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FCSMのスタック組立室で、進捗状況を監視する作業員

HondaとGMがタッグを組んだ新たな燃料電池システム、合弁会社FCSMにより驚きの低コストで生産開始!

ホンダとGMが2013年から協業を進めてきた「燃料電池システムの共同開発」が、ついにその成果を発表した。2019年モデルのFCEVに対し、3分の1という低コストで生産可能な燃料電池システムの生産が始まり、2024年内にホンダのFCEVへ搭載されるほか、今後は定置電源などへ適用範囲を広げていく。

新たな燃料電池システムの生産を始めた、ホンダとGMの合弁会社FCSM

米ミシガン州ブラウンズタウンのGMバッテリー工場敷地内にある、FCSMの工場

米ミシガン州ブラウンズタウンのGMバッテリー工場敷地内にある、FCSMの工場

2024年1月25日、アメリカン・ホンダモーター(ホンダ米国現地法人・本社:カリフォルニア州トーランス 社長:海原 典也)は、ホンダと米ゼネラルモーターズ(以下、GM)が共同開発した燃料電池システムの生産を開始したと発表した。


自動車業界で初めてとなる、合弁会社による先進の燃料電池システム生産を始めたのは、ホンダとGMの合弁会社として2017年1月に設立された「Fuel Cell System Manufacturing, LLC(以下、FCSM)」。


FCSMは70,000平方フィートもの広大な敷地を誇るGMの既存バッテリーパック生産工場(米国ミシガン州ブランズタウン)内に、ホンダ、GM両社の同額拠出による投資総額8,500万ドルで設立された。


2024年内にホンダが発売予定の新型FCEV(燃料電池自動車)へ搭載されるほか、商用車、定置電源、建設機械を加えた4つの適用領域を中心に、B to Bユーザーの製品・事業への適用拡大で水素需要を喚起するのが、FCSMで燃料電池システムを生産する目的だ。

2013年に始まった、燃料電池におけるホンダとGMのパートナーシップ

FCSMで燃料電池システムを組み立てる作業員

FCSMで燃料電池システムを組み立てる作業員

FCSMで燃料電池システムを組み立てる作業員

FCSMで燃料電池システムを組み立てる作業員

「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」の3つを柱に、2050年には全ての製品と企業活動を通じ、製品のみならず企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロとカーボンニュートラルの実現をホンダは目指している。


そんなホンダにとって、電気とともに有望なエネルギーキャリアと位置づけられる水素は30年以上にわたる水素技術やFCEVの研究・開発対象だ。


将来における燃料電池システムの普及・活用拡大に向け、より実用的かつ低コストなシステムの開発・生産を目指したいホンダは、2013年からGMをパートナーとした共同開発に取り組んできた。

高品質な燃料電池を低コストで提供する体制が整った

FCSMのモジュール最終組み立て工程で、燃料電池システムのテストをする作業員

FCSMのモジュール最終組み立て工程で、燃料電池システムのテストをする作業員

今回、最初の成果として生産を開始した燃料電池システムの特徴としては、「腐食耐性の高い材料を用いるなどして、2倍以上に向上させた耐久性」、「大幅に向上させた耐低温性」が挙げられる。


他にも開発・製造コストの削減策として、「進化したセルシール構造」、「大幅に削減した貴金属使用量」、「スケールメリットを最大化する大規模生産」、「共通化した部品調達先」など、さまざまなアプローチを採用した。


その結果、2019年モデルのFCEV「クラリティ フューエル セル」に搭載した燃料電池システムに対するコスト低減は、実に3分の1にも及んだとしている。

関係者コメント

FCSM社長のソーヘイブ・ハック氏(中央左)と、FCSM副社長の鈴木 哲男 氏(中央右)

FCSM社長のソーヘイブ・ハック氏(中央左)と、FCSM副社長の鈴木 哲男 氏(中央右)

「GMとホンダが、移動をはじめとするさまざまなエネルギー需要へカーボンニュートラル化を進める取り組みに対し、今回の生産開始は重要なマイルストーンだ。FCSMの全員は『ワンチーム』となって、ユーザーへ高品質で耐久性の高い水素燃料電池システムを、手頃な価格で提供する使命に取り組んだ。」(FCSM社長:ソーヘイブ・ハック)


「将来の水素燃料電池技術の活用と水素時代の幕開けに向け、ホンダとGMの強みを統合して強力な生産体制を構築し、高品質で細部にまでこだわる量産体制を実現したことで、ユーザーのニーズに応える準備が整った。」(FCSM副社長:鈴木 哲男)

このブランドについて

  • HONDA

    ホンダ

    現存する日本の主要自動車メーカーでは1960年代に最後発で四輪へ進出、大手の傘下に入ることもなく独立独歩で成長したホンダ。初期のスポーツカー「S」シリーズやF1参戦でスポーツイメージが強い一方、初代シビックの成功や、可変バルブ機構を採用した高性能なVTECエンジンで実用的かつスポーティな大衆車メーカーとして発展、1990年代にはミニバンのオデッセイやステップワゴン、SUVのCR-Vをヒットさせ、2010年代には軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」の大成功で軽自動車ブームの中心になっています。先進技術の開発にも熱心で、ハイブリッドカーやBEVなど電動化、運転支援システムの実用化にも積極的。

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