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電気自動車(EV)普及による関連機器の盗難増加の背景について
公開日:2024/04/20更新日:2024/04/20
銅は導電率が高く、抗菌性や腐食に強いことが特徴。パソコンなどの電子機器に採用されており、電気自動車(EV)もその内の一つ。EVモーターや配線、または充電器などの設備にも欠かせない重要な資源です。
EVの普及が世界的に進む中で、充電器などのEV関連設備の盗難リスクが問題視されています。被害事例の多くは主に海外ですが、今後日本でも標的となるかもしれません。
今回は、EV普及に伴う充電器盗難の懸念と、具体的な盗難防止対策について説明します。
目次
カースモーラちゃんポイント
- 近年では銅の需要が高まっており、価格が高騰しているの。
- EVモーターや充電器、ケーブルなど、EVには多くの銅が使用されているんだ。
- 主に海外を中心に問題視されているけれど、日本でも被害にあうかもしれないの。
- 被害にあわないためにも、盗難防止対策を実施することが大切だよ。
EVに必要不可欠な銅
海外を中心に、EV関連機器の盗難が懸念されています。その主な原因は、電子機器に多く採用される銅が深く関係しています。
銅価格の推移は以下の表をご覧ください。
年度 | 価格(平均) |
2000年 | 195.47 |
2010年 | 659.43 |
2020年 | 658.13 |
2021年 | 1,023.94 |
2022年 | 1,150.81 |
2023年 | 1,190.87 |
2024年 ※1月のみの価格 | 1,222.91 |
2010年から2020年までは、大きな変動はありませんが、2021年以降は銅価格が高騰していることが分かります。
その要因の一つが、2020年初頭から世界で大流行した新型コロナウイルス。多くの国で外出自粛が求められ、経済にも大きく影響しました。これにより銅鉱山の供給が滞ったことが、銅価格の高騰につながったのです。
また、世界的に脱炭素社会を推進していることも理由の一つ。
銅はEVにとって必要不可欠な資源です。ガソリン車は、一台あたり約20kgの銅を使用しているのに対し、EVに使用されている銅は約80kg。
EVの使用に必要な充電器にも、多くの銅が使用されています。普通充電器には一基あたり約0.7kg、急速充電器の場合は一基当たり約8kgの銅が必要です。EVが普及していく中で、今後も銅の需要が高まり価格が高騰するかもしれません。
これらの背景から、換金・転売を目的とした銅の盗難が増加すると予想され、銅を使用するEVや充電器などの関連設備の盗難が懸念されます。
EVの充電器・ケーブルが盗難に遭うことも
前述した通り、EV本体や必要不可欠な充電器にも多くの銅が使用されています。
近年の自動車は技術が進歩したことで、車両本体が被害に遭うことは減少傾向にあります。しかしながら、自宅や駐車場などに設置されているEV充電器や充電に必要なケーブルは、注意が必要です。
過去には、イギリスの新興住宅地でEV充電器が盗まれる事件が発生しました。住居の壁や支柱から15個もの充電器がもぎ取られ、盗難被害に遭っています。
日本でも2014年に静岡県で発生した、EV充電用のケーブルが盗難された事例があります。現在では対策が講じられているため、被害は見られませんが今後も対策が必要です。
EVはあらゆるものが盗難の対象となる可能性があります。この点を認識し、適切な対策を講じることが大切です。
EV充電器の盗難防止対策
EV充電器の盗難対策は、どのようなものがあるのでしょうか。
例えば、鍵の付属したタイプの充電器を選ぶことで、簡単には盗まれなくなります。ケーブル付き充電器の場合、ダイヤルロックなどで物理的にガードする方法がおすすめです。
その他にも充電器周辺に防犯カメラを設置することで、盗難の抑止効果が期待できるでしょう。防犯カメラは、EV充電器全体を映せるように設置することがポイント。夜間でも撮影できるよう、赤外線機能付きのカメラを選ぶと、防犯効果が高められるでしょう。
また、EV本体の防止対策も忘れてはいけません。
EV本体の盗難事例は、技術の進歩もあり少ないですが、万が一を想定し対策を講じておくと安心です。車用の防犯ブザーやドライブレコーダーなどの、車上荒らし対策を実施しておきましょう。
カースモーラちゃんまとめ
脱炭素社会の実現に向け、銅の需要が高まっているの。EVモーターや充電器には多くの銅が使用されていて、2021年以降から銅価格が高騰しているんだ。
銅の転売を目的にEV充電器やケーブルなどの盗難事例が、主に海外で発生しているの。日本でも事例は少ないものの、EVドライバーは盗難対策を実施しておくと安心だよ。