NEW
進化した液体水素エンジンGRカローラ S耐富士24時間に挑戦
公開日:2024/05/24更新日:2024/05/24
トヨタは引き続き、モータースポーツの厳しい環境を通じてクルマと人を鍛え、カーボンニュートラルの実現に向けて仲間とともに進化を続けていく。
液体水素ポンプ改良による耐久性向上および異形タンク採用による航続距離向上
液体水素エンジンGRカローラの更なる進化
①液体水素ポンプの耐久性向上
液体水素を昇圧してエンジンに送る「ポンプ」の耐久性を大幅に改善し、無交換で24時間レースの完走を目指す。(昨年の24時間レースでは2回交換)
水素エンジンは、燃料である水素をエンジン内に直接噴射して燃やすことで動力を得る。液体水素エンジンGRカローラは、燃料の入っているタンクからエンジンまで水素を送る際、ピストンの往復運動によって圧送する(往復動式)ポンプを採用している。このポンプは、発生させる圧力レンジが高いため、往復運動を回転運動に変えてモーターにトルクを伝える「クランク」のベアリング(軸を滑らかに回転させるための部品)やギヤ(歯車)に偏った負荷がかかり、摩耗や劣化が進みやすい状態となっていた。
今回、ポンプの耐久性を向上させるため、Dual-Driveと呼ばれるクランク機構を導入。これによりクランクの両端からモータートルクを入力することが可能となり、バランス良く昇圧ピストンを動かすことができる。その結果、ポンプ耐久性を大幅に上げることに成功した。
レース | 2023年 富士24時間 | 2024年 富士24時間(目標) |
ポンプ使用数 | 3本(2回交換) | 1本(無交換) |
1個当たりの耐久性 | 8時間 | 24時間以上 |
Dual-Driveのクランク機構
②異形タンク採用による航続距離の向上
車体に載せる液体水素のタンクの形状を「円筒形」から「異形(楕円形)」へと改良。この結果、液体水素の搭載量が増加し、航続距離の延長を実現した。
気体水素燃料では、高い圧力を均等に分散できるよう円筒形のタンクが使用される。一方、液体水素は気体水素よりも低圧のため、タンクを異形化することが可能であり、今回、楕円形へと改良することで車内のスペースを効率よく活用できるようになった。この結果、円筒形タンクの採用時と比べてタンクの容量は1.5倍となった。なお、2022年までの70MPa圧縮の気体水素搭載時と比べると、2倍以上の水素搭載量(航続距離)となっている。
レース | 2022年 富士24時間 | 2023年 富士最終戦 | 2024年 富士24時間(目標) |
水素の種類 | 気体水素(70MPa圧縮) | 液体水素 | 液体水素 |
タンク容量 | 180L(気体) | 150L | 220L |
水素搭載量 | 7.3kg(気体) | 10kg | 15kg |
航続ラップ数(富士) | 約12周 | 約20周 | 約30周 |
航続距離 | 約54km | 約90km | 約135km |
(左):新型の異形(楕円形)タンク (右):旧型の円筒形タンク
③CO₂回収装置工程切り替えの自動化
CO₂回収技術とは、内燃機関が持つ「大気を大量に吸気する特徴」と「燃焼により発生する熱」を活用し、CO₂回収装置をエンジンルームに装着することで、大気中のCO₂を回収する技術のこと。
具体的には、エアクリーナー入口にCO₂を吸着する装置を、その隣にはエンジンオイルの熱によってCO₂を脱離する装置を設置する。脱離したCO₂は吸着溶液で満たされた小型タンクに回収される。
2023年富士最終戦では、装置内でのCO₂の吸着と脱離の工程をメカニックが手動で切り替えていたが、走行中にCO₂吸着フィルターをゆっくり回転させることで、吸着と脱離の工程切り替えを自動で繰り返す機構を採用した。
新型のCO₂回収装置
旧型のCO₂回収装置
ドライバーズラインナップ
国内レースのSUPER GTやスーパーフォーミュラで監督を務め、スーパーフォーミュラを運営するJRPの会長も担われている近藤 真彦選手、TGR-WRTのチーム代表のヤリ=マティ・ラトバラ選手が富士24時間のドライバーとして参加、MORIZO選手らと共に液体水素エンジンGRカローラでの新たなる挑戦に取り組む。
32号車ドライバー一覧 | |||||
Aドライバー | Bドライバー | Cドライバー | Dドライバー | Eドライバー | Fドライバー |
MORIZO | 佐々木 雅弘 | 石浦 宏明 | 小倉 康宏 | 近藤 真彦 | ヤリ=マティ・ラトバラ |
2024年もやりますトヨタイムズスポーツ生中継!
5月25日(土)14:00~富士スピードウェイから24時間生放送実施。
レースの様子だけでなく、ドライバーの生出演や、ピット中継などを配信予定。
https://youtube.com/live/4kTUduc00jc?feature=share
過去のトヨタイムズスポーツの記事などは下記サイトを見てください。
https://toyotatimes.jp/sports/
このブランドについて
-
TOYOTA
トヨタ
常に世界の最多生産台数を争い、日本のみならず世界を代表する自動車メーカー、トヨタ。多くの日本車メーカーと深い関わりを持ち、グループ全体で超小型車からバス・トラック、産業車両まで網羅したフルラインナップ・メーカーであり、近年は実用性やコストパフォーマンスのみならず、スポーツ性など走る楽しみにも力を入れています。世界初の量販ハイブリッドカー「プリウス」から電動化技術では最高の蓄積を持ち、自動運転技術の実用化、新世代モビリティと都市生活の在り方を模索する「ウーブン・シティ」へ多大な投資を行う一方、電動化だけがエコカー唯一の選択肢ではないというスタンスも崩さず、死角のない全方位戦略が現在の特徴です。