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力強い現在、力強い未来:BMWグループ、2023年の好業績を土台に、今後の成功への路線を維持
公開日:2024/03/21更新日:2024/03/21
BMWグループ、今年度大幅な成長を見込んで。今年初めて電気自動車のツーリング・モデル登場
ミュンヘン発:力強い製品、力強い需要、力強い業績:自動車部門が過去最高の営業成績を記録した2023年の成功に続き、BMWグループは今年度も、その収益性に富む成長路線を維持することを目指している。電気自動車(BEV)と上位プレミアム・セグメントのモデルは、2024年も引き続いてその成長の主な牽引役となる。それらには、BMW 7シリーズモデル、BMW X7、ロールス・ロイスのモデルファミリーおよび電気自動車のロールス・ロイスSPECTREが含まれる。
いずれのセグメントにおいても、BMWグループは今年度に二桁の大幅な成長を見込んでいる。さらに、今年初めて電気自動車のツーリング・モデルとして登場するBMW i5を含むBMW 5シリーズのモデルや、BMW M GmbHの車両もそれに貢献するであろう。
全体として、自動車部門における納車台数は2024年に微増すると、BMWグループは予測している。BMW AG取締役会会長オリバー・ツィプセは、次のように述べている。「フレームワーク状況が厳しくなればなるほど、一貫した戦略を実行することが重要になります。従って、強力な製品と高度な対応力が、2024年においても当社の重要な成功要因であり続けるでしょう。それによって、BMWは今後もお客様、投資家、ステークホルダーの皆様にとって信頼できるパートナーであり続けることができます」
研究開発費と設備投資は、計画通り2024年にピークを迎える
2024年においても、工場、プレミアム車のラインナップ、および革新的テクノロジーへの大規模な投資によって、当社は計画通りの戦略的路線を維持する予定である。その姿勢は、デブレツェン(ハンガリー)の工場建設や、瀋陽(中国)、ウッドラフ(米国)、サン・ルイス・ポトシ(メキシコ)並びにイルルバッハ-シュトラスキルヒェン(ニーダーバイエルン州)の高電圧バッテリー組立工場建設などに見られる。ミュンヘン工場の大規模拡張と、オックスフォードのMINI工場の電動化に伴い、設備投資額は2024年にピークを迎える予定である。また、会社とその製品のデジタル化にも、支出増加が必要となる。
設備投資に加えて、研究開発費も今年度は過去最高を記録することになる。これは主として、NEUE KLASSE(ノイエ・クラッセ)を含む車両ポートフォリオの電動化と、車載デジタル・イノベーション(コネクティビティ、ソフトウェア・スタック、自動運転など)に集中する。
「当社は、かつてないほど会社の未来に投資しています。工場の建設と近代化、そしてポートフォリオの拡大計画は、今年急速に進展しています。設備投資と研究開発費は、新たなレベルに達するでしょう。設備投資比率は6%超、研究開発費比率は5%超を見込んでいます。どちらの指標も、その後、通常の戦略的範囲に戻ります。こうした将来のために大規模投資にも関わらず、2024年の自動車部門フリー・キャッシュフローは、60億ユーロ超を目標としています。このことは、BMWグループの財務的な強さを物語っています」と、財務担当取締役のヴァルター・メルトルは述べている。「当社は、今後もコスト規律と持続可能な収益性を維持に努めます。自動車部門のEBITマージンの長期目標レンジは8~10%をベンチマークとします」
当社は今年度、自動車部門のEBITマージン8~10%の達成も目指している。これには、BBA(BMW Brilliance Automotive Ltd./ブリアンス・オートモーティブ)の資産の取得価格を配分することによる減価償却費の継続的な減衰効果が考慮されている。
魅力的な製品-主要な成長牽引役としてのBEVラインナップ
2023年、BMWグループの電気自動車販売台数は375,000台超と大幅に増加し(74.2%増)、電動モビリティのパイオニアとしての役割を明確に示している。こうして当社は、欧州の直接競合他社、およびアジアや米国の新規参入各社の大半よりも、はるかに多くの電気自動車を顧客に届けた。
この成功は、これらの自動車の強力な製品内容の上に築かれており、そのことは多くの調査によって確認されている。一例として、2月には、米国の著名な消費者ポータルサイト「Consumer Report(コンシューマー・レポート)」が、BMWを二年連続で「ベスト・ブランド」に選んだ。このサイトは、34社の自動車メーカーを、ロードテストのスコア、信頼性、顧客満足度および安全性基準に照らして比較し、ランク付けしている。試乗対象となったBMWモデルは12車種であり、そのすべてについて明確な「買い」の推奨を受け、さらにMINIの試乗対象モデル2車種も同様で、トップ・クラスのブランドの一つとしての認定も取得した。
もう一つのダブル受賞は、電気自動車の顧客体験を調査している米国の市場調査会社J.D.Powerが実施した調査によってもたされた。総合優勝はBMW i4、低価格セグメントのベストモデルにはMINI Cooper SEが選ばれた。
電気自動車のBMW i5は、初の電動ツーリング・モデルとして今年市場に投入される予定であり、New MINI Familyをも加えて、BMWグループは事実上すべての主要セグメントでBEVの選択肢をもつことになる。2024年には、BMWグループの全ブランドにわたって15車種を超える電気自動車のモデルが市場に揃う予定である。
内燃エンジンの効率向上と相まって、BMWグループは、特に欧州において販売車両全体のCO2排出量(フリーと排出量)を大幅に削減してきた。暫定値ベースでは、EUにおけるフリート排出量は、2023年に102.1gCO2/kmまで削減された。これにより、BMWグループは、必要とされるフリート目標である128.5gCO2/kmを20%超も上回る成果をあげた。2024年には、さらなる削減を見込んでいる。
多様な製品群が成長を確実にする
BMWグループの製品群の多様性がその成長を保証していることが、2024年のスタート時点で証明されている。今年最初の2カ月間で、BMWグループは電気自動車の販売台数を、前年同期比で二桁パーセントに達するほど大幅に伸ばすことができた。米国での成長は著しく、年初来2月末までのBEV販売台数は、ほぼ2倍となった。欧州と中国でも、電気自動車モデルの納車台数が二桁台の大幅な成長を記録した。
同時に、高効率内燃エンジン搭載車の納車台数も、年初来2月末までの期間に増加している。駆動テクノロジーが何かに関わらず、BMWグループのモデルには顧客からの旺盛な需要があり、バリューチェーンにおける柔軟性と対応力の高さと相まって、当社の成功のための重要な構成要素となっている。
プラグイン・ハイブリット・テクノロジー車(PHEV)もまた、BMWブランドの電動化戦略にとって不可欠な要素の一つであり続ける。BEVの成長が著しい一方で、特に欧州では、これらのモデルの需要が今年も安定すると思われる。このテクノロジーは、さらなるCO2削減に貴重な貢献をしているとともに、顧客に電動モビリティを紹介する役割も果たしている。全社では、2023年に560,000台超の電動ユニット(BEV+PHEV)がすでに顧客のもとに納車されている。これは、BMWグループ全体の販売台数の22%に相当する。
PHEVモデルの人気の高さも一助となり、BMWグループはすでに200万台超の電動化車両(BEV+PHEV)を顧客に届けている。このうち、約55%がPHEV、約45%がBEVであった。しかし、電気自動車の販売台数は、近年、PHEVモデルよりはるかに急速に伸びている。
MINIとロールス・ロイスは電気自動車専門のブランドに
MINIとロールス・ロイスのブランドは、2030年代初め以降の電気自動車化への道を順調に進んでいる。New MINI Familyとロールス・ロイスSPECTREに、その一端がすでに表れており、最初の納車分はすでに顧客の方々のもとに届けられている、ロールス・ロイスSPECTREの新規発注は、すでに2025年にまで及んでいる。新型MINI Countrymanの最初の生産は、BMWグループのライプツィヒ工場で開始されており、そこでは電気モデルと高効率内燃エンジン搭載のモデルが製造される。
この広範な電動モデル群により、BMWグループは今後も一貫した成長軌道を維持できると予期している。2020年代の後半には、NEUE KLASSEがそのインプレッションな製品内容によって、電動モビリティの市場浸透をさらに加速させる可能性がある。2020年代の後半における実勢市場環境や、原材料の価格と入手可能性の状況、および包括的な充電インフラ構築のペースにもよるが、世界で販売されるBMWグループの全車両の50%超が、2030年より前に電動ドライブトレインを搭載していることが考えられる。PHEVモデルを含めると、この割合はそれに応じてさらに高くなる。
スタート台についたNEUE KLASSE:BMW Vision Neue Klasse Xは未来のBMWモデル・ラインナップの幅広さを強調-駆けぬける歓びを新たなレベル
NEUE KLASSEの生産が始まるわずか1年前に、BMWグループの未来の電動SAVセグメントを予見させる、新しいビジョン・ビークルが登場した。BMW Vision Neue Klasse Xは、NEUE KLASSEのフィロソフィーとテクノロジーを、近年BMWグループに販売台数に占める割合が増えつつあるスポーツ・アクティブティ車の分野に導入したモデルだ。2023年には、顧客に納入されたBMW車の2台に1台がXモデルであった。「BMW Vision Neue Klasseと共に、BMW Vision Neue Klasse Xは未来のBMWモデル・ラインナップの幅広さを明示しています。スポーティ・セダンから、その派生モデル、そしてモダンなSAVモデルまでNEUE KLASSEは、現在そして将来にわたってお客様が求める多様なモデルを反映しています」と、ツィプセは語っている。「このように、NEUE KLASSEは単なるクルマや特定のコンセプトを超越したものであることを当社は強調しています。それはBMWブランドを再定義するものであり、そして同時に、これまで以上にBMWらしいものになるでしょう」
BMW Vision Neue Klasse Xはまた、NEUE KLASSEの三つに主要な特徴である電動化、デジタル化、循環型を、いかにして4つ目の次元へと拡大できるかと示している。BMWブランドの中核を成す駆けぬける歓びは、NEUE KLASSEのために特別に開発されたドライブ・コントロールとシャーシ・コントロール、そして第6世代のBMW eDriveテクノロジーによって、次なるレベルに引き上げられる。その目的は、NEUE KLASSEが「BMWの駆けぬける歓び」をさらに高いレベルで提供することだ。
未来のBMW車では、4つの完全に新しく高度に統合された電子制御ユニットのうち、従来は別々に処理されている2つが手際よく連携して動作することにより、この目的が確保される。第一の制御ユニットは、BMWグループが自社開発した新しいソフトウェア・スタックに基づいて、最大10倍のコンピューティング・パワーで、パワートレイ全体とドライビング・ダイナミクスを統合する。第二の制御ユニットは、自動運転の次なる飛躍を可能にする。他の2つの高度に統合された電子制御ユニットについては、後日その詳細情報を提供に予定だが、1つはコネクティビティとインフォテイメントを担当し、もう1つはデジタル・カー・キーからエネルギー供給、ワイヤーハーネス通信に至るまで、100を超える中核的な車両昨日を集積している。
第6世代のBMW eDriveテクノロジーは、電動ドライブ・ユニットのさらなる改良に加え、体積エネルギー密度が従来の角型セルより20%超向上した新しい型リチウムイオン・バッテリー・セルを採用している。800ボルト・システムへの移行との組み合わせにより、充電速度は最大30%向上し、わずか10分で300キロの航続距離に充分な充電ができるようになる。第6世代のBMW eDriveでは、航続距離も最大30%向上する。同時に、この新しいテクノロジー世代はコストを大幅に削減することになる。同程度の航続距離を持つ現在の第5世代テクノロジーと比較すると、電動第6世代システム、つまりパワートレインを備えた高電圧バッテリーのコストは、40~50%低くなるはずだ。
エアロダイナミクスに関しては、BMW Vision Neue Klasse Xはインプレッシブな新しい最高値を誇っている。空気抵抗は、現行ラインナップの同等モデルと比較して20%低減している。電気自動車用の新しいタイヤ設計と特別なブレーキング・システムが、車両全体の効率を最大25%高めると役立っている。
新世代のBMW iDriveは、ユーザー・インタラクションを次のレベルへと引き上げる
BMWグループは、2023年にラスベガスで開催されCES(コンシューマー・エレクトロ二クス・ショー)においてBMW i Vision Deeを披露し、車内外のデジタル体験の未来像をすでに発表している。このたびBMW Vision Neue Klasse Xに搭載された新しいBMW iDriveは、高度に統合されたソフトウェア・アーキテクチャに基づいたものであり、次世代のMWオペレーティング・システムを使用する。
この車両では、BMWパノラミック・ビジョンがフロントウィンドーの全幅に主要情報を投影する。NEUE KLASSEでは、改良されたBMW 3Dヘッドアップ・ディスプレイによって、それがさらに強化される。新開発のマルチ・ファンクション・ボタン付きステアリング・ホイール、新しいセントラル・ディスプレイ、そしてBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントの高度な音声コントロールとの組み合わせによって、BMW iDriveはドライバーとクルマとの対話をまったく新しいレベルに引き上げる。
テクノロジー・クラスター:パワートレインを問わない最新のイノベ―ション
しかし、これらすべてのイノベーションと技術的進歩は、今後に向けて、NEUE KLASSEのモデルにとどまらずBMWの製品ラインナップ全体に恩恵をもたらすように設計されている。その基礎となっているのは、BMWグループがそのテクノロジー・クラスターで確立したモジュール原則である。これらのテクノロジー・クラスターは、デジタル、ドライブトレイン、ドライビングのエクステリアとインテリアの各分野を網羅しており、当社の製品ラインナップのほとんどで、セグメントの境を超えて使用することができる。拡張可能性があり、あらゆるアーキテクチャで使用できるため、異なる車両コンセプトやセグメントに合わせて変更することもできる。
ツィプセは次のように述べている。「当社のテクノロジー・クラスターは、イノベーションと技術的進歩を迅速かつ効率的に拡大するための重要なテコの役割を果たしています。これによって、当社はセグメントや車両のパワートレインに関係なく、お客様に最新技術を提供することができるのです」
NEUE KLASSEのテスト走行が進行中
これらのイノベーションは、まもなくNEUE KLASSEに活かされてデビューする。最初の車両群は現在、過酷な条件下でのテスト走行を完了しようとしている。その後2025年後半には、BMWブランドの大量生産モデルの中核として、BMW Vision Neue Klasse Xで予見されたようなスポーツ・アクティビティ車の量産が開始される。これに続くのは現行の3シリーズ・セグメントのセダンで、それはBMW Vision Neue KlasseがIAA MOBILITYにおいて初披露したものだ。BMWグループの世界の生産ネットワーク全体にわたって、生産開始から24ヵ月以内に、少なくとも6種のNEUE KLASSEモデルを発売する予定である。
そのNEUE KLASSEは、2025年にBMWグループの新工場であるデブレツェン工場(ハンガリー)で生産開始される予定であり、同工場ではNEUE KLASSEの車両を専門に生産する。2026年以降は、100年以上の歴史を持つミュンヘンの主力工場でもNEUE KLASSEモデルを生産する予定であり、現在、2027年からBEVのみの生産に移行するために必要な準備を完了しつつある。同年に、サン・ルイス・ポトシ工場(メキシコ)でNEUE KLASSEの量産が開始され、瀋陽(中国)の生産拠点でもNEUE KLASSEの生産に向けた準備が進められている。
駆動テクノロジーのさらなる柱となる水素燃料電池
次の10年間のうちに、全顧客が完全な電動モビリティに移行するために必要な枠組条件が、世界のすべての市場において整うわけではないことを、BMWグループは依然として想定している。従って、輸送部門におけるCO2削減に貢献しつつ、人々の個々のモビリティ要件を満たすためには、高効率の従来型駆動テクノロジーを備えたさまざまな製品が、まだ必要とされるであろう。
水素燃料電池テクノロジーがドライブトレインの商品構成に占める割合も、2020年代後半以降に高まると予想される。BMWグループは、持続可能な個々のモビリティの追加的オプションとして、このテクノロジーの開発を一貫して推進しており、市場の要求と条件次第では、2020年代後半に量産車製造の可能性もあると見ている。BMW iX5 Hydrogen*のパイロット・シリーズは、2023年に初めて世界中のメディアに公開された。それ以来、この車両のフリートは、さまざまなターゲット・グループへのデモンストレーションや試験目的で配置され、大きな成功を収めてきた。
高性能燃料電池と最適化されたパワー・バッテリーを搭載したBMW iX5 Hydrogenの駆動システムは、世界でも類を見ないものである。燃料電池に供給するために必要な気体水素は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の700気圧のタンク2基に貯蔵される。これらには合計6キログラムの水素が充填され、BMW iX5 Hydrogenの航続距離は、WLTPサイクルで504キロになる。水素タンクへの充填に要する時間はわずか3~4分であるため、BMW iX5 Hydrogenは数回の短い停車を要するだけで、長距離でもBMWらしいドライビングの歓びを確保できる。
戦略に組み込まれた持続可能性
2021年、BMWグループはドイツの自動車メーカーとして初めて、Science Based Targets(科学的根拠に基づく目標)イニシアティブが立ち上げた「1.5℃のためのビジネス・アンビション」キャンペーンに参加し、遅くとも2050年までにバリューチェーン全体で完全な気候中立性を達成することを目指すと約束した。
総合的な持続可能性のあらゆる側面を考慮するため、BMWグループは「二次利用が第一」のアプローチを活用し、NEUE KLASSEの車両に使用されるリサイクル素材や再利用可能な素材の割合を徐々に増やしている。遡ること2021年に、BMW i Vision Circularは、2040年の都市環境における個性的で持続可能で贅沢なモビリティがどのような姿になるかの一端を提示した。それは再生材料と再生可能原材料から作られ、そして100%リサイクル可能なのだ。
BMW、予測どおり2023年の事業目標をすべて達成
2023会計年度に、BMWグループは事業目標を予測どおりに達成した。顧客に納車されたプレミアム車の総台数は255万4,183台(6.4%増)となり、堅調な伸びを示した。通期のグループ売上高は1,554億9,800万ユーロ(9.0%増)に増加した。BBAの完全統合に加え、売上高は主に販売台数の増加と製品ミックスのプラス効果に牽引された。利払前・税引前利益(EBIT)は184億8,200万ユーロ(32.0%増)に昇った。
税引前利益170億9,600万ユーロは、対応するベース効果を反映している。前年度(2022)には、以前に保有していたBBA株式77億ユーロの再評価が行われたことの影響で、BMWグループの業績とグループ利益が大幅に増加した。こうした効果が今年度にはないため、2023年度の税引前利益(27.3%減)およびグループ当期純利益(34.5%減)は前年度を大幅に下回った。前述の再評価による一過性の影響がなければ、2023年度のグループ当期純利益は前年度比で堅調に増加したはずである。
自動車部門では、利払前・税引前利益(EBIT)が大幅に増加し、129億8,100万ユーロ(22.1%増)となった。追い風となったのは、BBAの完全統合、売上高の伸び、そして製品ミックスの改善である。これは、研究開発費や原材料費の上昇による逆風で相殺された。当期のEBITマージンは9.8%(2022年:8.6%)であった。前述の14億ユーロの取得原価の配分からBBA資産の減価償却費を除いたEBITマージンは10.8%であった。
こうした好業績により、設備投資の増加にもかかわらず、12月末時点におけるこの部門のフリー・キャッシュフローは69億4,200万ユーロとなった(2022年:110億7,100万ユーロ/37.3%減)。前年度の数値には、BMW Brillianceの完全統合による50億ユーロの一時的なプラス効果が含まれている。
2023年のBMWグループの設備投資額は88億3,600万ユーロ(8.5%増)に達した。電動化と自動運転モジュールや、さまざまな市場における高電圧バッテリー生産の立ち上げ、そしてハンガリーのデブレツェン工場の建設に、多額の費用が注入された。
グループの研究開発費は、総額75億3,800万ユーロ(13.8%増)となった。NEUE KLASSEの将来モデルのための開発費用に加え、研究開発費は主として車両ポートフォリオのさらなる電動化、デジタル化、および自動運転に重点を置いて投資された。
6.00ユーロの配当を提案-従業員への利益分配ボーナス
BMWグループの収益性が高いことは、重要な数値である「1株当たり利益」(EPS)が、2023年度17. 67ユーロであったことによって裏付けられる。前年度の1株当たり27.31ユーロという高い数値は、以前に保有していたBBA株式の再評価が行われたことによる77億ユーロの一時的効果を反映している。この効果がなければ、2022年度の同数値は1株当たり15.66ユーロとなり、従って2023年度のEPSは12.8%の大幅増であったことになる。
BMWグループは、その成功を株主と確実に分かち合っており、2023会計年度の配当性向は通常どおりの30~40%の範囲内になる。取締役会と監査役会は、5月15日の年次株主総会に、普通株式1株当たり6.00ユーロ(2022年:8.50ユーロ)、優先株式1株当たり6.02ユーロ(2022年:8.52ユーロ)の配当を提案する予定である。これは暫定的な配当性向33.7%(2022年:30.6%)に相当する。
業績と報酬の原則に従い、ドイツの従業員も適切な方法で会社の成功を分かち合う。一例として、熟練労働者の場合、2023年度には8,400ユーロ(バイエルン州金属・電子業界の給与グループERA 5に基づく)が支給され、年金制度に係る部分も支給される。
2024年の展望:BMWグループ、高収益成長を見込む
自動車部門では、需要の若干の増加や、新モデル販売のフル稼働と今後のモデル発表により、BMW、MINI、ロールス・ロイスの納車台数は前年度を少し上回ると見込まれている。完全電気自動車が販売台数に占めるシェアは、2023年比で大幅な増加が予想される。2024年の自動車部門のEBITマージンは、8~10%の範囲内に収まると考えられる。
車両の燃費がさらに改善され、電気駆動システムを搭載した車両も増加しているため、EU内で販売された全新車(フリート)のCO2排出量は若干減少すると予期される。したがって、その数値がEUの公式目標値を大幅に下回ることも期待している。
安定した需要状況は、モーターサイクル部門にも反映されている。BMW R 1300 GSを含む全モデルの販売がフル稼働することと相まって、この部門でも若干の納車台数増加が見込まれる。EBITマージンは8~10%の目標範囲内に収まる見通しである。
ファイナンシャル・サービス部門のRoEは14~17%と予測される。中古車市場の需給は、期待どおり正常化を続けている。そのため、リース終了車両の再販による収益は、2023年と比較してさらに減少すると考えられる。
またこの傾向により、グループの税引前利益も若干減少する。BMWグループは、車両のデジタル化と電動化において競合他社をリードし続けており、この地位をさらに拡大する意向であるため、将来のプロジェクトのための研究開発費と設備投資は、自動車部門で2024年にピークを迎えることになる。生産ネットワークも、NEUE KLASSE関連で2024年にさらに拡大される。
上記の目標は、従業員数が若干増加しても達成されるであろう。BMWグループの管理職に占める女性の割合も、わずかに増加すると予測されている。
マクロ経済や地政学的状況をめぐる不確実性の高まりにより、一部の地域では経済実績が予想された傾向や展開から外れる可能性がある。これは、貿易・関税政策、安全保障政策、そして国際貿易紛争激化の可能性に関係している。ウクライナ戦争とBMWグループの業績への潜在的な影響についても注視している。制裁措置によって適用される制限は、既に当社のガイダンスに織り込まれている。
BMWグループー概要: 2023年通期 | 2023年 | 2022年 | 増減率(%) | |
納車台数 | ||||
自動車1 | 台 | 2,554,183 | 2,399,632 | 6.4 |
BMW | 台 | 2,252,793 | 2,100,689 | 7.2 |
MINI | 台 | 295,358 | 292,922 | 0.8 |
ロールス・ロイス | 台 | 6,032 | 6,021 | 0.2 |
モーターサイクル | 台 | 209,066 | 202,895 | 3.0 |
従業員数(2023年12月31日現在) | 154,950 | 149,475 | 3.7 | |
EBITマージン自動車部門 | % | 9.8% | 8.6% | 14.1 |
EBITマージンモーターサイクル部門 | % | 8.1% | 8.1% | ― |
EBTマージンBMWグループ2 | % | 11.0% | 16.5% | -33.3 |
売上高 | 百万ユーロ | 155,498 | 142,610 | 9.0 |
自動車 | 百万ユーロ | 132,277 | 123,602 | 7.0 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 3,214 | 3,176 | 1.2 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 36,227 | 35,122 | 3.1 |
その他の事業 | 百万ユーロ | 11 | 8 | 37.5 |
連結調整 | 百万ユーロ | -16,231 | -19,298 | 15.9 |
利払前・税引前利益(EBIT) | 百万ユーロ | 18,482 | 13,999 | 32.0 |
自動車 | 百万ユーロ | 12,981 | 10,635 | 22.1 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 259 | 257 | 0.8 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 3,055 | 3,163 | -3.4 |
その他の事業 | 百万ユーロ | -13 | -203 | 93.6 |
連結調整 | 百万ユーロ | 2,200 | 147 | ― |
税引前利益(EBT) | 百万ユーロ | 17,096 | 23,509 | -27.3 |
自動車 | 百万ユーロ | 12,642 | 18,918 | -33.2 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 258 | 269 | -4.1 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 2,962 | 3,205 | -7.6 |
その他の事業 | 百万ユーロ | -100 | 995 | ― |
連結調整 | 百万ユーロ | 1,334 | 122 | ― |
グループ法人税 | 百万ユーロ | -4,931 | -4,927 | 0.1 |
純利益 | 百万ユーロ | 12,165 | 18,582 | -34.5 |
普通株式1株当たり利益 | ユーロ | 17.67 | 27.31 | -35.3 |
優先株式1株当たり利益3 | ユーロ | 17.69 | 27.33 | -35.3 |
1 合弁会社BMW Brilliance Automotive Ltd.(瀋陽)の納車台数を含む。
2 グループの売上高に対するグループ税引前利益の比率。
3普通/優先株式。優先株式1株当たり利益は、優先株式1株当たり0.02ユーロの追加配当を賄うのに必要な利益を、対応する会計年度の四半期にわたって比例配分することにより算出される。
BMWグループ-概要: 2023年第4四半期 | 2023年第4四半期 | 2022年第4四半期 | 増減率(%) | |
納車台数 | ||||
自動車1 | 台 | 717,620 | 651,794 | 10.1 |
BMW | 台 | 631,526 | 566,823 | 11.4 |
MINI | 台 | 84,616 | 83,651 | 1.2 |
ロールス・ロイス | 台 | 1,477 | 1,320 | 11.9 |
モーターサイクル | 台 | 44,349 | 43,562 | 1.8 |
従業員数(2023年12月31日現在) | 154,950 | 149,475 | 3.7 | |
EBITマージン自動車部門 | % | 8.5% | 8.5% | ― |
EBITマージンモーターサイクル部門 | % | -7.6% | -9.4% | -19.0 |
EBTマージBMWグループ2 | % | 8.6% | 8.2% | 4.1 |
売上高 | 百万ユーロ | 42,968 | 39,522 | 8.7 |
自動車 | 百万ユーロ | 37,283 | 34,571 | 7.8 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 643 | 691 | -6.9 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 9,504 | 9,086 | 4.6 |
その他の事業 | 百万ユーロ | 2 | 2 | ― |
連結調整 | 百万ユーロ | -4,464 | -4,828 | 7.5 |
利払前・税引前利益(EBIT) | 百万ユーロ | 4,412 | 3,500 | 26.1 |
自動車 | 百万ユーロ | 3,171 | 2,932 | 8.2 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | -49 | -65 | 24.6 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 606 | 536 | 13.1 |
その他の事業 | 百万ユーロ | 0 | -16 | ― |
連結調整 | 百万ユーロ | 684 | 113 | ― |
税引前利益(EBT) | 百万ユーロ | 3,682 | 3,253 | 13.2 |
自動車 | 百万ユーロ | 3,031 | 3,009 | 0.7 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | -53 | -57 | 7.0 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 511 | 533 | -4.1 |
その他の事業 | 百万ユーロ | -212 | -263 | 19.4 |
連結調整 | 百万ユーロ | 405 | 31 | ― |
グループ法人税 | 百万ユーロ | -1,068 | -1,078 | 0.9 |
純利益 | 百万ユーロ | 2,614 | 2,175 | 20.2 |
普通株式1株当たり利益 | 百万ユーロ | 3.77 | 3.43 | 9.9 |
優先株式1株当たり利益3 | 百万ユーロ | 3.78 | 3.44 | 9.9 |
1 合弁会社BMW Brilliance Automotive Ltd.(瀋陽)の納車台数を含む。
2 グループの売上高に対するグループ税引前利益の比率。
3普通/優先株式。優先株式1株当たり利益は、優先株式1株当たり0.02ユーロの追加配当を賄うのに必要な利益を、対応する会計年度の四半期にわたって比例配分することにより算出される。
*燃料消費量と排出量のデータ:
ロールス・ロイスSPECTRE:消費電力(mi/kWh///kWh/100km):2.6-2.8mi/kWh//23.6-22.2kWh/100km(WLTP);電気航続距離(WLTP):329*mi/530*km;CO2排出量:0g/km(NEDC).
BMW i5 eDrive40:消費電力(kWh/100km):-(NEDC)/18.9-15.9(WLTP);電気航続距離(WLTP)(km):497-582.
BMW i4 eDrive40:NEFZ [ ];WLTP(複合):消費電力:19.1-16.1kWh/100km;CO2排出量:0g/km;航続距離:493-590km.
BMW iX5 Hydrogen:WLTPサイクル複合消費量:1,19kgH2/100km;WLTPサイクルCO2排出量:0g/km;電気航続距離:504km(313miles)
MINI Cooper SE:電気航続距離(WLTP複合):201km;消費電力(WLTP複合):17.2kWh/100km;複合消費電力(NEDC):-kWh/100km
MINI Countryman:電気航続距離合計(l/100km):-(NEFZ)/8,3-4,6(WLTP);CO2排出量合計(g/km):-(NEFZ)/187-120(WLTP).
用語解説-主要業績評価指標に関する説明
納車台数
新車または中古車は、エンドユーザー(BMWファイナンシャル・サービスとリース契約を締結しているリース契約者を含む)に引き渡されると、納車されたと記録される。これに加えて、米国およびカナダでは、(1)代車または試乗車として車両を使用する場合のディーラーと、(2)社用車をオークションで購入する場合のディーラーおよびその他の第三者、並びに社用車をBMWグループから直接購入する場合のディーラーも、エンドユーザーに含められる。納車を実施するのは、BMW AG、同社の外国子会社、BMWグループのディーラー販売拠点(店舗)、または独立系の第三者ディーラーである。納車の大部分は、独立系の第三者ディーラーによって実施されており、したがってBMWグループへの納車報告も同様である。特定の報告期間におけるリテール車両の納車と、BMWグループがその特定の報告期間について把握する売上高との間には、直接の相関は存在しない。
EBIT
利払前・税引前利益これは、売上高から売上原価、販売費、管理費を差し引き、その他の純営業損益を増減したものである。
EBITマージン
利払前・税引前利益/損失が売上高に占める割合。
EBT
EBITに決算結果を加えた数値。
配当性向
配当性向は暫定値である。取締役会・監査役会は、1株当たり固定配当を株主総会に提案しているが、現在から年次株主総会までの間に継続的に実施している自社株買いプログラムの結果、配当対象株式数はさらに減少すると予想される。これに伴い、5月15日までの株主への配当金総額も変更となる可能性がある。
PHEV
プラグイン・ハイブリッド電気自動車
21.03.2024 BMW GROUPプレスリリースより
このブランドについて
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BMW
BMW
日本ではメルセデス・ベンツに次ぐ高級輸入車メーカーとして定着しているドイツのBMWは、ライバルに対し若々しくスポーティなイメージを持ち味としており、昔ながらのセダンやクーペ、ワゴンのみならず、X5など各種SUV、スポーツカーのZ4や「M」ブランドの高性能モデルがイメージの主流と言えます。高級感あふれるフィーリングと雑味のない吹け上がりでファンの多い直列6気筒エンジンを継続してきた、珍しいメーカーなこともスポーティなイメージに一役買っていますが、近年はBEVなど電動化モデルも拡充しています。2000年代以降は傘下ブランドとしたMINIの影響で、実用的なFF車もラインナップするようになりました。