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神奈川県が取り組むEV推進施策と補助金について

電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の初期需要を創出するために、先駆的に取り組む八つの自治体をモデル地域として選定し、スタートしたのが「EV・PHVタウン構想」。

この構想は、経済産業省が2010年より取り組む施策の一つで、EVとPHVの普及拡大に向けた実証実験を行うモデル事業です。神奈川県は選定都市の一つで、地域企業などと連携しながらEV普及促進や充電インフラの整備などを進めてきました。

とはいえ、具体的にどのようなEV推進施策が取り組まれてきたのか気になるところ。そこで今回は、神奈川県にフォーカスし、これまで取り組んできたEV推進施策の内容や補助金の金額や利用条件などについて紹介します。
カースモーラちゃんのPICK UP
  • 神奈川県は地域企業などと連携しながら、EV普及促進に向け取り組んでいるの。
  • 充電インフラの整備や事業用EVの推進にも力を入れているんだ。
  • CEV補助金や、神奈川県内の各市町村が交付するEV補助金を受けることができるよ。
  • 補助金申請を行う際は、利用条件に注意してね。

神奈川県がEV推進に向けたこれまでの具体策

神奈川県がEV推進に向けたこれまでの具体策

冒頭でもお伝えした通り、神奈川県はEV・PHVタウン構想の選定都市として、地域企業などと連携しながらEV普及推進や充電インフラの整備などを進めてきました。ここでは、神奈川県がこれまで取り組んできたEV推進施策について内容を紹介します。

日産自動車が取り組む「ブルー・スイッチ」との連携

ブルー・スイッチは、日産自動車が日本が抱える地球温暖化や災害対策等の課題を解決するために、2018年よりスタートした活動です。ブルー・スイッチでは、これまで環境や災害対策、エネルギー・マネジメント、観光、過疎化対策など、さまざまな課題解決に取り組んできました。


全国の自治体や企業・団体など、さまざまなパートナーとも連携を進め、2023年2月時点でパートナー数は200件を超えるほど。今後の動向からも目が離せないプロジェクトの一つです。


2023年1月には、当活動の一環として日産自動車と神奈川県の間で「電気自動車を活用した脱炭素社会実現及び災害対策強化に関する連携協定」を締結。神奈川県内で災害による大規模停電が発生した場合、県内の主要な避難所に日産自動車が開発した「日産リーフ」などの電気自動車が無償で貸与されます。


EVの外部給電機能を活用することで、災害時にも避難所等で継続して電力が供給できる体制を整え、避難者の生活のサポートを目指しています。

充電インフラの整備推進

神奈川県は「次世代自動車充電インフラ整備ビジョン」を策定し、EVの普及拡大に向けた充電設備の整備を推進しています。充電設備は「経路充電」と「目的地充電」の二つに分類されます。


経路充電は、充電渋滞が見込まれる場所を想定しており、防災拠点となり得る道の駅などへの設置が中心です。一方、目的地充電は、多くの集客が見込める観光地を想定し、テーマパークやショッピングセンターなどの施設に設置されています。


2023年12月時点で、581基の急速充電器と1,492基の普通充電器(100V/200V)が、神奈川県内に設置されています。

充電インフラの整備支援

神奈川県は充電インフラの設置を推進するとともに、EV充電設備を整備する際に、必要な経費の一部を補助する「神奈川県EV普通充電設備整備費補助金」も用意しています。


対象となるのは、神奈川県内の共同住宅、バス事業、トラック事業、タクシー事業、レンタカー事業の事業所の五つ。(※一戸建て住宅は対象外)「EV普通充電器」と「充電用コンセントスタンド」には上限15万円、「充電用コンセント」には上限10万円が支給されます。


当制度の詳しい内容については、神奈川県の公式ページをご覧ください。

EV・FCV認定カードの提供

EVまたは燃料電池車(FCV)を所有する方に向けて、EV・FCV認定カードを発行。当カードを利用することで、神奈川県内の一部の施設等の有料駐車場での割引が受けられます。


対象の駐車場は増加傾向にあり、2023年4月時点で25か所。対象車種は、EVまたはFCVのみです。PHVは対象外ですので、ご注意ください。


また、申請には自動車検査証記録事項が必要です。軽自動車の場合は、自動車検査証が電子化されていないため、事前に自動車検査証を準備しておきましょう。


ちなみにEV・FCV認定カードには、有効期限があります。最新のカードの有効期限は、2025年3月31日です。期限が過ぎたカードは使用できなくなるため、継続を希望する場合は再度申請手続きを行う必要があります。

神奈川県が交付する個人向けのEV補助金について

神奈川県が交付する個人向けのEV補助金について

2023年度の神奈川県のEV補助金は、個人向けは行われていません。その理由は、人流・物流のゼロカーボン化を促進すべく、CO2削減効果が高い事業用EVの普及を優先しているためです。


対象は事業用向けで、バス、タクシー、トラック、軽トラックの四種類。以下の三つのうちのいずれか低い額で、千円未満は切り捨てです。


  • 補助対象経費に車両別の補助率を乗じた額。
  • 車両別の補助金上限額。
  • 国の補助金を受ける場合は、補助対象経費から国の補助金の補助額を控除した額。

対象車両別の補助率または、補助金の上限金額は以下の表をご覧ください。


車両別

補助率

補助金上限額

EVバス

3分の1

1,500万円

EVタクシー

4分の1

500万円

EVトラック

定額

20万円

EV軽トラック

3分の1

100万円


なおEVトラックは、1事業者あたり原則5台まで、EV軽トラックは1事業者あたり原則10台までが補助の対象です。


今後、神奈川県においても、個人向けのEV補助金が再び実施される可能性はあります。ただ現時点では、事業用EVの普及を優先していることから、個人向けのEV補助金の実施は見送られる可能性が高いのではないでしょうか。


神奈川県が交付するEV補助金は現在行われていませんが、国が交付するCEV補助金や各市町村が交付するEV補助金は実施しています。この点は、章で説明します。

神奈川県にお住まいの方が利用できるEV補助金

神奈川県にお住まいの方が利用できるEV補助金

前述のように神奈川県では、2023年度時点で個人向けEV補助金は用意されていませんでした。


一方で、CEV補助金や、各市町村が交付する補助金、またはV2H(Vehicle to Home)設備の導入を支援するV2H補助金など、EVの購入や導入を支援する補助金が利用できます。ここでは、神奈川県在住の方が利用できる補助金について紹介します。

国が交付するCEV補助金

EV(小型・軽EV含む)、FCV、PHV、超小型モビリティ、ミニカーの五つの車種を対象としているCEV補助金。種別ごとの補助金は以下の表をご覧ください。


種別

ベース

条件付き

EV

上限65万円(小型・軽EVは45万円)

上限85万円(小型・軽EVは55万円)

FCV

上限230万円

上限255万円

PHV

上限45万円

上限55万円

超小型モビリティ

25万円(定額)

35万円(定額)

ミニカー

20万円(定額)

30万円(定額)


対象車両が下記2点の条件を満たしている場合は「条件付き」の上限が適用され、条件を満たしていない場合は「ベース」の上限が適用されます。


  • 条件1 : 外部給電機能としてのV2Xに対応、または1,500W車載コンセント装備を有していること。
  • 条件2 : 購入車両が「省エネ法トップランナー制度」の対象車両(型式指定自動車)であること。

車両の種類や価格帯に応じて、補助額が異なる点は注意が必要です。申請期間は、原則初度登録日から1か月以内かつ、残高による受付終了までです。最新情報は、経済産業省が公開する情報をご確認ください。

市区町村が交付するEV補助金

神奈川県在住の方は、お住まいの市区町村が実施しているEV補助金を利用することもできます。2023年度に実施された、主な補助金制度を抜粋しましたので、ご覧ください。


自治体名

補助金制度の名称

補助金制度の内容

横須賀市

家庭用電気自動車等導入者奨励金

EV購入費用や充電システムの設置費用などを補助する制度

綾瀬市

電気自動車購入補助金(令和5年度)

電気自動車の購入費用を補助する制度

厚木市

厚木市中小企業カーボンニュートラル推進事業補助金

EV購入費用や充電システムの設置費用などを補助する制度


CEV補助金と併せて利用できる点も魅力です。他の市区町村が実施する補助金制度については、次世代自動車振興センターの公式サイトをご確認ください。


ただし、掲載内容は最新の情報とは異なる可能性もあるため、実際に申請を行う際は、各地方自治体の公式ウェブサイトをチェックしましょう。

EVの充電環境の整備を促進するためV2H補助金

神奈川県では、EVの充電環境の整備を促進するためV2H充給電設備の導入を支援する「V2H充給電設備導入費補助金」を用意しています。V2HとはVehicle to Homeの略称で、EVと建物の間で充電を行う機器のこと。


当制度の対象となるのは、神奈川県に在住の個人、または県内に事業所を有する法人が対象。補助額は、次のうちいずれか低い額となります(千円未満は切捨て)。


  • 補助対象経費の3分の1を乗じた金額
  • 25万円(補助上限額)
  • 補助対象経費からV2H充給電設備本体に対する国の補助金の額を控除した金額

補助対象経費は、V2H充給電設備本体に係る経費です。工事費は対象外ですので、ご注意ください。

カースモーラちゃんのまとめ

今回は神奈川県が取り組むEV推進施策について紹介したよ。神奈川県は、経済産業省が2010年より取り組んでいる「EV・PHVタウン構想」の選定都市の一つなんだ。

地域企業との連携によるEV普及促進や充電インフラの整備、EV購入者への駐車料金割引など、実はたくさんの施策に取り組んできたんだね。2023年度の個人向けEV補助金は用意されていないけれども、今後再び実施される可能性はあるから気になる方はチェックしてね。

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