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一人乗り電気自動車(EV)4車種|トヨタ車体「コムス」など

近年、国内でも各社でさまざまなモデルが登場している電気自動車(EV)。中でも、超小型EV・一人乗り電気自動車は、これから車種の充実が期待されているジャンルのひとつです。

そこで、本記事では国内で発表されている一人乗り電気自動車のラインナップを、一人乗り電気自動車のメリット・デメリットや購入時のチェックポイントも含めて徹底解説していきます。

目次

  1. 一人乗り電気自動車を含む「超小型EV」とは
  2. 一人乗り電気自動車1. トヨタ車体「コムス」
  3. 一人乗り電気自動車2. アップル「e-Apple」
  4. 一人乗り電気自動車3. タケオカ自動車工芸「Lala」
  5. 一人乗り電気自動車4. タケオカ自動車工芸「ミリューR」
  6. 一人乗り電気自動車のメリットやおすすめの人
  7. 一人乗り電気自動車のデメリットや注意点
  8. 一人乗り電気自動車の選び方|購入時のチェックポイント
  9. 一人乗り電気自動車の購入を検討しているなら、まずは試乗を!

一人乗り電気自動車を含む「超小型EV」とは

一人乗り電気自動車を含む「超小型EV」とは

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超小型EVは、EVの中でも、一人乗り電気自動車を含む軽自動車より小さなタイプを指します。比較的短い距離の移動を想定して作られ、公道も走行可能、環境性能が良く、小回りが利くのが特徴です。

国土交通省では「超小型EV」を、最高速度や出力、車体の大きさなどによって、第一種原動機付自転車(ミニカー)、型式指定車(超小型モビリティ)、認定車(超小型モビリティ)の3種類に分類しています。

また、超小型EVの中でも一人乗り電気自動車は、特に小回りがききやすく街中でのビジネスユース及び普段使いの車としても注目を集めています。

ミニカー・超小型モビリティの規格

超小型モビリティは、車両区分が「ミニカー」または「軽自動車」に分類される、全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2m以下の車両です。

ミニカー・超小型モビリティの規格としては以下の3つに分けられます。

ミニカー

「ミニカー」は、原動機付自転車に区分され公道を走ることができます。 しかし、速度は時速60km以下に制限されており、高速道路等は走行することができません。

認定車

「超小型モビリティ(認定車)」は国土交通省が型式指定した車両を基に、自動車メーカーが独自の基準で製造した車両です。 認定車は、車両の区分が「ミニカー」であれば、車検の対象外です。一方、車両の区分が「軽自動車」であれば、車検の対象となります。

型式指定車

「超小型モビリティ(型式指定車)」は全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2m以下で、最高速度は時速60km以下の軽自動車のうち、高速自動車国道または自動車専用道路などを運行しないものと定義されています。

一人乗り電気自動車など超小型EVは車検が必要?

基本的には全ての車に車検は必要となります。しかし、原動機付自転車に区分されるミニカーのみ車検がありません。そのため、超小型EVの中でも、どの車両区分に該当するのかによって車検が必要かどうかが分かれます。

なお、日本国内で現在販売されている一人乗り電気自動車はいずれも道路運送車両法上は、第一種原動機付自転車の扱いで車庫証明や車検等は必要としません。

またミニカーの場合、車検だけでなく車庫証明の必要がありませんが、それ以外の超小型EVは地域によって必要となる場合があります。

一人乗り電気自動車1. トヨタ車体「コムス」

一人乗り電気自動車1. トヨタ車体「コムス」

コムスはトヨタ車体から2002年に発売された日本で最初の量産型ミニカーEVです。全長2,890mm、全幅1,040mm、全高1,395mmで、軽自動車の約半分程度の大きさとなっており、最高速度は60km/h、一充電走行距離は57km。狭い路地や駐車場が多い都市部で活躍する、環境にやさしい超小型EVです。

また、普段使いを想定した一般向けの「P・COM」と、ビジネスユースを想定した法人向けの「B・COM」という2つのモデルが用意されています。

さらに「B・COM」では、「ベーシック」タイプとよばれる後部にオープンラゲッジを備えたモデル、「デッキ」タイプとよばれる後部がデッキ状になったモデル、「デリバリー」タイプとよばれる後部にデリバリーボックスを設置したタイプといった用途に合わせた3種類を展開。様々なバリエーションから、自分の用途に合わせて選ぶことができます。

コムスの価格は、96,300円(税込)です。また、国や自治体の補助金制度を利用することで、購入費用をさらに抑えることができます。また、コムスは、車検や車庫証明が不要なため、維持費を抑えることもできます。

コムスは狭い路地などが多い都市部でローコストで車を使用したいという方にお勧めの車です。

一人乗り電気自動車2. アップル「e-Apple」

一人乗り電気自動車2. アップル「e-Apple」

e-Appleは長年、中国でEVの製造・販売を行っているJIAYUAN社が製造・販売している超小型モビリティの1つです。日本では中古車買取・販売でおなじみのアップルから発売されており、鉛バッテリーとリチウムイオン電池の2種類を販売。

全長2,720mm、全幅1,390mm、全高1,670mmと、普通自動車の2/3程度の大きさです。また、搭載するモーターは最高出力10kW、最大トルク120Nmのモーターで、最高速度は時速60km。バッテリー容量は1.2kWhで、1回の充電で約80〜120kmの走行が可能です。

価格は(参考:100万円前後(鉛バッテリー)、130万円前後(リチウムイオン電池))となっています。

機能面としては雨天などにも対応できるフルカバーボディで、グラスルーフやクーラー、ヒーターといった一人乗り電気自動車では省かれがちな車内装備も充実。

また、リチウムイオン電池の場合、AC100V電源で4〜6時間で満充電になります。運転席のサイドスペースやリヤスペースなどラゲッジスペースがあるため、買い物などで重宝される一人乗り電気自動車といえるでしょう。

一人乗り電気自動車3. タケオカ自動車工芸「Lala」

一人乗り電気自動車3. タケオカ自動車工芸「Lala」

Lalaは中国電気自動車メーカー JIAYUAN社から車両を輸入し、日本向けにタケオカ自動車で改造を加えた車で、外観はアップルで販売されているe-Appleと同じです。

全長2,300mm、全幅1,080mm、全高1,380mmと、普通自動車の1/4程度の大きさ。家庭用100V電源で充電が可能で、一回の充電で走行距離は鉛電池搭載で約80km、リチウムイオン電池搭載で約120km、鉛電池仕様の最高速度は55km、リチウムイオン電池仕様の最高速度は60kmです。なお、価格は1,012,000円(税込)からとなっています。

Lalaは、低価格で経済的な一人乗りの電気自動車です。近距離の移動や、車検や維持費を抑えたい人におすすめです。

一人乗り電気自動車4. タケオカ自動車工芸「ミリューR」

一人乗り電気自動車4. タケオカ自動車工芸「ミリューR」

ミリューRは北陸電力とタケオカ自動車がタッグを組み共同開発した超小型EVです。全長2,600mm、全幅1,200mm、全高1,300mmの超小型車です。車体サイズは、コムスの約8割程度の大きさとなっており、最高速度は60km/hで、一回の充電での充電走行距離は50km。価格は91万5200円〜(税込)となっています。

ミリューRの特徴としては、エコモードとパワーモードという2つの走行モードを搭載しており、急な上り坂や長い下り坂など、シチュエーションによってスイッチひとつでモーターのトルクを切り替え可能。

また、電費のよさと快適性を実現するために回生ブレーキを採用。室内には送風・暖房が完備されていたり、アシストブレーキや飛び出し防止装置といった安全装備も充実していたりと、超小型EVでありながら室内空間や走行時の快適性にも目を向けた車です。

一人乗り電気自動車のメリットやおすすめの人

一人乗り電気自動車のメリットやおすすめの人

一人乗り電気自動車は、狭い路地や駐車場が多い都市部で活躍する、環境にやさしいモビリティです。車検や車庫証明が不要の車種もあり、維持費も安いため、近年注目を集めています。

ここでは一人乗り電気自動車のメリットとおすすめの人を紹介します。

一人乗り電気自動車のメリット1:取り回しが良い

一人乗り電気自動車のメリットとして取り回しの良さが挙げられます。一人乗り電気自動車は、軽自動車の半分程度の大きさしかないため、回転半径が小さく、狭い路地や駐車場でもUターンやバックでの発進・駐車が容易です。

また、一人乗り電気自動車は、軽自動車よりも車高が低いため、縁石や段差を乗り越えやすく、幅の狭い駐車場にも入りやすいというメリットもあります。

こういった特徴から都市部での生活の足として使いたい方や、細い路地などを頻繁に行き来する配達などのビジネスユースにもおすすめです。

一人乗り電気自動車のメリット2:維持費が安い

2つ目の一人乗り電気自動車のメリットとして、維持費の安さが挙げられます。一人乗り電気自動車は、エンジンを搭載していないため、燃料費は電気代だけです。電気代は、ガソリンや軽油に比べて安価で、電気料金のプランによっては夜間や深夜に充電すると、さらに電気代を安く抑えることができます。

また、車種によっては原動機付自転車に分類されるため、車検や車庫証明が不要なため車検にかかる費用も削減することが可能です。

車の維持費は、車種や使用状況によって大きく異なります。一人乗り電気自動車は、車検や車庫証明が不要で、燃料費も安いため、維持費を抑えたい人にもおすすめです。

一人乗り電気自動車のメリット3:環境にやさしい

3つ目の一人乗り電気自動車のメリットとして、環境にやさしいことが挙げられます。一人乗り電気自動車は、エンジンを搭載していないため、排気ガスを出さず、環境にやさしいのが特徴です。また、騒音も少ないため、都市部の環境にも配慮したモビリティと言えるでしょう。

国土交通省の試算によると、一人乗り電気自動車は、ガソリン車と比べて、二酸化炭素の排出量を約90%削減、騒音レベルは、ガソリン車の約1/10程度に抑えることができます。一人乗り電気自動車は、環境にやさしいモビリティです。地球環境に配慮したい人や、静かな環境で生活したい人には、ぜひおすすめです。

一人乗り電気自動車のデメリットや注意点

一人乗り電気自動車のデメリットや注意点

一人乗り電気自動車は、小回りの良さや維持費の安さなど、さまざまなメリットがある一方で、一人乗り電気自動車ならではのデメリットや注意点もあります。ここでは、一人乗り電気自動車のデメリットを3つに分けてご紹介します。

一人乗り電気自動車のデメリット1:航続距離

一人乗り電気自動車の航続距離は、一般的に100km前後です。これは、ガソリン車や軽自動車の航続距離と比べると、かなり短いと言えます。そのため、一人乗り電気自動車は、長距離の移動には不向きです。例えば、東京から大阪まで約500km移動する場合、充電を2回以上行う必要があります。

また、天候や走行条件によっても、航続距離は変動します。夏場の高温下や冬場の低温下、坂道が多い道や高速道路を走行する場合も、航続距離が短くなります。このように、一人乗り電気自動車の航続距離が短いことは、購入を検討する際には、必ず考慮しておくべきポイントです。

一人乗り電気自動車のデメリット2:充電環境

一人乗り電気自動車の充電時間は、一般的に3〜5時間です。これは、ガソリン車の給油時間と比べると、かなり長いと言えます。そのため、急な充電が必要になった場合、時間がかかってしまいます。また、充電スタンドの設置台数は、まだまだ少ないのが現状です。そのため、充電スタンドの場所や空き状況を事前に確認しておくことが大切です。

一人乗り電気自動車を利用する際は、充電環境を整えておくことが大切なため、自宅や職場に充電スタンドがない場合は、生活圏内の充電スタンドの設置場所を把握しておきましょう。

一人乗り電気自動車のデメリット3:荷物スペース

一人乗り電気自動車の荷物スペースは、一般的に100リットル前後です。これは、バイクよりは多いものの軽自動車の荷物スペースと比べると、かなり狭いと言えます。そのため、日常生活で必要な荷物を積むには、スペースが十分ではない場合があります。

また、一人乗り電気自動車の荷物スペースは、座席の背後やフロントフードに設置されていることが多いです。そのため、荷物を積み込む際には、車体後部やフロントフードを開ける必要があります。

これによって車の形状によっては、積み込める荷物のサイズや形状が限られる場合もあり、購入を検討する際には、考慮しておくべきポイントです。

一人乗り電気自動車の選び方|購入時のチェックポイント

一人乗り電気自動車の選び方|購入時のチェックポイント

近未来的で新しいライフスタイルを実現してくれそうな一人乗り電気自動車。早速、購入を検討される方も多いと思います。実際に一人乗り電気自動車を購入する際には、前もってチェックしておきたいポイントがいくつかあります。

購入時のチェックポイント1:機能性

一人乗り電気自動車は普通車や軽自動車に比べて機能が制限されているため、購入前に用途を考えることが大切です。用途を決めたら、ボディタイプや積載量、エアコンの有無など、自分にとって必要な性能や機能を明確にしておきましょう。

また、用途を考える際にはどのような条件の道路を走行するかも意識する必要があります。
たとえば、一人乗り電気自動車は加速が弱いため、交通の流れが速い幹線道路をメインに走るのには向いていません。

ほかにも、雨天時の使用も視野に入れるなら室内空間全体が覆われているフルカバーボディタイプの車両を、季節に左右されず快適な温度を保ちたいなら空調設備の充実しているタイプの車両を選択するなど、自分のニーズを明確にしてから車を選びましょう。

購入時のチェックポイント2:走行距離

一人乗り電気自動車の購入を検討する際は、一回の充電での走行距離を必ず確認しましょう。一般的なガソリン車の航続距離は500〜600kmを超える車両が多いのに対して、一人乗り電気自動車は60〜100km程度しか走行できないことが多いものです。自分に必要な距離をあらかじめ計算し、充電の頻度や充電環境を含めて自分に合った車種を選択するようにしましょう。

また、ガソリン車の燃費と同様、走行距離はカタログ値以下になることがほとんどです。冷暖房やオーディオの再生はもちろんのこと、加減速などの運転の仕方や路面条件や気温などの走行条件によっても電気の消費量が変わってきます。

実際の走行距離は、ガソリン車同様カタログ値の6〜7割ほどになると想定しておいたほうが良いでしょう。

購入時のチェックポイント3:乗り心地

一人乗り電気自動車を検討するなら、試乗して乗り心地を確認しましょう。エンジン車やバイクに慣れている方にとって、一人乗り電気自動車の乗り心地はまったくの別物です。サイズ感や加速力はもちろんのこと、車体の安定感も通常の車に比べると心もとなく、「小回りが利いて便利そう」などといったイメージだけで購入すると、「車体の安定感がない…」と感じて落胆することになりかねません。

ただし、一人乗り電気自動車はディーラーに試乗車を置いていないことも多いため、試乗は難しい場合もあります。その場合、試すことのできる車種は限られますが、カーシェアやレンタカーサービスを利用して試乗するのもひとつの手です。お目当ての車に乗れなかったとしても、一人乗り電気自動車そのものの使用感を把握するには役立つでしょう。

一人乗り電気自動車の購入を検討しているなら、まずは試乗を!

近い将来、さらなる普及が予想される一人乗り電気自動車。一人乗り電気自動車は車種によって搭載している機能や区分が異なります。そのため、購入時には、自分の用途やライフスタイルに合ったモデルを見極めることが重要です。この記事でそれぞれの車種の特徴を比較検討しながら、実際に試乗を行い、自分にぴったりの最高の1台をさがしてみてください。

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