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BYD Dolphin(ドルフィン) Long Range のグレード、性能を紹介!【試乗記】
公開日:2024/03/13更新日:2024/03/13
目次
BYD DOLPHINの概要
BYDは中国のメーカーで1995年に設立された。元々はバッテリーメーカーであり、Nokiaなどに携帯電話用のリチウム電池を提供するところから始まった。
その後2003年に中国国営の自動車メーカーを買収し、自動車事業を開始。
日本法人は2005年7月に設立。2015年に商用の電気路線バスが京都市内で導入されるところから日本市場に参入した。
DOLPHINは2022年7月21日に日本で展開することが発表され、2023年9月20日に日本仕様のDolphinが発売開始。
DOLPHINはBセグメントのコンパクトカーに当たる車で、BYDが展開する「海洋シリーズ」の一種となる。
BYDのEV専用プラットフォームであるe-Platform 3.0を採用するハッチバックモデルである。
DOLPHINは2つのトリムで展開されている。
バッテリー容量が44.9 kWhのベースモデルであるDOLPHINは一回の充電での航続可能距離は400kmとなり、バッテリー容量が58.56 kWhにアップグレードされたDOLPHIN Long Rangeは一回の充電での航続可能距離は476kmとなる他、外装がツートンとなり、内装ではスマホのワイヤレス充電が標準で付くアップグレードもあるが、ここではDOLPHIN Long Rangeを取り上げていく。
BYD DOLPHINの外装・内装デザイン
外観:有名ドイツ人デザイナーが手掛けた丸みを帯びたフォルム
BYD DOLPHINのデザインはアルファロメオやアウディのチーフデザイナーを歴任したヴォルフガング・エッガーによるもので、海洋生物の美しさから着想を得たデザインである。
所々に丸みを帯びたフォルムが見受けられ、前面にはEV特有のグリルレスデザインとボディと一体型になったヘッドライト、後方には網目のような形をしたユニークなテールランプが独特な世界観を演出している。
Long Rangeトリムは上下でカラーが分かれるツートンカラーのボディ色が標準装備されているが、カラーコンビネーションは自由には選べない仕様だ。
ホイールは16インチアルミホイールが標準装備され、DOLPHINのホイールは4穴、DOLPHIN Long Rangeは5穴となる。
内装:イルカをモチーフとしたシンプルなデザイン
内装の所々にはイルカのフィンや波を意識したデザインが散りばめられていて遊び心が感じられる。
使われている素材はシンプルではあるものの環境を意識したリサイクル素材やビーガンレザーが使われており、外装に合わせられたインテリアカラーがあしらわれる。
センターコンソールやシフターなどを操るボタンはセンターディスプレー下に一列に並べられ、上下にひねることによって操作が可能なボタンになっておりDOLPHIN特有の操作方法である。
BYD DOLPHINのサイズ・室内スペース
ボディサイズ:日本仕様に合わせられたコンパクトサイズ
日本の立体駐車場に入るように日本市場専用に設計されたボディサイズは全長4,290mm×全幅1,770mm×全高 1,550mm。コンパクトカーでありながらホイールベースは電気自動車ならではの2700mm。
ホイルベースが長くてもフロントにエンジンがないためショートオーバーハングとなっており、小回り性能は最小回転半径5.2m。狭い街中でも問題なく操作できることは嬉しいポイントだ。
重さは電気自動車にしては軽めでDOLPHINで1520kg、DOLPHIN Long Rangeで1680kgとなる。
室内スペース:コンパクトながらも広い室内
ミニマムかつシンプルな室内ではあるものの、フロントシートはバケットシートのようなスポーティーなシートが標準装備。ヒートシートが標準装備されるのは非常に嬉しい点だ。
後部座席はコンパクトハッチバックとは思えない広さがあり前席との足の間隔はかなり余裕がある。BEVならではのロングホイールベースが完全に活きている。
また、Long Rangeにはムーンルーフも標準装備されるため、天井の一枚のガラスから見える景色により開放感もある。
収納スペース:街乗りには最適なラゲッジサイズ
DOLPHINにはBEV特有のフロントトランク、いわゆるフランクは装着されていないものの、後部座席後ろのスペース容量は345Lとコンパクトハッチバックとしては容量がある方である。
通常状態であれば一枚の板がトランク下部にあるものの、それを開けると更に下にスペースが有るためよりものを入れることができる。
街中を移動や買い物をする際にはちょうどいい大きさなのではないか。
BYD DOLPHINの性能・電費・装備
走行性能:街乗りには最適な快適な走り
駆動形式は両トリムとも前輪駆動となり、馬力とトルクはDOLPHINは95PS/180Nmで加速は 12.3秒ほど。DOLPHIN Long Rangeは204PS/310Nmで加速は 7.3秒ほどとなっているため、BEVの中ではそこまで加速性能はない。
だが、DOLPHINはガソリン車からBEVへの乗り換えをスムーズに行ってもらうためあえて加速性能やペダルのフィーリングの切れ味などは求めなかったという。
室内の遮音性は特別優れているわけでは無いが、エンジン車とは違い走行中の振動がないため快適に移動できるのが良い点である。
充電性能:V2Hにも対応したEVライフ
冒頭にも説明したが、バッテリー容量はベースモデルであるDOLPHINが44.9 kWh、DOLPHIN Long Rangeは58.56 kWhである。
BEVとしてはそこまで大きいバッテリーは積んでいないものの、一充電走行可能距離はそれぞれ400kmと476kmと長め。
また、車両から電気を取り出すV2Lや家に給電可能なV2Hも対応しているので災害位などによる停電時にも頼れる性能を誇っている。
安全性能:高い安全性能機能が標準装備
車両の前を横方向に近づく車両を監視し、衝突の可能性がある場合はブレーキをかけるフロントクロストラフィックブレーキやペダル踏み間違いを防ぐための加速制御装置をはじめ、降車した際にセンサーで車内を調べ、幼児の置き去りを感知するとドライバーに注意を促す幼児置き去り検知システムなど、DOLPHINにはすべての車種に高い安全性能機能が標準装備されている。
センターディスプレイに全方向の様子を表示するBYDアラウンドビューも搭載しており、ハンドルのボタンから操作可能だ。
また、バッテリーに関しては元々バッテリーメーカーという歴史もあり、搭載されるバッテリーは安全な「リン酸鉄リチウムイオンブレードバッテリー」というバッテリーを採用しており、バッテリーを串刺しにしても熱暴走して発火や爆発しないようなバッテリーである。
電費性能:3種類から選べる走行モード
バッテリー容量はあまり大きくないものの、車体が軽量なためWLTCモードでの電力消費量は138Wh/kmと少なめ。
走行モードはEco、Normal、Sportsの3種類から選べるため必要に応じて走行モードを切り替えることができる他、回生ブレーキの強さは2段階で選べるため電費の向上にも繋がっている。
装備・機能:回転するディスプレイ
BYD DOLPHINのセンターディスプレイはユーザーの好みに合わせて縦と横で回転されられるディスプレイがある。また、ナビゲーションや各種インフォメーション、さらにApple CarPlay(2024/1現在有線のみ)、Android Auto™ に対応しているので通話・メッセージ送受信・音楽の再生なども可能となっている。
BYD DOLPHINおすすめポイント要約
意外にあるようでなかったコンパクトハッチバックのBEV。現在セダンタイプやSUVタイプの物が多い中、サイズや価格、航続距離や駐車スペースを考えた際に1台目になりうるBEVがなかなかなかったが、1台目としても街乗りでの足として使える車としても使えるような車はDOLPHINが唯一の選択肢になるのではないだろうか。
自宅に充電器がなく、公共の急速充電器のみの運用でも使用できるが、自宅に普通充電器をつけられる人にとっては是非検討したいモデルだ。