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企業がEVを購入するメリット・デメリットとあわせて解説

2020年に日本政府が宣言したカーボンニュートラルの実現に向け、多くの企業が脱炭素を目指して電気自動車(EV)の購入を検討しているかもしれません。しかし、EVを購入することで企業側にどんなメリットがあるのか、その詳細を把握していなければEVの購入は現実的な選択とはなりません。

今回は、EVの購入が企業にもたらすメリット・デメリットについて紹介します。社用車や営業車としてEVの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 企業がEVを購入するメリットは?
  2. 企業向け|EV購入を対象とした補助金制度
  3. 企業がEVを購入するデメリットってなんだろう
カースモーラちゃんのPICK UP
  • ランニングコストも削減できるから、EVは社用車におすすめ。
  • 企業がEVを購入すると、脱炭素やSDGsに貢献できるよ。
  • 蓄電池としてEVを利用できるのもメリットなの。
  • 補助金制度も充実してきているから、初期費用を抑えることも可能だよ。
  • ただし、車両の購入や充電設備の設置にまとまったお金がかかってしまうよ。

企業がEVを購入するメリットは?

企業がEVを購入するメリットは?

企業がEVを購入することで、環境への負担軽減はもちろん、蓄電池としての利用、ランニングコスト削減や税制優遇などさまざまなメリットがあります。

脱炭素・SDGsへの貢献

社用車をEVに切り替えることは、環境への配慮という点で大きなメリットです、EVはガソリン車とは異なり電気で動くため、走行中に二酸化炭素を排出しません。


さらに、バッテリーの充電に再生可能エネルギーを使用する場合、二酸化炭素の排出量を実質的にゼロにすることも可能です。


環境問題への関心が高まる昨今、社用車をEVに切り替えることで、持続可能な社会に向けて取り組む企業としての真摯な姿勢を示すことにもつながります。

蓄電池としての利用

EVに搭載されているバッテリーは、災害時や停電時にも蓄電池として活用できます。災害が発生し電力供給が断たれた場合でも、大量の電力を蓄えているEVのバッテリーがあれば一時的に電力を供給することが可能です。


特に台風や地震などの自然災害が多い地域では、停電のリスクと隣り合わせです。万が一の事態に備えてEVのバッテリーを充電しておくことで、電力の供給が途絶えた際にもEVを非常用電源として活用できます。

ランニングコストの削減

EVはガソリン車と比較して燃料費が安く、結果として車両のランニングコストの削減が可能です。


例えば、燃費がリッター10kmのガソリン車は、1km走行するのに約0.1Lのガソリンを消費します。ガソリンの価格がリッター160円だとすると、1kmあたりの燃料費は16円です。


対してEVの場合は、ガソリン車でいう「燃費」に相当する「電費」をより安く抑えられるでしょう。たとえば日産リーフの場合は、1kWhの電力で約7km走行することができます。


公益社団法人「全国家庭電気製品公正取引協議会」の発表する、1kWhあたりの電気代の目安が約31円であることを考慮すると、EVが1km走行するのにかかる電気代は約4円になります。


このように考えると、EVはガソリン車と比べてランニングコストを大幅に削減できる可能性が高いと言えます。

税制面の優遇

EV購入時には、税制面でも優遇が受けられます。一般的に、自動車の購入時に納める税金として挙げられるのは「自動車税(環境性能割)」「自動車税(種別割)」「自動車重量税」の三つ。


実はEVでは、以下のように非課税もしくは減税の対象となっています。


  • 自動車税(環境性能割) : 2026年3月31日まで非課税
  • 自動車税(種別割) : グリーン化特例により2026年3月31日まで75%軽減
  • 自動車重量税 : 2026年4月30日新規登録分まで、購入時の車検と購入後初めての車検にかかる分が免税

企業向け|EV購入を対象とした補助金制度

企業向け|EV購入を対象とした補助金制度

企業がEVを購入するメリットとして、EV購入を対象にした補助金制度が充実していることも挙げられます。主な補助金制度の対象車としてはEV以外にも燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)が用意されており、その内容は以下のとおりです。


  • 燃料電池自動車等の普及促進事業・電気自動車等の普及促進事業 :EV、FCV、PHVを導入する個人、事業者等に対して、その経費の一部を助成する制度
  • クリーンエネルギー自動車導入促進補助金:EV、FCV、PHV、小型・軽EV、超小型モビリティ、ミニカー、電動二輪、クリーンディーゼル車の購入費の一部を助成する制度
  • 商用車の電動化促進事業:EV、FCV、PHVのタクシーやトラックを対象に購入費用の一部を助成する制度

これらの補助金に加え、全国の地方自治体でもEV購入に関する補助金制度を備えています。


  • 東京都:ZEVの車両購入補助金:EV、FCV、PHVの購入費用の一部を助成する制度
  • 神奈川県:神奈川県事業用EV導入費補助金:EVバス、EVトラック、EV軽トラック又はEVタクシー導入時の経費の一部を補助する制度
  • 大阪府:豊中市電気自動車等購入支援補助金:EV、FCV、PHVの購入費用の一部を助成する制度

各地域のEV向け補助金は、一般社団法人「次世代自動車振興センター」の公式サイトより詳細を確認できます。

企業がEVを購入するデメリットってなんだろう

企業がEVを購入するデメリットってなんだろう

企業がEVを購入するうえでは、いくつかのデメリットも存在します。

初期費用が高い

企業がEVを購入するデメリットとして、まず車両本体の価格が高い点が挙げられます。


一部のガソリン車は100万円以下で購入可能なものもありますが、EVの購入費用は概ね300万円から600万円程度。さらに、EVを充電する設備が整っていない場合は、別途設備投資が必要になることも。


車両本体の購入費用と、EVの充電設備にかかる設置費用を合わせると、初期投資の金額が非常に高額になってしまう可能性があります。

航続距離が短い

EVの航続距離は、一般的に100〜300km程度と言われています。ガソリン車と比較して航続距離が短いため、遠方への移動には不向きと言えるでしょう。


また、EVの充電スタンドはガソリンスタンドに比べると圧倒的に数が不足しているため、手軽にエネルギーを補給しづらいのが難点。加えて、ガソリン車が数分で燃料補給を完了できるのに対し、充電状況にもよりますがEVのフル充電にはおよそ30分から60分必要です。


社用車としてEVを導入する際には、こうした航続距離の短さと充電にかかる時間を考慮することが重要と言えるでしょう。


実際に社用車としてEVを利用する際には、業務の効率を妨げないように事前に営業ルート内に十分な充電設備が存在するかどうかをチェックしておく必要があります。

カースモーラちゃんのまとめ

企業が社用車としてEVを購入するメリットには、脱炭素やSDGsへの貢献、蓄電池として利用できる点などが挙げられるよ。ガソリン車と比べて1km走行するのにかかる費用も安めだから、ランニングコスト削減にもつながるね。

ほかにも、EVを購入する企業が対象の補助金制度もあるから、できるだけ初期費用を抑えてEVを購入したい企業は注目してみてね。もちろん、EV導入には車両購入や充電設備の設置などが必要だから、初期費用が高くなってしまう点には注意が必要だよ。

ガソリン車と比べて航続距離が短いから、遠距離の移動が必要な業種には不向きかもしれないね。

社用車をEVにしたいと考えている方は、今回触れたメリット・デメリットを踏まえたうえで導入を検討してほしいな。

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