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宮城・山形県境の蔵王連峰 刈田岳山頂にある「御釜」を目指し、アバルト500eで駆け上がってきた!

エンジン車歴30年の中年ドラがBEVに乗る!憧れのアバルト初試乗は電気自動車の500eで「蔵王の御釜」へ突撃ドライブ!

1993年5月の運転免許取得から30年以上もエンジン車に乗り続けたドライバーが、電気自動車に乗ったら…短い試乗ではなく、長時間のドライブだからこそ見えてくるかもしれない?!というわけで今回はCARSMORAの契約ライター、兵藤がフィアット500eの高性能版「アバルト500e」を試乗してまいりました!

目次

  1. はじめての電気自動車1日試乗は憧れのアバルト!
  2. 航続距離を見ての不安も、後の感動につながるプロローグ
  3. オープンエアを満喫しつつ一路、蔵王へ!
  4. ヒルクライムで爽快!TRACKモードとサウンドジェネレータ
  5. 足回りや雰囲気はほぼ期待通り、注文点は今後の展開待ち?
  6. 料金所のオッチャンも微笑む「スポーツカー」
  7. 位置エネルギーを回生ブレーキでバッテリー電力へ転換!
  8. 高速道路も使って確かめた「実用域の実力」
  9. 試乗を終えて…どうなる今後のフィアット/アバルト?!

はじめての電気自動車1日試乗は憧れのアバルト!

フィアット/アバルト仙台(仙台市若林区)のアバルトコーナー

フィアット/アバルト仙台(仙台市若林区)のアバルトコーナー

初夏の陽気も清々しい6月6日、お邪魔したのは宮城県仙台市若林区で株式会社イデアル様が運営している「フィアット/アバルト仙台」、同じ敷地にジープやシトロエンといったステランティス系のブランド車が、所狭しと並べられている一角です。


そこで初対面となった電気自動車はフィアット500eの高性能版、「アバルト500e」!


アバルトといえばまだ運転免許を取る前、10代の頃にエンスーCAR漫画「GT roman」(作・西風)で知ってから憧れのブランドでしたが、初試乗が電気自動車になるとは…しかもディーラー営業氏が隣に乗る試乗ではありません。


今回は2024年4月〜6月に開催した「ABARTH 500e 1 Day モニターキャンペーン」に応募したので、朝10時から夕方18時までジックリ乗れるというわけです。


筆者(CARSMORA契約ライター・兵藤 忠彦)は運転免許を取って30年チョイ、愛車はエンジン車ばかり、電動車は実家の30プリウスを少々、電気自動車はサクラやC+podを短時間試乗しただけで、いきなりアバルトの電気自動車を1日試乗していいのでしょうか?!

航続距離を見ての不安も、後の感動につながるプロローグ

アバルト500eカブリオレのWLTCモード一充電走行距離は294kmだが、試乗車の残走行距離は100%でも221km…でも平均電費から割り出してるだけなので、実際はもっと走る!

アバルト500eカブリオレのWLTCモード一充電走行距離は294kmだが、試乗車の残走行距離は100%でも221km…でも平均電費から割り出してるだけなので、実際はもっと走る!

担当のS氏に案内されたのは、アバルトの公式サイトでもよく見る「ACID GREEN」のアバルト500e。


S氏「あ、ここ(頭上のスイッチ)を操作すると、開きますよ。」


ウィーン…こ、これはもしかしてカブリオレというやつでは…?(オープンカーもほとんど乗ったことがないので、ビビる筆者)


S氏「ははは、そうなんですよ~(笑)開けるとキモチイイですから、ぜひお試しください!」


運転席に収まると、これと言って操作に迷いそうもない、今では普通のスイッチ類やディスプレイが並んでいますが、やはり電気自動車といえば気になるのは「どれだけ走れるか」です(アバルト500eカブリオレの一充電航続距離は、カタログスペックで294km)。


S氏「走行距離ですか?こないだ近くのショッピングモール(往復35kmほど)で展示しようと動かしたら充電100%で270km、高速使って10%消費くらいですから、まぁまぁ走ります。」


なるほど、しかし今の表示だと100%で220kmくらいしかありませんが?


S氏「ああ、試乗する皆さん、けっこう飛ばすみたいですからね…とにかく乗ってみてください、速いですよ!」


要するに、エンジン車の平均燃費や残走行距離表示と同じく、電気自動車でも平均電費で残走行距離表示はいくらでも変わるため、前に乗った人が激しい加減速を繰り返していれば残走行距離は低めに表示されるものらしい…つまり実際には問題なしです!


電気自動車とはいえラテンの血にドップリ浸かったフィアット生まれのアバルトチューン、細かいことはイイから、サソリのマークに恥じない走りを楽しんできな!というS氏のメッセージ、しっかり受け取りましたゾ?!

オープンエアを満喫しつつ一路、蔵王へ!

電動キャンバストップの開閉は、ルーフ部分だけ開くのとリアウィンドウまで全開の2段階を選択可能

電動キャンバストップの開閉は、ルーフ部分だけ開くのとリアウィンドウまで全開の2段階を選択可能

電気自動車だとガラスルーフがはやりだが、開放感ならやっぱり本物のオープントップが一番!

電気自動車だとガラスルーフがはやりだが、開放感ならやっぱり本物のオープントップが一番!

郊外までの幹線道路は比較的流れが遅いので、走行モードは回生ブレーキがよく効いてパワー控えめ、一番経済的な「TURISMO」へセット。


最初は少しギクシャクしたワンペダル走行に慣れれば普通の車に感じますが…気になるのは停止~低速域で後ろから低くうなるサウンドジェネレーターです。


ベース車のフィアット500eにはないアバルトの独自装備で、流れの悪い道路では電気自動車らしく静かに過ごすべく設定でカットしましたが、郊外の経由地を出発してからは盛大に仮想エキゾースト・ノートを鳴らします。


車内でも結構な音がコモるので、そういえば昔のチンクエチェント(2代目フィアット500)は、リアの豪快な空冷エンジン音を逃がすためのキャンバストップだったなと思い出し、アバルトの電動トップをオープン。


キャンバストップの開閉は2段階で、スイッチ操作1回でまずは頭上までオープンに、さらにもう1度操作するとリアウィンドウまで開いて、走行中は車内へ豪快に風を巻き込み、


これぞまさにオープンモデルの醍醐味です!


当日は晴れていたものの気温が控えめで風が涼しく、ルーフを閉じたままエアコンを使ってはもったいないと、そこからはディーラーへ返すまで存分にオープンエアを楽しませていただきました。


走行モードもTURISMOよりちょっとパワフルながら回生ブレーキも効く「SCORPION STREET」に切り替え、気持ちのいい風とともに、いざ目的地の蔵王へ!

ヒルクライムで爽快!TRACKモードとサウンドジェネレータ

アバルト500eは「SCORPIN TRACK」「SCORPION STREET」「TURISMO」の3つから走行モードを選択可能

アバルト500eは「SCORPIN TRACK」「SCORPION STREET」「TURISMO」の3つから走行モードを選択可能

ガッツリ踏んで走りを楽しむなら、シートに押し付けられる加速感と回生ブレーキなしの「SCORPIN TRACK」が一番だ

ガッツリ踏んで走りを楽しむなら、シートに押し付けられる加速感と回生ブレーキなしの「SCORPIN TRACK」が一番だ

ディーラーから45kmほど走ると、いよいよ今回の試乗におけるメインスポット、蔵王の山頂部火口湖として有名な「御釜」までクネクネした長い山道をひたすら登る観光道路、「蔵王エコーライン」です。


トルクフルな電気自動車が、昔ながらのエンジン車、特に小排気量車とどう違うのかを比較するにはうってつけ、しかも電気をどのくらい食うのか、果たして電欠を起こさずに帰れるのか心配になる残走行距離からの挑戦です。


走行モードは最強パワーかつ回生ブレーキをカットした「SCORPION TRACK」でいざ!とアクセルを踏み込むと、「TURISMO」や「STREET」では感じなかったシートバックに体が押し付けられる加速に、アバルトの本気を感じます。


アバルト500eは最高出力114kW(155ps)・最大トルク235N・m(24.0kgf・m)と2.5リッター自然吸気エンジン並、車重が1,380kgと少々重いのを考えれば控えめなスペックですが、ほぼ静止状態から最大トルクを発生するモーターの恩恵で、モタつきは全くなし。


「アバルト」ブランドの象徴を忠実に再現した、レコードモンツァの仮想エキゾースト・ノートが蔵王の山へ轟然と響き、あっという間に迫るコーナー、「TRACK」モードではアクセルをゆるめても回生ブレーキで減速しないので、しっかりブレーキで減速!


そう書けばカッコイイのですが、何しろその日初めて乗ってクセもわからぬ車、実際は予想外の勢いで迫るコーナー、回生ブレーキがないのに慌てて踏むブレーキも、ステアリングを切るタイミングも遅れ…と、少々冷や汗をかきます。


しかし、ヘタクソな運転ですっかり失速しても、アクセルひと踏みで瞬時に立ち上がるトルクで登る勢いは衰えないところが、低回転から最大トルクを発揮する電気自動車の真骨頂、仮想エキゾースト・ノートも心地よく響き続けます。

足回りや雰囲気はほぼ期待通り、注文点は今後の展開待ち?

2リッター自然吸気ガソリンエンジン並の動力性能で最高速の伸びはないが、低中速トルクの太さで実用域の加速性能と、それに合わせたサスペンションセッティングが魅力

2リッター自然吸気ガソリンエンジン並の動力性能で最高速の伸びはないが、低中速トルクの太さで実用域の加速性能と、それに合わせたサスペンションセッティングが魅力

後席は正直狭く、大柄な大人4人が乗っても快適というのは無理だが、2+2シーター的な趣味車と思えばよいだろう

後席は正直狭く、大柄な大人4人が乗っても快適というのは無理だが、2+2シーター的な趣味車と思えばよいだろう

慣れてくると、筆者のつたないドラテクでもアバルト500eの挙動や特徴について思い巡らす余裕が出てくるので一応書いておくと、同じFWDの電気自動車でも、以前に試乗した日産 サクラなどに比べると前後の重量バランスはかなりフロント寄り。


ただしノーズヘビーというより「攻めてもトラクション重視」らしく、標準装着の「POTENZA SPORT」(205/40R18)のグリップ力と相まって、コーナー出口で多少ラフに踏んでも弱アンダー程度でしっかり立ち上がってくれます。


サスペンションは路面の継ぎ目をよく拾う程度には硬いものの、不快に感じるような鋭い突き上げはなく乗り心地がよい一方で、急激なトルクの立ち上がりに対しては物足りなさも感じますが、アバルトの電気自動車第1号という「習作」だと思えば、まずまずでしょう。


サウンドジェネレータによる仮想エキゾースト・ノートも含めた「雰囲気重視」という感じですが、せっかくのイイ音ですから、速度など走行状況によってシフトアップやシフトダウン時のブリッピングなどの演出があると、さらに気持ちが盛り上がるかもしれません。


アバルトも「500e」があるなら、いずれはエンジン車の「500」と同じく「595e」が出てきて、高性能や豪華さを売りにした特別仕様車も出るでしょうし、今の500eで若干物足りなさを感じる部分は、きっと「今後のお楽しみ」です。

料金所のオッチャンも微笑む「スポーツカー」

クルマが好きそうな係員が、「オッ、スポーツカーだな!」と声をかけてくれた刈田岳山頂までの「蔵王ハイライン」料金所

クルマが好きそうな係員が、「オッ、スポーツカーだな!」と声をかけてくれた刈田岳山頂までの「蔵王ハイライン」料金所

筆者も満足顔で自撮りなど…乗っても見ていても笑顔になるカッコカワイイ系スポーツカー、それがアバルト500e!

筆者も満足顔で自撮りなど…乗っても見ていても笑顔になるカッコカワイイ系スポーツカー、それがアバルト500e!

いろいろ考えつつ蔵王エコーラインを駆け上がりましたが、サウンドジェネレーターによる「レコードモンツァ」はともかく実際のモーターはうなりもせず、キャンバストップと窓がフルオープンなので、カエルや鳥の鳴き声も聞こえてきます。


山頂へ近づくと「蔵王のお釜」への最後の2kmほどは蔵王ハイラインという有料道路(普通の自動車は550円)で、料金所へたどりつくと、係員のオッチャンが顔をほころばせ一言。


「オッ!スポーツカーだね!今日は天気もいいから気持ちいいし、最高だな!」


丸くコロンとしたフィアット500eがベースとはいえ、「ABARH」ロゴやサソリのマークに気づいたカーマニアか、山頂までキャンバストップも窓も全開にしてきた元気の良さを買ってくれたか、アバルト500eは周りを笑顔にできるスポーツカーです。


山頂駐車場へ登るとサウンドジェネレーターを切り、静かに駐車しましたが、キャンバストップを開けっ放しなので気がつけば少々日焼けが…夏の日中にオープンエアを満喫するなら、日焼け止め対策は必要ですネ。


駐車場から運動不足の体にムチ打って山頂へ登ると、見事なエメラルドグリーンの火口湖で「蔵王のお釜」を拝むことができました。


排気ガスを出さない車で登ってきて、空気も最高に美味しく…しかしディスプレイ上の充電率は56%、走行距離は残り87km…ディーラーから約64kmの道のりですが走行可能距離は123km減っており、さすがに急坂を登りまくりだと電費が悪いのは仕方ありません。


このままではディーラーへ帰るのにギリギリという数値ですが、さてここからが電気自動車の真骨頂であります!

位置エネルギーを回生ブレーキでバッテリー電力へ転換!

「蔵王の御釜」がある刈田岳山頂駐車場に到達時点では充電率56%・残走行距離87km

「蔵王の御釜」がある刈田岳山頂駐車場に到達時点では充電率56%・残走行距離87km

しかし回生ブレーキで充電しまくりながらふもとへ降りると、充電率64%・残走行距離138kmへと劇的に回復!

しかし回生ブレーキで充電しまくりながらふもとへ降りると、充電率64%・残走行距離138kmへと劇的に回復!

蔵王エコーラインはこのまま走れば山形県上山市へ抜けますが、今回は蔵王のお釜で満足して、仙台のディーラーへ帰ります。


ディスプレイ上の残走行距離87km、ディーラーへは約64kmとギリギリに見えますが、ここまで全部登りなら帰りは全部下り、電気自動車でなくともハイブリッドカーを運転したことがあれば、筆者でもわかります…「回生ブレーキで充電し放題じゃないか!」と。


お釜の駐車場でTURISMOモードに設定、下りはエネルギーゲージを見ながらなるべく回生ブレーキを効かせると、電力消費どころか充電しながら走るので、残走行距離は面白いように伸びて残87kmから138kmへ、バッテリーも56%から64%へチャージ!


残走行距離はエンジン車でもエコランすれば伸びていくものですが、充電率が上がるのはエンジン車で言えば「燃料が増える」ようなもので、走行用バッテリー搭載車だけの独特な現象です。


ハイブリッドカーやPHEVでも同じように回生ブレーキで充電しますが、走行の100%をバッテリーの電力でまかなう電気自動車で充電率がこれだけ上がると、気持ちの余裕が全然違います。


飛行機では高いところへ登ることを「位置エネルギーを稼ぐ」と言って、戦闘機などでは機動の自由度を高めるのに絶大な効果を発揮しますが、電気自動車で山へ登るのも同じようなもので、登っただけ位置エネルギー(高さ)に預け、降りる時に返ってくるわけです。


ディーラーでS氏に言われていましたが、アバルト500eは回生ブレーキがかなり強く効くため回生率が良好で、TURISMOモードなら実走行距離はカタログスペックに近く、走り方によってはそれ以上走るのでしょう。


今までハイブリッドカーの回生ブレーキを多用したエコランに慣れている人なら、暖房で電費が悪化する冬場や、走行用バッテリーの劣化後を除き、「カタログスペックより全然走らない」ということは、まずないのでは?と思います。

高速道路も使って確かめた「実用域の実力」

やたらとパワフルというわけではないが、カーブやアップダウンが多く険しい地形の日本では、アバルト500eくらいのパワーやサイズ感がとても好ましく感じた

やたらとパワフルというわけではないが、カーブやアップダウンが多く険しい地形の日本では、アバルト500eくらいのパワーやサイズ感がとても好ましく感じた

蔵王エコーラインを降りて、ふもとの遠刈田温泉に差し掛かる頃には、充電率も残走行距離も大幅に回復して筆者はホクホク顔、何かトクした気分で宮城県南部の白石市まで寄り道を決め、白石ICから東北道へ入って高速テストです。


再び走行モードを「SCORPION TRACK」へセットし、本線への合流加速でアクセルを目一杯踏み込んで、豪快な加速を楽しみます。


アバルト500eの最高速度は155km/h、0-100km/h加速は7秒と、「電気自動車のハイパフォーマンス版」としては控えめですが、制限速度が80~100km/hの区間ではなんら問題なく、モーターの大トルクを活かした俊敏な追い越し加速はストレスフリー。


ちょっと楽しんでいたら急に「タイヤ空気圧警報」が鳴ったので、村田ICまでの1区間で高速を降りましたが、後でディーラーのS氏に確認したところ、従来からのフィアット500などでもよくある話で、空気圧の変化に少々敏感すぎるだけのようです。


それを除けば、制限速度の範囲内ならいつでも好きなポジションを自在に取れて、闇雲なパワフルさや大容量バッテリーで重くしているわけでもないため、多少ラフなアクセル操作をしても、急に充電率が下がることもありません。


つまり、「スポーツカーで期待するようなパワフルで豪快な加速性能や最高速より、実用域での面白さを重視した車」で、日本で乗るにはちょうどよい感じ。


一応は4人乗りとはいえ後席は狭く、小柄な人でないと実用性は厳しいものの、実質2+2クーペ的な趣味車ですから、615万~660万円という価格がちょっとお高めなのも含め、街乗りから走りが楽しいカーライフの充実を目指す人なら、今でもオススメできます。


筆者ならどうかと言えば、最小回転半径5.1mなだけあって小回りも効きますし、伸びはイマイチでも実用域での初期加速は鋭いので、ジムカーナやターマックラリーに使っても面白そうですね。

試乗を終えて…どうなる今後のフィアット/アバルト?!

フィアット500系エンジン車の在庫がハケたら、フィアット/アバルトディーラーは500eとMPVのドブロしか売り物がなくなるが、いずれ600eや500イブリダも加わるまでの辛抱!

フィアット500系エンジン車の在庫がハケたら、フィアット/アバルトディーラーは500eとMPVのドブロしか売り物がなくなるが、いずれ600eや500イブリダも加わるまでの辛抱!

ラッシュアワーが始まった夕刻に「フィアット/アバルト仙台」へ戻ると、S氏が出迎えてくれました。


S氏「どうでした?速かったでしょう?!」


ええ、高速域での伸びというより、実用域で加速してキビキビ走るのに向いてるという意味での速さを持った車でしたね。


S氏「次はもっとパワフルでバッテリー容量も多い”600e”に期待できますよ!時期はともかく、出ることはもう決まってますし。」


ところでアバルト500eのオーダーはそれなりにあるんですか?


S氏「ウーン、ウチ(フィアット/アバルト仙台)ではまだ3台くらいですね…興味を持ってくれるお客様でも見積もりを見たら、もう1〜2年待ってみる!となるようでして。」


性能や面白さはともかく、どうしても値段がかなり高いですもんね。


S氏「今はフィアットやアバルトの500シリーズがエンジン車の生産を終了したから、駆け込みで注文される方が多いです。もう最後ですから、中古車の価格も上がりそうですし、アバルトのMT車は特にです。」


今エンジン車を買っておけば、後で高く売れますもんね…でも、在庫がハケたら電気自動車だけじゃ、商売として厳しくないですか?


S氏「そうですね…500の在庫以外だとMPVのドブロもありますが、あとはアバルト600eと、500Xの電気自動車版が出るものの、全部電気はさすがにまだ早かったってことで、ハイブリッドが出ると言われてます(※)。」


(※2024年6月6日、フィアットは500eのハイブリッド版「500イブリダ」を2025年後半~2026年前半に発売すると発表した)


今回はアバルト500eを1日借りてみて、電気自動車に対するネガティブな先入観とは裏腹に、動力性能だけではなく航続性能も十分なレベルにあり、少々値が張るとはいっても走る楽しさやデザインにも満足な、趣味車としては「買い!」だと実感できました。


この種の1日から2週間程度の長い試乗キャンペーンは意外とアチコチでやってますから、ちょっと乗るだけの短時間試乗だけではなく、ぜひ普段使いやドライブに使ってみてほしいものです…ホントに目からウロコが落ちますよ!

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著者プロフィール

【兵藤 忠彦】 宮城県仙台市在住のフリーランスライター。モータースポーツに参戦していた経歴は全てダイハツ車という、自動車ファンには珍しいダイハツ派で、現在もダイハツ ソニカを愛車として次の愛車を模索中。もう50代なので青春時代を過ごした1980〜1990年代のクルマに関する記事依頼が多いものの、自動運転やEVといった次世代モビリティでも楽しめるはず!と勉強中です。

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