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2040年の脱エンジンを目指すホンダの戦略

2021年4月、日本の自動車メーカー「ホンダ」が脱エンジンを発表。同社は日本勢で唯一、2040年までに新車販売をすべて電気自動車(EV)と燃料電池自動車(FCV)にする計画を打ち立てました。

これは段階的に販売比率を高めていき、2030年に40%、2035年には80%、そして2040年に100%を目指していくそうです。

2023年以降にEV市場が減速している中でも、ホンダの方針はブレることはありません。ホンダはEVやハイブリッド自動車(HV)の開発費用の投資や、ライバル企業でもある日産との連携を検討するなど独自の戦略で活路を見出しています。

ホンダが描く未来はどのようなものなのでしょうか。その動向についてみていきましょう。

目次

  1. HVを中心にICEモデルの開発をさらに強化し、活路を見出すホンダ自動車
  2. HVを強化する理由とは
  3. ライバル「日産」とEV提携を検討したホンダ、実現すれば日本の自動車市場にどのような変化を生み出すのか
カースモーラちゃんポイント
  • ホンダは2040年までに「脱エンジン」を目指しているんだ。
  • HVの研究開発にも取り組んでいて、1兆1,900億円を投資するみたい。
  • ライバル「日産」との提携も検討しているらしく、実現すれば自動車業界が大きく変わりそうだね。

HVを中心にICEモデルの開発をさらに強化し、活路を見出すホンダ自動車

HVを中心にICEモデルの開発をさらに強化し、活路を見出すホンダ自動車

東京都港区に拠点を置くホンダ。自動車販売台数は、国内メーカーの中では第2位。最も強みとしているのがオートバイ事業で、販売台数、売上高ともに世界首位です。


同社は2025年3月期の研究開発費について、1兆1,900億円を投資することを2024年5月に発表しました。


この研究開発費は、ホンダの過去最大の投資額でEVや知能化技術に使用されるようです。またHVへの投資にも余念がなく、2027年まではHVを中心としたICEモデルへの研究開発投資を行っていく方針です。


ホンダが提供する中型セダン「アコード(2023年モデル)」のHV機構のシステムコストは、先代2018年モデルの同機構のコストに比べ約25%削減。HVを含むICE搭載車全体においては、2021年に発売した中型車「シビック」から導入された車両の開発・生産手法「ホンダ・アーキテクチャー」も収益性の向上に寄与しています。


同手法によって、基幹車種のアコードやシビック、CR-Vなどでパーツの共用率を高め、開発や製造コスト削減に貢献しています。


これによりHVの収益性は、基本的にICE車とほぼ同等まで高められています。


性能と収益性を向上させることで活路を見出すホンダ。過去最大の投資を行うことで、今後登場するモデルにも注目が集まります。

HVを強化する理由とは

HVを強化する理由とは

現在、北米や欧州市場でEVの需要が鈍化しつつあります。


世界的にみても近年のEV販売台数の伸びは過去に比べ減少傾向にあり、アメリカの自動車メーカー「フォード」や「ゼネラルモーターズ」が、EV投資計画を延期するなどこれまでの勢いはありません。


また欧州市場では、EVの補助金制度の打ち切りや条件が変更されるなど、今後のEVシフトに影響するニュースが注目を集めました。


その一方、HV市場が拡大しつつあり、各自動車メーカーが注目。トヨタもHVを中心に業績を伸ばすことに成功し、順調に業績を伸ばしています。


ホンダの戦略は、前述したように段階的にEVまたはFCVの販売比率を高めていくというものです。2030年には全体の40%を目標に取り組んでいますが、残りの60%はHVを中心とするICE搭載車となります。


現在、ホンダがHVへ積極的に投資する理由は、長期的に収益を上げるためということです。


2027年モデルより、進化を遂げたハイブリッド機構を導入する予定です。現時点で詳しい情報は未公表ですが、現行のハイブリッド機構「e:HEV」からコストや性能の競争力をさらに高めると言われています。


今後EVシフトを進めていく上で、競争力を継続的に向上させなければいけません。そのためには、高水準の研究開発投資を維持することが不可欠です。


そのためにも競争力に打ち勝つHVを開発し、収益を上げることが期待されています。

ライバル「日産」とEV提携を検討したホンダ、実現すれば日本の自動車市場にどのような変化を生み出すのか

ライバル「日産」とEV提携を検討したホンダ、実現すれば日本の自動車市場にどのような変化を生み出すのか

2024年3月にビックニュースが話題を集めました。その内容は、ホンダと日産が協業を検討するというもの。


車載ソフトウエアプラットフォームやEVの基幹部品、商品の相互補完などを対象に進めているようです。


ホンダはこれまで、アメリカの「ゼネラルモーターズ」とEV量販車の開発を進めてきましたが、残念ながら断念しています。一方、日産はフランスの「ルノー」との提携を見直している最中です。


また日産は、2030年度までに新車販売の55%をEVとする方針を掲げており、中長期の電動化戦略を打ち出していることから、両社の構想がマッチしていることがうかがえます。


このタッグが実現すれば、日本の自動車業界の競争力維持にとっても大きな意味を持つでしょう。


現在、日本の自動車メーカーで生産台数でトップに立つトヨタ。それに追随するのがホンダと日産です。ホンダの2023年度における自動車生産台数は約407万台。対して日産は約329万台を記録しています。この両社が提携することでトヨタはもちろんですが、世界の自動車メーカーにとっても脅威と言えるでしょう。


また、部品メーカーなどのサプライチェーンにとっても大きな意味を持ちます。部品メーカーにとっては生産台数の規模を確保することができれば、投資負担の軽減につながります。


今回の提携で、両社にEVの駆動装置「イーアクスル」や、関連パーツを供給する日立Astemo(アステモ)にホンダと日産が共同出資するとも言われています。


ただ、今回のニュースはあくまでも検討段階のお話。ホンダと日産がどのように歩み寄り、未来をどのように描くのか、今後の動向に注目です。

カースモーラちゃんまとめ

日本の自動車メーカー「ホンダ」は、2024年までに脱エンジンを目指しているの。

段階的に進めており、まずはEV・FCV販売比率を2030年に40%まで引き上げる計画なんだ。HVの研究開発にも力を入れていて、研究開発費に1兆1,900億円を投資することを発表しているよ。

今後、EVの研究開発への投資も視野にいれていて、ライバル「日産」との提携も検討しているみたい。この両社が手を組むことがあれば、自動車業界に大きな影響を与えるだろうし、サプライチェーンにとっても大きな意味を持つだろうね。

ホンダが描く「脱エンジン」まで残り16年。どんな未来が待っているのか注目だね。

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