NEW

雪国で電気自動車(EV)に乗るのは不利?それとも有利?

自動車にとって、冷たく凍結した道路は「天敵」と言ってもいいかもしれません。特に電気自動車(EV)はバッテリー車と比較すると寒さに弱い傾向にあり、雪国では「不利」と考えられることも。

一方で、モーターによる緻密なトルク制御が可能なEVは雪道に強いと考えられることもあります。当記事ではEVを雪国で使用することは不利なのか、それとも有利なのかを考えていきます。
降雪の多い地域でEVの購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 雪国でEVに乗るのは不利?
  2. 雪国でEVに乗るのが不利と言われるさまざまな理由
  3. 雪国でEVに乗るメリットはあるの?
カースモーラちゃんのPICK UP
  • 気温が極端に低下するとバッテリー性能が低下しやすくなってしまうの。
  • 社内のヒーターでも電力をたくさん消費してしまうよ。
  • 極端に寒いとEVの性能が低下してしまうこともあるの。
  • モーター駆動のEVならでは雪道での運転のしやすさはメリットだよ。

雪国でEVに乗るのは不利?

雪国でEVに乗るのは不利?

EVにとって冬は苦手な時期。その理由は気温と電力の関係にあります。


特に氷点下のような気温においてはバッテリーの充電能力が低下し、放電時に得られる電力も通常より減少します。結果として充電時間が長くなるのに反して走行距離は短くなり、バッテリーの劣化にもつながってしまうのです。


冬の寒さの中でもバッテリー性能を適切な状態に保つには加熱する必要がありますが、そのためには電力を使ってヒーターを動かす必要があります。さらに、車内の暖房にも別途電力を消費します。


エンジン車と異なり、EVは燃料の燃焼熱を暖房に利用することができません。すなわち、冬はEVが停車中、走行中に限らず暖房のために余分な電力を使用することになります。


EVが雪国で不利と言われているのは、車の電力問題が主な理由と言えるでしょう。

雪国でEVに乗るのが不利と言われるさまざまな理由

雪国でEVに乗るのが不利と言われるさまざまな理由

雪国でEVが不利と言われる主な理由は、前述した気温と電力の問題です。実は、それ以外にも雪国でEVが不利と言われるいくつかの理由が存在しています。大きく三つに分けて解説していきましょう。

バッテリー性能低下による航続距離への影響

雪国では、EVのバッテリー性能が低下しがちです。というのも、EVに搭載されているリチウムイオン二次電池は急激な温度の変化に弱く、気温が低い状態では十分なパフォーマンスを発揮できません。


そのため、気温が低い状態では電力の消費速度も速くなり、暖かい時期と比較すると長時間運転することが難しくなるかもしれません。


またEVの航続可能距離は、エアコンのオン・オフに大きく左右されます。エアコンをオンにして走行し続けると、オフにしている状態よりも電力を消費します。


そのため航続距離は短くなってしまいます。冬場に電費の落ち込みを抑えるならば、


  • 暖房の設定温度を下げる
  • シートヒーターなどを活用する
  • 防寒アイテムを用意する
  • 高速道路での運転速度を落とす

などの対策が求められます。

豪雪による立ち往生に伴う電力不足

雪国では、豪雪による車の立ち往生の可能性もゼロではありません。ガソリン車の場合は、燃料がある限りヒーターをつけたまま車内で過ごすことも可能ですが、EVはエアコンをつけたままの状態が続くと数時間で電力不足になってしまいます。


JAFが行った実験によると、オートエアコンを25℃で稼働させ続けた状態では、実験開始から4時間ほどでバッテリー残量が10%となってしまったようです。


さらに、電力不足状態になったEVを再度動かすためには長時間の充電が必要に。充電インフラが整っている地域であれば比較的安心ですが、そうでない場合は充電計画に気を使う必要があるでしょう。


豪雪での立ち往生を避けたいのはEVに限ったことではありませんが、EVでは特にその傾向が顕著と言えます。

回生ブレーキや充電性能への影響

氷点下の寒さは主に二つの性能低下を引き起こします。


一つ目は「回生ブレーキ」の制限。運転中にアクセルを離した際、クルマを減速させて余剰エネルギーをバッテリーに戻す回生ブレーキが制限されてしまいます。これにより減速性能も低下してしまうため、運転手はワンペダル走行に頼ることができなくなってしまうのです。


もう一つの性能低下は、バッテリーを保護するために充電(特に高速充電)が制限されること。その理由は、EVで最も高額なコンポーネントであるバッテリーを守るため。極度に低い気温では、搭載されているコンピューターがバッテリーの使用を制限することがあります。


気温が極端に低下する地域だとこのような事態が発生する可能性もあるため、注意が必要です。

雪国でEVに乗るメリットはあるの?

雪国でEVに乗るメリットはあるの?

これまで記載してきたように、雪国でのEV乗車においては「不利」とされる条件が多いのは事実。しかし、ガソリン車と比較した際のメリットも存在します。


メリットとして挙げられるのは、主に以下の2点です。

一酸化炭素中毒の危険を回避できる

雪国でのEV乗車における大きなメリットとして、車内に排気ガスが入り込むことによる、一酸化炭素中毒などの危険を回避できる点が挙げられます。


ガソリン車の場合、豪雪による立ち往生時に排気口が雪で埋まった状態でエンジンを稼働させてしまうと、逃げ場のなくなった排気ガスが車内に入り込んでしまいます。


ガソリン車には一酸化炭素を取り除く「排気ガス浄化装置」が設置されているものの、車内の温度が一定以上になっていないと作動しないため、豪雪での立ち往生時は十分に機能しない可能性も。


一方で、EVはそもそも一酸化炭素を含む排気ガスを出しません。そのため仮に運悪く豪雪で立ち往生することになったとしても、一酸化炭素中毒による命の危険は回避できます。

運転の負担を軽減できる

雪国におけるEV乗車のメリットをもう一つ挙げるならば、ガソリン車に比べてブレーキペダルをあまり踏まずに走行できること。


従来の車では、雪道のような滑りやすい路面で不用意にブレーキを踏むとハンドル操作が利かなくなることがあります。そのため、雪道で万が一タイヤが滑りだしたら、まずはエンジンブレーキを働かせてなんとか速度を落とすことが求められます。簡単に言えば「ブレーキを安易に踏まない」ことが重要でした。


一方で、エンジン駆動ではなく、モーター駆動を採用しているEVは減速(回生)の強さをアクセルペダルの戻し加減で調整することができるため、運転が楽になるでしょう。凍結した路面でも安定した運転ができるのは、EVに乗車するメリットと言えます。

カースモーラちゃんのまとめ

今回は、雪国でEVに乗るのは不利なの?有利なの?という疑問について考えてみたよ。

寒さによるバッテリー性能の低下や、電力不足問題、豪雪が原因の立ち往生など、雪国でのEVが不利とされる理由も色々あるけど、ガソリン車と比べて一酸化炭素中毒の危険が少なく、凍結した路面で安定した運転がしやすいのはメリットだね。

降雪・積雪の多い地域でEVの購入を検討している方にとって、少しでも参考になれば嬉しいな。

新着記事