佐藤社長が目指すトヨタ
1時間半にも及んだ質疑応答。トヨタならではのBEVやSDVなど、5つのテーマについて掘り下げられていったが、後半では、次のような質問もあった。
――社長就任のときに「継承と進化」とおっしゃった。今期は凄まじい数字の決算で、豊田(章男)社長がやってきた「もっといいクルマとTNGA」による利幅の増加と原価低減の効果を継承してきたと思う。「進化」については、いろいろと説明いただいたが、総花的で、全部バランスよくやっていくというようにも聞こえる。これからどこを強く推していきたいか?トヨタをどういう会社にしていきたいか?
佐藤社長はクルマ屋としてのこだわりと、挑戦したいことについて語った。
佐藤社長
![「今期は意志をもって足場固めに必要なお金と時間を使っていく」](/images/articles/big202405131hl9ct133449522753.jpg)
社長就任の際に「継承と進化」と申し上げました。今期の決算はそうだと思います。自動車産業の収益は、単年ではなく、積み上げで実現されていくべきものです。
例えば、決算の実績をさかのぼって見ていただくと、大きな環境変化に耐えながら、年輪的に、企業基盤を強化して、今回につながっています。
その中で変わらない軸は、やはり「現場を大事にすること」と、「商品としっかり向き合っていくこと」で、それが実を結んだと思います。
それはこれからも変わりません。私自身も、クルマ屋としてクルマづくりにはこだわってやっていきたいと思います。
「トヨタのクルマは乗って安心・安全」と感じてもらえるもの、そして、「楽しい」と思っていただけるものを、これからも真心込めてつくっていきたいと思います。
その中で、クルマがもたらす価値はもっともっと広がっていくと思っています。
クルマは所有していても、稼働している時間はライフタイムの10%、あるいは、もっと少ない5%ぐらいです。
残りの95%はまだあまり活用されていません。
クルマの付加価値を上げていく取り組みをもっとやっていくことで、クルマの魅力を上げていくのは、これからの時代に必要な「進化」だろうと思います。
我々が思い描いているクルマ像と若い世代の方々が思っているクルマ像は必ずしも一緒ではないので、若い方々が思うクルマ像を引き出しながら、形にしていくことが、クルマ屋の私として、挑戦していきたいことです。
そして、新しいクルマの形を提案すると同時に、クルマが抱えているネガティブなことをミニマイズするのは、社会的責務としてやっていかないといけません。
当然、交通安全や死亡事故ゼロに向けた取り組み、排出ガスに対する問題、渋滞の問題もそうでしょう。
ネガティブな要素をなくしていきながら、リニューアブルエネルギー(再生可能エネルギー)を循環させていくエコシステムが、良い形で回っていくよう、一生懸命、環境条件を変えていきたいと思います。
自動車会社ではありますが、周辺の領域に取り組んでいくことも、新しい挑戦だと思っています。
社長就任に際して、「クルマをつくり続ける社長でありたい」と答えていた佐藤社長。そんな人柄がにじんだ回答だった。
2024.05.09 トヨタイムズニュースより
このブランドについて
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TOYOTA
トヨタ
常に世界の最多生産台数を争い、日本のみならず世界を代表する自動車メーカー、トヨタ。多くの日本車メーカーと深い関わりを持ち、グループ全体で超小型車からバス・トラック、産業車両まで網羅したフルラインナップ・メーカーであり、近年は実用性やコストパフォーマンスのみならず、スポーツ性など走る楽しみにも力を入れています。世界初の量販ハイブリッドカー「プリウス」から電動化技術では最高の蓄積を持ち、自動運転技術の実用化、新世代モビリティと都市生活の在り方を模索する「ウーブン・シティ」へ多大な投資を行う一方、電動化だけがエコカー唯一の選択肢ではないというスタンスも崩さず、死角のない全方位戦略が現在の特徴です。
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