~

1973年に主力の12Aロータリーエンジンのハウジング幅を10mm拡大して開発されたエンジンが13B型でした。総排気量の1,308㏄の「13」と、13Aの次に開発されたことでBを合わせて13B型と名付けられた、名器といえるエンジンです。


2012年の生産終了後も開発を続けてきたマツダですが、1990年代から水素燃料について検討が進められています。1991年には水素ロータリーエンジンを搭載したコンセプトカー「HR-X」をモーターショーに出展。1995年には公道走行実験を開始しています。


2003年には世界で初となる水素ロータリーエンジンの実用化に成功。「RX-8 ハイドロジェンRE」の実用化とリースを開始します。またロータリーエンジンをEV車の航続距離を伸ばす技術への活用を検討。小型・軽量で高出力を発揮、静粛性も高いロータリーエンジンはEVでもメリットは大きいと考えられます。


2013年に発表された「デミオEV」は、当時ロータリーエンジンのレンジエクステンダーによって400㎞の航続距離まで伸ばせる可能性も秘めていました。またガス燃料など、他の燃料にも対応できると自信をのぞかせています。


2015年にロータリーエンジンを搭載したスポーツカー「Mazda RX-VISION」を発表していますが、残念ながら市販化には至っていません。2023年に行われた『ジャパンモビリティショー2023』でスポーツカーのコンセプトモデル「マツダアイコニックSP」を出展しています。


この車はロータリーエンジンを発電用に使用したプラグインハイブリッドです。燃料は水素などのあらゆるカーボンニュートラル燃料に対応。また走行性能は『ポルシェ911』に匹敵するパフォーマンスを秘めていると言います。


次に発表された「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」は、ロータリーエンジンを発電機に使用したシリーズ式プラグインハイブリッドモデルです。バッテリーEVとして約85㎞のEV走行と発電による長距離走行に対応しました。


13B型から全て新開発したロータリーエンジンは、8C型へと進化を遂げています。ロータリーエンジンの良さを活かした1ローターですが、燃焼室当たりでは今までの最大排気量です。ロータリーエンジンと組み合わせたプラグインハイブリッドで走行性能と利便性、さらに環境性能を兼ね備えることができました。

これからの水素ロータリーをどう活かすのか

これからの水素ロータリーをどう活かすのか

ロータリーエンジンの特性を活かすことを考えると電動車との相性が良く、レシプロエンジンよりも小型で高出力を発揮できるのは、発電用に使用することが考えられます。


しかも多様な燃料に使用できる利点もあり、ガソリン、水素、e-fuel(合成燃料)、圧縮天然ガスや液化石油ガスにも対応可能です。水素を始めとするさまざまな燃料を組み合わせることで日本のみならず、世界の地域のニーズに答えるロータリーエンジンの活用方法が見いだせるかもしれません。


また2023年の『ジャパンモビリティ―ショー2023』で出展していた「アイコニックSP」はスポーツカーのコンセプトモデルです。1991年に『ル・マン24時間レース』に出場し、日本メーカー初の優勝を飾った同年に世界初の水素ロータリーエンジンを開発し『第29回東京モーターショー』に出展しています。


そして2006年には「マツダRX-8ハイドロジェンRE」をリース販売。水素とガソリンのどちらでも走行することができる車を開発しました。そして2022年から、市販車ベースの『スーパー耐久』に、カーボンニュートラル燃料を使用するロードスターでフル参戦も果たしています。


これらの全ての知見を積み重ねてスポーツカーのコンセプトモデル「アイコニックSP 」を開発していることを考えると、ロータリーエンジンは、発電用では終わらない可能性が高いのではないでしょうか。

まとめ:新エンジンの開発宣言と今後の動向

まとめ:新エンジンの開発宣言と今後の動向

2024年5月『トヨタ』『マツダ』『スバル』の3社が共同で「マルチパスウェイ ワークショップ」を開催しました。これからの電動化に適合する新しいエンジン開発について、3社がプレゼンを行うというものでした。


『トヨタ』同様に『マツダ』も脱炭素を実現するためには、複数の道が必要という考えです。マツダは「電動化やカーボンニュートラル燃料と相性の良いロータリーエンジンを社会に広く貢献できる技術として育成できるよう、共創と競争で挑戦する」と語っています。


BEVの時代がくるとしてもBEVだけに頼らず、またリチウムイオン電池以外の普及を考えていくことは重要な課題となるでしょう。先行きの見えない中でもしっかりと未来を見据える日本の自動車メーカーの底力に期待したいと思います。

著者プロフィール

【KAKO MIRAI】車好きから始まった自動車サイトでの執筆は、パーツからチューニングまで多岐に渡る。トルクフルなV8サウンドに魅せられて、ユーロライクなCAMARO Z28から乗り換えたDODGE CHARGER HEMIと、CADILLAC XT5でアメ車を満喫中。最近まで足車はCHEVROLET SONICという筋金入りのアメ車好き。 いつかガソリン車のDODGE CHARGER Hellcat Redeyeを手に入れる夢が断たれ、現在の目標はCHEVROLET Corvette C8。内燃機関好きから見たEVを徹底分析していきます。

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