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【2024年度版】馬力のある電気自動車(EV)ランキング10選

自動車の性能を表す指標の一つ「馬力」。日本車のカタログ記載の情報では、最高出力kW(PS)もしくはPS(kW)の表記でお馴染みです。自動車を選ぶ際の参考にしている方も多いのではないでしょうか。

そんな馬力はエンジンを用いるガソリン車のスペックを表すための数値と思われがちですが、実は電気自動車(EV)のモーターの最大出力を表すためにも同じ表記が用いられます。

適切に情報を精査するためにも、正しい知識をおさえておくことが大切です。

今回はEV馬力ランキングと共に、馬力の基本やガソリン車とEVの特性の違いまでお伝えします。

目次

  1. 自動車に関する馬力って?
  2. EVの馬力の算出方法
  3. ガソリン車とEVとの特性の違いについて
  4. 【2024年版】EV馬力ランキングTOP10
  5. 軽自動車は馬力に関する規制があるの?
  6. EVの馬力についておさらい

自動車に関する馬力って?

自動車に関する馬力って?

自動車の性能の一つでもある馬力は、「仕事率」を表す数値のことを指します。国際単位系(SI)に用いられているのはW(ワット)。仕事率とは具体的に、一定の時間で物体をどのくらいの力でどのくらい移動させたかを示す数値のこと。自動車のカタログなどに表記される馬力は、エンジンの最大出力時の数値の表記です。


蒸気機関を実用化したことで広く知られるジェームズ・ワット氏が、蒸気機関の工率を示すのに1頭の馬に175ポンドの荷物を引かせて1分間に188フィート移動させたことを確認し、この仕事量を1HP(英馬力)と定めたのがはじまり。


現在、馬力を表す単位としてはWに次いでヤード・ポンド法を用いる北米圏で使用されるHPと、メートル法を用いるドイツで使用されるPS(仏馬力)の二つが用いられています。


日本国内では1999年にSIを全面的に導入するために新計量法が定められたものの、W表記が充分に浸透しなかった経緯もあり多くの場合、物体を1秒間につき75kgの力で1m移動させる仕事率を1PSと表現するメートル法に基づいて定義したPSが併記されています。1PS=735.5Wで変換が可能です。

EVの馬力の算出方法

EVの馬力の算出方法

エンジンの最大出力から馬力を算出するガソリン車とは異なり、EVはモーター(電動機)の最高出力から馬力を算出します。


EVのモーターの最高出力は主に電力の単位kWで表記されているため、以下の式で計算が可能です。


電動機最高出力(kW)/0.7355kW=PS(馬力)


ガソリン車はエンジン、EVはモーターの最大出力と覚えておきましょう。

ガソリン車とEVとの特性の違いについて

ガソリン車とEVとの特性の違いについて

馬力に関しては、EVとガソリン車ともに最大出力を数値化した表記のため、大きな違いはありません。両者が異なるポイントは、固定された回転軸を中心に生み出される力「トルク」が最も大きくなるタイミングです。


通常、ガソリン車の場合はエンジンの回転数に応じてトルクが増加します。最大トルクが発生する回転数は、エンジンの設計や特性によって異なりますが、4,000~5,000回転程度が一般的です。


そして、一定の回転数でピークを迎えると徐々に減少していきます。


一方、モーターを用いるEVの場合、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクが発生します。電気エネルギーの約90%を直接動力に変換でき、発進時から最大トルクを発生することが特徴です。


低回転から最大トルクを発生できるため、EVはガソリン車に比べて加速性能に優れています。


また、エネルギー効率が異なる点もガソリン車とEVとの違いです。


ガソリンエンジンは、燃料を熱エネルギーに変換して動力を生み出します。しかし、その過程では約40%程度のエネルギー効率しかありません。残りの約60%は廃熱や摩擦などで失われてしまいます。


逆にEVモーターは、電気エネルギーを直接動力に変換するため、エネルギー効率が非常に高く、約90%のエネルギーを動力に変換できます。

【2024年版】EV馬力ランキングTOP10

【2024年版】EV馬力ランキングTOP10

順位

メーカー

車種

グレード/トリム

年式

電動機最高出力 (kW[PS])

0-100km/h

1位

テスラ

モデルS

Plaid+

2021年3月発売モデル

809[1,100]

2.1s

2位

テスラ

モデルX

トライモーターAWD Plaid

2023年5月発売モデル

761[1034]

2.6s

3位

ポルシェ

タイカン

ターボGT with ヴァイザッハパッケージ

2024年3月発売モデル

760[1,034]

2.2s

4位

ロータス

エレトレ

R

2024年5月発売モデル

675[918]

2.95s

5位

ポルシェ

タイカンクロスツーリスモ

ターボクロスツーリスモ

2024年2月発売モデル

650[884]

2.8s

6位

メルセデスAMG

EQS

EQS53 4MATIC+

2023年3月発売モデル

560[761]

3.4s

7位

メルセデスAMG

EQE SUV

EQE53 4MATIC+ SUV

2024年1月発売モデル

505[687]

3.7s

8位

BMW

i7

M70 xDrive

2023年5月発売モデル

485[659]

3.7s

9位

ヒョンデ

アイオニック 5N

ファーストエディション

2024年6月発売モデル

478[650]

3.4s

10位

アウディ

RS e-tron GT

RS e-tron GT

2023年4月発売モデル

475[646]

3.3s


最もEV馬力が高かったのは、アメリカに本拠地を置くテスラが提供する「モデルS Plaid+」。驚異的な1,100PS馬力を発揮し、他のEVを大きく引き離していることがわかります。


メーカー別で見ると、ドイツを拠点とする「ポルシェ」「メルセデスAMG」「BMW」「アウディ」がランクイン。どのメーカーも長い歴史を持つ企業で、技術力の高さが伺えます。


テスラを含む海外勢のメーカーが独占しており、残念ながら日本の自動車メーカーはランクインしていませんでした。


欧米では長距離ドライブが一般的であり、高速道路での走行が多いため、高い馬力と長い航続距離が求められます。一方、日本では都市部での短距離移動が主流であり、低速走行が多いため、馬力よりも効率やコンパクトさが重視されているためでしょう。


当ランキングは、2024年6月時点のものであり、今後新たなEVが発売されることで順位が変動する可能性があります。引き続きEV普及が進む中、「モデルS Plaid+」を超える車種も開発されるのではないでしょうか。


今後の動向に注目したいところです。

軽自動車は馬力に関する規制があるの?

軽自動車は馬力に関する規制があるの?

軽自動車のカテゴリで頻繁に目にする「64馬力規制」と呼ばれる最高出力の規制。しかしながら規制とは言われているものの実際に規制されているわけではなく、64馬力を超える軽自動車を運転していたとしても、罰せられることはありません。あくまでも自動車メーカーが自主的に実施している規制です。


そのはじまりはスズキの軽自動車「アルトワークス」が発売された1980年代まで遡ります。アルトワークスは、550ccの低排気量ながらターボを搭載することで当時、最も高出力なモデルとされていました。


当時、自動車が交通手段として普及していたこともあり、高出力は交通違反や交通事故の増加につながるとされ、最高出力に自主的な制限を設けることになりました。それからおよそ40年が経過した現在でも軽自動車の自主規制値は64馬力と定められ、軽EVにも受け継がれています。

EVの馬力についておさらい

EVの馬力についておさらい

本記事ではEVの馬力ランキングと共に、自動車の馬力に関する基本をお伝えしました。馬力とは「仕事率」を表す数値のこと。ガソリン車においてはエンジンの最大出力を、EVにおいては電気モーターの最大出力を表す表記です。


日本国内では1999年に国際単位系(SI)が導入されているものの、充分に浸透しなかったことから現在もなおPS(仏馬力)が併記されています。


EVを選ぶ際の一つの基準として、正しい馬力の知識をおさえておきましょう。

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