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軽自動車登録だけど普通の軽自動車とは違う…「超小型モビリティ(型式指定車)」のC+pod!

【トヨタ・C+pod】初の超小型モビリティ(型式指定車)初の市販車!もうすぐ生産終了のトヨタ C+podに試乗してきました!

国が次世代の乗り物と定義した超小型モビリティのうち、「超小型モビリティ(型式指定車)」市販第1号のトヨタ C+pod(シーポッド)、2024年夏頃に生産終了とアナウンスがあり、乗るなら今のうちと試乗してきました!なお、超小型モビリティ(型式指定車)の概要やC+podのスペックは末尾にまとめます。

目次

  1. 実は仙台でもかなり早い時期から売っていたC+pod
  2. 早速車内へ!
  3. 操作系はごくシンプル
  4. いざ発進!
  5. リアクォーターウィンドウなしは怖く、重ステも安定志向?
  6. ラゲッジの積載性は「ちょっとした買い物程度なら」
  7. 総評:「自動車」より「2人乗り高性能シニアカー」と思えば
  8. 【超小型モビリティ(型式指定車)とは?】
  9. 【トヨタC+pod 諸元表】

実は仙台でもかなり早い時期から売っていたC+pod

トヨタ C+pod

ディーラーの玄関先でチョコンと止まっているのを見ると、その小ささがわかる

1月23日、私が住む宮城県仙台市の某トヨタ店の店頭で、チョコンと小さなボディに充電器をつないだ姿で、C+pod(シーポッド)君は待っていました…そう、これから私は初めて、超小型EVを試乗するのです!


2020年12月にまず法人・自治体向けに発売後、翌2021年12月に個人向けを含む一般向けリース販売を開始したC+podですが、仙台市内で見かけるようになったのは2023年の春くらいから。


それも近所のマクドナルドで、1人乗りミニカー登録仕様が配達用に何台か使われているくらいで、軽自動車登録の超小型モビリティ(型式指定車)版C+podは見たことがありません。


まあ、ミニカーEVのコムス(トヨタ車体)でさえ、近所の営業所でヤクルトレディが1台、最近ようやく使い始めた…という土地柄なので、EVそのものはリーフやサクラを見かけるものの、超小型EVにはほとんど縁がなかったわけです。


そもそも、宮城県内のトヨタディーラーさんって、最近まで公式HPにもC+podの記載がありませんでしたし、去年くらいからようやく扱い始めたんですよね?


担当者「いやいや、実は2020年の発売時から取り扱いそのものは始めてまして、一般向けリースを始めたあたりだったか…とにかく試乗車もあったんですよ。でも、積極的に買おうという話になりにくいクルマなので、HPにも載ってなかったんでしょうね。」


えぇ〜?!試乗前からいきなり驚愕の事実!もっと早く試乗できれば良かったです…。

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早速車内へ!

決して広いとは言えないが、大人2人が並んで座れる幅は確保されたC+podの車内

決して広いとは言えないが、大人2人が並んで座れる幅は確保されたC+podの車内

乗り込むとまず、2人乗りとしてもさすがに狭い!現在の軽自動車は、1998年10月に新規格へ移行した際に全幅も拡大したものの、あくまで衝突安全基準の強化が目的で車内幅は550cc時代からさほど広くなっていないのですが、それ以上に成人男性2人だとキチキチ。


360cc時代の軽自動車ならこんなもんだったと聞きますが、現代の並列2人乗りとしてはこれが最低限なのでしょう。


ナビや各種情報を表示するディスプレイそのものは見やすいものの、ステアリングが邪魔で視認性がいいとは言えず、最近のテスラ車のように「U字型ステアリング」の採用か、HUD(ヘッドアップディスプレイ)の採用など、思い切った変更が必要に思えます。


それを除けばドライビングポジションは体格に合わせる程度で支障はなく、運転しやすそうですが、足踏みパーキングブレーキだけはかなり左奥にあって操作しにくく、後継車の登場なり再生産の暁には、電気式へ改善してほしいところです。

操作系はごくシンプル

スイッチ類もゴテゴテしておらず好感触なC+podのインパネだが、R、N、Dのシフトスイッチは色分けしてわかりやすい方がいいかも

スイッチ類もゴテゴテしておらず好感触なC+podのインパネだが、R、N、Dのシフトスイッチは色分けしてわかりやすい方がいいかも

インパネを見ると、狭いので当然シフトレバーなどフロア式はもちろん、コラム式やインパネ式でも助手席の同乗者へヒジ鉄を食らわせそうなので、シンプルに「R」「N」「D」と3つのボタン式。


他に左右独立作動のシートヒーターやバックソナーのOFFスイッチなどが並んでいますが、最低限のスイッチを大きめのサイズで配置しているため、高齢者が運転しても操作しやすそうなのはポイントです。


最近だとディスプレイのタッチパネルに何もかも集約した挙げ句に操作しにくい、ステアリングスイッチなんて運転しながら使うか?というユーザーも多いでしょうから、先進性というより、「いい意味でのチープさ」、「これでいいんだよ!」が感じられます。


試乗日は冬なので、気を利かせた担当の方がシートヒーターをONにしてくれましたが、すぐに温まるのと、コムスと異なりハードドアの恩恵で隙間風もなく、少なくとも冬は快適なのが確認できました。

いざ発進!

EVなので発進時はもちろん静かだが、少しでも動くとインバーター音がダイレクトに車内へ入る

EVなので発進時はもちろん静かだが、少しでも動くとインバーター音がダイレクトに車内へ入る

良好な前方視界を確認し、キーを「ON」にひねってシステム起動(ボタンで起動しないあたりも高齢者向けの配慮でしょうか?)、ブレーキを踏みながら「D」ボタンを押すと、いよいよ発進準備完了です。


スルスルとディーラーの玄関前を抜けて車道に出ます…どんな走りを見せてくれるのでしょうか?


車道はいきなり長いストレート、目前に遅いクルマや路上駐車もいないので、まずは動力性能の確認だ!とばかり、アクセルを床まで踏み込んでみます。


遮音材の類は省略したようで、車内にはヒュウウウウウン!!!と唸るインバーター音がダイレクトに飛び込む勇ましさですが、加速感は全くありません。


デジタルの速度計は確実に最高速度の60km/hへ向けて跳ね上がっているのですが、単調なストレートのせいか流れる車窓からはスピード感が感じられず、ホントにそんな速度出てるの?と率直な疑問が。


実際、信号で停まってからの加速は周囲のクルマに比べて明らかに劣るため、バイパスなど流れの速い道を走るのには最高速度より出足の遅さから、あまり向いていないようです。


一度最高速付近で巡航してしまえば、さほどのストレスではないと思いますが、制限速度が30〜50km/hの生活道路+αを主用途とするクルマだとわかります。

リアクォーターウィンドウなしは怖く、重ステも安定志向?

C+podの座席側方はシートベルトで塞がり、リアクォーターウィンドウがなく、後側方視界は要改善ポイント

C+podの座席側方はシートベルトで塞がり、リアクォーターウィンドウがなく、後側方視界は要改善ポイント

担当者に試乗ルートを指示された通り、細い路地へと曲がる時にはちょっとハイペースな速度から、パキッ!と曲げるステアリング操作を試みました。


ショートホイールベースだし、さぞかし気持ちよく向きを変えるのかと思いきや反応は予想外に「ガキッ!」と途中でロックしたような感触で、一瞬切りそこねたかと思いましたが、普通に曲がります。


油圧パワステでスラロームの切り返しをやった時のアシスト切れと似ていたので、電動パワステが低速以外は極度に重いセッティングなのか…と思いましたが、考えてみるとC+podは重ステなので、速度が上がるとむしろ軽くなるはず…ちょっと謎な感触でした。


それより難を感じたのが後側方視界で、C+podにはリアクォーターウィンドウがないため、横道から広い優先道路へ右折で出る時(あるいは店の駐車場から右折で車道に出る時)など、右折中に左側が一瞬全く見えなくなります。


駐車時も同様で、ドアミラーによりある程度カバーできるとはいえ、「意外に死角が多くて怖いと感じる」というのが率直な感想で、これはシートベルトアンカーをどうにか移設してでも改善してほしいポイントです。

ラゲッジの積載性は「ちょっとした買い物程度なら」

ラゲッジ(荷室)はかなり狭い…座席との仕切りをなくして、もうちょっと頑張ってもらえると!

ラゲッジ(荷室)はかなり狭い…座席との仕切りをなくして、もうちょっと頑張ってもらえると!

大型テールゲートだから結構広いのでは…と思わせるラゲッジですが、座席との間の高い仕切りに圧迫され、意外と物が積めません。


ちょっとした買い物にしか使わないから…という割り切りだと思いますが、たとえば駅に迎えに行った家族が大きい旅行用キャリーバッグやスーツケースを持っていた場合、物によっては積むのが厳しいかもしれず、18Lポリタンクも横向きで1つ積むのがやっと。


ちょっと割り切り過ぎでは…というのが率直な感想で、シートとラゲッジの仕切りをなくし、シートを目一杯前に出せば卑屈でも何とかかさばる荷物が載る程度。


18リッターポリタンクが概ね幅345mmなので、C+podの荷室奥行き335mmからあと10mmを確保してくれれば、灯油を買いに行く時便利なのに!と思わせますが、EVに乗る人は灯油ファンヒーターなんて使わないという計算でしょうか?

総評:「自動車」より「2人乗り高性能シニアカー」と思えば

C+podを充電していた、トヨタの「G-Station」普通充電器

C+podを充電していた、トヨタの「G-Station」普通充電器

ウルサイ割に遅い、使い勝手がイマイチとネガティブな事も書きましたが、それはあくまで「自動車」と考えた場合の話です。


軽自動車登録なので、ついつい現在の軽自動車並の走りを期待してしまいますが、そもそも「超小型モビリティ(型式指定車)」はそこまでの用途も性能も想定していない、生活道路をチョコチョコ走るクルマですから、同じ基準で考えてはいけません。


実際、試乗させていただいたトヨタ店でも、昔からクラウンなどを乗り継いでいた老夫婦、つまり典型的なトヨタ店のユーザー層である高齢の保守層などが「今はもう近所のコンビニやスーパー行くだけだし、こういうのでもいいんだよな?」と、興味深げに見るそうです。


「こういうの」というのは、もはや自動車でなくても構わない、でも上等な電動車いすに過ぎないシニアカーでは1人乗りで密閉キャビンもなく、速度が遅くて車道は走れないし荷物も大して積めない、でもC+podなら全部クリアしてるじゃありませんか?


そうか、これは軽自動車登録ではあるけれども、「自動車」ではなく「2人乗り密閉キャビンで車道を普通に走れて、そこそこ荷物も積める高性能シニアカー」なんだ!と思えば、ものすごく納得しました。


最高速度が60km/h、急速充電ができない、高速道路も乗れないと欠点ばかり並べて「こんなのはクルマじゃない」と言い放つ人もいますが、クルマじゃなくシニアカーだと思えばこれほど便利で最高なものはそうそうないですね。


問題は価格もサクラのような軽EVほどでないにせよ、それなりに高額なことや、車検制度や軽自動車も普通の軽自動車と同じという点が普及のハードルになっていることで、適切なユーザー層に合わせた補助制度の整備が望まれます。

【超小型モビリティ(型式指定車)とは?】

国土交通省が定めた「超小型モビリティ」のうち、もっとも本格的な乗り物で軽自動車に準じ、登録も軽自動車なものの、衝突安全基準が前面のみ、それも緩くされた代わりに、性能は最高速度60km/hに抑え、高速道路や自動車専用道路の通行も不可としたもの。


衝突安全基準が緩いため軽自動車よりコンパクトで簡素な構造が可能となっており、長距離移動を前提としないため空調設備など快適装備も簡素で、急速充電の必要性も薄い。


ただし、道路交通法では普通自動車扱いのため通常の自動車運転免許が必要で、道路運送車両法では軽自動車扱いのため、軽自動車税や車検制度が普通に適用され、緩和された部分以外の保安基準も適用されて義務化された装備も多く、車両価格は高額になりがち。

【トヨタC+pod 諸元表】

G

X

車両区分(道路運送車両法)

軽自動車

超小型モビリティ(型式指定車)

全長×全幅×全高(mm)

2,490×1,290×1,550

ホイールベース(mm)

1,780

トレッド(mm)

Fr : 1,105/Rr : 1,095

最低地上高(mm)

145

車両重量(kg)

690

670

最小回転半径(m)

3.9

乗車定員(名)

2

モーター

型式

1RM(交流同期電動機)

定格出力(kW)

2.6

最高出力(kW)

9.2

最大トルク(N・m)

56

動力用主電池

種類

リチウムイオン電池

容量(Ah)

51

総電圧(V)

177.6

総電力量(kWh)

9.06

一充電走行距離

WLTCモード値 クラス1(km)

150

交流電力量消費率

WLTCモード値 クラス1(Wh/km)

54

充電時間

普通充電

単相200V/16A

約5時間(満充電)

単相100V/6A

約16時間(満充電)

最高速度(km/h)

60

サスペンション

Fr ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)・Rr トーションビーム式コイルスプリング

ブレーキ

Fr ディスク・Rr リーディングトレーリング式ドラム

タイヤサイズ

155/70R13 75S

著者プロフィール

【兵藤 忠彦】 宮城県仙台市在住のフリーランスライター。モータースポーツに参戦していた経歴は全てダイハツ車という、自動車ファンには珍しいダイハツ派で、現在もダイハツ ソニカを愛車として次の愛車を模索中。もう50代なので青春時代を過ごした1980〜1990年代のクルマに関する記事依頼が多いものの、自動運転やEVといった次世代モビリティでも楽しめるはず!と勉強中です。

このブランドについて

  • TOYOTA

    トヨタ

    常に世界の最多生産台数を争い、日本のみならず世界を代表する自動車メーカー、トヨタ。多くの日本車メーカーと深い関わりを持ち、グループ全体で超小型車からバス・トラック、産業車両まで網羅したフルラインナップ・メーカーであり、近年は実用性やコストパフォーマンスのみならず、スポーツ性など走る楽しみにも力を入れています。世界初の量販ハイブリッドカー「プリウス」から電動化技術では最高の蓄積を持ち、自動運転技術の実用化、新世代モビリティと都市生活の在り方を模索する「ウーブン・シティ」へ多大な投資を行う一方、電動化だけがエコカー唯一の選択肢ではないというスタンスも崩さず、死角のない全方位戦略が現在の特徴です。

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