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トヨタが手掛けるウーブンシティが実現する未来とは

2024年2月、営業利益が日本企業初となる5兆円を超えたことでも話題を集めたトヨタ。それと同時に株式時価総額が50兆円を超えたことでも世間を賑わせました。

その大きな要因は、ハイブリッド車(HV)が注目を集め販売台数が増加したことや、為替変動による増益が挙げられます。こういった営業面の動きが注目されがちですが、トヨタは地域課題や社会問題、2050年に向けた脱炭素社会の実現に向け取り組みを進めています。

具体的には2015年に導入された「トヨタ環境チャレンジ2050」や、「Toyota New Global Architecture(TNGA)」、「実証都市Woven City(ウーブンシティ)の建設」などが代表的です。このような施策がトヨタの成長を後押ししてきました。その中でも2025年に実証予定の「ウーブンシティ」は、大きな話題を集めており注目されています。

ウーブンシティはどのような目的で建設され、どのような未来を描いているのでしょうか。今回は、トヨタが手掛けるウーブンシティについて深掘りしていきます。

目次

  1. トヨタが手掛けるウーブンシティの目的
  2. トヨタと連携しウーブンシティを盛り上げる参画企業
  3. 2025年に実証を開始予定のウーブンシティが描く未来
カースモーラちゃんポイント
  • ウーブンシティは実証都市としての位置付けで、静岡県裾野市に建設を進めているよ。
  • 第1期工事が進行していて、2025年から実証実験の一部開始を見込んでいるんだ。
  • モビリティを日常生活における12の領域と組み合わせ、モビリティの可能性を広げていく構想を描いているの。

トヨタが手掛けるウーブンシティの目的

トヨタが手掛けるウーブンシティの目的

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2021年、トヨタが発表した実証都市「ウーブンシティ」。トヨタの東富士工場跡地である、静岡県裾野市に建設中です。


当プロジェクトを主導するのは、子会社の「ウーブン・バイ・トヨタ」。富士山の裾野を起点に、モビリティを拡張し、人の可能性を引き出す新たなシステムやサービスの実証実験を行うことが目的です。


建設は順調に進んでいるようで現在、第1期工事が進行中です。2025年を目処に実証実験の一部開始を見込んでいます。段階的に規模を拡大していき、最終的には70万8,000平方メートルまで拡大されるようです。


居住者も段階的に増え、第1期で360人程度が居住し、最終的には2,000人程度を見込んでいます。


あくまでも研究施設という位置付けになるため、基本的には誰もが自由に行き来できる場所ではありません。トヨタグループの開発者やパートナー企業、スタートアップ、起業家などが協力し、地球が直面する環境問題や社会的課題の解決策を創出するための実証実験の場として捉えられています。


ウーブンシティの研究領域は以下の12分野。


  • モビリティ・トランスポーテーション
  • エネルギー
  • 物流
  • 農業・食品
  • IoT(データ・ICTインフラ)
  • ヘルスケア
  • 教育
  • エンターテインメント・小売り・アーティスト
  • 金融・決済
  • セーフティ・セキュリティ
  • スマートホーム
  • 住宅・オフィス

トヨタは、モビリティを日常生活における12の領域と組み合わせることで、「モビリティ=車や移動手段」という概念を超え、モビリティの可能性を広げていく構想を描いています。

トヨタと連携しウーブンシティを盛り上げる参画企業

トヨタと連携しウーブンシティを盛り上げる参画企業

ウーブンシティの完成は、トヨタだけの取り組みではありません。すでに複数の企業が参画し、実証実験に向けた準備が進められています。


ここでは主な参画企業と、その取り組み内容についてお伝えします。

トヨタと共にウーブンシティ隣接地に水素ステーションの建設を進める「ENEOS」

ENEOSとトヨタは2021年に、ウーブンシティ隣接地に水素ステーションを建設することを発表。


両社は、ウーブンシティにおけるモビリティ、人の暮らし、そして街全体のカーボンニュートラルを目指し、水素を身近に感じながら、豊かさと持続可能性が両立する社会の実現に取り組んでいます。


水素ステーションでのCO2フリー水素の製造、または水素ステーションからウーブンシティ及び燃料電池車(FCEV)への水素供給を実施。水素ステーションの運営開始は、2024~2025年を予定しているようです。

スマートシティプラットフォームの構築をトヨタと共に目指す「NTT」

日本の電話の歴史を切り拓いたイノベーター「NTT」も、2020年3月24日にトヨタと共同することを発表。


人・車・家、また住民・企業・自治体等に関わる生活、ビジネス及びインフラ・公共サービス等の全ての領域への価値提供を行う「スマートシティプラットフォーム」の構築を目指しています。


これはウーブンシティと東京都港区品川エリアにて実装し、その後連鎖的に他都市への展開を想定しています。


両社がパートナーシップを結んだのは、これが始まりではありません。


2017年に「コネクテッドカー」向けのICT基盤の研究開発を開始。トヨタが保有する自動車技術とNTTグループ各社のICTに関する技術を組み合わせ、コネクテッドカー分野での技術開発・技術検証とそれらの標準化が協業の目的です。

完全栄養食メニューを提供し、食を通じた Well-Being の実現に向け、トヨタと共に取り組みを進める「日清食品」

トヨタは「Beyond Instant Foods」をスローガンに掲げる日清食品と、2022年にパートナーシップを締結しました。


住民の食の選択肢拡充と健康増進を目指し、ウーブンシティ内で日清食品が研究を進める最新の分子栄養学に基づく「完全栄養食メニュー」を提供します。


また個々の健康状態や好みに合わせた食事を実現するため、一人ひとりに最適な「完全栄養食メニュー」の提供に向けたデータ連携を活用します。


日清食品は食を通じた Well-Being の実現に向け、トヨタと共に取り組みを進めています。

水素調理によるカーボンニュートラルへの貢献と、新たな食体験の提供を目指す「リンナイ」

愛知県名古屋市に拠点を置くリンナイもトヨタと共同し、2022年にウーブンシティ事業に参画しています。


新たな水素の活用を目指し、水素調理によるカーボンニュートラルへの貢献と、水素による新たな食体験の提供を目指すことが目的です。


リンナイは、カーボンニュートラル実現に向けた宣言「Rinnai Innovation Manifesto 2050」を策定し、水素燃焼機器の開発を進めてきました。2022年5月には、給湯分野において水素100%燃焼の技術開発に成功するなど、水素燃料を活用した機器の開発に積極的に取り組んでいます。


今後もウーブンシティなどでの実証を通して、調理時にCO2を排出しない水素調理の最も安全で効率的な燃焼方法を検討するとともに、水素調理が食材に与える味や風味などへの効果を科学的に検証していく考えです。

2025年に実証を開始予定のウーブンシティが描く未来

2025年に実証を開始予定のウーブンシティが描く未来

2025年にいよいよ実証開始されるウーブンシティ。


実際に人々が生活することで生まれる様々なニーズやアイデア、それらを実現させるための技術やサービスなど、自動車業界のみならず様々な分野に影響を与えるのではないでしょうか。


国や自治体主導の実証実験の場合、実施に至るまで法規制など様々な障壁が付き物です。しかしながら、ウーブンシティのような私有地内であれば、そのような障壁もなくスピーディな実証実験が可能です。


実際に人々が生活しながら、技術やサービスの開発・実証・改善を素早く繰り返すことで、新たなモノやサービスが創出されるでしょう。


今後、予想を超える画期的な「モビリティ」が、ウーブンシティをきっかけに誕生するかもしれません。また未来のライフスタイルも変化していくのではないでしょうか。


明るい未来を期待しながら、今後の進捗に注目したいところです。

カースモーラちゃんまとめ

現在、トヨタが取り組みを進めている実証都市「ウーブンシティ」。

モビリティを拡張し、人の可能性を引き出す新たなシステムやサービスの実証実験を行うことが目的なんだ。

人々がウーブンシティで生活することで生まれる様々なニーズやアイデアを実現させるための技術やサービスなど、自動車業界のみならず様々な分野に影響を与えてくれるはずだね。

現在は建設中で2025年より、いよいよ実証開始されるらしいよ。日本はもちろんだけれども、世界でも大きな話題となるだろうね。

まだまだ未完成の街だけれども、ウーブンシティを通して未来のライフスタイルが変化していくかもしれないね。

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