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EVが普及する中でモータースポーツはどのように変化していくのか

近年、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが推進されています。モータースポーツもその影響を大きく受けるジャンルの一つ。

現在電気自動車(EV)が推進されている背景もあり、盛り上がりを見せているのがEVを用いたモータースポーツ「フォーミュラE」です。レース用車両にEVを用いるのはもちろんのこと、環境に配慮したレギュレーションを採用するなど、二酸化炭素排出量削減への徹底した対策が注目を集めています。

一方でフォーミュラ1(F1)はというと、かねてより取り組むレース用車両のハイブリッド車(HV)化はもちろんのこと、合成燃料(e-fuel)の導入を計画しています。

二分化を見せるカーボンニュートラルへのアプローチから、今後のモータースポーツの変化について見ていきましょう。

目次

  1. カーボンニュートラルがモータースポーツに与える影響
  2. EVを用いたモータースポーツの登場
  3. 今後のモータースポーツはどう変わるのか
カースモーラちゃんポイント
  • 既にHV化が進んでいるF1は環境問題に対して高い関心を持っているみたい。
  • F1はカーボンニュートラル実現の目標に向け、e-fuelの導入を計画しているんだ。
  • フォーミュラEはレギュレーションを含めた脱炭素への取り組みで知られているよ。

カーボンニュートラルがモータースポーツに与える影響

カーボンニュートラルがモータースポーツに与える影響

2020年、日本政府によって発表されたカーボンニュートラル。モータースポーツに影響を与えるのは言うまでもありません。実際、F1の二酸化炭素排出量は2018年で25万6,551トンと、多量の温室効果ガスを排出しています。


しかしながら、レース用車両が排出する二酸化炭素は全体の1%に満たない排出量。その多くは移動や物流によって排出されています。意外にも、F1のレーシングカーは少ない燃費でハイレベルのパフォーマンスを実現すべく、エンジンのハイブリッド化が進んでいるのがポイント。実際にこれまでF1で培われてきたハイブリッドエンジンにまつわる自動車業界でも最先端の技術は、一般乗用車の技術躍進にも大きく貢献しています。


F1は二酸化炭素削減、環境問題への配慮に対して、高い意識を持っていると言えるでしょう。


そんなF1はカーボンニュートラルの影響を受け、2021年に2030年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにする目標を発表しました。環境問題への取り組みを今後さらに強化する意向を示しています。


その一環としてF1が現在取り組んでいるのが、2023年にEUで容認されたことにより近年注目を集めている合成燃料「e-fuel」の導入計画です。e-fuelとは、二酸化炭素と水素を原料に合成された石油に変わる燃料のこと。燃焼時に二酸化炭素は排出するものの、それを原料に用いることで、結果として排出量をゼロにできます。


その大きなメリットは従来のエンジンでも利用できることと、エネルギー密度が高いことです。設備の大幅な変更が不要かつエネルギー密度が高いため、船舶や航空機、大型車両などにも利用できます。しかしながら現時点では原料の調達コストにより、1Lあたりの製造コストが300〜700円と既存の燃料と比べて非常に高額になることが懸念点です。


製造コストにまつわる課題をクリアすることで、F1の二酸化炭素排出量の多くを占める移動や物流への貢献はもちろんのこと、脱炭素社会への多大なる貢献も期待できるでしょう。

EVを用いたモータースポーツの登場

EVを用いたモータースポーツの登場

カーボンニュートラルによりEV化が進行する昨今、モータースポーツにも新たな可能性が生まれています。そのうちの一つが、国際自動車連盟(FIA)が主催するEVのモータースポーツ「フォーミュラE」です。


フォーミュラEでは、モータースポーツにガソリン車の代わりとしてEVを用いるのはもちろんのこと、既存のモータースポーツと比べて環境に配慮したレギュレーションを採用しているのが特徴。環境問題や騒音に対する配慮の周知を目的に全てのレースを公道で行っているなど、その徹底ぶりが伺えます。


中でも際立つレギュレーションが以下の5つ。


  • 練習走行は60分の1回のみに制限
  • 1シーズンにつき車両ごとにモーター、バッテリーパック、ギアボックスを一つまでに制限
  • 1イベントにつきレースで使用できるタイヤを前輪・後輪それぞれ5つに制限
  • パンク時以外のタイヤ交換作業の禁止
  • オペレーションスタッフを12名までに制限

モータースポーツで問題視されている多量に消費されているタイヤへの対策として、交換や本数に対して制限を設けています。モータースポーツの二酸化炭素排出量の大部分を占める移動や物流に対しても、人員の制限をはじめとした対策を取る徹底ぶり。


フォーミュラEに用いられる技術やその環境に配慮したレギュレーションが今後、市販EVの技術にも大きく貢献することが予測されます。

今後のモータースポーツはどう変わるのか

今後のモータースポーツはどう変わるのか

今後のモータースポーツはHVと、EVの二つを主軸として発展していくでしょう。EVとは異なり二酸化炭素を排出するHVが生き残る可能性が示唆されているのには、前述のe-fuelが深く関わっています。


前提としておさえておきたいのは、EUがこれまで掲げていた「2035年以降の新車でのガソリン車を含むエンジンを搭載した車の販売を原則禁止」という目標から方針転換し、e-fuelを使用することを条件にエンジン搭載車の販売を容認した出来事です。


当初の方針ではエンジン搭載車を利用するモータースポーツの継続が不可能、EVに置き換わることが予測されました。しかしながら2023年の方針転換を受け、e-fuelによる既存のエンジン車の存続が可能に。モータースポーツの可能性が広がったと言えるでしょう。


前述のフォーミュラEには、従来のモータースポーツのレギュレーションや、レーシングカーのサウンドを求めるファンのニーズを満たせないという欠点があります。両者は車両を使うレースという同様の性質を持ちながら、根本的な部分は異なる競技なのです。


e-fuelの容認により従来に近いモータースポーツの存続が現実味を帯びたことによりファン層と同じくEVと二分化し、それぞれ異なったジャンルとして発展していくのではないでしょうか。


将来的に合成燃料によるHVとEVの二つを軸にした発展が予測されるモータースポーツは、それぞれ異なったアプローチでの脱炭素社会への貢献、自動車の技術発展が期待されます。

カースモーラちゃんまとめ

今回は脱炭素社会の実現に向けたEVの普及がもたらす、モータースポーツの将来についてお伝えしたよ。

モータースポーツの最高峰F1は、かねてよりレース用車両のHV化を進めているんだ。そんなF1は2030年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにする目標を掲げているよ。現在それに向けてe-fuelの導入を計画しているみたい。

一方でフォーミュラEは、EVをモータースポーツに用いることで二酸化炭素削減に取り組んでいるよ。環境へ配慮したレギュレーションを採用するなど、徹底した取り組みが注目を集めているみたい。

そんなF1とフォーミュラEは根本的な部分が異なることから全く別の競技と言えるんだ。今後のモータースポーツは合成燃料によるHVとEVの二つを主軸に発展、それぞれのアプローチで脱炭素社会への貢献が期待できるよ。

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