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JLR、5億ポンドを投じ、マージーサイド州ヘイルウッド工場を抜本的に改修 内燃エンジン車、ハイブリッド車、電気自動車の並行生産を可能に
公開日:2024/10/15更新日:2024/10/15
■新しい生産ライン、機械、人材、デジタル技術に2億5,000万ポンド超を投資。今後数年間でさらに2億5,000万ポンドを投じる予定
■今回の改修により、内燃エンジン車(ICE)、ハイブリッド車(PHEV)、EVの並行生産が可能に
■再生可能エネルギーに重点を置いた継続的な改革を遂行。燃料転換とエネルギー削減により、ヘイルウッドの工業生産によるカーボンフットプリントからCO2e(二酸化炭素換算値)を4万トン削減
■今回の投資は、JLRが2030年までにEVに重点をおいたモダンラグジュアリーな自動車メーカーとして生まれ変わるという、「REIMAGINE」戦略へのコミットメントをあらためて示す
JLR、ヘイルウッド工場に5億ポンド投資:EV時代に向けた大規模改修へ
2024年9月26日、英国ゲイドン発:
JLR(ジャガー・ランドローバー)は、5億ポンドを投資し、歴史あるヘイルウッド工場を改修し、既存の内燃エンジン車(ICE)やハイブリッド車(PHEV)とともに電気自動車(EV)の並行生産ができるようにする。
1963年にフォード「アングリア」の生産工場として建設されたヘイルウッドが、EV時代に適応するべく生まれ変わる。
すでに2億5,000万ポンドを投じ、この1年で100万時間以上の建設作業が行われてきた。新しいエレクトリック・モジュラー・アーキテクチャー(EMA:Electric Modular Architecture)プラットフォームで、JLRのミッドサイズ電動ラグジュアリーSUVを生産するため、施設の敷地を32,364平方メートル拡張した。
この歴史ある工場には、新しいEV組み立てライン、750台の自律型ロボット、ADAS(先進ドライバー支援システム)キャリブレーション設備、完璧な部品取り付けのためのレーザーアライメント技術、生産を監視する最新のクラウドベースのデジタルプラント管理システムなどを導入し、「未来の工場」となる。
今回の投資は、JLRの「REIMAGINE」戦略へのコミットメントの一環。この戦略では、2030年までにJLRの全ブランドに電動モデルをラインアップし、2039年までにJLRのサプライチェーン、製品、事業全体でカーボンネットゼロ(排出ガス量実質ゼロ)を達成することを目指している。この戦略の中心となるのは電動化であり、ヘイルウッドは今後、ICE、PHEV、EVモデルを並行して生産するというエキサイティングな役割を担い、最終的にはJLR初のオール電化生産施設となる予定。
JLRのインダストリアル・オペレーションズ担当エグゼクティブ・ディレクターであるバーバラ・バーグマイヤーは次のように述べています。
「ヘイルウッド工場は、20年以上にわたり、『RANGE ROVER EVOQUE』や『DISCOVERY SPORT』などの車両を生産し、英国北西部におけるJLRの心臓部として機能してきました。
ヘイルウッドは、JLR初のオール電化生産施設となります。これは、当社のチームとサプライヤーが力を合わせ、世界トップクラスのラグジュアリーEVを生産するために必要な技術を工場に導入してきた努力の証です。」
異なるサイズのEVに対応するため、今後は以下の作業を追加で行います。
・1日あたり500台の車体を生産できる新しいボディショップ
・コントラスティングルーフの需要増加に対応するため、ペイントショップの1.4kmにわたる区画を改修し、オーブンとコンベヤーを拡張
・600台の塗装済み車体を保管できる新しい自動塗装車体保管タワーを新設
・最終生産ラインの長さを4kmから6kmに延長し、バッテリーの取り付けに対応
・新プラットフォーム「EMA」を採用するEVのさまざまなプロポーションに対応するため、車両組み立てステーションを7mに拡張
・高電圧バッテリーの取り付け作業を支援するため、40台の新型自律走行搬送ロボット(AMR)を導入
・1,600人以上の従業員に高電圧トレーニングを実施
・ABBのロボットから自動誘導車両まで、JLRのキャッスルブロムウィッチ工場で使用していた1,600万ポンド相当の設備を移設し、新工場で再利用するために統合
サステナビリティの再構築:
JLRは、2039年までにカーボンネットゼロを達成することを目指しており、再生可能エネルギーの使用を最大限に拡大することにも注力している。その取り組みには、敷地内のエネルギー消費量の10%に相当する8,600GWhのエネルギーを生産する18,000枚の太陽光発電パネルを設置する計画が含まれている。
そして、さまざまな再生可能エネルギーの利用、燃料転換、エネルギー効率の高い製品により、カーボンネットゼロ目標の一環として、ヘイルウッドのインダストリアルフットプリントからCO2e(二酸化炭素換算値)を40,000トン減らすことを目指している。
電化に向けた人材の再教育:
「Future Skills Programme(フューチャー・スキルプログラム)」の一環として、JLRは全拠点に毎年2,000万ポンドを投資し、従業員がキャリアを転換し、自動車生産とエンジニアリングの未来の中核となる新しいシステム、テクノロジー、プロセスに関する重要なスキルを習得できるようにしている。
また、JLRはヘイルウッドに新たな研修開発センターを開設した。ここでは、生産サイクルのさまざまな段階にある車両を使用した研修が行われ、バッテリー組み立て工程を含む高電圧トレーニング(HVT)に重点的に取り組む。これまでに1,600人の従業員がHVTを修了しており、さらに100人の従業員が研修を受ける予定。
デジタルエコシステム:
新たなテクノロジーにより、高度なレーザー計測を使用して自動的に各ドアがボディシェルに正確に適合するように取り付けることができ、卓越した仕上がりを実現する。
JLRは次世代の車両にAIを搭載した高度な自動運転機能とコネクテッドサービスの導入を目指しており、ヘイルウッド工場では現在、ADASのキャリブレーション設備を備えている。この設備は、ADASの応答性を測定し、各車両が将来の自動運転に向けて、最も安全なレベルでキャリブレーションできるようにする。
新しい生産ラインでは、EMAボディシェルの最初のテスト生産を完了しており、今後、EMA生産開始に先立ち、新しい機械とテクノロジーのテストと最適化をさらに進めていく。
エディターズ・ノート
JLRヘイルウッドについて
・1962年建設。特定車両専用の生産工場として稼働
・1963年にフォード「アングリア」の生産を開始
・2001年にJAGUAR「X-TYPE」の生産開始:
oJAGUAR初の全輪駆動車
oJAGUAR初のディーゼル車
・「FREELANDER 2」を生産。JLR初のストップスタート技術搭載車
・「RANGE ROVER EVOQUE」を生産。発売初年度(2011年)に販売台数10万台を達成し、RANGE ROVER史上最速の売れ行きを記録。需要に応えるため、従業員数を3倍に増員
・2014年、多忙な家族向けの最も多用途なSUVとして「DISCOVERY SPORT」を生産、販売開始
・JLR初のフルEV生産施設への移行に伴い、ICEおよびPHEVの「RANGE ROVER EVOQUE」と「DISCOVERY SPORT」の生産を継続するとともに、将来的なEV製品の生産も担う
・2024年6月、JLRは「生産技術サポートプログラム」を開始し、2年間のローテーションでエンジニアリングと問題解決のスキルを社員に提供し、EngTech資格の取得を促す。1対1の個別指導を通じて、すでに15名の社員がこのプログラムに参加しており、ヘイルウッドの次世代生産技術の保守を担う準備を進める
JLRについて
JLRの「REIMAGINE」戦略は、デザインによるモダンラグジュアリーというサステナビリティに富んだビジョンを実現することを目標としている。
2039年までにサプライチェーン、製品、オペレーションのすべてを通じてカーボンネットゼロ(排出ガス量実質ゼロ)という目標に向け、JLRは事業の変革に取り組んでいる。承認された科学的根拠に基づく目標を通じて、2030年までに事業とバリューチェーン全体で排出量を削減するためのロードマップを策定した。この戦略の中核をなすのは、電動化だ。10年以内に、RANGE ROVER、DISCOVERY、DEFENDERの3つのファミリーにそれぞれフルバッテリー電気自動車(BEV)を取り揃え、JAGUARは、全ての車種がBEVとなる。
JLRは英国を拠点とする企業であり、英国に2つの主要なデザインおよびエンジニアリング拠点、3つの車両生産工場、エンジン・マニュファクチャリング・センター、バッテリー・アッセンブリー・センターを有している。さらに中国、ブラジル、インド、オーストリア、スロバキアにも車両生産工場を展開、7つのテクノロジー拠点を有する。
JLRはタタ・サンズ傘下のタタ・モーターズ・リミテッドの100%子会社。
問い合わせ先
ランドローバーコール(フリーダイヤル)0120-18-5568(9:00-18:00、土日祝日を除く)
2024年10月4日 Jaguar Land Rover Japan Media Centreより
このブランドについて
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JAGUAR
ジャガー
英国が誇る名門メーカーであるジャガーは、1960年代のEタイプなどに代表されるスポーティでエレガントな高級車を多数輩出、レースシーンにも欠かせない存在であり、近年はF-PACEなどブランドイメージに恥じないスポーティなSUVもラインナップしてきました。フル電動SUVのI-PACEをはじめ、その他のモデルもパワフルな内燃機関からPHEVなど多彩なパワーユニットを揃えてきましたが、2025年にピュアEV(BEV)のラグジュアリーブランドへ転換することを宣言し、今後はBEVメーカーとして歩んでいくこととなります。新時代の電動モビリティと古き良き英国車の雰囲気をいかに融合させていくかに要注目です。